Category : レポート

全車 :リエゾン(移動区間) 518km+SS(競技区間)180km=合計698km

131kmのリエゾンの後にSS180kmがスタート。モト&クワッドは競技者らへの畏敬を込めてリバース(昨日の後尾から)スタート。
本日スタートする競技者はモト部門84台、オート68台、クワッド23台、カミヨン41台。
第1走者は6時15分、オート7時15分、カミヨン8時18分と今日はかなり早い。

モト部門の第1走者はオスワルド・ブルガ、ペルー人。総合84位にいてトップとの差は54時間。トップと一番差が多かった日は8時間もあった。別の見方をすれば、ブルガの走ったタイムで、プライスはダカール・ラリーを2往復走ることができる。ブルガの苦労は想像に難くない。日中、何度も転んでは起きを繰り返し、毎晩夜中のゴール&マシーン調整・・・。完走への執念!
 

ステファン・ペテランセル6度目の総合優勝、プライス初優勝!

 
第38回ダカール・ラリーが本日ロサリオで終わった。オート部門でステファン・ペテランセル(プジョー)が6度目の総合優勝、モト部門ではトビー・プライス(KTM)が初めての総合優勝を果たした。クワッド部門ではマルコス・パトロネッリ(Yamaha)が3度目の優勝。カミヨン部門でもジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が2度目の優勝。

SSではセバスチャン・ロエブ(プジョー)が今大会4度目のステージ優勝、モト部門ではパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)が今大会初のステージ優勝。

どんなに言葉を尽くしても、ステファン・ペテランセルのパイロットとしての質とすごさは説明できない。オート部門で6度目の優勝、“Mr.ダカール”はモト部門での優勝と同じ回数にすることができた。通算12回の総合優勝、ペテランセルはまさにかつてないダカール・ラリーの王者となった。

この6度目の優勝に導いたステージはたった1度のステージだった。だがそのステージはハンパではない。第10ステージのフィアンバラの砂丘の中、彼が予告したように、彼が度々2輪の時代にやっていたように、彼は“タガを外して”大きな賭けに出たのだった。すべての危険を冒して弾丸のように走った。ライバルのトラブルが重なって、彼は失態もなく、賭けに勝った。

しかし事は決して楽ではなかった。新しいチームメイト、セバスチャン・ロエブは最初の週レースを凌駕し、イメージづけていた。ペテランセルは、彼の後ろで背中を丸めてチャンスを狙う戦略をわきまえていた。プレッシャーに耐えながら、前を走るクルマの砂埃の中で、できる限りミスを抑えながら、ライバルのクルマと共に走った。プジョー・チームに降りかかる様々な試練を振り払って、結局ペテランセルがただ一人優勝の椅子を手にした。アリ・ヴァタネンがプジョー405で優勝してから26年、ついに彼はプジョーの優勝に導いたのだった。

MINIのナセル・アルアティヤの素晴らしいパフォーマンスも忘れてはいけない。常にプジョー・チームと互角の戦いを続けた。フィアンバラの砂丘入口でのトラブルさえなければ、彼はもう一段表彰台を上ることもできたに違いない。そして総合3位のジニエリ・ド・ヴィリエは連続表彰台。南アのパイロットはスタート時から淡々と同じペースで走り、トヨタに再び表彰台を贈った。

セバスチャン・ロエブは今大会の目玉の人となった。4度のステージ優勝、驚くほどの大横転事故、度重なるメカ・トラブル、彼はラリーレイドで起こりうる全ての面で体験した。WRC9度のチャンピョンが最終2ステージでのチーム・オーダーを快く受け入れたかどうかわからないが、ロエブにとって初めてのダカール・ラリー、呑み込みが早いのでこの後はどういうことになるか・・・?

モト部門 :トビー・プライス(KTM)も呑み込みの早い部類の人。むしろ早すぎるくらいだ。昨年初めてのダカール・ラリーで総合3位。KTMチームのトップ・ライダーのオーストラリア人だ。彼はきっちり目標に向かって知能的に優勝をものにした。とりわけHONDAチームのプレッシャーに負けず、あまり後ろを振り返りもせずコースを走り続けた。KTMがマルク・コマに続くリーダーを探していたとしたら、彼ら、既に手にしたわけで、しかも安泰だ。ダカール・ラリーで優勝した初めてのオーストラリア人として記録に残ることになった29歳だ。

準優勝はスロヴァキア人、ステファン・ソヴィツコ(KTM)。2014年9位、2015年5位、そして今回2位と徐々に順位を上げてきた。今回はまさに目標どおりの順位を手にした。総合3位はチリのパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)。他の表彰台の二人のように段階的に順を上げてはこれなかったが、それにしても今回素晴らしい成績の年となった。

4位アルゼンチンのケヴィン・ベナビデス(Honda)、6位7位はフランス人アドリアン・ファン・ベヴェレン(Yamaha)、アントワーヌ・メオ(KTM)らも注目のライダーたち。ファン・ベヴェレンはトゥーケ・エンデューロのWチャンピョンで、今大会中日々順位を上げてきており、アンラッキーなトラブルに見舞われなければと悔やまれる。

一方のエンデューロ世界チャンピョン4度のメオは2日前、総合3位まで順位を上げていた。プライスの優勝の為に身を捧げて走り続けてきたが、ゴール手前の転倒事故でケガをしてしまう。今日激痛に耐えながら走り抜きトップから2時間40分遅れ、SS70位でゴールした。まさに執念の完走だ。

三橋淳はSS65位、総合56位。完走おめでとう!

女性ライダー、ライア・サンス、エンデューロ世界チャンピョン4度、目標はトップ10入り。2日前の転倒で順位が後退し、彼女の夢が果てた。鎖骨骨折にもかかわらず最長の931km、今日の631kmをロサリオまで走り抜いた。本日のSS14位、総合12位。

クワッド部門 ;パトロネッリ兄弟はカム・バックのチャンスを逃さなかった。弟マルコスは今大会3度目のステージ優勝、そして兄アレヒャンドロも第11ステージで1回ステージ優勝した。総合優勝は兄弟で5度目になる。しかしそれにしても、兄は仕事があると2年間出ていなかったというのに、強い!
SS3位は、南アのブライアン・バラガナット(Yamaha)、ダカール・ラリー参加2度目にして驚きの成績を出した。2017大会の成果が楽しみだ。

総合優勝の弟マルコス・パトロネッリと準優勝の兄アレヒャンドロ・パトロネッリはわずか4’23”の差.。総合3位のセルゲイ・カリヤキンとは1時間57分。

カミヨン部門: 今大会はジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が2度目の総合優勝。第9ステージから総合2位の競技者と既に大きなタイム差があったので、総合トップをキープするのはそれほど難しいことではなかった。準優勝は2015年大会優勝のアイラット・マルデーブ(Kamaz)、3位はフェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)。ヴィジャグラは2度オート部門参加した後、今回カミヨンでエントリーしたアルゼンチン人だ。

日野チーム菅原のジュニア照仁はSS16位、総合で13位、父義正SS40位、総合31位。もちろん、排気量10リットル未満クラスで今回も1,2を制した。

9500kmの厳しいレースの果て、最終的にロサリオまで走り抜いた競技者はモト84台、クワッド23台、オート67台、カミヨン44台。完走率は60%。

オート&モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 450km+SS(競技区間)481km=合計931km
カミヨン:リエゾン(移動区間) 599km+SS(競技区間)267km=合計866km

931kmもある今大会最長のステージで、WRCのようなコース。オート、モト&クワッドは481kmのSSで、ゴール後すぐにビバーク。しかしカミヨンはCP4(km267)でゴールした後、オンロードでビバークに向かう。低い山の中の両側に草木が生い茂る道幅の狭いコースでスピードは出しやすいが、どこに落とし穴があるかわからない。最終ゴールまであと1日となったこのSSで、些細なミスですべてを失うことの無いよう、細心の注意が必要だ。

朝8時、全競技者がコンボイでSSスタート地に向かってビバークを出た。今日のスタートにはモト85台、クワッド25台、オート69台、カミヨン46台。

SSスタート地までリエゾンを約450km近くも走らなければならないので、全体にスタート時間が遅い。モトの第1走者のスタートは9時20分、オート11時57分、カミヨン14時20分。ウェイ・ポイントが11か所もあり、モト部門トップ走者でもSSをゴールするのに6時間以上もかかった。

昨日SS優勝で総合3位に上昇したアントワーヌ・メオ(KTM)、そして、今度は2位のステファン・ソヴィツコ(KTM)と7分の差。4位でメオを追うキンタニーリャとは1分33秒差、この3人のバトルが今日はどのように展開していくのかが気になるところ。

ヒルボネンとロドリゲス初のステージ優勝、ペテランセルとプライス確勝に近づく

ビジャ・カルロス・パスのゴールに向かって、オート部門6回目の総合優勝まであと一歩となったペテランセルはリスクを冒さなかった。一方2台のトヨタと2台のMINIのクルマが厳しいステージ優勝を争う場となった。そして、ミッコ・ヒルボネン(MINI)が初めてのダカール・ラリーにして初めてのステージ優勝を果たした。モト部門でも同じシナリオ。総合トップのトビー・プライス(KTM)は制御モードの走りで、一人エルダー・ロドリゲス(Yamaha)が爆発した。初めてのSS優勝、総合でも4位に浮上。アントワーヌ・メオ(KTM)はゴール手前20kmで転倒し、トップから38分遅れで、総合順位3位落としてしまう。

オート部門 :今日は2台のトヨタと2台のMINIの何という激しい戦い!4台が狂ったようにスピードを上げて走った。Toyota Hilux向きのコースで、2人の南アパイロットはここぞとばかりスタートからかっ飛ばした。最初のCPをナセル・アルアティヤが制したのもつかの間、2台はすぐに追いつく。

全てのチェック・ポイントは4台が僅差で交代しながら走った。最後、プルターがステージ優勝に向かって飛び出した為か、ジニエリ・ド・ヴィリエは追い上げを緩めた。その時MINI2台も同時にダッシュしたが、ナセル・アルアティヤは一瞬遅れ、チームメイトのミッコ・ヒルボネンが大きな賭けを射止めた。WRCで取った杵柄、スウェーデン人は最後20kmでステージ優勝を手にした。

結果、SSの順位は4人が1分以内の僅差、1位のミッコ・ヒルボネン(MINI)と2位ナセル・アルアティヤ(MINI)9秒、3位リーロイ・プルター(Toyota)45秒、4位ジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)57秒の差。

総合順位はあまり動きがない。リーダー、ステファン・ペテランセルは気負いを上げることもなく“チーム内合同走行”の1日。こればかりは責められない。あと総合まだ386kmだというのに、これ以外の走りができようか?11分遅れでSS9位でSSを終えた。

ロサリオの最終ゴールまであと1日となった今夜、“Mrダカール”と彼のプジョーDKR2008は総合順位で2位のナセル・アルアティヤ(MINI)に40分、3位のジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)に1時間7分のアドバンテージを持った。総合優勝がほぼ確定した傍らで、明日ヒルボネンは4’27”の差にいるド・ヴィリエを追い上げ表彰台を狙うのだろうか?

モト部門 :リーダー、トビー・プライス(KTM)は平穏な日であるようにと願っていた。そしてその通りになった。SS最初からチームメイトのアントワーヌ・メオにエスコートされ、481kmのSSゴールまで絶対ミスしないよう走った。幸い、総合トップの位置は不動のものとなった。

エルダー・ロドリゲス(Yamaha)にとっては今日しかなかった。彼はなんとしてもステージ優勝がほしかったが、これまでそれがかなわなかった。そしてできるものならケヴィン・ベナビデス(Honda)との5分の差を縮めて、総合5位に上がりたかった。SS最初から最後までアタックして、彼はYamahaとの契約を完璧に守った。彼はHondaに6分余りの差をつけてSSを制した。アントワーヌ・メオ(KTM)の不運も手伝って、彼は総合4位に浮上、3位のライバル、ケヴィン・ベナビデス(Honda) とは2’59”の差だ。

ここまでノー・ミスのアントワーヌ・メオが今日は劇的な不運に見舞われる。今朝3番目のスタート、チーム・オーダーに従ってプライスの総合優勝の為にサポートに徹して走っていた。なんと、なんとゴールまで僅か20kmというところで転倒してしまう。手を怪我し、他のライダーと共にゴール、トップから38分もの遅れになってしまった。

総合順位ではトビー・プライス(KTM)が2位のステファン・ソヴィツコ(KTM)に37分の差。3位はパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)、53分の差。これだけのタイム差であれば論理的にはロサリオの最終ゴールの順位はほぼこのままだ。

もしトビー・プライス(KTM)が総合優勝ということになると、ダカール・ラリー史初めてのオーストラリア人の優勝ということになる。ダカール・ラリー史に新しい記録が書き込まれるまであと一歩。

三橋淳はSS65位、総合56位。完走まであと1日!

クワッド部門 :パトロネッリ兄弟の弟マルコスは最初からアタックにかかった。最初のウェイ・ポイント(km50)で既にライバル、ブライアン・バラガナット(Yamaha)に1分半もの差で通過。しかしその後スピードを緩め、CP3(km284)では地元アルゼンチンのゴンサレスに追い越される。その後パンクでストップしたゴンサレスを追い越し、最後マルコスが本日のステージを制した。

総合順位は、トップが弟マルコス・パトロネッリ。昨日は兄だったので今日は交代した。そして、安全第一の走りの兄アレヒャンドロ・パトロネッリは総合2位、4’23”の差.。3位のセルゲイ・カリヤキンとは1時間52分もの差がある。

カミヨン部門 :今日はモト、クワッド、オート部門のコースの半分、CP4(km267)のコース。SS最初からピーテル・フェルスルイス(MAN)がアタックにかかり、先を行くエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)を追い越し、最後までトップ・タイムで走り切った。
総合順位ではジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が2位のアイラット・マルデーブ(Kamaz)、3位のフェデリコ・ヴィジャグラ (IVECO)らに1時間以上の差をつけている。

今日のWRCのようなコースはエンジンの小さいチーム菅原にとってはやや不利なステージ。ジュニア照仁はSS20位、総合で13位、父義正もSS35位、総合28位と双方、総合順位が上昇した。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1300/videos-galery.html


ダカール・ラリー、第12ステージのビデオ映像「Car/Bike」の中で菅原義正さんが 紹介されています。3:45からの”Another Dakar”というコーナーです。

菅原義正さん映像:http://www.dailymotion.com/video/x3mof5p_stage-12-summary-car-bike-san-juan-villa-carlos-paz_sport

「74歳の菅原義正さ ん、2016大会出 場者の中で最高齢者。参戦33回目のダカール・ラリーだが、 モト、オート、カミヨンすべてのクラスで参戦した。
現在カミヨン部門で30位、 最終ゴールほ最高の幸せまであと1日だ。」

全車 :リエゾン(移動区間) 281km+SS(競技区間)431km=合計712km

昨日の悪夢のようなコースに比べたら、今日のコースは簡単に見えるだろう。しかし、今日もまだ砂丘ゾーンがあり、フェシュフェッシュはより多い。果敢な競技者はアタックにかかるが、SSは431kmもあり、相当気合を入れて注意して走る必要がある。今日のサン・ファンのゴールで、また新しいサプライズが用意されている。

この一帯に続く雨の影響は今日もレースをかき乱し、早朝コース・チェックをしていた競技オフィシャルが路面のコンディションが悪いとの理由でスタートが1時間遅れた。さらに午後になって、コース後半がキャンセルの発表。40℃を超える暑さの為、モト&クワッドはCP2(km243)までとなった。オート&カミヨンは予定通り全行程で競技が行われる。


不運のカルロス・サインツ(プジョー)、昨日スタート時は総合首座にいた。罠だらけのコースの中でクルマを壊し、30kmあまり牽引されてゴールに到着した。エンジンとギア・ボックスを繫ぐスペーサが壊れた。一縷の望みを託して6時間遅れのゴールだったが、メカニックたちが朝5時まだかかっても駄目だった。チームは車両の走行不可能と判断、サインツのリタイアを発表した。通算29回もステージ優勝を果たしながら、不運のモトWRCチャンピョンは2013から今年で4度目のリタイアとなった。

さらにHONDAの希望を一身に集めていたパウロ・ゴンサルヴェス、マラソン・ステージ1日目でラジエターに穴が開いてしまい、なんとか1人で修理した。昨日渾身の走りでトップと6分差SS4位でゴールし、総合タイムもトップと縮めていた。しかし夜中、競技オフィシャルから非情の発表、50分のペナルティを科されてしまったのだ。CP2での容認停止時間が15分しかないところ、ラジエター修理のために1時間以上ストップしていたことに対するペナルティだった。これで不運のゴンサルヴェスに総合優勝の夢は絶たれた。

ゴンサルヴェスの後退で、総合順位でアントワーヌ・メオ(KTM)が4位に浮上した。3位のパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)との差はわずか 1’06”、そして5位のケヴィン・ベナビデス(Honda)とは 1’06”の僅差だ。今日のレースは激しいタイム争いになりそうだ。最良のディフェンスはアタックすることだと言うが・・・。

アルアティヤとメオがステージ優勝、コントロールしたリーダー達

ナセル・アルアティヤが今大会2度目のステージ優勝を果たした。ゴール手前2kmで故障によるストップのセバスチャン・ロエブ(プジョー)とミッコ・ヒルボネン(MINI)を抑えてのステージ優勝だった。暫定で総合首位のペテランセルはトップから8分遅れでSS4位、総合の首位の座はキープした。

モト部門ではトビー・プライス(KTM)がステファン・ペテランセル同様、ライバルをコントロールして総合首位を守った。アントワーヌ・メオ(KTM)はスーパーなアタックでステージ優勝、総合順位は3位に浮上した。

ナセル・アルアティヤはロサリオまで絶対にあきらめないと決心している。総合首位に52分ものタイム差があるのでそれを覆すのはあまりに遠い。しかし常に表彰台にいる競技者として、最高の位置を求めて毎日毎日できる限りの手を尽くすことにしている。今のところそれがうまくいっている。

SS前半はロエブとペテランセルのプジョー2台に鉄腕を披露するのを譲った。しかし後半になって脱兎のごとくアタックにかかったアルアティヤは、まずロエブに追いつき、そしてペテランセルにもアドバンテージを取る。ロエブと競い合っていたペテランセルだが、終盤になって、クルマを最終ゴールまで持たせるなければならないことを意識し、おとなしく走る法を選んだと思われる。

一方ロエブはゴール手前2kmでカルダン・シャフトが壊れ、シリル・デプレに牽引されてSS4位ゴールした。なんと、その状態でもステファン・ペテランセルに1’09”の差をつけていたのだ!これは9度のWRCチャンピョンが、たーだダカール・ラリーに“ちょっと遊びに来た“のではないことを証明していよう。

総合順位では、ステファン・ペテランセル(プジョー)がナセル・アルアティヤ(MINI)に51分の差をつけて優勝。2位はジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)、1h17’24”の差。

ロサリオの最終ゴールまであと2日。しかし繰り返すDKR2008の悩みの種が再び始まったりしたら、安泰と思われている総合優勝が一瞬にして消え失せてしまうことだってありうる。

モト部門: トビー・プライス(KTM)が今日もレースをコントロールした。彼はSS後半でちょっと“ひとひねり”してライバルたちに差をつけた(次席とのタイム差があるので、ペナルティ覚悟でウェイ・ポイント8,9を外してゴールした)。彼は総合首位を守り抜き、2位にチームメイトのステファン・ソヴィツコ(KTM)が35分差で着いた。

パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)は、ゴールまであと60kmというところで大転倒。メディカル・カーで移送される事態となってしまった。

そして、1分15秒という僅差の3位パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)、4位アントワーヌ・メオ(KTM)の争い。前半キンタニーリャがリードしていたが、後半ブレーキ故障のためにスピードダウンしたおかげで、メオが最後SSを制した。彼は、2位のプライスに18秒差、3位キンタニーリャに2’38”の差でのステージ優勝。ダカール・ラリー初参加で5度のワールド・チャンピョンは今大会2度目のステージ優勝。

一方、総合2位で今朝スタートしたステファン・ソヴィツコ(KTM)はトップと12分以上も遅れてのゴール。その為、総合順位で首位のプライスと35分23秒の差になってしまう。

三橋淳はSS53位、総合53位と今日も順を上げた。

クワッド部門: 今日は南アのブライアン・バラガナット(Yamaha)をパトロネッリ兄弟が抑えた。ステージ優勝を果たしたのは兄アレヒャンドロ・パトロネッリ(59秒差)、3位が弟マルコス1’16”の差。総合順位はマルコス・パトロネッリ(Yamaha)が1位をキープ、兄アレヒャンドロが8秒’で後を追う。ブライアン・バラガナット(Yamaha)が3位に浮上、しかしトップと1時間40分以上の差。さて、わずか8秒差のパトロネッリ兄弟、どちらが最終で優勝を手にすることになるのか?

カミヨン部門 :昨日と全く違う顔ぶれがSS上位についた1日。ステージ優勝はエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)、2位はピーテル・フェルスルイス(MAN)、トン・ファン・ヘヌフテン(IVECO)。総合順位では、SS6位のジェラルド・デ・ローイ(IVECO)、2位はアイラット・マルデーブ(Kamaz) 1時間9分差、3位はフェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)1時間45分の差。

菅原照仁はSS13位、総合で14位、父義正もSS33位、総合31位。

カミヨン部門は第1走者ニコラエフがスタートしたのが12時15分前、SSゴールまで5時間半かかった。既定のSS終了時間20時14分までにゴールできたのはわずか36台という厳しいコースだった。もちろんオート部門も同様、21台が完走できなかった。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1200/videos-galery.html

オート :リエゾン(移動区間) 485km+SS(競技区間)278km=合計763km
カミヨン :リエゾン(移動区間) 237km+SS(競技区間)431km=合計668km
モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 283km+SS(競技区間)278km=合計561km

マラソン・ステージの後半となる今日のコースは、ベレンを離れてラ・リオハへ南下する。今日もほとんどが道なき道の広大な荒れ地が選手らを待ち受ける。まだ続く砂漠の中の難しいコース選び、かつてないほど長い砂丘セクション。ロザリオの最終ゴールまで完走するには、今日いかにマシンと人を保存できるかにかかってくる。

そして、夜間の雷雨でコースは濡れ、特にSS最初のコーナーのリオ(枯れ河)に水が溜まってしまった。競技オフィシャルが現場を探索し、予定より1時間遅れて8:00にスタートした。本日スタートするのはモト97台、クワッド32台、オート100台、カミヨン50台。

女性ライダーのNo.12レイア・サンス(KTM)は現在総合17位、そしてナニ・ローマのガールフレンド、No.93ローサ・ロメロ・フォント(KTM)も78位。一方クワッド部門ではNO.259カメリア・リポラティが21位、No.281ゴヴァドンガ・フェルナンデス・スアレスも総合27位と頑張っている。なんという強靭な女性たち!

今日のスタートはダカール・ラリー史初めてのスタート様式。オートのトップ10台とモトの10台、カミヨン5台が入り混じって出発になる。

まず3分毎にモト5台:トビー・プライス(KTM)、ケヴィン・ベナビデス (Honda)、ステファン・ソヴィツコ(KTM)、パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna) 、リッキー・ブラベック(Honda)がスタート。そして次は4輪の4台が3分毎に。カルロス・サインツ(プジョー)、エリック・ファンローン(MINI)、ミッコ・ヒルボネン(MINI)、ジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)。アントワーヌ・メオ(KTM)、ナセル・アルアティヤ(MINI)、その後モトが4台、そして、カミヨンのジェラルド・デ・ローイ(IVECO)、シリル・デプレ、ステファン・ペテランセル……という具合。

11時58分、SSの最後部30kmがキャンセルになり、競技はCP5(km244,7)までと変更になった。

デモンストレーションのペテランセル、コントロールのプライス

長いふかふかの砂丘コース、難しいナビ、多くの競技者がスタック、転倒を繰り返した悪魔のようなコースの今日、オート部門でステファン・ペテランセル(プジョー)が叩きのめした。これでもかというほど盛りだくさんの難関を超え、弾丸のように走り抜いた。ライバルたちがトラブルに見舞われた、大きくアドバンテージをとって総合首位に返り咲いた。残りロサリオの最終ゴールまで3日となった今夜、彼の総合優勝を阻止することは相当難しそうだ。

そして、疾風のようなペテランセルに後に、チームメイトのデプレがSS2位のゴール。ライバル、ナセル・アルアティヤ(MINI)、ミッコ・ヒルボネン(MINI)、カルロス・サインツ(プジョー)、セバスチャン・ロエブ(プジョー)らは砂丘の餌食となってメカ・トラブルやスタックに苦しんだ。

モト部門ではステファン・ソヴィツコ(KTM)がダカール・ラリーで初めてのステージ優勝。総合順位ではトビー・プライス(KTM)が1位をキープ、2位のソヴィツコに23分以上の差をつける。

本日のSSが始まるなりMINIチームに災難。総合8位にいたエリック・ファンローン(MINI)がSSスタートからkm5地点で横転。ほぼ同時にナセル・アルアティヤもkm5,85で横転して逆さにひっくり返った。ファンローンは車両調整後再スタートしたが、アルアティヤは車を起こしてくれるチームメイトを待って大きくタイム・ロスした。

ライバルがトラブっている間、ステファン・ペテランセルはチームメイトのカルロス・サインツといっしょにひた走る。第1ウェイ・ポイント(km30)でパンクしながらもサインツはアドバンテージを取っていたかに見えた。しかしすぐに、今日が”ムッシュー・ダカール“の日になることを思い知らされる。ボルテージ満杯、狂ったように走るペテランセルはサインツにCP2 (Km111) で 5’52”、 CP3 (Km174)では20分もの差をつけて通過した。

そして、サインツに苦難が降りかかる。CP2の先、Km213でリオ(枯れ河)の中の大きな岩にぶつかり、エンジンとギア・ボックスの連結部が故障してしまう。アシスタンス・カミヨンを待って牽引されて、トップから6時間遅れの61位でゴールすることになる。
一方ペテランセルはライバルに邪魔されることもなくゴールに飛び込み、通算12回目のステージ優勝を果たす。チームメイトのシリル・デプレもゴール、“先輩にたった5’40”の差“ととても嬉しそうだ。

通常トップ集団のタイム差は僅差だというのに、今日のSS3位以降タイム差が大きい:SS3位ウラジミール・ワシリエフ(TOYOTA)はトップとの差12’56”、4位ナニ・ローマ(MINI)は14’33、セバスチャン・ロエブ(プジョー)は17’40”。
ロエブは、競技中パンク2回、横転1回、スタック1回、道に迷ったのは1回・・・だったというのに、なんというパフォーマンス!少なくともトップ10に入っている。

総合順位では、ペテランセルが首位のロイヤル・シートに落ち着いた。ライバルのナセル・アルアティヤ(MINI)とジニエリ・ド・ヴィリエ(TOYOTA)に1時間以上もの差があるのだから、何か起こらない限りほぼ安泰。4位はミッコ・ヒルボネン(MINI)、1時間23分の差。シリル・デプレ(プジョー)が1時間50分の差で5位に浮上してきたが、表彰台に上るにはあと37’36、タイムを縮める必要がある。

モト部門:スロヴァキア人ステファン・ソヴィツコ(KTM)が初めてのステージ優勝。トップ集団で無傷だった。総合トップのトビー・プライス(KTM)はSS3位でゴール、わずか 5’47”の差だった。プライスはソヴィツコに23’12”の差で総合首位を守る。

今年で7度目の参戦、ソヴィツコはこの2016ダカール・ラリーで最も難しいステージを制したことになる。4時間あまりの競技の果てに、ケヴィン・ベナビデス (Honda) 2’54”、トビー・プライス(KTM)に5’47”の差でSS1位の座についた。

ベナビデスは良い仕事をして、アントワーヌ・メオ(KTM)に4’49”も差をつけた。一方、昨日大きなトラブルでエンジンを交換したパウロ・ゴンサルヴェスは、集中して総合3位の座を守るべくゴールまで執念の走りを見せた。3位でゴールしたがエンジン交換に対するペナルティ約40分が科されて、総合8位に後退してしまった。

総合順位では、1位トビー・プライスKTM)、2位ステファン・ソヴィツコ(KTM)23’12”、3位パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna) 42’49”、4位アントワーヌ・メオ(KTM)44’04”、5位ケヴィン・ベナビデス(Honda) 45’01”の順。

三橋淳はSS58位、総合56位と順を上げた。

クワッド部門 : 今日は南アのブライアン・バラガナット(Yamaha)がパトロネッリ兄弟を抑えて、ステージ優勝を果たした。しかし総合順位ではマルコス・パトロネッリ(Yamaha)が1位をキープ、兄アレヒャンドロがわずか1分32秒’で後を追う。ゴンサレス・フェリオリとは1時間半以上の差。

カミヨン部門:ジェラルド・デ・ローイが再びステージ優勝。総合順位でもジェラルド・デ・ローイがトップ、2位はロシアのエドワルド・ニコラエフ(Kamaz) 27’12”、アルゼンチン人フェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)41’24’の差。

菅原照仁はSS12位、総合で14位、父義正もSS26位、総合30位と上昇した。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1100/videos-galery.html

オート&カミヨン :リエゾン(移動区間) 111km+SS(競技区間)285km=合計396km
モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 151km+SS(競技区間)285km=合計436km

再びマラソン・ステージの1日目。夜ビバークでメカニックのサポートが受けられないので、カラダとクルマをいたわりつつ、2日間のコース配分をしなければならない。今日SSの距離はいつもより短く見えるが、ほとんどが道なき道のオフロード・コースで、リオ(枯れ河)や草が多いフラット砂丘。こうしたオフロードの中では、ロード・ブックに指示されるコースが分かりにくく、正しいコース選びが非常に難しい。超難度の高いナビゲーションに加えて高温という厳しいコンデションとなる。つまり、今夜の順位はそうとう入れ替わりがある可能性があるということだ。厳しい暑さの中、正しいナビゲーションコースを選ぶ競技者が今日の勝利のカギを握る。

モト&クワッドはSS終了の後リエゾンで今日のフィアンバラのビバークに向かう。オート&カミヨンは朝スタートしたビバークに戻るのに対し、モト&クワッドは競技者だけの明日のスタート地点にやや近い特設会場で1夜を過ごす。

天気予報で発表になっている平均気温は36-38℃、砂丘の中はもっと暑くなる。

予定通り、モト7時、クワッド8時、オート8時56、カミヨン9時45分にスタートした。

そして、11時24分、フィアンバラの砂丘の異常高温などの問題で、競技はCP2(km178)以降がキャンセルということになった。さらに午後になってモト部門はCP1(km82)で競技が中止になった。

猛暑より強かったサインツとプライス

カルロス・サインツは巡ってきた2度目のステージ優勝チャンスを見逃しはしなかった。僅か12秒の差で優勝を勝ち取った。猛暑の理由でコースがCP2までと縮小され、わずか178kmとなった本日のコース、競技者同士の差は僅かで2位、エリック・ファンローン(MINI)、3位ミッコ・ヒルボネン (MINI)、それぞれ10秒、12秒の差だ。カルロス・サインツはステファン・ペテランセルの遅れに乗じて総合でトップに躍り出た。総合タイム、二人の差は 7’03”。

モト部門ではトビー・プライス (KTM)が再びステージを制したが、短縮されたコースで、彼の本来の実力が示すことができなかった。総合2位にいたパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)はトラブルに見舞われ、後半キャンセルによるタイム修正で思った以上の順位の後退はなく、この先への望みが繋がれた。

オート部門 : 昨夜MINIチームが、プジョーに対し、ステファン・ペテランセルが承認されていない場所km180で給油したとの理由でオフィシャルに調査を求めた。オフィシャルはこの給油が事実かどうか調査にかかった。プジョー・チーム監督ブリュノー・ファミンは「この給油は道路上を走っているときに行われたことなので合法だ。なぜ、クレームが提出されたのか理解できない」とコメント。事情によっては、ステファン・ペテランセルは6時間のペナルティ、あるいは失格の判定を受ける可能性がある。

2週目に入ってプジョー・チームにプレッシャーがかかっているのは確かだ。短い今日のSSで、今日もプジョーがステージを制した。最初のウェイ・ポイント(km56)をシリル・デプレが最初に通過、タイム上では4台のMINIとトヨタの次。それはDKR2008のトップグループがそれぞれ問題を抱えていたことを意味する。CP1(km82)では、さらに事態は悪化。セバスチャン・ロエブやステファン・ペテランセルがシリル・デプレに1分もの差をつけられて通過したのだ。

ナセル・アルアティヤはこうしたプジョー・チームの不安をよそに、CP1をトップ・タイムで通過する。しかし砂丘ゾーンの後半はあまり芳しいとは言えない。少しもたもたしているうちにCP2にサインツがトップ・タイムで通過し、彼はサインツより2分あまの遅れての通過となる。本来この後リカバリーするところだが、今日はこの後のコースがキャンセルになってしまったのだ。

昨日異常にエンジンがヒートしたペテランセルは今日は慎重に走っていた。そのことも、サインツに短縮コースになったことが有利に動いた。ペテランセルに7分ものタイム差をつけることができたのだ。サインツにとって今大会2度目、通算29度目のステージ優勝だ。総合タイムでは、2位にペテランセル7’03”、3位アルアティヤ、トップと14’28”の差。

先週脚光を浴びた9度のWRCチャンピョン、セバスチャン・ロエブ(プジョー)は昨日の横転事故で大きく後退したが、今日無事スタートできた。砂丘の中で何度もスタックを繰り返したが、なんとかカルロス・サインツから1時間13分遅れでCP2到着できた。

明日のスタートはダカール・ラリー初のスタート様式で、オートのトップ10台とモトの10台が同時出発になる。明日の順位がどういうことになるか・・・?

モト部門:こちらもCP2(km178)、CP1(km82)で競技が中断されたことで大きく揺れ動いた1日となった。猛暑で消耗しきった競技者があまりに多くなったとことから、早々のレース切り上げとなった。ただ一人トビー・プライス(KTM)は、スタートから快調にコースをオープン、皆を苦しめている猛暑などどこ吹く風だ。当然CP1もトップ・タイムで通過、2位のパウロ・ゴンサルヴェス(Honda)に3分もの差をつけた。

パウロ・ゴンサルヴェス は大きなトラブルに見舞われる。CP2直前ラジエターに木が刺さって穴が開いてしまったのだ。CP2にようやく到着したものの、牽引されてビバークに移動した。

ステージ優勝のトビー・プライス(KTM)は、タイム修正後、総合タイムが2位ステファン・ソヴィツコ(KTM)28’59”差、パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)34’01”と大きくアドバンテージを得ることになった。ゴンサルヴェスはタイム修正でリタイアを免れ、総合順位も表彰台の照準の中に残ったが、明日のスタートまでに競技者だけでエンジンの交換ができないと、再スタートができない。

昨日インタビューに記載しておいたミカエル・メッジ(Honda)、昨日SSのスタート直後電気系トラブルに見舞われ時速20km/hで走ることになってしまった。13時間半もの時間をかけて走り抜き、夜中ようやくビバークに到着した。パウロ・ゴンサルヴェスのウォーター・ポーター、今朝元気に出発し、今日のレースも無事走りぬいた。総合で73位につける。

クワッド部門はパトロネッリ兄弟を抑えて、同国人パブロ・コペッティがステージ優勝。総合では相変わらずパトロネッリ兄弟の弟マルコスが、兄アレヒャンドロ0’44”の差で首位。3位アレクシス・エルナンデスとは45分近いタイムが開いている。

カミヨン部門:今日もジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が余裕の走り。SS2位の同国人、ファン・ヘルフテン(IVECO)と3位アンドレイ・カルギノフ(Kamaz)にそれぞれ、3’59” 16’44”の差。総合タイムでは、ジェラルド・デ・ローイが首位をキープ、後続のエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)に27分、フェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)に41分ものリードをとった。

日野チームスガワラのジュニア照仁はなんとSS9位でトップ10入り、総合でも15位に上がり、父義正はSS30位、総合35位に順位を上げた。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1000/videos-galery.html

オート:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)393km=合計766km
カミヨン:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)392km=合計765km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)394km=合計766km

昨日、サルタで休息日を過ごしたダカール・ラリー一行。残った車両は全部で289台:モト112台、クワッド36台、オート90台、カミヨン51台。スタート時の83%だ。プジョー・チームはみんなの予想に反して、センセーショナルな結果を示した。特に初参加のセバスチャン・ロエブ、中間地点でチームメイトのステファン・ペテランセル、カルロス・サインツを差し置いて総合トップについている。

モト部門では、経験豊かなパウロ・ゴンサルヴェス(Honda)が若いトビー・プライス(KTM)、ケヴィン・ベナビデス(Honda)、アントワーヌ・メオ(KTEM)らのアタックを巧みにかわし総合首位を抑えた。

第8ステージ、第2週目最初のステージ、今日もニュートラルゾーン(競技にはカウントされない移動部)を挟み2つのパートに分かれるコース。先週は多くが3000mを超える山岳部だったが、今週はナビゲーションと砂丘のステージがメインとなる。

SSパート1は公道を走るコースで、凹凸、カーブ等それなりの注意個所はあるが比較的ナビゲーションの難度は低め、後半SSパート2は、100%オフロード、砂丘あり、多くのリオ(枯れ河)が走り、ナビゲーションが難しい。

6時にビバークを出発、180kmあまりのリエゾンを移動してSSパート1に向かったモトの一団、国立公園の通過時に地元当局が一部のライダーをストップしたため到着が遅れ、スタートが40分ほど遅れた。オートも8:59スタート予定が10:02のスタート。そして、カミヨンの第1走者がスタートしたのは12:53。

全てをパウロ・ゴンサルヴェスに託すHONDA・JAPAN

プロローグを含め、第1週目のステージでHONDAは3度のステージ優勝、良い皮切りだった。ホアン・バレダ が2度のステージ優勝をペナルティの為にかき消されたとしてもまだ望みは大きかった。この2016大会、日本のHONDAの狙いは表彰台の最上階、みんな知っていた事だ。バレダの目を見張るようなハンドルさばきで、CRF450は素晴らしいポテンシャルを披露していた。

不運にもバレダはマラソン・ステージ2日目(第6ステージ)でメカ・トラブルに見舞われる。ツイていなかった。バレダ のリタイアで、目立たないが最も競争力のある男パウロ・ゴンサルヴェス が総合1位に上昇し、“赤い”チームのすべての希望が注がれることになる。難度の高いナビゲーションがふんだんに盛り込まれた難しいコースと報じられているレース後半で、HONDA・JAPANは残存するライダーと総力を挙げて、目標にフォーカスするはずだ。リッキー・ブラベック(12位、トップから38’07) やミカエル・メッジ(16位、トップから50’26)らもガード役としてチームの優勝をサポートすることになるだろう。そして、南アHONDAの驚くべきポジションのケヴィン・ベナビデス(総合5位、トップから21’01)も並行してHONDAの実力を世に知らしめている。サルタ→ベレンのステージの夜、彼の順位次第で彼のHONDAの役割が変わることになるかもしれない。

飛び跳ねるアルアティヤとロエブ

ナセル・アルアティヤがついに、プジョー・チームの覇権に終止符を打った。今日の並外れたステージで、MINIのオフィシャル・パイロット、アルアティヤは、2台のプジョー・チーム、カルロス・サインツとステファン・ペテランセルをそれぞれ12秒、31秒の差で抑えた。一方、セバスチャン・ロエブは砂丘の中でスタック、その上SSゴール直前大きなミスを犯し、順位後方へと沈んだ。

モト部門ではトビー・プライス (KTM)が再び反撃、ステージ優勝を果たし、総合でもトップに躍り出た。

何というレース!何という1日!この第8ステージは、ダカール・ラリー史、最も劇的な日のひとつに数えられることになるのではなかろうか。ナセル・アルアティヤがこの第38回大会でプジョー・チームの覇権に終止符を打った。393kmのコースを全力を尽くして、彼はステージを制したのだ。CP1で既に彼はサインツに1’30”、ペテランセルに6分もの差で通過しているのだ。信じられないすごいスピード!

DAR2008のプジョー・チームは、SSパート2で果敢に追い上げる。それでも12秒、31秒の差でMINIにステージ優勝を持ち去られた。そしてSS最後で、ロエブは運命的な事故に遭う。SSパート2の初番、砂丘の中でスタック、その失ったタイムを取り戻そうとその後猛アタックにかかる。ゴール手前11kmでクルマが亀裂に足をとられた、数回の横転の後にひっくり返って止まった。二人は無事だったが、クルマが大きく破損、順位が大きく後退した。

調子を取り戻したシリル・デプレ(プジョー)はSS4位。そして、MINIのミッコ・ヒルボネンやナニ・ローマらも5,6位といつもの位置に戻ってきた。総合順位はペテランセルが2’09”差で首位、2位はチームメイトのサインツ、3位アルアティヤ14’43”の差だ。キャメル・グラス(雑草に覆われた平原)の中でエンジンがヒートし、ペテランセルはちょっと心配と打ち明けた。ペテランセルに不安だなんて、ただのデマか攪乱か?その答えが出るのは明日。

モト部門:完璧な走りのトビー・プライス(KTM)、手にすべきものを手にした1日だった。マルク・コマがこれまで守り抜いたKTM総合優勝を、今回ロサリオの最終ゴールで引き続きKTMの手にすべく、彼の実力を示した。

今朝は2番目の出発のプライス、CP1でゴンサルヴェス(Honda)に53秒の差で通過。その後、最初の砂丘ゾーンでも先輩を抑える。パーフェクトなナビゲーションのプライスは、ライバルのトラブルでも有利になった。ゴンサルヴェスが転倒してGPS機器を壊したのだ。このナビゲーション・ステージで、GPSが壊れるとは最悪! そのおかげで、プライスは総合で宿命のライバル、ゴンサルヴェスに2’05”の差でトップに立った。総合3位はステファン・ソヴィツコ(KTM)、トップとの差14’14”。

一方、アントワーヌ・メオ(KTM)は砂丘の中で迷い、トップから11分遅れのゴールで8位のゴール。総合では6位と思ったほど後退していない。

三橋淳はSS67位で無事ゴール、総合63位。

クワッド部門:パトロネッリ兄弟が今日のステージをトラブル無しで制した。弟マルコスが兄アレヒャンドロに5分差でステージ優勝を果たした。SS3位は暫定で南アのブライアン・バラガナットが入ったが、15分のペナルティを受け、ペルーのアレクシス・エルナンデス(Yamaha)に修正された。

総合では、1位マルコス・パトロネッリ、2位2’06”差でアレヒャンドロ・パトロネッリ、3位アレクシス・エルナンデス、30分以上の差がある。

スタート直後、SSkm18でNo.283カルロス・アレヒャンドロ・ヴェルサが転倒、足首骨折でリタイアした。

カミヨン部門:ジェラルド・デ・ローイ(IVECO)がロシアのカマズチームを抑えて再びステージを制した。2位はエドワルド・ニコラエフ、7’58”の差 、 ピヨートル・ベラシウス、 13’29”の差。

日野チームスガワラはジュニア照仁がSS17位でゴール、総合16位と順位を上げた。父義正はSS38位、総合39位と着実にコマを進めている。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-900/videos-galery.html

全車:リエゾン(移動区間) 481km+SS(競技区間)336km=合計817km

今日1日走れば休息日。しかし、今日もまた817kmもクリアしなければならない。リオ(枯河)が何本も走る道なき道の中、SSは2部に構成される。SSパート1はボリビアの230km、後半SSパート2はアルゼンチン側106km、そしてその間116kmはニュートラル・ゾーン、移動だけで競技にはカウントされない部分で、国境がこの中にある。この長距離の一日、今日もビバーク到着は夜遅くなりそうだ。

そして睡眠不足の競技者らだが、今朝も早い。5時半にビバークをモトのライダーらは出発し、SSスタート地へ移動した。SSを最初にスタートするのはモトのトビー・プライス、7:00 107台。クワッド36台。オート部門は9:47、ペテランセルが第1走者。

正午になって、激しい雷と共に雪まじりの雨も強くなって、SS350km辺りのリオ(枯河)で鉄砲水があふれた為、モト&クワッドのSSパート2が中止になった。SSパート1を終了し、ニュートラルゾーン(SSパート1とSSパート2の間の移動区間)に入った選手は、その後コンボイで他の道路を使って次のビバークに移動することになった。オート&カミヨンはそのまま続行された。

昨日17時頃、No.311 テン・ブリンケの車が途中火を噴き、あっという間に燃え尽きてしまった。コ・パイロットのトム・コンソルと共に無事、プレスカーに乗ってビバークに合流した。昨日スタートする時には総合8位と、無念のリタイアだ。

サインツ今大会の初ステージ優勝、メオ呑み込みが早い

順番は巡る、まさに今日がそれ。カルロス・サインツが本日、第38回ダカール・ラリー第9ステージで優勝を果たした。DKR2008で、カルロス・サインツはプジョーチームの6連続優勝に貢献した。プロローグ以外は全ステージでプジョー車が優勝している。総合ではステファン・ペテランセルに代わってセバスチャン・ロエブがトップについた。モト部門ではアントワーヌ・メオが初めてのステージ優勝。

オート部門 :一見、今38回大会はプジョーの優勝に沸いている感がある。しかし、その見かけ以上に今日のレースは同チームにとって豪奢な1日だったようだ。まずはセバスチャン・ロエブがCP1をトップ通過、しかし次のSSのパート2に入るなり車がストップしてしまった。その間に、今度はカルロス・サインツがすかさず飛び出す。ロエブとはかつてのWRCのチームメイト、同じWRCチャンピョンシップ優勝者同士だ。サインツはガンガン攻め続け、ナビゲーションのミスも無くゴールに突っ込んだ。そして、38秒差で後続のステファン・ペテランセルを制し、ステージ優勝を果たした。

ただ、プジョー軍団には今日もまた新しい小さな気がかりができた。昨日のアクセルのトラブルに続き、ロエブが新たなトラブルに見舞われたのだ。ロエブによれは、今回はターボの故障だという。第2ステージのサインツ、第5ステージのデプレなど繰り返し続くトラブルは、プジョーチーム監督ブリュノー・ファマンの悩みの種になりつつある。

当然、明日の休息日に細部に至るまでDRK2008の検査と調整が行われる。今日から月曜日までの休息日の間、セバスチャン・ロエブはレース半ばの首座のポジションを心行くまで堪能できることになる。かつて無いすばらしいパフォーマンスだ。月曜日から次のレースが始まり、後半の週はナビゲーションと大部分オフロードという本格的なラリー・レイドのコースになるそうだ。

総合順位はセバスチャン・ロエブが1位、2位はステファン・ペテランセル2’22”の差、3位カルロス・サインツ、トップとの差4’50”、4位はナセル・アルアティヤ(MINI)17’36”の差。

モト部門:エンデューロ世界チャンピョン4度の優勝者アントワーヌ・メオ(KTM)が、初めてのダカール・ラリー参加で初めてのステージ優勝を果たした。メオは、新しい世界で彼の適応の柔軟性を証明し、見事に勝利を手にした。

一方、トビー・プライスのチームメイト、オーストリア人マチアス・ウォークナー (KTM)は、朝7時頃、SSスタートから15km程のところで転倒した。スタートした時には総合3位、3番目のスタートだっただけに悔やまれる。そして、Hondaのパウロ・ゴンサルヴェスが彼の為にストップ、緊急のバリーズ(本部に知らせる警報)を引き、レスキューとの連絡の為10分以上留まった。マチアスは鎖骨を骨折したようだ。メディカル・ヘリでウユニの病院に輸送され、リタイアとなった。

ケガ人補助によるタイム修正が行われ、パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)は1’56”で今日のSSの3位になった。SS 2位はケヴィン・ベナビデス(Honda) 1’53”。

そして総合順位はトップがパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)、2位トビー・プライス(KTM) トップと3’12”の差、3位ステファン・ソヴィツコ(KTM)9’24”の差。一時、ゴンサルヴェスの順位が1時間40分遅れとの発表が飛び交ったが、修正後の結果で関係者は安堵の胸をなでおろした。

日本の三橋淳はSS65位、トップとわずか42分9秒’でのゴール。総合65位。

昨夜ビバークに着いたものの、今朝スタートできなかったライダーは4名。その中にHondaのホアン・バレダとハビエル・ピゾリトがある。

クワッド部門:モト部門同様、豪雨の為コースがSSパート1だけに縮小された。ステージ優勝したのはアルゼンチン人ルカス・ボネット。総合順位は昨日と同じ、1,2位がアレヒャンドロ・パトロネッリ兄、と弟マルコス3’36”、3位はセルゲイ・カリヤキン7’51”差。 

カミヨン部門 :2013年大会の総合優勝者エドワルド・ニコラエフ(Kamaz)が終日すさまじいスピードで全部のCP1をトップ・タイムで通過、今大会2度目のステージ優勝を果たした。通算9度目のステージ優勝。チームメイトのアイラット・マルデーブがSS2位、オランダ人フェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)がSS3位。

総合順位では、ピーテル・フェルスルイス(MAN)が1位に上昇、2位ジェラルド・デ・ローイ(MAN)5’31”差、 3位アイラット・マルデーブ(Kamaz) 10’48”差。

日野チームスガワラはジュニア照仁がSS18位でゴール、総合でも18位。父義正はチェックポイント7(ゴール手前約60km)を現地時間17時15分に通過、その後CP8の間でストップしている模様(現地時間1月9日23時現在)。

オート    :リエゾン(移動区間) 180km+SS(競技区間)542km=合計722km
カミヨン   :リエゾン(移動区間) 304km+SS(競技区間)295km=合計599km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 180km+SS(競技区間)542km=合計722km

やっとマラソン・ステージが終わったとほっとしたのもつかの間、今日のSSは今大会最長のコース。ウユニ塩湖周辺で、終日標高が高い。路面は昨日までとまた違い、土と砂が交互に入り混じる。
ビバークから4km地点のSSのスタートでウユニ塩湖を周回するコースだが、カミヨン部門だけは反対の山の中を回る、295kmのコース。今日も天気が悪くて、大量の雨が予想されている。

昨夜ゴールしていなかった、唯一残っていた女性ライダー、アニー・シール(スウェーデン)が朝6時になってもまだ到着していない。No.135ニコラ・モニン(KTM)は、本人の強い意志にかかわらず、高地病で呼吸器系の問題があるとのことでスタートを取りやめた。

モト第1走者は6:00にスタート、オート部門は9:00第1走者のセバスチャン・ロエブが出発した。

夜中に順位の修正があり、アントワーヌ・メオ(KTM)が5分のペナルティが科された。

ロエブ苦戦、ペテはミス無し。プライス、トリプル優勝

トップ争いがプジョーチームの内輪バトルの様相を呈し始めた。昨日はセバスチャン・ロエブがステージ優勝、そして今日はステファン・ペテランセルが優勝だ。今日のステファン・ペテランセルは良い仕事をした。ロエブがパンクや電気系故障で戸惑っている間にタイムを稼いで、本日のステージを制し、総合でもトップにのし上がった。ロエブとの差、僅か27秒。

モト部門ではトビー・プライス(KTM)が今大会3度目のステージ優勝。パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)がかろうじて総合トップをキープするも、プライスにわずか35秒の差。今日は多くのリタイアに印象付けられる日となった

オート部門 :セバスチャン・ロエブの戦歴をみれば彼がレースを凌駕することは不自然ではないはずだが、ステファン・ペテランセルにとって、”新米“の後ろを走るのは気分のいいものではないことは想像に難くない。今日は”Mr.ダカール“がレースを制し、彼のイメージをしっかり際立たせた。今日のスピードの出せないパンクしやすいコースを、ペテランセルは彼の経験とセンスを生かして、今大会2度目のステージ優勝をきっちり果たした。

カルロス・サインツもSS2位で経験を証明した。しかし、昨日はシリル・デプレの故障、今日はロエブのアクセルのトラブルとプジョーチームにとっては穏やかではない。今のところ大きなダメージにならずに済んだが、これらのトラブルは予想より早く起き、今後繰り返されることもありうる。少なくとも、彼らを追い上げ引き立て役に甘んじているナセル・アルアティヤはその一抹の期待があるのではなからろうか。

総合順位では劇的なタイム差だ。トップのペテランセルとロエブは27秒差、続くサインツは5’55”、さらに4位のアルアティヤはà 15’19”。

モト部門:トビー・プライス(KTM)が一昨日のマラソン・ステージ1日目でステージ優勝を果たし、再び今日優勝した。CP3で2分もの差をつけられながら、ゴールでパウロ・ゴンサルヴェス(Honda) に1’12”の差で勝った。パウロは順番通り1番目にスタートしながら、このライバルに手を打つことができなかった。しかしそれでも35秒差で総合トップをキープしている。

マチアス・ウォークナー (KTM)も目立たぬように効果的な走りで総合3位に上昇した。

ホアン・バレダ (Honda)はメカトラブルで度々のストップ、5時間以上ものタイム・ロスにより大きく後退することとなった。

日本の三橋淳は総合65位。

そして何より今日はたいへん多くのリタイアが出たのが印象的なステージでもあった。優勝候補の一人ルーベン・ファリア (Husqvana)は手首を骨折でリタイア。スタート後30km地点で転倒したイタリア人ライダーNo.138, アレッサンドロ・バルベロ(Husqvana)は頭を強く打ちドクター・ストップがかかった。

フランス人No100エリック・クロックロワ(KTM)はCP3の先で転倒、腕の上部損傷でメディカル・ヘリで移送された。

昨日けがをしたスロヴェニア人No.16イワン・ジェイク(KTM)は、膝の痛みの為、一旦スタートしたものの再びビバークに引き返してリタイアした。

クワッド部門:パトロネッリ兄弟が今年2人そろってダカール・ラリーに戻ってきたが、その二人が見事なツィン・ゴールを果たした。マルコス弟はアレヒャンドロ兄に6’39”の差でSSをゴール、総合でも2位に浮上した。二人は総合で1,2位、しかしこちらは兄がトップを抑える。総合3位はロシア人、セルゲイ・カリヤキン、トップと5 ‘39”の差。

一昨日まで総合トップにいたカザレ、なんとか今朝スタートでき、CP3ではトップ・タイムで通過するなどパワフルに走ったが、km308で転倒、鎖骨を骨折しメディカル・ヘリで救助されリタイアとなった。また、一昨日3位まで浮上していたエンリケ・ウンベルト・オクムラも転倒でリタイアした。

カミヨン部門: 再びオランダ人が1,2,3をとった1日。ハンス・スティシーがジェラルド・デ・ローイ(MAN)に僅か7秒差でステージ優勝、そして、3位はピーテル・フェルスルイス(MAN)、1’15”差。総合では本日9位でゴールしたフェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)の後退のおかげでハンス・スティシーがトップに浮上した。しかし総合2位のフェルスルイス(MAN)とはわずか59秒の差だ。そして、総合3位はヴィジャグラ、4’05の差。

日野チームスガワラはJr.照仁が総合17位、父義正が総合38位と固く順位を維持している。

全車:リエゾン(移動区間)314km+SS(競技区間)328km=合計642km

今日のコースは2日間にわたるマラソン・ステージの後半、競技者らはボリビアに入る。ダカール・ラリー史始まって以来の高地4,600mを超える山越え、そして全体に高地の中のコースは競技者だけでなく車も苦しめる。それに加え、昨日に続き長いコースは、総走行距離642km、そのうちSSは328km。さらには難度の高いナビゲーションと競技者にとっての苦難のコースになった。

落雷の為、13 :45 オート&カミヨンのコースが一部ゴール手前でキャンセル、km321までとなった。

メカニックのサポートができない昨夜のビバークでは、競技者が自分のマシーン、もしくはチームメイトのマシーンを修理することができる。傷んだマシーンの修理に夜を越したものもいれば、スタートまでに修理できずにやむなくリタイアした競技者もいる。今朝スタートできなかった競技者はモト部門ではNo.98ダミアン・ウドリー(チリ)、クワッド部門のNo296ニコラ・ロブレド(コロンビア)、オート部門No.328 ロベルト・ナルヴィル(アルゼンチン)、No.354トム・コロネル・・等。

そして、マラソン・ステージの後半の今日のレースでも多くのリタイアがでた。モト部門ではNo.063ホセ・コルネヨ(チリ)、No.38エステバン・アリエル(アルゼンチン)、No.135 ニコラス・モニン(チェコ)、No.119フェデリコ・ギッティ(イタリア)、ホアン・アゼヴェド(ブラジル)。クワッドではNo.292マルセロ・メデリオス(ブラジル)、No.270セバスチャン・スーディ(フランス)、No.250ラファウ・サノク(ポーランド)、No.255モハメッド・アブーイッサ(カタール)。オート部門ではNo.309カルロス・スーザ(ポルトガル)。

6時にビバークを出発し、リエゾンでスタート地まで移動したモトの競技者、第1走者ゴンサルベスが8時にスタートした。オート部門のスタートは10時38分。

ロエブ 3度目のV, プジョー再び1,2,3フィニッシュ

オート部門 : セバスチャン・ロエブはまさにダカール・ラリーの強豪をナーバスにさせることになりそうだ。昨日までのコースはどちらかといえばWRCタイプ、彼のチャンピョン歴からしてこの成績は当然といえるかもしれない。しかし、今日のステージで、彼とダニエル・エレーナはナビゲーションでも十分チカラのあるところを証明した。今朝は、大先輩ステファン・ペテランセルとカルロス・サインツの後に出発。容赦なく攻める2台のデュオの傍らで、ロエブは自分のペースを維持する必要があった。

事実、終日彼は自分のペースを守り通した。先を行くサインツとペテランセルは激しいバトルの果て、サインツが僅か 2’38”差でペテランセルよりゴールを通過した。ロエブが3番目のゴール、しかしタイムでサインツが負けた。わずか2秒差でロエブのステージ優勝となった。

1,2,3のプジョーの後にはナセル・アルアティヤ(MINI)がついた。渾身のアタックだったが、改良されたプジョーDKR2008のあまりの強さに兜を脱ぐほかない。ライオンの異名をとるプジョーチーム、この大会最初のマラソンでクルマの実力を示したが、シリル・デプレだけが例外となった。デプレは電気系統のトラブルの餌食となり、終盤スピードが極端に低下、そしてチームメイトに牽引され、ロエブに1h15も遅れてのゴールとなった。

総合暫定順位で、ロエブはペテランセルに7’48”、サインツに 13’26”もの差をつけた。 ライバル、アルアティヤがロエブを倒すには14分以上も縮めないといけない。

モト部門: 昨年3度のステージ優勝を果たしたトビー・プライスがKTMの意地を見せた。今朝8番目にスタートしたオーストラリア人プライスは、全部のCPをトップ・タイムで通過、みごとにステージ優勝を果たした。チームメイトのアントワーヌ・メオもSS暫定2位、素晴らしい仕事をした。さすが、5度のエンデューロ世界チャンピョンの記録を持つライダー、初参加にしてこの成績とは呑み込みが早い。その後ろにはステファン・ソヴィツコ (KTM)、マチアス・ウォークナー (KTM)と4台KTMが続いた。総合暫定タイムでは、トップはパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)。今日のステージではSS12位だったが、これまでの蓄えたタイムがあった。

クワッド部門では、トップグループの大量リタイアが目を引いた。主な理由は転倒とマシーンの故障。タイトル保持者のラファウ・サノク、入賞候補のモハメッド・アブーイッサなど。そして、昨日まで総合トップにいたイグナシオ・カザレも今晩、レースを離れる。総合順位は、アレクシス・エルナンデスが2位のアレヒャンドロ・パトロネッリに48秒差でトップ。総合3位にはロシアのセルゲイ・カリヤッキンが8分35秒差でつけている。

カミヨン部門 :チェコのコロミーとサイドバイサイドの戦いを繰り広げたKAMAZのエドワルド・ニコラエフ(ロシア)は321kmのバトルの果て、ステージを勝ち取った。常に上位に君臨しているカマズ・チームだが、今大会初のステージ優勝。ニコラエフはダカール・ラリー通算8度目のステージ優勝だ。総合順位ではアルゼンチンのフェデリコ・ヴィジャグラがトップだが、続く2台ピーテル・フェルスルイスとハンス・スティシーとのタイム差はそれぞれ、5秒と21秒と厳しい僅差。排気量10リットル未満クラスで6優勝の菅原ジュニア照仁が総合16位と素晴らしい健闘ぶり。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-600/videos-galery.html

オート    :リエゾン(移動区間)200km+SS(競技区間)429km=合計629km
カミヨン   :リエゾン(移動区間)200km+SS(競技区間)429km=合計619km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 200km+SS(競技区間)429km=合計629km

本日のコースは、サンサルバドル・デ・ フフイをスタートするループコースで、平均の標高が3500m、最高標高は4100mという高地で、本日から数日の間高地のステージとなる。そして、今日と明日の2日間、メカニックのサポートが受けられないマラソン・ステージ。その上、今日のコースは総距離630km、SSが430kmという長いコースでほとんどが山道のグラベルとスリッピーな砂地だ。
6時にビバークを出発したモトのライダーたちは、SSのスタート地点までリエゾン移動。
アシスタント・クルーは本日のうちに明日のビバーク、ウユニへ移動する。

華々しいデモを見せたプジョー軍団

今大会最初のマラソン・ステージの最初の1日、プジョー軍団が1,2,3ゴールを果たしチームの底力を披露した。ステファン・ペテランセルがカルロス・サインツを抑え、今大会初のステージ優勝。

モト部門ではバレダ(Honda) がトップでゴールしたものの、スピード違反ペナルティを受け、ゴンサルヴェス (Honda)にステージ優勝を渡すことになった。

オート部門 :何という1日! 最初のチェック・ポイントからプジョー軍団がライバルを抑えてトップ・タイムで通過した。ナセル・アルアティヤ(MINI)とロエブが際どいバトルを続ける中、ステファン・ペテランセルは最初のCPを両車をしのぐタイムで通過。次のCPでもペテランセルはロエブに1分の差をつけて通過。一方のカルロス・サインツは10番目のスタートから6台追い抜いき、後半弾丸のような走りで、チームメイト2台の後にゴールした。結果、SS優勝はステファン・ペテランセル、2位に11秒差でサインツ、3位に27秒差でロエブがついた。

上記1,2,3のプジョー軍団と共にシリル・デプレが続けば、1から4位を独占できたが、そこにナセル・アルアティヤ(MINI)が割って入った。だがそれにしても、今日のパフォーマンスでプジョーDKR2008がオールラウンドに素晴らしいことが証明され、これまでささやかれていた根強い疑問は粉々に打ち砕かれた。そして、残る疑問は信頼性。それは明日のマラソン・ステージ642kmの後で証明されることになろう。

モト部門:昨日のスピード違反ミスで大きな痛手を受けたホアン・バレダは、 CP1をトップ・タイムで通過、その後も次々とチェック・ポイントを目覚ましいスピードで通過した。チームメイトのゴンサルヴェスはぴったりバレダについていればよかった。ホアン・バレダ は残念ながら再びのスピード違反でペナルティ5分、ステージ優勝と総合トップの座を逃してしまう。

SS優勝はパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)、2位はケヴィン・ベナビデス (Honda)、3位はルーベン・ファリア(Huskvana)。総合順位のトップはゴンサルヴェス 、2位ベナビデス、3位バレダ。

No57のフィリップ・カヴァリエはエンジンが壊れ、スタートできなかった。ピエールアレキサンドル・ルネがkm400で転倒、頭を強く打ちリタイア、フフィの病院に輸送され応急手当を受けている。初出場であまりにも早いリタイアとなった。

クワッド部門:この部門で2度の総合優勝しているアルゼンチンのマルコス・パトロネッリが今日はスタートからゴールまでアンタッチャブルな走りを見せた。アレクシス・エルナンデスに16秒の差でステージ優勝。チリのイグナシオ・カザレが総合順位のトップをキープ、次席のマルセロ・メデイロスに12分もの差をつけてゴールした。

しかし、夜になって順位の修正が行われ、ステージ優勝はイタリアのジャンカルロス・カリニャーニ、SS2位はセルゲイ・カリヤキン、10秒差、SS3位はエンリケ・ウンベルト・オクムラ+4分2秒となった。

カミヨン部門 :ジェラルド・デ・ローイが本日のカミヨン部門のステージ優勝。イベコのカミヨンで、同国オランダ人ピーテル・フェルスルイスとハンス・スティシーをそれぞれ37秒、1分18秒の差で抑えた。しかし2分のペナルティを科され、総合順位ではフェルスルイスがトップ。次席のスティシーとは僅か15秒の差だ。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-500/videos-galery.html