全車:リエゾン(移動区間)314km+SS(競技区間)328km=合計642km
今日のコースは2日間にわたるマラソン・ステージの後半、競技者らはボリビアに入る。ダカール・ラリー史始まって以来の高地4,600mを超える山越え、そして全体に高地の中のコースは競技者だけでなく車も苦しめる。それに加え、昨日に続き長いコースは、総走行距離642km、そのうちSSは328km。さらには難度の高いナビゲーションと競技者にとっての苦難のコースになった。
落雷の為、13 :45 オート&カミヨンのコースが一部ゴール手前でキャンセル、km321までとなった。
メカニックのサポートができない昨夜のビバークでは、競技者が自分のマシーン、もしくはチームメイトのマシーンを修理することができる。傷んだマシーンの修理に夜を越したものもいれば、スタートまでに修理できずにやむなくリタイアした競技者もいる。今朝スタートできなかった競技者はモト部門ではNo.98ダミアン・ウドリー(チリ)、クワッド部門のNo296ニコラ・ロブレド(コロンビア)、オート部門No.328 ロベルト・ナルヴィル(アルゼンチン)、No.354トム・コロネル・・等。
そして、マラソン・ステージの後半の今日のレースでも多くのリタイアがでた。モト部門ではNo.063ホセ・コルネヨ(チリ)、No.38エステバン・アリエル(アルゼンチン)、No.135 ニコラス・モニン(チェコ)、No.119フェデリコ・ギッティ(イタリア)、ホアン・アゼヴェド(ブラジル)。クワッドではNo.292マルセロ・メデリオス(ブラジル)、No.270セバスチャン・スーディ(フランス)、No.250ラファウ・サノク(ポーランド)、No.255モハメッド・アブーイッサ(カタール)。オート部門ではNo.309カルロス・スーザ(ポルトガル)。
6時にビバークを出発し、リエゾンでスタート地まで移動したモトの競技者、第1走者ゴンサルベスが8時にスタートした。オート部門のスタートは10時38分。
ロエブ 3度目のV, プジョー再び1,2,3フィニッシュ
オート部門 : セバスチャン・ロエブはまさにダカール・ラリーの強豪をナーバスにさせることになりそうだ。昨日までのコースはどちらかといえばWRCタイプ、彼のチャンピョン歴からしてこの成績は当然といえるかもしれない。しかし、今日のステージで、彼とダニエル・エレーナはナビゲーションでも十分チカラのあるところを証明した。今朝は、大先輩ステファン・ペテランセルとカルロス・サインツの後に出発。容赦なく攻める2台のデュオの傍らで、ロエブは自分のペースを維持する必要があった。
事実、終日彼は自分のペースを守り通した。先を行くサインツとペテランセルは激しいバトルの果て、サインツが僅か 2’38”差でペテランセルよりゴールを通過した。ロエブが3番目のゴール、しかしタイムでサインツが負けた。わずか2秒差でロエブのステージ優勝となった。
1,2,3のプジョーの後にはナセル・アルアティヤ(MINI)がついた。渾身のアタックだったが、改良されたプジョーDKR2008のあまりの強さに兜を脱ぐほかない。ライオンの異名をとるプジョーチーム、この大会最初のマラソンでクルマの実力を示したが、シリル・デプレだけが例外となった。デプレは電気系統のトラブルの餌食となり、終盤スピードが極端に低下、そしてチームメイトに牽引され、ロエブに1h15も遅れてのゴールとなった。
総合暫定順位で、ロエブはペテランセルに7’48”、サインツに 13’26”もの差をつけた。 ライバル、アルアティヤがロエブを倒すには14分以上も縮めないといけない。
モト部門: 昨年3度のステージ優勝を果たしたトビー・プライスがKTMの意地を見せた。今朝8番目にスタートしたオーストラリア人プライスは、全部のCPをトップ・タイムで通過、みごとにステージ優勝を果たした。チームメイトのアントワーヌ・メオもSS暫定2位、素晴らしい仕事をした。さすが、5度のエンデューロ世界チャンピョンの記録を持つライダー、初参加にしてこの成績とは呑み込みが早い。その後ろにはステファン・ソヴィツコ (KTM)、マチアス・ウォークナー (KTM)と4台KTMが続いた。総合暫定タイムでは、トップはパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)。今日のステージではSS12位だったが、これまでの蓄えたタイムがあった。
クワッド部門では、トップグループの大量リタイアが目を引いた。主な理由は転倒とマシーンの故障。タイトル保持者のラファウ・サノク、入賞候補のモハメッド・アブーイッサなど。そして、昨日まで総合トップにいたイグナシオ・カザレも今晩、レースを離れる。総合順位は、アレクシス・エルナンデスが2位のアレヒャンドロ・パトロネッリに48秒差でトップ。総合3位にはロシアのセルゲイ・カリヤッキンが8分35秒差でつけている。
カミヨン部門 :チェコのコロミーとサイドバイサイドの戦いを繰り広げたKAMAZのエドワルド・ニコラエフ(ロシア)は321kmのバトルの果て、ステージを勝ち取った。常に上位に君臨しているカマズ・チームだが、今大会初のステージ優勝。ニコラエフはダカール・ラリー通算8度目のステージ優勝だ。総合順位ではアルゼンチンのフェデリコ・ヴィジャグラがトップだが、続く2台ピーテル・フェルスルイスとハンス・スティシーとのタイム差はそれぞれ、5秒と21秒と厳しい僅差。排気量10リットル未満クラスで6優勝の菅原ジュニア照仁が総合16位と素晴らしい健闘ぶり。
ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-600/videos-galery.html