オート&カミヨン :リエゾン(移動区間) 111km+SS(競技区間)285km=合計396km
モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 151km+SS(競技区間)285km=合計436km

再びマラソン・ステージの1日目。夜ビバークでメカニックのサポートが受けられないので、カラダとクルマをいたわりつつ、2日間のコース配分をしなければならない。今日SSの距離はいつもより短く見えるが、ほとんどが道なき道のオフロード・コースで、リオ(枯れ河)や草が多いフラット砂丘。こうしたオフロードの中では、ロード・ブックに指示されるコースが分かりにくく、正しいコース選びが非常に難しい。超難度の高いナビゲーションに加えて高温という厳しいコンデションとなる。つまり、今夜の順位はそうとう入れ替わりがある可能性があるということだ。厳しい暑さの中、正しいナビゲーションコースを選ぶ競技者が今日の勝利のカギを握る。

モト&クワッドはSS終了の後リエゾンで今日のフィアンバラのビバークに向かう。オート&カミヨンは朝スタートしたビバークに戻るのに対し、モト&クワッドは競技者だけの明日のスタート地点にやや近い特設会場で1夜を過ごす。

天気予報で発表になっている平均気温は36-38℃、砂丘の中はもっと暑くなる。

予定通り、モト7時、クワッド8時、オート8時56、カミヨン9時45分にスタートした。

そして、11時24分、フィアンバラの砂丘の異常高温などの問題で、競技はCP2(km178)以降がキャンセルということになった。さらに午後になってモト部門はCP1(km82)で競技が中止になった。

猛暑より強かったサインツとプライス

カルロス・サインツは巡ってきた2度目のステージ優勝チャンスを見逃しはしなかった。僅か12秒の差で優勝を勝ち取った。猛暑の理由でコースがCP2までと縮小され、わずか178kmとなった本日のコース、競技者同士の差は僅かで2位、エリック・ファンローン(MINI)、3位ミッコ・ヒルボネン (MINI)、それぞれ10秒、12秒の差だ。カルロス・サインツはステファン・ペテランセルの遅れに乗じて総合でトップに躍り出た。総合タイム、二人の差は 7’03”。

モト部門ではトビー・プライス (KTM)が再びステージを制したが、短縮されたコースで、彼の本来の実力が示すことができなかった。総合2位にいたパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)はトラブルに見舞われ、後半キャンセルによるタイム修正で思った以上の順位の後退はなく、この先への望みが繋がれた。

オート部門 : 昨夜MINIチームが、プジョーに対し、ステファン・ペテランセルが承認されていない場所km180で給油したとの理由でオフィシャルに調査を求めた。オフィシャルはこの給油が事実かどうか調査にかかった。プジョー・チーム監督ブリュノー・ファミンは「この給油は道路上を走っているときに行われたことなので合法だ。なぜ、クレームが提出されたのか理解できない」とコメント。事情によっては、ステファン・ペテランセルは6時間のペナルティ、あるいは失格の判定を受ける可能性がある。

2週目に入ってプジョー・チームにプレッシャーがかかっているのは確かだ。短い今日のSSで、今日もプジョーがステージを制した。最初のウェイ・ポイント(km56)をシリル・デプレが最初に通過、タイム上では4台のMINIとトヨタの次。それはDKR2008のトップグループがそれぞれ問題を抱えていたことを意味する。CP1(km82)では、さらに事態は悪化。セバスチャン・ロエブやステファン・ペテランセルがシリル・デプレに1分もの差をつけられて通過したのだ。

ナセル・アルアティヤはこうしたプジョー・チームの不安をよそに、CP1をトップ・タイムで通過する。しかし砂丘ゾーンの後半はあまり芳しいとは言えない。少しもたもたしているうちにCP2にサインツがトップ・タイムで通過し、彼はサインツより2分あまの遅れての通過となる。本来この後リカバリーするところだが、今日はこの後のコースがキャンセルになってしまったのだ。

昨日異常にエンジンがヒートしたペテランセルは今日は慎重に走っていた。そのことも、サインツに短縮コースになったことが有利に動いた。ペテランセルに7分ものタイム差をつけることができたのだ。サインツにとって今大会2度目、通算29度目のステージ優勝だ。総合タイムでは、2位にペテランセル7’03”、3位アルアティヤ、トップと14’28”の差。

先週脚光を浴びた9度のWRCチャンピョン、セバスチャン・ロエブ(プジョー)は昨日の横転事故で大きく後退したが、今日無事スタートできた。砂丘の中で何度もスタックを繰り返したが、なんとかカルロス・サインツから1時間13分遅れでCP2到着できた。

明日のスタートはダカール・ラリー初のスタート様式で、オートのトップ10台とモトの10台が同時出発になる。明日の順位がどういうことになるか・・・?

モト部門:こちらもCP2(km178)、CP1(km82)で競技が中断されたことで大きく揺れ動いた1日となった。猛暑で消耗しきった競技者があまりに多くなったとことから、早々のレース切り上げとなった。ただ一人トビー・プライス(KTM)は、スタートから快調にコースをオープン、皆を苦しめている猛暑などどこ吹く風だ。当然CP1もトップ・タイムで通過、2位のパウロ・ゴンサルヴェス(Honda)に3分もの差をつけた。

パウロ・ゴンサルヴェス は大きなトラブルに見舞われる。CP2直前ラジエターに木が刺さって穴が開いてしまったのだ。CP2にようやく到着したものの、牽引されてビバークに移動した。

ステージ優勝のトビー・プライス(KTM)は、タイム修正後、総合タイムが2位ステファン・ソヴィツコ(KTM)28’59”差、パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)34’01”と大きくアドバンテージを得ることになった。ゴンサルヴェスはタイム修正でリタイアを免れ、総合順位も表彰台の照準の中に残ったが、明日のスタートまでに競技者だけでエンジンの交換ができないと、再スタートができない。

昨日インタビューに記載しておいたミカエル・メッジ(Honda)、昨日SSのスタート直後電気系トラブルに見舞われ時速20km/hで走ることになってしまった。13時間半もの時間をかけて走り抜き、夜中ようやくビバークに到着した。パウロ・ゴンサルヴェスのウォーター・ポーター、今朝元気に出発し、今日のレースも無事走りぬいた。総合で73位につける。

クワッド部門はパトロネッリ兄弟を抑えて、同国人パブロ・コペッティがステージ優勝。総合では相変わらずパトロネッリ兄弟の弟マルコスが、兄アレヒャンドロ0’44”の差で首位。3位アレクシス・エルナンデスとは45分近いタイムが開いている。

カミヨン部門:今日もジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が余裕の走り。SS2位の同国人、ファン・ヘルフテン(IVECO)と3位アンドレイ・カルギノフ(Kamaz)にそれぞれ、3’59” 16’44”の差。総合タイムでは、ジェラルド・デ・ローイが首位をキープ、後続のエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)に27分、フェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)に41分ものリードをとった。

日野チームスガワラのジュニア照仁はなんとSS9位でトップ10入り、総合でも15位に上がり、父義正はSS30位、総合35位に順位を上げた。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1000/videos-galery.html

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