ステージ レポート(速報)

2016/01/16 第13ステージ ビジャ・カルロス・パス→ロサリオ

全車 :リエゾン(移動区間) 518km+SS(競技区間)180km=合計698km

131kmのリエゾンの後にSS180kmがスタート。モト&クワッドは競技者らへの畏敬を込めてリバース(昨日の後尾から)スタート。
本日スタートする競技者はモト部門84台、オート68台、クワッド23台、カミヨン41台。
第1走者は6時15分、オート7時15分、カミヨン8時18分と今日はかなり早い。

モト部門の第1走者はオスワルド・ブルガ、ペルー人。総合84位にいてトップとの差は54時間。トップと一番差が多かった日は8時間もあった。別の見方をすれば、ブルガの走ったタイムで、プライスはダカール・ラリーを2往復走ることができる。ブルガの苦労は想像に難くない。日中、何度も転んでは起きを繰り返し、毎晩夜中のゴール&マシーン調整・・・。完走への執念!
 

ステファン・ペテランセル6度目の総合優勝、プライス初優勝!

 
第38回ダカール・ラリーが本日ロサリオで終わった。オート部門でステファン・ペテランセル(プジョー)が6度目の総合優勝、モト部門ではトビー・プライス(KTM)が初めての総合優勝を果たした。クワッド部門ではマルコス・パトロネッリ(Yamaha)が3度目の優勝。カミヨン部門でもジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が2度目の優勝。

SSではセバスチャン・ロエブ(プジョー)が今大会4度目のステージ優勝、モト部門ではパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)が今大会初のステージ優勝。

どんなに言葉を尽くしても、ステファン・ペテランセルのパイロットとしての質とすごさは説明できない。オート部門で6度目の優勝、“Mr.ダカール”はモト部門での優勝と同じ回数にすることができた。通算12回の総合優勝、ペテランセルはまさにかつてないダカール・ラリーの王者となった。

この6度目の優勝に導いたステージはたった1度のステージだった。だがそのステージはハンパではない。第10ステージのフィアンバラの砂丘の中、彼が予告したように、彼が度々2輪の時代にやっていたように、彼は“タガを外して”大きな賭けに出たのだった。すべての危険を冒して弾丸のように走った。ライバルのトラブルが重なって、彼は失態もなく、賭けに勝った。

しかし事は決して楽ではなかった。新しいチームメイト、セバスチャン・ロエブは最初の週レースを凌駕し、イメージづけていた。ペテランセルは、彼の後ろで背中を丸めてチャンスを狙う戦略をわきまえていた。プレッシャーに耐えながら、前を走るクルマの砂埃の中で、できる限りミスを抑えながら、ライバルのクルマと共に走った。プジョー・チームに降りかかる様々な試練を振り払って、結局ペテランセルがただ一人優勝の椅子を手にした。アリ・ヴァタネンがプジョー405で優勝してから26年、ついに彼はプジョーの優勝に導いたのだった。

MINIのナセル・アルアティヤの素晴らしいパフォーマンスも忘れてはいけない。常にプジョー・チームと互角の戦いを続けた。フィアンバラの砂丘入口でのトラブルさえなければ、彼はもう一段表彰台を上ることもできたに違いない。そして総合3位のジニエリ・ド・ヴィリエは連続表彰台。南アのパイロットはスタート時から淡々と同じペースで走り、トヨタに再び表彰台を贈った。

セバスチャン・ロエブは今大会の目玉の人となった。4度のステージ優勝、驚くほどの大横転事故、度重なるメカ・トラブル、彼はラリーレイドで起こりうる全ての面で体験した。WRC9度のチャンピョンが最終2ステージでのチーム・オーダーを快く受け入れたかどうかわからないが、ロエブにとって初めてのダカール・ラリー、呑み込みが早いのでこの後はどういうことになるか・・・?

モト部門 :トビー・プライス(KTM)も呑み込みの早い部類の人。むしろ早すぎるくらいだ。昨年初めてのダカール・ラリーで総合3位。KTMチームのトップ・ライダーのオーストラリア人だ。彼はきっちり目標に向かって知能的に優勝をものにした。とりわけHONDAチームのプレッシャーに負けず、あまり後ろを振り返りもせずコースを走り続けた。KTMがマルク・コマに続くリーダーを探していたとしたら、彼ら、既に手にしたわけで、しかも安泰だ。ダカール・ラリーで優勝した初めてのオーストラリア人として記録に残ることになった29歳だ。

準優勝はスロヴァキア人、ステファン・ソヴィツコ(KTM)。2014年9位、2015年5位、そして今回2位と徐々に順位を上げてきた。今回はまさに目標どおりの順位を手にした。総合3位はチリのパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)。他の表彰台の二人のように段階的に順を上げてはこれなかったが、それにしても今回素晴らしい成績の年となった。

4位アルゼンチンのケヴィン・ベナビデス(Honda)、6位7位はフランス人アドリアン・ファン・ベヴェレン(Yamaha)、アントワーヌ・メオ(KTM)らも注目のライダーたち。ファン・ベヴェレンはトゥーケ・エンデューロのWチャンピョンで、今大会中日々順位を上げてきており、アンラッキーなトラブルに見舞われなければと悔やまれる。

一方のエンデューロ世界チャンピョン4度のメオは2日前、総合3位まで順位を上げていた。プライスの優勝の為に身を捧げて走り続けてきたが、ゴール手前の転倒事故でケガをしてしまう。今日激痛に耐えながら走り抜きトップから2時間40分遅れ、SS70位でゴールした。まさに執念の完走だ。

三橋淳はSS65位、総合56位。完走おめでとう!

女性ライダー、ライア・サンス、エンデューロ世界チャンピョン4度、目標はトップ10入り。2日前の転倒で順位が後退し、彼女の夢が果てた。鎖骨骨折にもかかわらず最長の931km、今日の631kmをロサリオまで走り抜いた。本日のSS14位、総合12位。

クワッド部門 ;パトロネッリ兄弟はカム・バックのチャンスを逃さなかった。弟マルコスは今大会3度目のステージ優勝、そして兄アレヒャンドロも第11ステージで1回ステージ優勝した。総合優勝は兄弟で5度目になる。しかしそれにしても、兄は仕事があると2年間出ていなかったというのに、強い!
SS3位は、南アのブライアン・バラガナット(Yamaha)、ダカール・ラリー参加2度目にして驚きの成績を出した。2017大会の成果が楽しみだ。

総合優勝の弟マルコス・パトロネッリと準優勝の兄アレヒャンドロ・パトロネッリはわずか4’23”の差.。総合3位のセルゲイ・カリヤキンとは1時間57分。

カミヨン部門: 今大会はジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が2度目の総合優勝。第9ステージから総合2位の競技者と既に大きなタイム差があったので、総合トップをキープするのはそれほど難しいことではなかった。準優勝は2015年大会優勝のアイラット・マルデーブ(Kamaz)、3位はフェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)。ヴィジャグラは2度オート部門参加した後、今回カミヨンでエントリーしたアルゼンチン人だ。

日野チーム菅原のジュニア照仁はSS16位、総合で13位、父義正SS40位、総合31位。もちろん、排気量10リットル未満クラスで今回も1,2を制した。

9500kmの厳しいレースの果て、最終的にロサリオまで走り抜いた競技者はモト84台、クワッド23台、オート67台、カミヨン44台。完走率は60%。

2016/01/15 第12ステージ サン・ファン→ビジャ・カルロス・パス

オート&モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 450km+SS(競技区間)481km=合計931km
カミヨン:リエゾン(移動区間) 599km+SS(競技区間)267km=合計866km

931kmもある今大会最長のステージで、WRCのようなコース。オート、モト&クワッドは481kmのSSで、ゴール後すぐにビバーク。しかしカミヨンはCP4(km267)でゴールした後、オンロードでビバークに向かう。低い山の中の両側に草木が生い茂る道幅の狭いコースでスピードは出しやすいが、どこに落とし穴があるかわからない。最終ゴールまであと1日となったこのSSで、些細なミスですべてを失うことの無いよう、細心の注意が必要だ。

朝8時、全競技者がコンボイでSSスタート地に向かってビバークを出た。今日のスタートにはモト85台、クワッド25台、オート69台、カミヨン46台。

SSスタート地までリエゾンを約450km近くも走らなければならないので、全体にスタート時間が遅い。モトの第1走者のスタートは9時20分、オート11時57分、カミヨン14時20分。ウェイ・ポイントが11か所もあり、モト部門トップ走者でもSSをゴールするのに6時間以上もかかった。

昨日SS優勝で総合3位に上昇したアントワーヌ・メオ(KTM)、そして、今度は2位のステファン・ソヴィツコ(KTM)と7分の差。4位でメオを追うキンタニーリャとは1分33秒差、この3人のバトルが今日はどのように展開していくのかが気になるところ。

ヒルボネンとロドリゲス初のステージ優勝、ペテランセルとプライス確勝に近づく

ビジャ・カルロス・パスのゴールに向かって、オート部門6回目の総合優勝まであと一歩となったペテランセルはリスクを冒さなかった。一方2台のトヨタと2台のMINIのクルマが厳しいステージ優勝を争う場となった。そして、ミッコ・ヒルボネン(MINI)が初めてのダカール・ラリーにして初めてのステージ優勝を果たした。モト部門でも同じシナリオ。総合トップのトビー・プライス(KTM)は制御モードの走りで、一人エルダー・ロドリゲス(Yamaha)が爆発した。初めてのSS優勝、総合でも4位に浮上。アントワーヌ・メオ(KTM)はゴール手前20kmで転倒し、トップから38分遅れで、総合順位3位落としてしまう。

オート部門 :今日は2台のトヨタと2台のMINIの何という激しい戦い!4台が狂ったようにスピードを上げて走った。Toyota Hilux向きのコースで、2人の南アパイロットはここぞとばかりスタートからかっ飛ばした。最初のCPをナセル・アルアティヤが制したのもつかの間、2台はすぐに追いつく。

全てのチェック・ポイントは4台が僅差で交代しながら走った。最後、プルターがステージ優勝に向かって飛び出した為か、ジニエリ・ド・ヴィリエは追い上げを緩めた。その時MINI2台も同時にダッシュしたが、ナセル・アルアティヤは一瞬遅れ、チームメイトのミッコ・ヒルボネンが大きな賭けを射止めた。WRCで取った杵柄、スウェーデン人は最後20kmでステージ優勝を手にした。

結果、SSの順位は4人が1分以内の僅差、1位のミッコ・ヒルボネン(MINI)と2位ナセル・アルアティヤ(MINI)9秒、3位リーロイ・プルター(Toyota)45秒、4位ジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)57秒の差。

総合順位はあまり動きがない。リーダー、ステファン・ペテランセルは気負いを上げることもなく“チーム内合同走行”の1日。こればかりは責められない。あと総合まだ386kmだというのに、これ以外の走りができようか?11分遅れでSS9位でSSを終えた。

ロサリオの最終ゴールまであと1日となった今夜、“Mrダカール”と彼のプジョーDKR2008は総合順位で2位のナセル・アルアティヤ(MINI)に40分、3位のジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)に1時間7分のアドバンテージを持った。総合優勝がほぼ確定した傍らで、明日ヒルボネンは4’27”の差にいるド・ヴィリエを追い上げ表彰台を狙うのだろうか?

モト部門 :リーダー、トビー・プライス(KTM)は平穏な日であるようにと願っていた。そしてその通りになった。SS最初からチームメイトのアントワーヌ・メオにエスコートされ、481kmのSSゴールまで絶対ミスしないよう走った。幸い、総合トップの位置は不動のものとなった。

エルダー・ロドリゲス(Yamaha)にとっては今日しかなかった。彼はなんとしてもステージ優勝がほしかったが、これまでそれがかなわなかった。そしてできるものならケヴィン・ベナビデス(Honda)との5分の差を縮めて、総合5位に上がりたかった。SS最初から最後までアタックして、彼はYamahaとの契約を完璧に守った。彼はHondaに6分余りの差をつけてSSを制した。アントワーヌ・メオ(KTM)の不運も手伝って、彼は総合4位に浮上、3位のライバル、ケヴィン・ベナビデス(Honda) とは2’59”の差だ。

ここまでノー・ミスのアントワーヌ・メオが今日は劇的な不運に見舞われる。今朝3番目のスタート、チーム・オーダーに従ってプライスの総合優勝の為にサポートに徹して走っていた。なんと、なんとゴールまで僅か20kmというところで転倒してしまう。手を怪我し、他のライダーと共にゴール、トップから38分もの遅れになってしまった。

総合順位ではトビー・プライス(KTM)が2位のステファン・ソヴィツコ(KTM)に37分の差。3位はパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)、53分の差。これだけのタイム差であれば論理的にはロサリオの最終ゴールの順位はほぼこのままだ。

もしトビー・プライス(KTM)が総合優勝ということになると、ダカール・ラリー史初めてのオーストラリア人の優勝ということになる。ダカール・ラリー史に新しい記録が書き込まれるまであと一歩。

三橋淳はSS65位、総合56位。完走まであと1日!

クワッド部門 :パトロネッリ兄弟の弟マルコスは最初からアタックにかかった。最初のウェイ・ポイント(km50)で既にライバル、ブライアン・バラガナット(Yamaha)に1分半もの差で通過。しかしその後スピードを緩め、CP3(km284)では地元アルゼンチンのゴンサレスに追い越される。その後パンクでストップしたゴンサレスを追い越し、最後マルコスが本日のステージを制した。

総合順位は、トップが弟マルコス・パトロネッリ。昨日は兄だったので今日は交代した。そして、安全第一の走りの兄アレヒャンドロ・パトロネッリは総合2位、4’23”の差.。3位のセルゲイ・カリヤキンとは1時間52分もの差がある。

カミヨン部門 :今日はモト、クワッド、オート部門のコースの半分、CP4(km267)のコース。SS最初からピーテル・フェルスルイス(MAN)がアタックにかかり、先を行くエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)を追い越し、最後までトップ・タイムで走り切った。
総合順位ではジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が2位のアイラット・マルデーブ(Kamaz)、3位のフェデリコ・ヴィジャグラ (IVECO)らに1時間以上の差をつけている。

今日のWRCのようなコースはエンジンの小さいチーム菅原にとってはやや不利なステージ。ジュニア照仁はSS20位、総合で13位、父義正もSS35位、総合28位と双方、総合順位が上昇した。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1300/videos-galery.html


ダカール・ラリー、第12ステージのビデオ映像「Car/Bike」の中で菅原義正さんが 紹介されています。3:45からの”Another Dakar”というコーナーです。

菅原義正さん映像:http://www.dailymotion.com/video/x3mof5p_stage-12-summary-car-bike-san-juan-villa-carlos-paz_sport

「74歳の菅原義正さ ん、2016大会出 場者の中で最高齢者。参戦33回目のダカール・ラリーだが、 モト、オート、カミヨンすべてのクラスで参戦した。
現在カミヨン部門で30位、 最終ゴールほ最高の幸せまであと1日だ。」

2016/01/14 第11ステージ ラ・リオハ→サン・ファン

全車 :リエゾン(移動区間) 281km+SS(競技区間)431km=合計712km

昨日の悪夢のようなコースに比べたら、今日のコースは簡単に見えるだろう。しかし、今日もまだ砂丘ゾーンがあり、フェシュフェッシュはより多い。果敢な競技者はアタックにかかるが、SSは431kmもあり、相当気合を入れて注意して走る必要がある。今日のサン・ファンのゴールで、また新しいサプライズが用意されている。

この一帯に続く雨の影響は今日もレースをかき乱し、早朝コース・チェックをしていた競技オフィシャルが路面のコンディションが悪いとの理由でスタートが1時間遅れた。さらに午後になって、コース後半がキャンセルの発表。40℃を超える暑さの為、モト&クワッドはCP2(km243)までとなった。オート&カミヨンは予定通り全行程で競技が行われる。


不運のカルロス・サインツ(プジョー)、昨日スタート時は総合首座にいた。罠だらけのコースの中でクルマを壊し、30kmあまり牽引されてゴールに到着した。エンジンとギア・ボックスを繫ぐスペーサが壊れた。一縷の望みを託して6時間遅れのゴールだったが、メカニックたちが朝5時まだかかっても駄目だった。チームは車両の走行不可能と判断、サインツのリタイアを発表した。通算29回もステージ優勝を果たしながら、不運のモトWRCチャンピョンは2013から今年で4度目のリタイアとなった。

さらにHONDAの希望を一身に集めていたパウロ・ゴンサルヴェス、マラソン・ステージ1日目でラジエターに穴が開いてしまい、なんとか1人で修理した。昨日渾身の走りでトップと6分差SS4位でゴールし、総合タイムもトップと縮めていた。しかし夜中、競技オフィシャルから非情の発表、50分のペナルティを科されてしまったのだ。CP2での容認停止時間が15分しかないところ、ラジエター修理のために1時間以上ストップしていたことに対するペナルティだった。これで不運のゴンサルヴェスに総合優勝の夢は絶たれた。

ゴンサルヴェスの後退で、総合順位でアントワーヌ・メオ(KTM)が4位に浮上した。3位のパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)との差はわずか 1’06”、そして5位のケヴィン・ベナビデス(Honda)とは 1’06”の僅差だ。今日のレースは激しいタイム争いになりそうだ。最良のディフェンスはアタックすることだと言うが・・・。

アルアティヤとメオがステージ優勝、コントロールしたリーダー達

ナセル・アルアティヤが今大会2度目のステージ優勝を果たした。ゴール手前2kmで故障によるストップのセバスチャン・ロエブ(プジョー)とミッコ・ヒルボネン(MINI)を抑えてのステージ優勝だった。暫定で総合首位のペテランセルはトップから8分遅れでSS4位、総合の首位の座はキープした。

モト部門ではトビー・プライス(KTM)がステファン・ペテランセル同様、ライバルをコントロールして総合首位を守った。アントワーヌ・メオ(KTM)はスーパーなアタックでステージ優勝、総合順位は3位に浮上した。

ナセル・アルアティヤはロサリオまで絶対にあきらめないと決心している。総合首位に52分ものタイム差があるのでそれを覆すのはあまりに遠い。しかし常に表彰台にいる競技者として、最高の位置を求めて毎日毎日できる限りの手を尽くすことにしている。今のところそれがうまくいっている。

SS前半はロエブとペテランセルのプジョー2台に鉄腕を披露するのを譲った。しかし後半になって脱兎のごとくアタックにかかったアルアティヤは、まずロエブに追いつき、そしてペテランセルにもアドバンテージを取る。ロエブと競い合っていたペテランセルだが、終盤になって、クルマを最終ゴールまで持たせるなければならないことを意識し、おとなしく走る法を選んだと思われる。

一方ロエブはゴール手前2kmでカルダン・シャフトが壊れ、シリル・デプレに牽引されてSS4位ゴールした。なんと、その状態でもステファン・ペテランセルに1’09”の差をつけていたのだ!これは9度のWRCチャンピョンが、たーだダカール・ラリーに“ちょっと遊びに来た“のではないことを証明していよう。

総合順位では、ステファン・ペテランセル(プジョー)がナセル・アルアティヤ(MINI)に51分の差をつけて優勝。2位はジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)、1h17’24”の差。

ロサリオの最終ゴールまであと2日。しかし繰り返すDKR2008の悩みの種が再び始まったりしたら、安泰と思われている総合優勝が一瞬にして消え失せてしまうことだってありうる。

モト部門: トビー・プライス(KTM)が今日もレースをコントロールした。彼はSS後半でちょっと“ひとひねり”してライバルたちに差をつけた(次席とのタイム差があるので、ペナルティ覚悟でウェイ・ポイント8,9を外してゴールした)。彼は総合首位を守り抜き、2位にチームメイトのステファン・ソヴィツコ(KTM)が35分差で着いた。

パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)は、ゴールまであと60kmというところで大転倒。メディカル・カーで移送される事態となってしまった。

そして、1分15秒という僅差の3位パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)、4位アントワーヌ・メオ(KTM)の争い。前半キンタニーリャがリードしていたが、後半ブレーキ故障のためにスピードダウンしたおかげで、メオが最後SSを制した。彼は、2位のプライスに18秒差、3位キンタニーリャに2’38”の差でのステージ優勝。ダカール・ラリー初参加で5度のワールド・チャンピョンは今大会2度目のステージ優勝。

一方、総合2位で今朝スタートしたステファン・ソヴィツコ(KTM)はトップと12分以上も遅れてのゴール。その為、総合順位で首位のプライスと35分23秒の差になってしまう。

三橋淳はSS53位、総合53位と今日も順を上げた。

クワッド部門: 今日は南アのブライアン・バラガナット(Yamaha)をパトロネッリ兄弟が抑えた。ステージ優勝を果たしたのは兄アレヒャンドロ・パトロネッリ(59秒差)、3位が弟マルコス1’16”の差。総合順位はマルコス・パトロネッリ(Yamaha)が1位をキープ、兄アレヒャンドロが8秒’で後を追う。ブライアン・バラガナット(Yamaha)が3位に浮上、しかしトップと1時間40分以上の差。さて、わずか8秒差のパトロネッリ兄弟、どちらが最終で優勝を手にすることになるのか?

カミヨン部門 :昨日と全く違う顔ぶれがSS上位についた1日。ステージ優勝はエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)、2位はピーテル・フェルスルイス(MAN)、トン・ファン・ヘヌフテン(IVECO)。総合順位では、SS6位のジェラルド・デ・ローイ(IVECO)、2位はアイラット・マルデーブ(Kamaz) 1時間9分差、3位はフェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)1時間45分の差。

菅原照仁はSS13位、総合で14位、父義正もSS33位、総合31位。

カミヨン部門は第1走者ニコラエフがスタートしたのが12時15分前、SSゴールまで5時間半かかった。既定のSS終了時間20時14分までにゴールできたのはわずか36台という厳しいコースだった。もちろんオート部門も同様、21台が完走できなかった。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1200/videos-galery.html

2016/01/13 第10ステージ ベレン→ラ・リオハ

オート :リエゾン(移動区間) 485km+SS(競技区間)278km=合計763km
カミヨン :リエゾン(移動区間) 237km+SS(競技区間)431km=合計668km
モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 283km+SS(競技区間)278km=合計561km

マラソン・ステージの後半となる今日のコースは、ベレンを離れてラ・リオハへ南下する。今日もほとんどが道なき道の広大な荒れ地が選手らを待ち受ける。まだ続く砂漠の中の難しいコース選び、かつてないほど長い砂丘セクション。ロザリオの最終ゴールまで完走するには、今日いかにマシンと人を保存できるかにかかってくる。

そして、夜間の雷雨でコースは濡れ、特にSS最初のコーナーのリオ(枯れ河)に水が溜まってしまった。競技オフィシャルが現場を探索し、予定より1時間遅れて8:00にスタートした。本日スタートするのはモト97台、クワッド32台、オート100台、カミヨン50台。

女性ライダーのNo.12レイア・サンス(KTM)は現在総合17位、そしてナニ・ローマのガールフレンド、No.93ローサ・ロメロ・フォント(KTM)も78位。一方クワッド部門ではNO.259カメリア・リポラティが21位、No.281ゴヴァドンガ・フェルナンデス・スアレスも総合27位と頑張っている。なんという強靭な女性たち!

今日のスタートはダカール・ラリー史初めてのスタート様式。オートのトップ10台とモトの10台、カミヨン5台が入り混じって出発になる。

まず3分毎にモト5台:トビー・プライス(KTM)、ケヴィン・ベナビデス (Honda)、ステファン・ソヴィツコ(KTM)、パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna) 、リッキー・ブラベック(Honda)がスタート。そして次は4輪の4台が3分毎に。カルロス・サインツ(プジョー)、エリック・ファンローン(MINI)、ミッコ・ヒルボネン(MINI)、ジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)。アントワーヌ・メオ(KTM)、ナセル・アルアティヤ(MINI)、その後モトが4台、そして、カミヨンのジェラルド・デ・ローイ(IVECO)、シリル・デプレ、ステファン・ペテランセル……という具合。

11時58分、SSの最後部30kmがキャンセルになり、競技はCP5(km244,7)までと変更になった。

デモンストレーションのペテランセル、コントロールのプライス

長いふかふかの砂丘コース、難しいナビ、多くの競技者がスタック、転倒を繰り返した悪魔のようなコースの今日、オート部門でステファン・ペテランセル(プジョー)が叩きのめした。これでもかというほど盛りだくさんの難関を超え、弾丸のように走り抜いた。ライバルたちがトラブルに見舞われた、大きくアドバンテージをとって総合首位に返り咲いた。残りロサリオの最終ゴールまで3日となった今夜、彼の総合優勝を阻止することは相当難しそうだ。

そして、疾風のようなペテランセルに後に、チームメイトのデプレがSS2位のゴール。ライバル、ナセル・アルアティヤ(MINI)、ミッコ・ヒルボネン(MINI)、カルロス・サインツ(プジョー)、セバスチャン・ロエブ(プジョー)らは砂丘の餌食となってメカ・トラブルやスタックに苦しんだ。

モト部門ではステファン・ソヴィツコ(KTM)がダカール・ラリーで初めてのステージ優勝。総合順位ではトビー・プライス(KTM)が1位をキープ、2位のソヴィツコに23分以上の差をつける。

本日のSSが始まるなりMINIチームに災難。総合8位にいたエリック・ファンローン(MINI)がSSスタートからkm5地点で横転。ほぼ同時にナセル・アルアティヤもkm5,85で横転して逆さにひっくり返った。ファンローンは車両調整後再スタートしたが、アルアティヤは車を起こしてくれるチームメイトを待って大きくタイム・ロスした。

ライバルがトラブっている間、ステファン・ペテランセルはチームメイトのカルロス・サインツといっしょにひた走る。第1ウェイ・ポイント(km30)でパンクしながらもサインツはアドバンテージを取っていたかに見えた。しかしすぐに、今日が”ムッシュー・ダカール“の日になることを思い知らされる。ボルテージ満杯、狂ったように走るペテランセルはサインツにCP2 (Km111) で 5’52”、 CP3 (Km174)では20分もの差をつけて通過した。

そして、サインツに苦難が降りかかる。CP2の先、Km213でリオ(枯れ河)の中の大きな岩にぶつかり、エンジンとギア・ボックスの連結部が故障してしまう。アシスタンス・カミヨンを待って牽引されて、トップから6時間遅れの61位でゴールすることになる。
一方ペテランセルはライバルに邪魔されることもなくゴールに飛び込み、通算12回目のステージ優勝を果たす。チームメイトのシリル・デプレもゴール、“先輩にたった5’40”の差“ととても嬉しそうだ。

通常トップ集団のタイム差は僅差だというのに、今日のSS3位以降タイム差が大きい:SS3位ウラジミール・ワシリエフ(TOYOTA)はトップとの差12’56”、4位ナニ・ローマ(MINI)は14’33、セバスチャン・ロエブ(プジョー)は17’40”。
ロエブは、競技中パンク2回、横転1回、スタック1回、道に迷ったのは1回・・・だったというのに、なんというパフォーマンス!少なくともトップ10に入っている。

総合順位では、ペテランセルが首位のロイヤル・シートに落ち着いた。ライバルのナセル・アルアティヤ(MINI)とジニエリ・ド・ヴィリエ(TOYOTA)に1時間以上もの差があるのだから、何か起こらない限りほぼ安泰。4位はミッコ・ヒルボネン(MINI)、1時間23分の差。シリル・デプレ(プジョー)が1時間50分の差で5位に浮上してきたが、表彰台に上るにはあと37’36、タイムを縮める必要がある。

モト部門:スロヴァキア人ステファン・ソヴィツコ(KTM)が初めてのステージ優勝。トップ集団で無傷だった。総合トップのトビー・プライス(KTM)はSS3位でゴール、わずか 5’47”の差だった。プライスはソヴィツコに23’12”の差で総合首位を守る。

今年で7度目の参戦、ソヴィツコはこの2016ダカール・ラリーで最も難しいステージを制したことになる。4時間あまりの競技の果てに、ケヴィン・ベナビデス (Honda) 2’54”、トビー・プライス(KTM)に5’47”の差でSS1位の座についた。

ベナビデスは良い仕事をして、アントワーヌ・メオ(KTM)に4’49”も差をつけた。一方、昨日大きなトラブルでエンジンを交換したパウロ・ゴンサルヴェスは、集中して総合3位の座を守るべくゴールまで執念の走りを見せた。3位でゴールしたがエンジン交換に対するペナルティ約40分が科されて、総合8位に後退してしまった。

総合順位では、1位トビー・プライスKTM)、2位ステファン・ソヴィツコ(KTM)23’12”、3位パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna) 42’49”、4位アントワーヌ・メオ(KTM)44’04”、5位ケヴィン・ベナビデス(Honda) 45’01”の順。

三橋淳はSS58位、総合56位と順を上げた。

クワッド部門 : 今日は南アのブライアン・バラガナット(Yamaha)がパトロネッリ兄弟を抑えて、ステージ優勝を果たした。しかし総合順位ではマルコス・パトロネッリ(Yamaha)が1位をキープ、兄アレヒャンドロがわずか1分32秒’で後を追う。ゴンサレス・フェリオリとは1時間半以上の差。

カミヨン部門:ジェラルド・デ・ローイが再びステージ優勝。総合順位でもジェラルド・デ・ローイがトップ、2位はロシアのエドワルド・ニコラエフ(Kamaz) 27’12”、アルゼンチン人フェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)41’24’の差。

菅原照仁はSS12位、総合で14位、父義正もSS26位、総合30位と上昇した。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1100/videos-galery.html

2016/01/12 第9ステージ ベレン→ベレン

オート&カミヨン :リエゾン(移動区間) 111km+SS(競技区間)285km=合計396km
モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 151km+SS(競技区間)285km=合計436km

再びマラソン・ステージの1日目。夜ビバークでメカニックのサポートが受けられないので、カラダとクルマをいたわりつつ、2日間のコース配分をしなければならない。今日SSの距離はいつもより短く見えるが、ほとんどが道なき道のオフロード・コースで、リオ(枯れ河)や草が多いフラット砂丘。こうしたオフロードの中では、ロード・ブックに指示されるコースが分かりにくく、正しいコース選びが非常に難しい。超難度の高いナビゲーションに加えて高温という厳しいコンデションとなる。つまり、今夜の順位はそうとう入れ替わりがある可能性があるということだ。厳しい暑さの中、正しいナビゲーションコースを選ぶ競技者が今日の勝利のカギを握る。

モト&クワッドはSS終了の後リエゾンで今日のフィアンバラのビバークに向かう。オート&カミヨンは朝スタートしたビバークに戻るのに対し、モト&クワッドは競技者だけの明日のスタート地点にやや近い特設会場で1夜を過ごす。

天気予報で発表になっている平均気温は36-38℃、砂丘の中はもっと暑くなる。

予定通り、モト7時、クワッド8時、オート8時56、カミヨン9時45分にスタートした。

そして、11時24分、フィアンバラの砂丘の異常高温などの問題で、競技はCP2(km178)以降がキャンセルということになった。さらに午後になってモト部門はCP1(km82)で競技が中止になった。

猛暑より強かったサインツとプライス

カルロス・サインツは巡ってきた2度目のステージ優勝チャンスを見逃しはしなかった。僅か12秒の差で優勝を勝ち取った。猛暑の理由でコースがCP2までと縮小され、わずか178kmとなった本日のコース、競技者同士の差は僅かで2位、エリック・ファンローン(MINI)、3位ミッコ・ヒルボネン (MINI)、それぞれ10秒、12秒の差だ。カルロス・サインツはステファン・ペテランセルの遅れに乗じて総合でトップに躍り出た。総合タイム、二人の差は 7’03”。

モト部門ではトビー・プライス (KTM)が再びステージを制したが、短縮されたコースで、彼の本来の実力が示すことができなかった。総合2位にいたパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)はトラブルに見舞われ、後半キャンセルによるタイム修正で思った以上の順位の後退はなく、この先への望みが繋がれた。

オート部門 : 昨夜MINIチームが、プジョーに対し、ステファン・ペテランセルが承認されていない場所km180で給油したとの理由でオフィシャルに調査を求めた。オフィシャルはこの給油が事実かどうか調査にかかった。プジョー・チーム監督ブリュノー・ファミンは「この給油は道路上を走っているときに行われたことなので合法だ。なぜ、クレームが提出されたのか理解できない」とコメント。事情によっては、ステファン・ペテランセルは6時間のペナルティ、あるいは失格の判定を受ける可能性がある。

2週目に入ってプジョー・チームにプレッシャーがかかっているのは確かだ。短い今日のSSで、今日もプジョーがステージを制した。最初のウェイ・ポイント(km56)をシリル・デプレが最初に通過、タイム上では4台のMINIとトヨタの次。それはDKR2008のトップグループがそれぞれ問題を抱えていたことを意味する。CP1(km82)では、さらに事態は悪化。セバスチャン・ロエブやステファン・ペテランセルがシリル・デプレに1分もの差をつけられて通過したのだ。

ナセル・アルアティヤはこうしたプジョー・チームの不安をよそに、CP1をトップ・タイムで通過する。しかし砂丘ゾーンの後半はあまり芳しいとは言えない。少しもたもたしているうちにCP2にサインツがトップ・タイムで通過し、彼はサインツより2分あまの遅れての通過となる。本来この後リカバリーするところだが、今日はこの後のコースがキャンセルになってしまったのだ。

昨日異常にエンジンがヒートしたペテランセルは今日は慎重に走っていた。そのことも、サインツに短縮コースになったことが有利に動いた。ペテランセルに7分ものタイム差をつけることができたのだ。サインツにとって今大会2度目、通算29度目のステージ優勝だ。総合タイムでは、2位にペテランセル7’03”、3位アルアティヤ、トップと14’28”の差。

先週脚光を浴びた9度のWRCチャンピョン、セバスチャン・ロエブ(プジョー)は昨日の横転事故で大きく後退したが、今日無事スタートできた。砂丘の中で何度もスタックを繰り返したが、なんとかカルロス・サインツから1時間13分遅れでCP2到着できた。

明日のスタートはダカール・ラリー初のスタート様式で、オートのトップ10台とモトの10台が同時出発になる。明日の順位がどういうことになるか・・・?

モト部門:こちらもCP2(km178)、CP1(km82)で競技が中断されたことで大きく揺れ動いた1日となった。猛暑で消耗しきった競技者があまりに多くなったとことから、早々のレース切り上げとなった。ただ一人トビー・プライス(KTM)は、スタートから快調にコースをオープン、皆を苦しめている猛暑などどこ吹く風だ。当然CP1もトップ・タイムで通過、2位のパウロ・ゴンサルヴェス(Honda)に3分もの差をつけた。

パウロ・ゴンサルヴェス は大きなトラブルに見舞われる。CP2直前ラジエターに木が刺さって穴が開いてしまったのだ。CP2にようやく到着したものの、牽引されてビバークに移動した。

ステージ優勝のトビー・プライス(KTM)は、タイム修正後、総合タイムが2位ステファン・ソヴィツコ(KTM)28’59”差、パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)34’01”と大きくアドバンテージを得ることになった。ゴンサルヴェスはタイム修正でリタイアを免れ、総合順位も表彰台の照準の中に残ったが、明日のスタートまでに競技者だけでエンジンの交換ができないと、再スタートができない。

昨日インタビューに記載しておいたミカエル・メッジ(Honda)、昨日SSのスタート直後電気系トラブルに見舞われ時速20km/hで走ることになってしまった。13時間半もの時間をかけて走り抜き、夜中ようやくビバークに到着した。パウロ・ゴンサルヴェスのウォーター・ポーター、今朝元気に出発し、今日のレースも無事走りぬいた。総合で73位につける。

クワッド部門はパトロネッリ兄弟を抑えて、同国人パブロ・コペッティがステージ優勝。総合では相変わらずパトロネッリ兄弟の弟マルコスが、兄アレヒャンドロ0’44”の差で首位。3位アレクシス・エルナンデスとは45分近いタイムが開いている。

カミヨン部門:今日もジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が余裕の走り。SS2位の同国人、ファン・ヘルフテン(IVECO)と3位アンドレイ・カルギノフ(Kamaz)にそれぞれ、3’59” 16’44”の差。総合タイムでは、ジェラルド・デ・ローイが首位をキープ、後続のエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)に27分、フェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)に41分ものリードをとった。

日野チームスガワラのジュニア照仁はなんとSS9位でトップ10入り、総合でも15位に上がり、父義正はSS30位、総合35位に順位を上げた。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1000/videos-galery.html

2016/01/11 第8ステージ サルタ→ベレン

オート:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)393km=合計766km
カミヨン:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)392km=合計765km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)394km=合計766km

昨日、サルタで休息日を過ごしたダカール・ラリー一行。残った車両は全部で289台:モト112台、クワッド36台、オート90台、カミヨン51台。スタート時の83%だ。プジョー・チームはみんなの予想に反して、センセーショナルな結果を示した。特に初参加のセバスチャン・ロエブ、中間地点でチームメイトのステファン・ペテランセル、カルロス・サインツを差し置いて総合トップについている。

モト部門では、経験豊かなパウロ・ゴンサルヴェス(Honda)が若いトビー・プライス(KTM)、ケヴィン・ベナビデス(Honda)、アントワーヌ・メオ(KTEM)らのアタックを巧みにかわし総合首位を抑えた。

第8ステージ、第2週目最初のステージ、今日もニュートラルゾーン(競技にはカウントされない移動部)を挟み2つのパートに分かれるコース。先週は多くが3000mを超える山岳部だったが、今週はナビゲーションと砂丘のステージがメインとなる。

SSパート1は公道を走るコースで、凹凸、カーブ等それなりの注意個所はあるが比較的ナビゲーションの難度は低め、後半SSパート2は、100%オフロード、砂丘あり、多くのリオ(枯れ河)が走り、ナビゲーションが難しい。

6時にビバークを出発、180kmあまりのリエゾンを移動してSSパート1に向かったモトの一団、国立公園の通過時に地元当局が一部のライダーをストップしたため到着が遅れ、スタートが40分ほど遅れた。オートも8:59スタート予定が10:02のスタート。そして、カミヨンの第1走者がスタートしたのは12:53。

全てをパウロ・ゴンサルヴェスに託すHONDA・JAPAN

プロローグを含め、第1週目のステージでHONDAは3度のステージ優勝、良い皮切りだった。ホアン・バレダ が2度のステージ優勝をペナルティの為にかき消されたとしてもまだ望みは大きかった。この2016大会、日本のHONDAの狙いは表彰台の最上階、みんな知っていた事だ。バレダの目を見張るようなハンドルさばきで、CRF450は素晴らしいポテンシャルを披露していた。

不運にもバレダはマラソン・ステージ2日目(第6ステージ)でメカ・トラブルに見舞われる。ツイていなかった。バレダ のリタイアで、目立たないが最も競争力のある男パウロ・ゴンサルヴェス が総合1位に上昇し、“赤い”チームのすべての希望が注がれることになる。難度の高いナビゲーションがふんだんに盛り込まれた難しいコースと報じられているレース後半で、HONDA・JAPANは残存するライダーと総力を挙げて、目標にフォーカスするはずだ。リッキー・ブラベック(12位、トップから38’07) やミカエル・メッジ(16位、トップから50’26)らもガード役としてチームの優勝をサポートすることになるだろう。そして、南アHONDAの驚くべきポジションのケヴィン・ベナビデス(総合5位、トップから21’01)も並行してHONDAの実力を世に知らしめている。サルタ→ベレンのステージの夜、彼の順位次第で彼のHONDAの役割が変わることになるかもしれない。

飛び跳ねるアルアティヤとロエブ

ナセル・アルアティヤがついに、プジョー・チームの覇権に終止符を打った。今日の並外れたステージで、MINIのオフィシャル・パイロット、アルアティヤは、2台のプジョー・チーム、カルロス・サインツとステファン・ペテランセルをそれぞれ12秒、31秒の差で抑えた。一方、セバスチャン・ロエブは砂丘の中でスタック、その上SSゴール直前大きなミスを犯し、順位後方へと沈んだ。

モト部門ではトビー・プライス (KTM)が再び反撃、ステージ優勝を果たし、総合でもトップに躍り出た。

何というレース!何という1日!この第8ステージは、ダカール・ラリー史、最も劇的な日のひとつに数えられることになるのではなかろうか。ナセル・アルアティヤがこの第38回大会でプジョー・チームの覇権に終止符を打った。393kmのコースを全力を尽くして、彼はステージを制したのだ。CP1で既に彼はサインツに1’30”、ペテランセルに6分もの差で通過しているのだ。信じられないすごいスピード!

DAR2008のプジョー・チームは、SSパート2で果敢に追い上げる。それでも12秒、31秒の差でMINIにステージ優勝を持ち去られた。そしてSS最後で、ロエブは運命的な事故に遭う。SSパート2の初番、砂丘の中でスタック、その失ったタイムを取り戻そうとその後猛アタックにかかる。ゴール手前11kmでクルマが亀裂に足をとられた、数回の横転の後にひっくり返って止まった。二人は無事だったが、クルマが大きく破損、順位が大きく後退した。

調子を取り戻したシリル・デプレ(プジョー)はSS4位。そして、MINIのミッコ・ヒルボネンやナニ・ローマらも5,6位といつもの位置に戻ってきた。総合順位はペテランセルが2’09”差で首位、2位はチームメイトのサインツ、3位アルアティヤ14’43”の差だ。キャメル・グラス(雑草に覆われた平原)の中でエンジンがヒートし、ペテランセルはちょっと心配と打ち明けた。ペテランセルに不安だなんて、ただのデマか攪乱か?その答えが出るのは明日。

モト部門:完璧な走りのトビー・プライス(KTM)、手にすべきものを手にした1日だった。マルク・コマがこれまで守り抜いたKTM総合優勝を、今回ロサリオの最終ゴールで引き続きKTMの手にすべく、彼の実力を示した。

今朝は2番目の出発のプライス、CP1でゴンサルヴェス(Honda)に53秒の差で通過。その後、最初の砂丘ゾーンでも先輩を抑える。パーフェクトなナビゲーションのプライスは、ライバルのトラブルでも有利になった。ゴンサルヴェスが転倒してGPS機器を壊したのだ。このナビゲーション・ステージで、GPSが壊れるとは最悪! そのおかげで、プライスは総合で宿命のライバル、ゴンサルヴェスに2’05”の差でトップに立った。総合3位はステファン・ソヴィツコ(KTM)、トップとの差14’14”。

一方、アントワーヌ・メオ(KTM)は砂丘の中で迷い、トップから11分遅れのゴールで8位のゴール。総合では6位と思ったほど後退していない。

三橋淳はSS67位で無事ゴール、総合63位。

クワッド部門:パトロネッリ兄弟が今日のステージをトラブル無しで制した。弟マルコスが兄アレヒャンドロに5分差でステージ優勝を果たした。SS3位は暫定で南アのブライアン・バラガナットが入ったが、15分のペナルティを受け、ペルーのアレクシス・エルナンデス(Yamaha)に修正された。

総合では、1位マルコス・パトロネッリ、2位2’06”差でアレヒャンドロ・パトロネッリ、3位アレクシス・エルナンデス、30分以上の差がある。

スタート直後、SSkm18でNo.283カルロス・アレヒャンドロ・ヴェルサが転倒、足首骨折でリタイアした。

カミヨン部門:ジェラルド・デ・ローイ(IVECO)がロシアのカマズチームを抑えて再びステージを制した。2位はエドワルド・ニコラエフ、7’58”の差 、 ピヨートル・ベラシウス、 13’29”の差。

日野チームスガワラはジュニア照仁がSS17位でゴール、総合16位と順位を上げた。父義正はSS38位、総合39位と着実にコマを進めている。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-900/videos-galery.html

2016/01/09 第7ステージ ウニユ→サルタ

全車:リエゾン(移動区間) 481km+SS(競技区間)336km=合計817km

今日1日走れば休息日。しかし、今日もまた817kmもクリアしなければならない。リオ(枯河)が何本も走る道なき道の中、SSは2部に構成される。SSパート1はボリビアの230km、後半SSパート2はアルゼンチン側106km、そしてその間116kmはニュートラル・ゾーン、移動だけで競技にはカウントされない部分で、国境がこの中にある。この長距離の一日、今日もビバーク到着は夜遅くなりそうだ。

そして睡眠不足の競技者らだが、今朝も早い。5時半にビバークをモトのライダーらは出発し、SSスタート地へ移動した。SSを最初にスタートするのはモトのトビー・プライス、7:00 107台。クワッド36台。オート部門は9:47、ペテランセルが第1走者。

正午になって、激しい雷と共に雪まじりの雨も強くなって、SS350km辺りのリオ(枯河)で鉄砲水があふれた為、モト&クワッドのSSパート2が中止になった。SSパート1を終了し、ニュートラルゾーン(SSパート1とSSパート2の間の移動区間)に入った選手は、その後コンボイで他の道路を使って次のビバークに移動することになった。オート&カミヨンはそのまま続行された。

昨日17時頃、No.311 テン・ブリンケの車が途中火を噴き、あっという間に燃え尽きてしまった。コ・パイロットのトム・コンソルと共に無事、プレスカーに乗ってビバークに合流した。昨日スタートする時には総合8位と、無念のリタイアだ。

サインツ今大会の初ステージ優勝、メオ呑み込みが早い

順番は巡る、まさに今日がそれ。カルロス・サインツが本日、第38回ダカール・ラリー第9ステージで優勝を果たした。DKR2008で、カルロス・サインツはプジョーチームの6連続優勝に貢献した。プロローグ以外は全ステージでプジョー車が優勝している。総合ではステファン・ペテランセルに代わってセバスチャン・ロエブがトップについた。モト部門ではアントワーヌ・メオが初めてのステージ優勝。

オート部門 :一見、今38回大会はプジョーの優勝に沸いている感がある。しかし、その見かけ以上に今日のレースは同チームにとって豪奢な1日だったようだ。まずはセバスチャン・ロエブがCP1をトップ通過、しかし次のSSのパート2に入るなり車がストップしてしまった。その間に、今度はカルロス・サインツがすかさず飛び出す。ロエブとはかつてのWRCのチームメイト、同じWRCチャンピョンシップ優勝者同士だ。サインツはガンガン攻め続け、ナビゲーションのミスも無くゴールに突っ込んだ。そして、38秒差で後続のステファン・ペテランセルを制し、ステージ優勝を果たした。

ただ、プジョー軍団には今日もまた新しい小さな気がかりができた。昨日のアクセルのトラブルに続き、ロエブが新たなトラブルに見舞われたのだ。ロエブによれは、今回はターボの故障だという。第2ステージのサインツ、第5ステージのデプレなど繰り返し続くトラブルは、プジョーチーム監督ブリュノー・ファマンの悩みの種になりつつある。

当然、明日の休息日に細部に至るまでDRK2008の検査と調整が行われる。今日から月曜日までの休息日の間、セバスチャン・ロエブはレース半ばの首座のポジションを心行くまで堪能できることになる。かつて無いすばらしいパフォーマンスだ。月曜日から次のレースが始まり、後半の週はナビゲーションと大部分オフロードという本格的なラリー・レイドのコースになるそうだ。

総合順位はセバスチャン・ロエブが1位、2位はステファン・ペテランセル2’22”の差、3位カルロス・サインツ、トップとの差4’50”、4位はナセル・アルアティヤ(MINI)17’36”の差。

モト部門:エンデューロ世界チャンピョン4度の優勝者アントワーヌ・メオ(KTM)が、初めてのダカール・ラリー参加で初めてのステージ優勝を果たした。メオは、新しい世界で彼の適応の柔軟性を証明し、見事に勝利を手にした。

一方、トビー・プライスのチームメイト、オーストリア人マチアス・ウォークナー (KTM)は、朝7時頃、SSスタートから15km程のところで転倒した。スタートした時には総合3位、3番目のスタートだっただけに悔やまれる。そして、Hondaのパウロ・ゴンサルヴェスが彼の為にストップ、緊急のバリーズ(本部に知らせる警報)を引き、レスキューとの連絡の為10分以上留まった。マチアスは鎖骨を骨折したようだ。メディカル・ヘリでウユニの病院に輸送され、リタイアとなった。

ケガ人補助によるタイム修正が行われ、パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)は1’56”で今日のSSの3位になった。SS 2位はケヴィン・ベナビデス(Honda) 1’53”。

そして総合順位はトップがパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)、2位トビー・プライス(KTM) トップと3’12”の差、3位ステファン・ソヴィツコ(KTM)9’24”の差。一時、ゴンサルヴェスの順位が1時間40分遅れとの発表が飛び交ったが、修正後の結果で関係者は安堵の胸をなでおろした。

日本の三橋淳はSS65位、トップとわずか42分9秒’でのゴール。総合65位。

昨夜ビバークに着いたものの、今朝スタートできなかったライダーは4名。その中にHondaのホアン・バレダとハビエル・ピゾリトがある。

クワッド部門:モト部門同様、豪雨の為コースがSSパート1だけに縮小された。ステージ優勝したのはアルゼンチン人ルカス・ボネット。総合順位は昨日と同じ、1,2位がアレヒャンドロ・パトロネッリ兄、と弟マルコス3’36”、3位はセルゲイ・カリヤキン7’51”差。 

カミヨン部門 :2013年大会の総合優勝者エドワルド・ニコラエフ(Kamaz)が終日すさまじいスピードで全部のCP1をトップ・タイムで通過、今大会2度目のステージ優勝を果たした。通算9度目のステージ優勝。チームメイトのアイラット・マルデーブがSS2位、オランダ人フェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)がSS3位。

総合順位では、ピーテル・フェルスルイス(MAN)が1位に上昇、2位ジェラルド・デ・ローイ(MAN)5’31”差、 3位アイラット・マルデーブ(Kamaz) 10’48”差。

日野チームスガワラはジュニア照仁がSS18位でゴール、総合でも18位。父義正はチェックポイント7(ゴール手前約60km)を現地時間17時15分に通過、その後CP8の間でストップしている模様(現地時間1月9日23時現在)。

2016/01/08 第6ステージ ウニユ→ウニユ

オート    :リエゾン(移動区間) 180km+SS(競技区間)542km=合計722km
カミヨン   :リエゾン(移動区間) 304km+SS(競技区間)295km=合計599km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 180km+SS(競技区間)542km=合計722km

やっとマラソン・ステージが終わったとほっとしたのもつかの間、今日のSSは今大会最長のコース。ウユニ塩湖周辺で、終日標高が高い。路面は昨日までとまた違い、土と砂が交互に入り混じる。
ビバークから4km地点のSSのスタートでウユニ塩湖を周回するコースだが、カミヨン部門だけは反対の山の中を回る、295kmのコース。今日も天気が悪くて、大量の雨が予想されている。

昨夜ゴールしていなかった、唯一残っていた女性ライダー、アニー・シール(スウェーデン)が朝6時になってもまだ到着していない。No.135ニコラ・モニン(KTM)は、本人の強い意志にかかわらず、高地病で呼吸器系の問題があるとのことでスタートを取りやめた。

モト第1走者は6:00にスタート、オート部門は9:00第1走者のセバスチャン・ロエブが出発した。

夜中に順位の修正があり、アントワーヌ・メオ(KTM)が5分のペナルティが科された。

ロエブ苦戦、ペテはミス無し。プライス、トリプル優勝

トップ争いがプジョーチームの内輪バトルの様相を呈し始めた。昨日はセバスチャン・ロエブがステージ優勝、そして今日はステファン・ペテランセルが優勝だ。今日のステファン・ペテランセルは良い仕事をした。ロエブがパンクや電気系故障で戸惑っている間にタイムを稼いで、本日のステージを制し、総合でもトップにのし上がった。ロエブとの差、僅か27秒。

モト部門ではトビー・プライス(KTM)が今大会3度目のステージ優勝。パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)がかろうじて総合トップをキープするも、プライスにわずか35秒の差。今日は多くのリタイアに印象付けられる日となった

オート部門 :セバスチャン・ロエブの戦歴をみれば彼がレースを凌駕することは不自然ではないはずだが、ステファン・ペテランセルにとって、”新米“の後ろを走るのは気分のいいものではないことは想像に難くない。今日は”Mr.ダカール“がレースを制し、彼のイメージをしっかり際立たせた。今日のスピードの出せないパンクしやすいコースを、ペテランセルは彼の経験とセンスを生かして、今大会2度目のステージ優勝をきっちり果たした。

カルロス・サインツもSS2位で経験を証明した。しかし、昨日はシリル・デプレの故障、今日はロエブのアクセルのトラブルとプジョーチームにとっては穏やかではない。今のところ大きなダメージにならずに済んだが、これらのトラブルは予想より早く起き、今後繰り返されることもありうる。少なくとも、彼らを追い上げ引き立て役に甘んじているナセル・アルアティヤはその一抹の期待があるのではなからろうか。

総合順位では劇的なタイム差だ。トップのペテランセルとロエブは27秒差、続くサインツは5’55”、さらに4位のアルアティヤはà 15’19”。

モト部門:トビー・プライス(KTM)が一昨日のマラソン・ステージ1日目でステージ優勝を果たし、再び今日優勝した。CP3で2分もの差をつけられながら、ゴールでパウロ・ゴンサルヴェス(Honda) に1’12”の差で勝った。パウロは順番通り1番目にスタートしながら、このライバルに手を打つことができなかった。しかしそれでも35秒差で総合トップをキープしている。

マチアス・ウォークナー (KTM)も目立たぬように効果的な走りで総合3位に上昇した。

ホアン・バレダ (Honda)はメカトラブルで度々のストップ、5時間以上ものタイム・ロスにより大きく後退することとなった。

日本の三橋淳は総合65位。

そして何より今日はたいへん多くのリタイアが出たのが印象的なステージでもあった。優勝候補の一人ルーベン・ファリア (Husqvana)は手首を骨折でリタイア。スタート後30km地点で転倒したイタリア人ライダーNo.138, アレッサンドロ・バルベロ(Husqvana)は頭を強く打ちドクター・ストップがかかった。

フランス人No100エリック・クロックロワ(KTM)はCP3の先で転倒、腕の上部損傷でメディカル・ヘリで移送された。

昨日けがをしたスロヴェニア人No.16イワン・ジェイク(KTM)は、膝の痛みの為、一旦スタートしたものの再びビバークに引き返してリタイアした。

クワッド部門:パトロネッリ兄弟が今年2人そろってダカール・ラリーに戻ってきたが、その二人が見事なツィン・ゴールを果たした。マルコス弟はアレヒャンドロ兄に6’39”の差でSSをゴール、総合でも2位に浮上した。二人は総合で1,2位、しかしこちらは兄がトップを抑える。総合3位はロシア人、セルゲイ・カリヤキン、トップと5 ‘39”の差。

一昨日まで総合トップにいたカザレ、なんとか今朝スタートでき、CP3ではトップ・タイムで通過するなどパワフルに走ったが、km308で転倒、鎖骨を骨折しメディカル・ヘリで救助されリタイアとなった。また、一昨日3位まで浮上していたエンリケ・ウンベルト・オクムラも転倒でリタイアした。

カミヨン部門: 再びオランダ人が1,2,3をとった1日。ハンス・スティシーがジェラルド・デ・ローイ(MAN)に僅か7秒差でステージ優勝、そして、3位はピーテル・フェルスルイス(MAN)、1’15”差。総合では本日9位でゴールしたフェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)の後退のおかげでハンス・スティシーがトップに浮上した。しかし総合2位のフェルスルイス(MAN)とはわずか59秒の差だ。そして、総合3位はヴィジャグラ、4’05の差。

日野チームスガワラはJr.照仁が総合17位、父義正が総合38位と固く順位を維持している。

2016/01/07 第5ステージ サンサルバドル・デ・ フフイ→ウユニ(ボリビア)

全車:リエゾン(移動区間)314km+SS(競技区間)328km=合計642km

今日のコースは2日間にわたるマラソン・ステージの後半、競技者らはボリビアに入る。ダカール・ラリー史始まって以来の高地4,600mを超える山越え、そして全体に高地の中のコースは競技者だけでなく車も苦しめる。それに加え、昨日に続き長いコースは、総走行距離642km、そのうちSSは328km。さらには難度の高いナビゲーションと競技者にとっての苦難のコースになった。

落雷の為、13 :45 オート&カミヨンのコースが一部ゴール手前でキャンセル、km321までとなった。

メカニックのサポートができない昨夜のビバークでは、競技者が自分のマシーン、もしくはチームメイトのマシーンを修理することができる。傷んだマシーンの修理に夜を越したものもいれば、スタートまでに修理できずにやむなくリタイアした競技者もいる。今朝スタートできなかった競技者はモト部門ではNo.98ダミアン・ウドリー(チリ)、クワッド部門のNo296ニコラ・ロブレド(コロンビア)、オート部門No.328 ロベルト・ナルヴィル(アルゼンチン)、No.354トム・コロネル・・等。

そして、マラソン・ステージの後半の今日のレースでも多くのリタイアがでた。モト部門ではNo.063ホセ・コルネヨ(チリ)、No.38エステバン・アリエル(アルゼンチン)、No.135 ニコラス・モニン(チェコ)、No.119フェデリコ・ギッティ(イタリア)、ホアン・アゼヴェド(ブラジル)。クワッドではNo.292マルセロ・メデリオス(ブラジル)、No.270セバスチャン・スーディ(フランス)、No.250ラファウ・サノク(ポーランド)、No.255モハメッド・アブーイッサ(カタール)。オート部門ではNo.309カルロス・スーザ(ポルトガル)。

6時にビバークを出発し、リエゾンでスタート地まで移動したモトの競技者、第1走者ゴンサルベスが8時にスタートした。オート部門のスタートは10時38分。

ロエブ 3度目のV, プジョー再び1,2,3フィニッシュ

オート部門 : セバスチャン・ロエブはまさにダカール・ラリーの強豪をナーバスにさせることになりそうだ。昨日までのコースはどちらかといえばWRCタイプ、彼のチャンピョン歴からしてこの成績は当然といえるかもしれない。しかし、今日のステージで、彼とダニエル・エレーナはナビゲーションでも十分チカラのあるところを証明した。今朝は、大先輩ステファン・ペテランセルとカルロス・サインツの後に出発。容赦なく攻める2台のデュオの傍らで、ロエブは自分のペースを維持する必要があった。

事実、終日彼は自分のペースを守り通した。先を行くサインツとペテランセルは激しいバトルの果て、サインツが僅か 2’38”差でペテランセルよりゴールを通過した。ロエブが3番目のゴール、しかしタイムでサインツが負けた。わずか2秒差でロエブのステージ優勝となった。

1,2,3のプジョーの後にはナセル・アルアティヤ(MINI)がついた。渾身のアタックだったが、改良されたプジョーDKR2008のあまりの強さに兜を脱ぐほかない。ライオンの異名をとるプジョーチーム、この大会最初のマラソンでクルマの実力を示したが、シリル・デプレだけが例外となった。デプレは電気系統のトラブルの餌食となり、終盤スピードが極端に低下、そしてチームメイトに牽引され、ロエブに1h15も遅れてのゴールとなった。

総合暫定順位で、ロエブはペテランセルに7’48”、サインツに 13’26”もの差をつけた。 ライバル、アルアティヤがロエブを倒すには14分以上も縮めないといけない。

モト部門: 昨年3度のステージ優勝を果たしたトビー・プライスがKTMの意地を見せた。今朝8番目にスタートしたオーストラリア人プライスは、全部のCPをトップ・タイムで通過、みごとにステージ優勝を果たした。チームメイトのアントワーヌ・メオもSS暫定2位、素晴らしい仕事をした。さすが、5度のエンデューロ世界チャンピョンの記録を持つライダー、初参加にしてこの成績とは呑み込みが早い。その後ろにはステファン・ソヴィツコ (KTM)、マチアス・ウォークナー (KTM)と4台KTMが続いた。総合暫定タイムでは、トップはパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)。今日のステージではSS12位だったが、これまでの蓄えたタイムがあった。

クワッド部門では、トップグループの大量リタイアが目を引いた。主な理由は転倒とマシーンの故障。タイトル保持者のラファウ・サノク、入賞候補のモハメッド・アブーイッサなど。そして、昨日まで総合トップにいたイグナシオ・カザレも今晩、レースを離れる。総合順位は、アレクシス・エルナンデスが2位のアレヒャンドロ・パトロネッリに48秒差でトップ。総合3位にはロシアのセルゲイ・カリヤッキンが8分35秒差でつけている。

カミヨン部門 :チェコのコロミーとサイドバイサイドの戦いを繰り広げたKAMAZのエドワルド・ニコラエフ(ロシア)は321kmのバトルの果て、ステージを勝ち取った。常に上位に君臨しているカマズ・チームだが、今大会初のステージ優勝。ニコラエフはダカール・ラリー通算8度目のステージ優勝だ。総合順位ではアルゼンチンのフェデリコ・ヴィジャグラがトップだが、続く2台ピーテル・フェルスルイスとハンス・スティシーとのタイム差はそれぞれ、5秒と21秒と厳しい僅差。排気量10リットル未満クラスで6優勝の菅原ジュニア照仁が総合16位と素晴らしい健闘ぶり。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-600/videos-galery.html

2016/01/06 第4ステージ サンサルバドル・デ・ フフイ→サンサルバドル・デ・ フフイ

オート    :リエゾン(移動区間)200km+SS(競技区間)429km=合計629km
カミヨン   :リエゾン(移動区間)200km+SS(競技区間)429km=合計619km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 200km+SS(競技区間)429km=合計629km

本日のコースは、サンサルバドル・デ・ フフイをスタートするループコースで、平均の標高が3500m、最高標高は4100mという高地で、本日から数日の間高地のステージとなる。そして、今日と明日の2日間、メカニックのサポートが受けられないマラソン・ステージ。その上、今日のコースは総距離630km、SSが430kmという長いコースでほとんどが山道のグラベルとスリッピーな砂地だ。
6時にビバークを出発したモトのライダーたちは、SSのスタート地点までリエゾン移動。
アシスタント・クルーは本日のうちに明日のビバーク、ウユニへ移動する。

華々しいデモを見せたプジョー軍団

今大会最初のマラソン・ステージの最初の1日、プジョー軍団が1,2,3ゴールを果たしチームの底力を披露した。ステファン・ペテランセルがカルロス・サインツを抑え、今大会初のステージ優勝。

モト部門ではバレダ(Honda) がトップでゴールしたものの、スピード違反ペナルティを受け、ゴンサルヴェス (Honda)にステージ優勝を渡すことになった。

オート部門 :何という1日! 最初のチェック・ポイントからプジョー軍団がライバルを抑えてトップ・タイムで通過した。ナセル・アルアティヤ(MINI)とロエブが際どいバトルを続ける中、ステファン・ペテランセルは最初のCPを両車をしのぐタイムで通過。次のCPでもペテランセルはロエブに1分の差をつけて通過。一方のカルロス・サインツは10番目のスタートから6台追い抜いき、後半弾丸のような走りで、チームメイト2台の後にゴールした。結果、SS優勝はステファン・ペテランセル、2位に11秒差でサインツ、3位に27秒差でロエブがついた。

上記1,2,3のプジョー軍団と共にシリル・デプレが続けば、1から4位を独占できたが、そこにナセル・アルアティヤ(MINI)が割って入った。だがそれにしても、今日のパフォーマンスでプジョーDKR2008がオールラウンドに素晴らしいことが証明され、これまでささやかれていた根強い疑問は粉々に打ち砕かれた。そして、残る疑問は信頼性。それは明日のマラソン・ステージ642kmの後で証明されることになろう。

モト部門:昨日のスピード違反ミスで大きな痛手を受けたホアン・バレダは、 CP1をトップ・タイムで通過、その後も次々とチェック・ポイントを目覚ましいスピードで通過した。チームメイトのゴンサルヴェスはぴったりバレダについていればよかった。ホアン・バレダ は残念ながら再びのスピード違反でペナルティ5分、ステージ優勝と総合トップの座を逃してしまう。

SS優勝はパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)、2位はケヴィン・ベナビデス (Honda)、3位はルーベン・ファリア(Huskvana)。総合順位のトップはゴンサルヴェス 、2位ベナビデス、3位バレダ。

No57のフィリップ・カヴァリエはエンジンが壊れ、スタートできなかった。ピエールアレキサンドル・ルネがkm400で転倒、頭を強く打ちリタイア、フフィの病院に輸送され応急手当を受けている。初出場であまりにも早いリタイアとなった。

クワッド部門:この部門で2度の総合優勝しているアルゼンチンのマルコス・パトロネッリが今日はスタートからゴールまでアンタッチャブルな走りを見せた。アレクシス・エルナンデスに16秒の差でステージ優勝。チリのイグナシオ・カザレが総合順位のトップをキープ、次席のマルセロ・メデイロスに12分もの差をつけてゴールした。

しかし、夜になって順位の修正が行われ、ステージ優勝はイタリアのジャンカルロス・カリニャーニ、SS2位はセルゲイ・カリヤキン、10秒差、SS3位はエンリケ・ウンベルト・オクムラ+4分2秒となった。

カミヨン部門 :ジェラルド・デ・ローイが本日のカミヨン部門のステージ優勝。イベコのカミヨンで、同国オランダ人ピーテル・フェルスルイスとハンス・スティシーをそれぞれ37秒、1分18秒の差で抑えた。しかし2分のペナルティを科され、総合順位ではフェルスルイスがトップ。次席のスティシーとは僅か15秒の差だ。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-500/videos-galery.html

2016/01/05 第3ステージ テルマス・デ・リオ・オンド→サンサルバドル・デ・ フフイ

全車:リエゾン(移動区間) 350km +SS(競技区間) 314km=合計664km

ロエブとバレダ、見事なパフォーマンス

本日の第3ステージ、スピード競技者に有利なコースと予告されたステージで、まさにその通りになった。セバスチャン・ロエブはプジョーのハンドルを握って見事なデモンストレーションを繰り広げた。モト部門のバレダも同様、HONDAで素晴らしいパフォーマンス。バレダがこれで通算14回目のステージ優勝、総合でトップになった。オート部門でもロエブが総合トップ。

本日のコースは重なる豪雨の影響で、SSが途中縮小され、オート&カミヨンはCP3までの190kmとなった。一方、モト部門は雨や泥に覆われた前半部分がキャンセルになり、CP1(km112,91)からのスタートし201kmのコース。
そして、最初のモトがスタートした8時5分以降も、雷が鳴り響き、時々雨が降る一日となった。

昨夜、レース終了後、スピード違反により全体で74台の競技車がペナルティを課されることになった。ルーベン・ファリア、ソヴィツコなどが1分のペナルティを科され、総合順位の移動があった。

オート部門: ロエブはWRC時代、SSでほかの競技者を“追い払う“仕事をしていた。そして、今日のラリーのSSでもその責任を全うした。多くの競技者を後ろに従え、コースをオープンしながら走るこの「コースのオープン役」はミスが許されない。WRC9度のチャンピョン、ロエブはそのステージをミス無しで走り切った。まだラリーのナビゲーションスキルは2流、しかし全部のチェックポイントをトップで通過した。最終ゴールはまだまだ先だが、少なくとも38回大会で、彼の名を記したことには間違いない。

プジョーは損失を最大限小さくすることに成功し、ライバルに5分以上のタイム差をつけた。ジニエリ・ド・ヴィリエ(TOYOTA)は 5’03”, ステファン・ペテランセル(Peugeot) は 5’15”、ミッコ・ヒルボネン (Mini) は 5’52”。ナセル・アルアティヤ (Mini)は 6’30、シリル・デプレやカルロス・サインツなどプジョーの他の車は10分以上の差。

モト部門: レースは同じように続いているが、残念ながら昨日と同じようなわけにはいかない。トビー・プライスは昨日の活躍を今日再び繰り返すことはできなかった。コースをオープンしながら、常にHONDAのペースを維持しうることができなかったのは確かなようだ。最初のCPで彼はトップ集団からはじき出され、5分以上ものタイム差で10番目の通過となっていた。
SS優勝は地元アルゼンチンのケヴィン・ベナビデス、2位がパウロ・ゴンサルヴェスとHONDAの活躍が光った。今朝2番スタートのルーベン・ファリア(ハスクバーナ)も同様苦しんだ一人、トップと6分以上もの差をつけられることとなった。ファリアはトップとの総合タイムでは差4分近く、8位に後退した。

チームKTMのアントニオ・メオ(5度のエンデューロ世界チャンピョン)が幸いにも素晴らしいパフォーマンスを見せ、暫定タイムでバレダの次につけ、総合タイムでは13位に上昇した。総合タイムでトップはSS4位でゴールしたステファン・ソヴィツコ(KTM)、総合2位はケヴィン・ベナビデス(HONDA)が34秒差で続く。第2ステージで泥に覆われたコースを避けてう回し、僅かにタイムを失ったホアン・バレダ(HONDA) がいつもの快心の走りを見せ、総合3位に上昇してきた。

クワッド部門:トップ2名イグナシオ・カザレとブライアン・バラガナットのライダーのバトルが際立った1日。2番手でスタートしたブライアンが激しく追い上げ、ステージ優勝を果たしたが、イグナシオとの差は3’56”。イグナシオはかろうじて総合1位の座をキープしたが、バラグァナットとの差はわずか4秒しかない。総合3位につけたのは、ブラジル人マルチェロ・メデイロス、トップとの差は6’58”あまり。

カミヨン部門:チェコのマルチン・コロミー(タトラ)が昨日優勝したハンス・スティシー(マン)を抑えてSSトップについた。スティシーは総合トップをキープ、しかし総合2位のチームメイト、ピヨートル・ベラシウスとの差はわずか22秒。総合3位は地元アルゼンチンのフェデリコ・ヴィジャグラ(イベコ)、SS3位になって上昇した。

 

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-400/videos-galery.html

2016/01/04 第2ステージ ビジャ・カルロス・パス→テルマス・デ・リオ・オンド

オート&カミヨン:リエゾン(移動区間)336km+SS(競技区間)510km=合計846km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間)316km+SS(競技区間)450km=合計766km

 

プライス敵意むき出し、ロエブ、センセーションを巻き起こす

 
1日目の短いプロローグ、その次の日の競技キャンセルの後、ダカール・ラリーはようやく本格的なレースを始めることとなった。ビジャ・カルロス・パスとテルマス・デ・リオ・オンドを結ぶコースは、ナビゲーション難度の高くないスピードコース。

モト部門では、トビー・プライスが最初のステージ優勝を記した。プライスはダカール・ラリー2度目のステージ優勝。彼はSSの間ルーベン・ファリアにぴったりついて走り、SS最後でファリアを引き離し、1,2秒差でステージを勝ち取った。

オート部門では初出場のフランス人セバスチャン・ロエブが、泥の中で2分失ったにもかかわらず、初めてのステージ優勝を果たした。

オーストラリア人トビー・プライスは前大会で初めてのダカール・ラリー出場だった、そして最終ステージで優勝した。だから、今大会は表彰台への思い入れが違う。その野望を証明するかのように、最初のSSでそのチカラを示した。しかし、事はそう簡単ではない。ハスクバーナのオフィシャル・ライダー、ルーベン・ファリアがスタートするなり悠々とリーダーの座につき、ほとんどトップを引いて走った。彼は3分前にスタートしていたホアン・バレダ を追い越してスクラッチ・タイムもトップにいた。そのファリアに食らいついて走り、最後に追い越した。SS2位はホアン・バレダ 、3位はフランス人アラン・デュクロ。

スロヴァキアのステファン・ソヴィツコは3番目のスタートにもかかわらず、果敢に攻め、トップとの差わずか1,5分でゴールした。しかし同じKTMのマチアス・ウォークナー、HONDAのパウロ・ゴンサルヴェス に割って入られ結局5位。本日見事なパフォーマンスを見せた一人、アルゼンチンのケヴィン・ベナヴィデスはSS8位。

クワッド部門では、2015年大会の悪夢を打ち消すかのようにイグナシオ・カザレが猛スピードでSSを走り抜けた。2014年大会に続き2度目の総合優勝という目標をきっちり抱きながら、チリのライダー、カザレは2位に大きなタイム差でゴールした。SS2位は南アのブライアン・バラグァナット、そして、1年ぶりに戻ってきたアレヒャンドロ・パトロネッリは3位でゴールした。タイトル保持者ラファウ・サノクはトップと6分以上の差で、SS6位に着いた。

オート部門、セバスチャン・ロエブはダカール・ラリーでトップタイプを出すパイロットに入り、優勝を期待して出場してきたのではないに違いない。9度のWRC世界チャンピオンというキャリアの持ち主とはいえ、ラリー界の強者相手に、ナビゲーションのスキルも十分獲得していないうちに、大仕事を成し遂げるなんてありえない。しかしなんと、フランスのアルザス出身パイロットは、いともたやすくライバルたちを追い抜き、チームメイトのステファン・ペテランセルに2’23の差でSSゴールを通過、初めての参加にして、初めてのSS優勝を手にし、総合でトップについた。

新型プジョー2008は明らかに大幅に改善されているようで、SS5度の優勝記録を持つウラジミール・ワシリエフと、宿命のライバルで同じトヨタのジニエリ・ド・ヴィリエに15秒の差でゴールした。ロエブと同じ元WRCパイロット、ミッコ・ヒルボネンはSS5位に入り、元モト部門から移籍してきたシリル・デプレはSS7位に入り、その実力と車のパフォーマンスを示した。
ナセル・アルアティヤはパンクで貴重なタイムを失い、カルロス・サインツは原因不明のエンジン・ストップで11分失った。そして、泥の中でメカトラブルになったナニ・ローマは45分、オーランド・テラノヴァ、グザヴィエ・ポンスはさらに30分ものタイムを失った。

カミヨン部門では、2015年大会同様、ハンス・スティシーが最初のSSを制した。10度目のダカール・ラリー参戦、今回はマンに移籍しての参加だ。2007年大会で総合優勝。しかし、今日のSSはピヨートル・ベラシウスにわずか48秒の差、そして従妹のジェラルド・デ・ローイに 1’51と僅差。本日のSSをほとんど1台でトップを引いていた地元のフェデリコ・ヴィアグラは最終的に5位。KAMAZの最もタイムが良かったのは2015年優勝者、アイラット・マルデーブで8位だった。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-300/videos-galery.html

2016/01/03 第1ステージ ブエノスアイレス→ビジャ・カルロス・パス

オート&カミヨン:リエゾン(移動区間)404km+競技区間258km=合計662km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間)404km+競技区間227km=合計631km

 

第1SS(競技区間) キャンセル

 
第38回ダカール・ラリーの最初のステージは、数日前からの雨によりコースが最悪のコンデションとなって、キャンセルとなった。黒い雲が低く垂れこめ、時折雷がなり、ヘリコプターや飛行機のフライトが不可、そして、競技者らの安全が確保できなくなった。そのため、エチエンヌ・ラヴィニュ ダカール・ラリー総監督は本日の競技キャンセルの決断を余儀なくされた。

ブリーフィングでキャンセルの報告の後、競技者らは本日のビバーク、ビジャ・カルロス・パスを目指してリエゾン移動となった。モト&クワッドはコンボイで、オートは自由走行の移動だった。さらに、まだ出発していないカミヨンは、夕刻アシスタント・カーのコースを使って直接ビバークに向かう。

競技上では、昨日のプロローグの成績順に、明朝第2ステージをスタートすることになる。第1走者は、モト部門はホアン・バレダ(HONDA)、オート部門ではベルンハルト・テンブリンケ(TOYOTA)。オート部門はプロローグの際、競技者ゼッケン360の事故の為、後続スタート予定の46台が走行できなかった。この競技者は、競技ディレクターからスタンダード・タイムを割り当てられることになる。

明日のステージのビジャ・カルロス・パス→テルマス・デ・リオ・オンドは難度がやや低めと予想されている。最初70kmをリエゾン、その後今大会最長のSSとなる。オート&カミヨンは510kmのコース。モト&クワッドは450kmのコースで難度は高くないがスピードの出しやすいコースの為、競技者の間のタイム差が開きそうだ。SSを終了後、250kmのリエゾンでビバークのテルマス・デ・リオ・オンドに向かう。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-200/videos-galery.html

2015/01/17 第13ステージ – レポート

2015/1/15  第13ステージ :ロサリオ – ブエノス・アイレス
全競技者 リエゾン:77km  スペシャルステージ: 174km  リエゾン:142km

今日のレース

「ロサリオからブエノス・アイレスに北上する道路の途中の174kmのSS。ブエノス・アイレス→コルドバのステージ1で走ったSSを逆走するように走る。主に農道の中でフラットなグラベルでスピードは出しやすいが、晴れて路面が乾くと砂埃が立ちやすく他の競技者を追い越すのは難しい。しかし今日の場合は、先日降った雨でコースが非常にスリッピーになっている。最後まで何がおこるかわからないのがダカール・ラリーだ。最終ゴールでリタイアする競技者が毎年いる。」と紹介されていたコース。

モト&クワッド部門はリバース・スタート、総合順位最後のモンゴル人Anar Chinbataarが最初のスタートで、コースをオープンした。SSが始まった後、徐々に雨風が強くなってひどくなって土砂降りで前も見えなくなった。スリップ事故などの危険を避ける為、競技区間がCP2(km101)までと変更になった。

豪雨の中、路面・視界の状態が非常に悪く、ライダーらはグループになってコンボイ移動のような走行となった。1時間あまりでトップグループがCP2=SSゴールを通過、2時間半ほどでSSが終了した。この為、今日のSSの結果は本来の競技とはいえないような順位に終わった。イワン・ジェイクス(スロヴァキア)が1位、2位、ステファン・ソヴィツコ(スロヴァキア)、45秒差、3位トビ―・プライス1分7秒差。
今朝総合18位にいたヤクブ・プシゴンスキ、SS2km地点であやうくリタイアしかけたが、牽引されてゴールした。

オート&カミヨンはいつもの順番どおり、昨日のSS順番通りのスタートだった。モト&クワッド同様、豪雨の為にCP1(km34)だけのSSとなった。トップ走者がわずか13分でゴールしてしまう短いSSで、こちらもいつもの顔ぶれと違う順位となった。SS1位ロビー・ゴードン(米)、SS2位、ルロワ・プールター(南ア) 25秒差、SS3位エミリアノ・スパタロ(伊)29秒差。
カミヨン部門はSS1位ハンス・スティシー(オランダ)、SS2位マルセル・ファンフリート(オランダ)、1分21秒差、SS3位アイラット・マルデーブ(ロシア)2分23秒差。

総括

ダカール・ラリー2015でスタートしたのは406台 (モト79台、クワッド 18 台、オート 68台、カミヨン 51台)、そのうちの216台がここブエノス・アイレスの最終ゴールに着いた。最後のSSはイワン・ジェイクスとロビー・ゴードンが優勝した。しかし何よりもマルク・コマが経験を生かしてダカール・ラリー5度目、ナセル・アルアティヤが2週間弾丸のように走って2度目の総合優勝を手にした。

永遠のライバル、元チームメイトのシリル・デプレと同回数になった。レジェンド、ステファン・ペテランセルの優勝記録まであと1回。この二人がダカール・ラリーで10年間君臨したが、常に正々堂々の競争を繰り返してきた。今年シリル・デプレが4輪に移籍し、マルク・コマのライバルはいないかと思われていた。しかし、とんでもない!2014年同様ホアン・バレダ が議論の余地なく、KTMを脅かす驚異のライバルだった。第2ステージでマルク・コマがタイヤのトラブルで12分タイム・ロスしたのに乗じてSS優勝、総合トップの位置にたった。その日以降、二人のスペイン人ライダーはいっしょに走り、2分縮めては2分引き離されるというサイド・バイ・サイドの戦い。何日にもわたる熾烈なトップ争いで、バレダ はミスなしで最後まで走る経験を積んだかに見えた。

しかし、第8ステージでバレダ のバイクにトラブル。冠水したウユニ湖を渡る時にダメージを受けたホンダのバイクがイキケのゴールまで走るのを拒んだ。ジェレミアス・イスラエルに牽引されてゴールしたが、そこでマルク・コマの総合1位の位置は決定的なものになってしまった。

その後、打倒KTMを掲げてダカール・ラリーに帰ってきた世界のホンダ3年目の名誉をかけてオフィシャル・ライダー、パウロ・ゴンサルヴェス が立ち向かう。終始際どい差でプレッシャーをかけ続けたが、最後総合2位に終わった。

ポディウムの3つ目はダカール・ラリー初参加のオーストラリア人27歳、トビ―・プライス。第12SSでステージ優勝、今大会中8回もトップ5入りして、またたくまに注目ライダーの仲間入りした。総合3位のポジションをめぐってパブロ・キンタニーヤとおおいにレースを沸かせた。オーストラリア人ライダーで1998年のアンディ・ハイドソン以来のルーキーのベストタイムとなった。

過去2度ダカール・ラリーに参加し、2度ともリタイアしていたパブロ・キンタニーヤは今回総合4位、それでも十分満足な成績だろう。難しい第8日目で初のステージ優勝、2016年にさらなる意慾をかけて出てくるに違いない。

ゴールできなかったが第1ステージ優勝のサム・サンダーランドや、プライスと同様初参加ながらステージ優勝を果たしたマチアス・ウォークナーら新世代の来年の活躍が楽しみだ。そして今回誰よりも輝いたのがライア・サンス、イキケのステージでSS5位という素晴らしい成績、何より総合9位という女性ライダーのダカール・ラリー史上最高の順位で才能ぶりを披露した。

クワッド部門、ラファウ・サノク(ポーランド)がついに総合優勝を手にした。過去6度のダカール・ラリー参戦でそのうち4回トップ4に入っていた。2014年の総合優勝者イグナシオ・カザレ(チリ)が最初の2ステージを制したが、その後第3ステージで総合1位をサノクに譲る。そして激しい競り合いの後、第10ステージでメカニックのトラブルでカザレがリタイアしてしまう。さらに同ステージでライバル、セルヒオ・ラフエンテ(ウルグアイ)、翌11ステージでヴィクトール・マヌエル・ガレゴスロシス(チリ)もリタイアしていった。

ヘレミアス・ゴンサレス・フェリオリは19歳でステージ優勝、ダカール・ラリー史上最年少のステージ優勝記録となった。唯一のフランス人、クリストフ・デクレールの2度のステージ優勝もここに記しておきたい。

オート部門、ナセル・アルアティヤ第1ステージでオーバー・スピードというつまらないミスでタイムペナルティを科されてしまう。しかし、そんなもの彼にとってどうでもよかった。今年は彼のものだというメッセージが渡される。そして彼は翌日ステージを制し、以降そのメッセージに忠実に総合トップを維持した。ステージ優勝5回、2日目以降一度もその位置を放すことなく彼は強力にこの37回大会を凌駕した。

そのナセル・アルアティヤを絶えず悩ませたのがジニエリ・ド・ヴィリエだ。2009年の総合優勝者ド・ヴィリエは、MINI
301号をトップの座から引きずり落とすべく、最後まで手を緩めない。車は確かにMINIほどスピードがない、しかしそれでもいやらしいくらい常にピッタリと2位につけてきた。彼の活躍を充分満たすにはステージ優勝が欲しかったかもしれない。渾身のパフォーマンスで、35分あまりの差で総合2位に終わった。

2014年大会のタイトル保持者、ナニ・ローマは第1ステージでわずか数kmで故障の餌食になり、いきなり最初から6時間遅れのハンディを背負う。第9ステージで優勝を果たしたり、目覚ましい挽回を見せるが、最終ゴールまで4日のところで無念の転倒、レースを離脱することになる。

同じく転倒でカルロス・サインツが第5ステージで離脱の運命を余儀なくされた。ラリーレイドに戻ってきたプジョーチームはサインツがいなくなり、優勝への夢は残るステファン・ペテランセルに託す。しかし、悲願のタイトルには遠くおよばず、完走できたことで満足しなければならない。シリル・デプレも同じプジョーでデリケートな4輪の1年生を体験した。

2015年大会で無念の結果に終わったうちの一人、オーランド・テラノヴァ(アルゼンチン)は第4ステージから優勝戦線を離脱することになってしまったが、最後まで彼の速さを証明し続けた。もしほんのわずか運があったら、総合優勝に最も近いパイロットだったのではないだろうか。ツいていなかったのはヤジード・アラルヒもその一人。第11ステージまで素晴らしいパフォーマンスを見せていたのに、その翌日SSの数kmで車の故障でリタイアすることになってしまった。初参加にして第8日目にステージ優勝、総合3位にいたというのに・・・。2016年でこのリベンジを果たしてくれるだろう。

エリート・パイロットが次々と大会を離脱したことでチャンスが回ってきたクシシュトフ・ホロウィッツ、総合3位になった。大会参戦10度目にしてようやく悲願のポディウムに上った。

市販車部では、チーム・ランドクルーザー・トヨタオートボディの三橋淳が昨年に続きクラス優勝。通算5度目。クラス2位はチームメイトのニコラ・ジボン(仏)。クラス3位はアレヒャンドロ・ヤコピニ(アルゼンチン)、トップの三橋と7時間40分あまりの差だった。

カミヨン部門では、はからずしも4年連続優勝のKAMAZが完全制覇の年ではなかった。ハンス・スティシー(オランダ)は第1ステージ優勝から始まって4度のステージ優勝を果たした。にも関わらず中盤のメカ・トラブルで落としたタイムが響いた。アイラット・マルデーブとエドワルド・ニコラエフのトップ争いに食い入ることはできずに終わる。
一方今大会で6度のステージ優勝を果たしたニコラエフは2013年の総合優勝を今年こそ再度手に入れると思われたが、第7ステージで後退、彼の後ろをコンスタントについていた若いアイラット・マルデーブが総合トップに躍り出る。2009,2011と父のイリギザール・マルデーブのメカニックとして参加し、その後パイロットに転向して参戦4年目、マルデーブは先輩を13分差し置いて総合優勝の座についた。総合3位は同じチームメイトのエドワルド・ニコラエフ。

排気量10リットル未満クラスでは菅原ジュニア照仁が総合16位と健闘、クラス優勝。父菅原義正が総合32位で、クラス2位。クラス3位はアゴスティーニ・リッゾルディ(イタリア)で照仁と45時間あまりのタイム差がある。

2015/01/16 第12ステージ – レポート

2015/1/16  第12ステージ :テルマス・デ・リオ・オンド- ロサリオ
全競技者 ;リエゾン:284km  スペシャルステージ:298km  リエゾン: 478km

今日のコース

モトGPやWTCCのワールドチャンピョンシリーズ、アルゼンチンレースの会場となる、テルマス・デ・リオ・オンドのサーキット傍のビバークで一夜を過ごした一行は、アルゼンチンを斜めに縦断する超ロングコースの1日が始まる。最終ゴールまであと2日となり、いっそうハイテンションで競技者が挑んでくるので、アグレッシブなドライバーの逆転劇もありそうだ。狭いコースに覆いかぶさる木々に要注意。

初ステージ優勝を手にしたプライス、自分へのご褒美のテラノヴァ

ブエノス・アイレスのスタート以来、常に上位にいた敏速のライダー、トビ―・プライスはダカール・ラリー初参加にして日々経験をかてに力をつけているようだ。ここロザリオで初ステージ優勝、総合3位、オーストラリアのルーキーは2015年大会のサプライズのひとつになりそうだ。オーランド・テラノヴァはオート部門での総合順位をどうすることもできないのは承知、それでも今日は大会4度目のステージ優勝を果たした。

最終ゴールまであと2日となった今日、プライスが初のダカール・ラリーで最初の勝利をおさめるにはあまり時間がなかった。ルーキーのステージ優勝はマチアス・ウォークナーが早々手にしていた。彼はだから、なんとしてもそのステージ優勝をもぎとりたかった。彼は1日前の今日のステージで、最初から最後までアタックをかけた。この12日間力を緩めるどころか、総合3位の腕前を今日のSSで十分に示した。この新参者を最も近くで見守る総合1位のマルク・コマから総合タイムの差は25分しかない。

ホアン・バレダ はトップと1’55”の差でSS2位、今日もHondaのチカラを見せつけた。コースをオープンする役を絶妙の手腕で果たした。パウロ・ゴンサルヴェス はその隣にぴったりついて、同じくハイ・レベルのライディングで走りSS3位につけた。しかしマルク・コマを脅かすには及ばず、総合で余裕の差をつけられている。

コマはトップと6’25”の差でSS6位でゴール、ダカール・ラリー5度目の総合優勝に向けて無理をしないで走る。そして2週目になって元気になってきたスロヴァキア勢、イワン・ジェイクスとステファン・ソヴィツコがSS4,5位でゴール。総合3位の座を争っていたパブロ・キンタニーヤはトップから10分あまり遅れてSS10位、総合でもプライスとさらに差が開いた。

クワッド部門、昨日のステージ優勝者クリストフ・デクレールが連続優勝を果たした、今大会2度目のステージ優勝。ロザリオまでの追い越しの難しいコースで、デクレールはぶっちりぎりで飛ばし、ネルソン・サナブリアに7分以上もの差をつけてゴールした。総合1位のラファウ・サノクは無理をせずトップと10分あまりの差でSS4位、初のダカール・ラリー総合優勝に向かって黙々と駒を進める。

オート部門、ナセル・アルアティヤに総合タイムで7時間ものの差をつけられているオーランド・テラノヴァは、既に大会総合優勝は望めないと終止符が打たれてしまっていた。にもかかわらず、最後の4日間ではSS2位が3回、そして、今日大会4度目のステージ優勝と努力の手を緩めない。今日の最終日前のコースで少しでも差をつけようと、終日アタックした。総合3位にいながら72kmでメカ・トラブルでストップ、6時間21分ものタイムを失った第4ステージの惨事が悔やまれる。

ウラジミール・ワシリエフはトップと30秒あまりの差でSS4位、総合順位も5つ上昇し満足の1日。ワシリエフは第5ステージで初のSS優勝を果たしている。そして、エミリアノ・スパタロがルノー Dusterでトップと1’29”の差でSS3位、今大会最良のステージとなった。

SS4位にはナセル・アルアティヤ、1’37”差。総合優勝まであと393 kmだ。そして、総合2位にジニエリ・ド・ヴィリエ、3位クシシュトフ・ホロウィッツがポディウムを目指して続く。

カミヨン部門ではハンス・スティシー(IVECO)がトップでスタートし、最後まで追い越されることなく走り抜き、連続ステージ優勝を果たした。スティシーは、同国のマルセル・ファンフリート(MAN)とジェラルド・デ・ローイ(IVECO)らから激しく追い上げられたが、あまり追い越すチャンスのないコース、それぞれ18秒、28秒差でのゴールだった。タイトル保持者、アイラット・マルデーブ(KAMAZ)はおとなしく5位でゴール、総合タイムで次位のエドワルド・ニコラエフに12’43の差で首位を守る。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145945637
 
 
 

2015/01/15 第11ステージ – レポート

2015/1/15  第11ステージ :サルタ – テルマス・デ・リオ・オンド
モト&クワッド   :リエゾン:24km  スペシャルステージ:357km  リエゾン:142km  
オート&カミヨン  :リエゾン:184km  スペシャルステージ:194km  リエゾン:142km


コースは風光明媚で知られるかの有名なルート40。しかし、ピストはハイ・スピードで競技者らはその景色を楽しむどころではなさそう。そして11日目、これまでの疲れもたまってきている。モト&クワッドはマラソン・ステージの後半で、途中59kmのニュートラルゾーンを含む、パート1、パート2のSS。ロードブックの注意書きやコースに最大限の集中が必要。オート&カミヨンには途中道路が狭く、覆いかぶさるような木の枝などに要注意。

バレダ とアルアティヤ、連続ステージ優勝

昨日のカチのステージで優勝を果たしたホアン・バレダ はそのスピードを緩めるどころか、一段とアップして、連続ステージ優勝を勝ち取った。HRCチームメイトのパウロ・ゴンサルヴェス もマルク・コマ挽回の意欲をあきらめず、SS2位。オート部門ではナセル・アルアティヤが再びSSをトップ・タイムでゴール、第2ステージ以来押さえてきた総合1位の座を一段と固め、彼の才能ぶりを示し、ブエノス・アイレスでの勝利に向かう。

ラリーに出たバレダの速さは相当なものだが、彼がいったん照準を合わせて全力を出すとまさにアンタッチャブルになる。今日のSSはまさに2015年大会でその実力を示すかのよう!彼は昨日に続き、今大会4度目のステージ優勝を果たした。しかし、より注目すべきパフォーマンスは、パウロ・ゴンサルヴェスの優勝をあきらめない走りだろう。マルク・コマに2’23”速いタイムでSSをゴールし、総合タイムで5’12まで縮めた。しかし、HRCチームにとって無念なことに、エンジン交換のペナルティで彼に15分が科されてしまう。マラソン・ステージの昨日、ゴンサルヴェス のバイクのエンジンが壊れた。チームのジェレミアス・イスラエルがエンジンを提供し、バレダ の物と交換、そしてバレダ のエンジンをゴンサルヴェスにのせ替えたのだった。そのエンジン交換によるペナルティだった。

マルク・コマはそれにより、リーダーの座を確保することができたが、KTMの同じエンジンをあと2日間キープしなければならない。イワン・ジェイクス(スロバキア)は嬉しい初のSS3位、トップと1’35”の差だった。その後にルーベン・ファリアやトビ―・プライスも2分あまりの差で続く。総合の3,4位を際どいタイム差で争っていたプライスは、高山病に苦しんでタイムを落としたパブロ・キンタニーヤに2分の差でSSをゴール、順位が逆転した。
今日のSSはトップ10台までが5分以内、17位までが10分以内に位置する際どいタイム争いだった。

クワッド部門では、クリストフ・デクレール(仏)が本日のSSをトップ・タイムで通過、今大会初のステージ優勝を果たした。次位のネルソン・サナブリア・ガレリーノ(パラグアイ)、ワルター・ノシリア(ボリビア)が6’50差の同時ゴールだった。総合6位にいたヴィクトール・ガレゴスはエンジンを壊して無念のリタイアとなった。強力なライバル、モハメッド・アブイッサ(カタール)、セバスチャン・ハルペルン(アルゼンチン)、ルカス・ボネット(アルゼンチン)らがこのマラソン・ステージで次々とリタイアしてしまい、ラファウ・サノク(ポーランド)が総合で余裕のトップ、次位のヘレミアス・ゴンサレス・フェリオリに2時間50分ものタイム差をつける。

オート部門、総合タイムで30分近くの差でトップをいくナセル・アルアティヤは、一分たりともライバルに譲りたくないらしい。それどころか、彼はさらにテンポを上げ、2日連続でSSを制した。今大会12度目のステージ優勝、ダカール・ラリー2015大会優勝への意欲を示した。ここで優勝すると、ダカール・ラリー25回参加、総合優勝5回目の記録になる。
そしてオーランド・テラノヴァも何度も素晴らしい成績を残してきたパイロットだが、昨日に続きナセル・アルアティヤにぴったりくっついてSS2位、わずか27秒差だった。ジニエリ・ド・ヴィリエはトップと39秒の差で3位のゴール、トヨタとMINIのタイム差を縮めることはできなかった。

驚きの成績を出したのは、ベネディクタス・ヴェナガス(リトアニア)、3度目のダカール・ラリー参加でベストタイム、SS4位でゴールした。トップと40秒の差。さらに、SS5位はロシアのウラジミール・ワシリエフ、トップとの差1’16。

オート部門も今日のSSはタイムを広げるのが難しかったようで、トップ30台が10分以内でゴールというダンゴ状態。

さらに今日の大きな目玉はヤジード・アラルヒのリタイア、昨日のマルク・コマのクラッシュ事故に続く優勝候補のリタイアだ。SSをスタートして数㎞地点、総合3位にいたアラルヒがバルブが壊れてストップ。初参加にして総合3位の夢が消えた。それによって、総合で4位にいたクシシュトフ・ホロウィッツが3位に上がってきた。ダカール・ラリー参加9度、今年はポディウムに登れるか。

カミヨン部門ではハンス・スティシー(オランダ)が今回初のステージ優勝。同じIVECOに乗る同国人ライバル、ジェラルド・デ・ローイとわずか1分あまりのタイム差だった。そしてKamazのニコラエフが3位、総合タイムでトップのアイラット・マルデーブとの差を2分縮めてプレッシャーをかける。二人の総合タイム差はわずか11分だ。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145833391

2015/01/14 第10ステージ – レポート

2015/1/14  第10ステージ :カラマ :– サルタ
モト&クワッド :リエゾン:385km  スペシャルステージ:371km  リエゾン:135km  
オート&カミヨン:リエゾン:385km  スペシャルステージ:358km  リエゾン:116km

モト&クワッド部門は2度目のマラソン・ステージ。チリとアルゼンチンの国境を越えた後、SSが標高3600mのサリナス・グランデス(大塩湖)から始まる。終日3500m-4500mの間を下り、登りの繰り返し、技術より体力勝負のコースとなりそうだ。最後、標高4,970mのアカイ峠を通過する。

本日のスタート直前になってコース変更、全車371kmとなった。

壮観な走りのバレダ, 一段と足固めのアルアティヤ

先日のSSで大きくタイムを失ったバレダ だが、ここカチのゴールで再び勝利を手にした。しかし、ライバル、コマの総合順位は動じない。総合で2位に大きなタイム差を持ち余裕のアルアティヤは、このSSでもライバル、ド・ヴィリエにタイムを広げながら、今大会4度目のステージ優勝。ブエノス・アイレスの最終ゴールのVへと一段と近づいた。

第8ステージで優勝への夢をたたれフラストレーションのたまるホアン・バレダ だが、できる限りの揺さ振りをかけようと反撃に出た。トップ・グループの中でも最も才能あるとみられるライダー、ホアン・バレダ はこうして大会3度目のステージ優勝を果たした。カチのゴールでSS2位のマルク・コマに1’39”につけた。しかしコマはこの宿命のライバルに大きなタイム差で総合1位をキープする。

パウロ・ゴンサルヴェスもSS5位での満足のゴール。ライバルKTMのコマに総合タイムでさらに2分落とすこととなったががっちり総合2位を維持する。パブロ・キンタニーヤは6’29差でSS8位、総合3位をキープしたものの総合4位のトビ―・プライスにわずか30秒の差に追い上げられた。
鎖骨の手術から2か月あまりで苦しいレースを続けてきたルーベン・ファリアは嬉しいSS3位。
ホアン・ペドレロ・ガルシアはSS最後で大きくタイムを失い後退した。

今大会第3ステージで初のSS優勝、昨日総合29位につけていた新人マチアス・ウォークナー(オーストラリア)は高山病のえじきとなって本日のSSのスタートを見合わせた。また、フランス人ユーゴ・ペイヤン(9度目のダカール・ラリー)も同理由でスタートを断念、リタイアした。

クワッド部門では、トップ3を南米勢が抑えた1日。ネルソン・サナブリア(パラグアイ)が若いヘレミアス・ゴンサレス(アルゼンチン)を相手にパーフェクトなレースでステージを制した。次位のゴンサレスと3’40”の差で、大会2度目のステージ優勝。そしてSS3位はウォルター・ノシグリア(ボリビア)。
一方総合タイムではラファウ・サノク(ポーランド)が1位をキープ、ライバルのイグナシオ・カザレ、セルヒオ・ラフエンテがリタイアし、2位に浮上してきたヘレミアス・ゴンサレスとは2時間51分もの差がある。

オート部門、第2ステージ以来総合トップをキープしているナセル・アルアティヤが無理な走りをすることもなく、本日のSSもステージ優勝の記録を伸ばした。SS2位のオーランド・テラノヴァと1’35”の差。そしてSS3位、4位はヤジード・アラルヒ、ジニエリ・ド・ヴィリエの3’39” と4’24”で際どいタイム差だった。

優勝争いを続けてきたナセル・アルアティヤとジニエリ・ド・ヴィリエだが、さらにタイムが開き総合で28分あまり。
クシシュトフ・ホロウィッツはトップと6分あまりの差でSS7位のゴール、総合で5位と浮上した。
ベルンハルト・テンブリンケも5’21”の差でSS6位、総合8位と固く上位を守る。
パーフェクトな走りを見せたのは今朝19番目のスタート、SS4位で終えたリーロイ・プールター(南ア、TOYOTA Hilux)。
ステファン・ペテランセルはトップと7’23”の差でSS9位。
ナニ・ローマはKM193で大きなクラッシュ事故。パイロット&コ・パイロット共に大きなケガは無かったが、クルマが大きなダメージでリタイアを余儀なくされた。

カミヨン部門ではエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)がチームメイトのアイラット・マルデーブにわずか40秒の差でSSを通過、6度目のステージ優勝を手にした。後者は総合トップをキープし、次席のニコラエフに13分あまりのタイム差を持つ。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145713788

2015/01/13 第9ステージ – レポート

2015/1/13  第9ステージ :イキケ- カマラ
全競技車   :リエゾン:51km  スペシャルステージ:450km  リエゾン:37km

本日のコース

今日のステージはアタカマ砂漠を離れ、50kmにわたる海岸の砂丘からSSが始まる。今大会2度目の全競技者同一コース。その後は、狭くカーブの多い、その上穴やこぶだらけの岩山の中のリスキィなピストで、クルマがダメージを受けやすい。ゴールは再び標高3000m地点になる。

堂々のロドリゲス、失意から救われたローマの優勝

昨日のイキケに向かう波乱の1日で3時間もタイムを失ったエルダー・ロドリゲスが、トップ・ライダーの意地を示し、ここカラマで素晴らしい一撃の勝利を手にした。SS2位のパウロ・ゴンサルヴェス は、コマにプレッシャーを与え続ける。

オート部門では、連続優勝を目指すMINIの車が、今大会第1ステージで不具合に陥った。夢は断念されてしまったナニ・ローマだが、今日そのステージ優勝を果たし微笑みが戻った。

総合タイムで大きく引き離されたエルダー・ロドリゲスには失うものは何もない。HRCのライダーは、450kmのSSを果敢にアタックしてカラマのゴールをトップ・タイムで通過、ライバルたちに大穴を開けさせた。自分のテーマをしっかり見極め、チームメイトのパウロ・ゴンサルヴェス に4分のタイム差をつけ、今大会2度目のステージ優勝を手にした。ゴンサルヴェスは、総合タイムでトップに立つマルク・コマに3’43”のタイムを縮めた。 9ステージを終えた今日、コマの総合優勝の座を脅かす唯一のライダーとなった。

マルク・コマが本日のSS3位、トップと7分あまりの差でゴール一方、今朝最初にスタートした地元チリのパブロ・キンタニーヤは23分あまり遅れてSS7位。一方、前半の週で総合1位をキープし続けたホアン・バレダ はトップと 19’47”差でSS4位でゴールした。しかし夜になってペナルティ調整後、15分のペナルティが科されて本日のSS結果は10位となった。

総合順位を整理すると、1位マルク・コマ、2位パウロ・ゴンサルヴェス 5’28” 、3位パブロ・キンタニーヤ26’52”、4位トビ―・プライス31’31”。 8位に女性ライダーライア・サンスがつける。

クワッド部門、昨年大会で初参加にして総合5位だった、ヴィクトール・ガレゴスがようやく初めてのステージ優勝を手にした。ブエノス・アイレスのスタート以来調子が上がらなかっただけに、やっと思い通りの走りができ目標を達成することができた。地元の地の利を生かし、次位のラファウ・サノクに15分以上の差をつけての勝利だった。

SS3位はウルグアイのセルヒオ・ラフエンテ、4位は総合トップにいたイグナシオ・カザレ。今日のSSでポーランド人サノクはカザレに10分あまり縮め、総合トップの座を奪回した。総合3位はウルグアイのセルヒオ・ラフエンテで52分以上の差があり、残り4日となったところ、サノクvsカザレの一騎打ちとなりそうだ。

オート部門、最初のステージでいきなりSS135位。それが、ここカマラの第9ステージでSS優勝。天文学的な上昇ぶりだが、MINIのパイロット、ナニ・ローマは最初の日の総合優勝の夢をそがれたにもかかわらず、このステージで優勝候補パイロットの意地を見せモラル・アップしてアタックした。結果、次位のナセル・アルアティヤに6’27”もの差でゴールした。しかし、カタール人アルアティヤは、総合では余裕でトップをキープする。

総合2位のジニエリ・ド・ヴィリエは15分ものタイムを失い、その差24分あまりとなってしまった。SSで大きなナビゲーション・ミスでトップとの差21’58, SS3位にロシアのウラジミール・ワシリエフが入り込んできた。後者は総合8位に浮上。

総合3位はヤジード・アラルヒ、トップと27分あまり遅れのゴールだったが200kmをブレーキ無しで走った後の成績だ。昨日まで上位にいたベルンハルト・テンブリンケ(TOYOTA Hilux)が数時間遅れて大きく後退した一方、モト部門からオート部門に移籍したばかりのシリル・デプレはSS10位と今大会最良の成績。モトでのナビゲーション・センスが生かされたか。

カミヨン部門は第1走者エドワルド・ニコラエフ(Kamaz)がSS前半を凌駕していた。しかし、チームメイトのアイラット・マルデーブが最後追い上げ、1’29差でSSを制した。マルデーブは総合で1位をキープ、後を追うニコラエフに14分あまりの差。総合3位は同じくKamazのカルギノフ、MANのアレス・ロプライスは1時間18分もの差で総合4位。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145582673
 
 

2015/01/12 第8ステージ – レポート

2015/1/12  第8ステージ :ウユニ- イキケ
モト&クワッド   :リエゾン:24km  スペシャルステージ:784km  
オート&カミヨン  :休息日

本日のコース

朝6時スタートの予定だったが、昨日の雨の為、SSコースが冠水。レースを中止するかどうか競技者らを加えて議論され、結局8時に変更してスタートすることになった。スタートは塩湖の中を6台づつ一斉スタート。そしてkm378を最初のライダーが通過した後、後半部のSSはキャンセルになった。

これにより、本日のSSはパート1をウユニ湖スタートの378km、その後リエゾンで移動した後、イキケのビバークまでの砂丘の中38kmをパート2とする2つのステージで競技が行われる。

キンタニーヤSS優勝, コマ総合トップに

チリのライダー、パブロ・キンタニーヤはダカール・ラリー参加1回目、2回目の年はついてなかった。それを振り払うかのように、運命の女神が彼に微笑んだ。初めてのステージ優勝で、総合順位も上昇。

一方総合順位ではコマがトップに出た。その優勝の座はかつてないほど安泰、ゆるぎない成功への道が開けた。

パブロ・キンタニーヤは今日のウユニ→イキケのコースでコスチュームを着替えたに違いない。ラリーが始まって以来、速いアウトサイダーは常に上位に位置していた。そして今日、ステージ優勝し、最終ゴールでの優勝候補者の一人となった。

数日前からメキメキと順位を上げてきた彼が、彼の祖国チリに再び戻るコースでおめおめと他のライダーにチャンスを許すわけがない。SSの前半は、昨夜一晩中降り続いた雨で冠水したウユニ湖の中を抜け、さらに到る所水たまりとなったコースをCP2(Km387)までで、後半のSSはキャンセルとなった。そしてSSパート2は、イキケのゴール手前38kmの砂丘の中のスプリントコーナー。このようなコンデションの中をステファン・ソヴィツコやホアン・ペドレロは他のトップライダーらがトラブルに苦しむ中、うまく冠水の中を飛ばし最終の砂丘の中でわずか11秒、12秒という差でゴールに滑り込んだ。そして、キンタニーヤは総合順位も3位に上昇した。

こうしたラッキーなライダーとは裏腹に、優勝候補の数人を含め、今日のコースの犠牲になった者もいる。アレッサンドロ・ボットゥーリ、ミカエル・メッジ、ダニエル・グエ、ジョルディ・ビジャドムスらトップ20以内にいたライダーがリタイアした。そして、上位6位の中で最も悲惨な一日となったのはホアン・バレダ とエルダー・ロドリゲス。昨日転倒した時にハンドルが真っ二つに折れてしまったバレダ は、ホンダ・アルゼンチンの有志デミアン・ギラルからハンドルを譲り受け、昨夜のうちに修理した。しかし、今日のコースの大部分をジェレミアス・イスラエルに牽引されて走り、SSをゴールした時にはトップと1時間20分もの差ができてしまった。一方のHondaのライダーエルダー・ロドリゲスもトップと3時間以上の差になり、優勝への夢は断たれてしまった。

優勝争いの片方、マルク・コマの経験と知恵が今日のレースの采配を性格づけたか、悪夢のような体験をせずにSS9位につけた。そして、強いトビ―・プライス、信じられないライア・サンス(SS5位)がトップ10入りした。

クワッド部門では、僅か19歳のアルゼンチン人、ヘラルド・ファレスが初めてのステージ優勝を果たした。そして昨日まで総合トップにいたラファウ・サノクは、トップと36’42差で8番目のゴール、総合で次位にいたイグナシオ・カザレに7分近いタイム差でトップを譲ることとなった。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145301646
 
 
 

2015/01/11 第7/第8ステージ – レポート

2015/1/11
モト&クワッド 第7ステージ :イキケ- ウユニ

モト&クワッド イキケ→ウユニ湖 :リエゾン:392km  スペシャルステージ:321km   リエゾン : 4km

モト&クワッド 本日のコース

モト&クワッド部門は昨日イキケで休息日を経て、レースを再開。後半の週はマラソン・ステージから始まる。昨日のオート部門と同コースで、ウユニ湖のビバークへと向かう。

絶対にあきらめないゴンサルヴェス

ブエノス・アイレスをスタート以来、総合2,3位の位置をがっちり押さえているパウロ・ゴンサルヴェス が、今日のSSで最終ゴールの優勝の可能性を示した。本日今大会初のSS優勝、ダカール・ラリー通算2度目のSS優勝。

野心家パウロ・ゴンサルヴェス は、最初の週をホアン・バレダ とコーマの二人のトップ争いの陰で目立たず走っていたが、意欲を示すかのよう今日は2015大会で初のステージ優勝を勝ち取った。マルク・コマにわずか14秒あまりのタイム差で手にした優勝だ。しかし、リーダー、ホアン・バレダ に総合で10分足らずの差を維持している。

このマラソン・ステージはHONDAチームの悲願どおりにはいかないようで、ホアン・バレダはSS200km地点で転倒してしまった。バイクのハンドルを壊し、残り120kmを片手で運転、SSをゴールした。しかしそれでも総合タイムで次位のマルク・コマに6分以上のタイム差で首位をキープしている。

一方マチアス・ウォークナーはトップとの差30秒あまりでSS3位、パブロ・キンタニーヤも4位、トビ―・プライスがSS5位と若いライダーが上位に食い込んだ。

クワッド部門では今大会2度目の参加、ネルソン・オーグスト・サナブリアガリアーノ(パラグアイ)が初めてのSS優勝。ラファウ・サノクが5’46”差でSS2位、総合では相変わらずトップをキープする。総合2位にいたイグナシオ・カザレ、CP2手前で転倒し、足を骨折したにもかかわらず、果敢にトップとの差11’37”でSSゴールした。

2015/1/11  
オート&カミヨン  第8ステージ :ウユニ- イキケ

オート  ウユニ湖→イキケ  :リエゾン:24km  スペシャルステージ:784km  
カミヨン イキケ周辺          :リエゾン:24km  スペシャルステージ:273km  

今日のコース
オート部門は、マラソン・ステージの2日目、ウユニ湖からボリビアの国境を越え、再びチリのイキケに戻る。SSは氷のように輝くウユニ塩湖の中を100kmにわたって通過。その後テクニカルな山岳部の中のコースを経て、最後40kmの砂丘。恒例の巨大坂下りでイキケのビバークとなる。

カミヨン部門は、昨日同様、他の部門と全く別のコースでイキケのチームクルーが待つビバークに再び戻る。SSはメインが砂丘。

アラルヒ 優勝争奪の仲間入り

大会初参加のサウジアラビア人、ヤジード・アラルヒは最初から注目を集めてきたが、この第8ステージで始めてのステージ優勝を手にし、その才能ぶりを示した。

エジプト・ラリーでナセル・アルアティヤを差し置いて優勝したこともあるヤジード・アラルヒは、ラリー・レイド界で決して無名のパイロットと言うわけではない。今大会でもトップ10入りを目指し、4日目以降総合3位につけてきており、後半の週ではSS優勝を狙っていたに違いない。しかし何よりも、総合タイムでトップのナセル・アルアティヤとわずか18分の差、ダカール・ラリーの初総合優勝もありうる話になってきた。

彼のステージ優勝は今大会初めてのステージ優勝をトヨタチームにもたらしたが、ジニエリ・ド・ヴィリエもたがわずきっちり仕事をこなす。最後の砂丘ステージのパンクで数分失ったものの、イキケのゴールで総合タイムでアルアティヤに失ったタイムはわずか数秒。総合2位を8分あまりの差でキープする。

オーランド・テラノヴァも1’12”でSS2位と快調な走り。昨日のSS優勝につづき、4日目に失った大きなタイムが惜しまれる。クシシュトフ・ホロウィッツ、トップと3’12”差でSS5位、総合時間で次位のベルンハルト・テンブリンケに1時間以上のタイム差で余裕の4位につけている。

カミヨン部門は、エドワルド・ニコラエフが今大会5度目のステージ優勝。第7ステージでSS20位でゴールし、総合4位に後退したが、今日のSSで3位に挽回した。SSでは2位にジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が11分あまりの差で着き、SS3位はKAMAZのチームメイト、アンドレイ・カルギノフ。

総合では、アイラット・マルデーブ、アンドレイ・カルギノ、フエドワルド・ニコラエフとKAMAZが1,2,3位を押さえる。

排気量10リットル未満クラスは、日野チームスガワラのJr.照仁がSS11位という好成績で総合順位も17位に上昇。父義正がSS23位、総合30位と奮闘している。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145301646

2015/01/10 第7ステージ - レポート

2015/1/10  第7ステージ :イキケ–ウユニ
モト&クワッド  休息日
オート     :リエゾン:392km  スペシャルステージ:321km   リエゾン : 4km
カミヨン    :リエゾン:101km  スペシャルステージ:335km  

本日のコース

モト&クワッド部門は休息日

そして、オート部門はチリのイキケ→ボリビアのウユニへ向かい、カミヨン部門はビバークの東側の山麓部を回ってイキケのビバークの南東約60㎞に設けられたマラソン・ビバークに入るという別々のコース。
マラソン・ステージのビバークには競技者のみ入れるので、チームのメカニック・サポートが受けられない、人にもクルマにも難しい、ダカール・ラリーの山場となるコースで、今日はその2日間のマラソン・ステージの1日目。

オート部門は、朝5時にイキケのビバークをスタートした後、僅か200kmで標高3500mに達するという山登りのリエゾンでSSスタート地点に向かう。その後、SSは標高3700m地点をスタート、時に標高4000m近い所までの山岳の中を登ったり下りたりしながら、ウユニ湖のビバークと続く。コースは多くの分岐があり、的確なナビゲーションが求められる一方、高地でのパフォーマンスが勝負を分けることになろう。
一方カミヨン部門は101km北東に移動後、SSの大部分が昨日のSSを反対の方向に向かって走るコースで、ゴール手前は40kmほどの砂丘。

テラノヴァSSを制し、ド・ヴィリエタイムを縮める

総合ではトップと離れていながら、テラノヴァがイキケからウユニ湖に向かう山岳コースで猛アタックを掛け、今大会3度目のステージ優勝を果たした。一方、総合順位でトップのアルアティヤを追うド・ヴィリエは、今日のSSで3分ものタイムを縮めた。

オーランド・テラノヴァにとっては何とも今大会の4つ目のステージが悔やまれる。地元アルゼンチンでブエノス・アイレスの1日目SS優勝と華々しいスタートを切ったにもかかわらず、4日目のステージの72km地点でメカ・トラブル、トップと6時間半近いタイム差でゴールし、優勝争奪戦から離脱してしまったのだった。テラノヴァは地元だけでなく、ここ隣の国チリでもその才能ぶりを発揮、3度目のSSを制した。TOYOTA ハイラックスのヤジード・アラルヒに2’20”の差だった。そして、SS3位もチームメイトのベルンハルト・テンブリンケ。SS4位のクシシュトフ・ホロウィッツ(MINI)と共にトップとの差3分以内にゴールした。総合順位も上げ、アラルヒ総合3位、ホロウィッツ4位、テンブリンケ5位となった。

一方、ジニエリ・ド・ヴィリエにとってもSSをトップと6’50”の差で6位のゴール、嬉しい一日になった。これで総合トップのナセル・アルアティヤに3分ものタイムを縮めることができたのだ。今朝最初にスタートしたナセル・アルアティヤのMINIは高所病にかかったのか、途中何度かストップしていた。

SS序盤で驚くようなスピードを見せたステファン・ペテランセルはトップとの差、10分あまりでSS8位、後続のロビー・ゴードンとわずか5秒差だった。

カミヨン部門では、アレス・ロプライス(MAN)が今大会初めてのステージ優勝。最初から猛烈に飛ばし、SS2位のジェラルド・デ・ローイ(IVECO)に5分あまりの差をつけてゴールした。結果、アレス・ロプライスは総合順位も大きく上昇、5位につけた。

昨日まで総合トップ、今朝の第1走者のエドワルド・ニコラエフ(KAMAZ)はCP4-CP5の間でトラブル、なんと1時間以上ものタイムを失ってしまった。総合順位は4位に後退した。チームメイトのアイラット・マルデーブ、アンドレイ・カルギノフがそれぞれ総合1位、2位に上がった。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145211466

2015/01/09 第6ステージ – レポート

2015/1/9  第6ステージ :アントファガスタ- イキケ
モト&クワッド   :リエゾン:322km  スペシャルステージ:318km  リエゾン:48km  
オート&カミヨン  :リエゾン:322km  スペシャルステージ:277km  リエゾン:48km

本日のコース

太平洋に沿って北上し、イキケへ向かう。モト&クワッドは、途中オート&カミヨンのコースと別れ、海岸べりのエンデューロ・タイプのコースに入る。その後、全競技者が巨大で長い砂丘に入り、ビバークへ。しかし、今年は恒例の巨坂下りはない。今回初めて、イキケの市内にビバークが設置されている。昨年大きな地震に見舞われたこの地域の人々が、ダカール・ラリーとの再会を心待ちにしている。

ロドリゲス、ようやく表舞台へ、アルアティヤ、さらにクギを打つ

ブエノス・アイレスのスタート以来、あまり目立った活躍のなかったロドリゲスだが、ここにきて過去5回のステージ優勝を持つ底力を見せつけた。イキケで1つ追加されたから通算6度目のステージ優勝だ。アルアティヤはブエノス・アイレス出発以来イメージしていた通りに、SSゴールをトリオで通過できた。しかし、ド・ヴィリエの追い上げに脅かされる総合タイムだ。

超コンスタントに上位につき、野心家のエルダー・ロドリゲス(ポルトガル)は、常々彼がSS優勝していないのを不思議がられるほどの実力の持ち主。2011年2012年にそれぞれ2度のステージ優勝を果たしたものの、南米で行われているダカール・ラリー2015は彼には微笑まないのかと思われていた。昨日の総合順位は10位、期待通りとは言えない。しかし、この318kmのSSを完璧にこなし、2位のトビ―・プライス(KTM)に2’20”のタイム差でSSゴールを通過した。SS2位のオーストラリア人、プライスは初参加にして、ナビゲーションの才能、走りの腕前を披露した。

パウロ・ゴンサルヴェス はトップと1’42”差でSS3位につけ、バレダ &コーマとのタイムを縮めた。HONDAの伏兵ゴンサルヴェスは総合タイムでトップと17分差、続くパブロ・キンタニーヤ(KTM)には27分もの差をつけ、きっちり3位を守る。後者はSS4位、総合でも4位だ。

トップ争いを続けるホアン・バレダ とマルク・コマ、今日も一緒にトップ・グループの後方をややスピードを抑え気味に走った。SS初盤でコマが軽い転倒し、そこでバレダは昨日失った2分を挽回した。

一方ジョルディ・ビジャドムス(KTM)は途中ストップして大きくタイム・ロス、トップとの差35分あまりでゴール、優勝争奪戦から退いた。

クワッド部門は地元チリ人イグナシオ・カザレが、ダカール・ラリー2度目の総合優勝への意欲を示すかのように猛アタック、ライバル、ラファウ・サノクに6分あまりの差でゴールした。しかし、総合タイムで16分あまりの差でサノク(ポーランド)がトップを引く。総合3位はセルヒオ・ラフエンテ(ウルグアイ)、41分もの差をつけられている。

オート部門、ナセル・アルアティヤは総合トップにいるだけでは飽き足らず、今日もMINIのSS優勝を重ねた。今大会6度のステージのうち3回優勝し、彼の速さを印象付けている。しかし、ライバル達もおとなしく彼ひとりにトップを譲っているわけではない、ジニエリ・ド・ヴィリエが37秒、ナニ・ローマ1’42”、ロビー・ゴードンも1’45”という僅差でSSをゴールする。ド・ヴィリエは総合順位でも2位につけ、わずか11分あまりの差で、逆転を虎視眈々と狙う。

ナニ・ローマとロビー・ゴードンは、今日の好成績にもかかわらず、総合タイムはトップから大きく離れており、総合3位はヤジード・アラルヒ、4位はクシシュトフ・ホロウィッツが抑える。

プジョーのステファン・ペテランセルは途中140km辺りでメカ・トラブルでストップ、30分あまりのタイムを失った。

カミヨン部門、4/6、エドワルド・ニコラエフ(Kamaz)の今大会のSS優勝回数だ。なんという強さ!チームメイトのアイラット・マルデーブに5分以上、アンドレイ・カルギノフに10分以上の差でSSをゴールした。そして総合順位では、KAMAZが1,2,3,4位を押さえている。

映像 ⇒ VIDEOS:Stage6 http://www.dailymotion.com/video/145104514

2015/01/08 第5ステージ – レポート

2015/1/8  第5ステージ :コピアポ* - アントファガスタ
リエゾン:174km  スペシャルステージ:458km  リエゾン:65km

今日のコース :
今大会初めての全競技者が同ルートのコース。SS初盤はアンデス山麓に沿ったグラベルのスピード・コースだが、時折フェシュフェッシュで覆われた場所や、リオ(涸れ川)の底を通過するなど多くの罠が潜んでおり、常に集中が必要。

コマがトーン・アップ, ワシリエフ初優勝
ブエノス・アイレスの第1ステージ以来、熾烈な争いを続けているバレダ とコマ、2’16”差でコマが2015大会初めてのステージ優勝を果たした。一方バレダ はパニックすることもなく、総合順位でトップの座を余裕で維持する。オート部門ではワシリエフ(ロシア)が初めてのステージ優勝。

もしホアン・バレダ がマルク・コマほどの経験が無いとしたら、彼は相当利口なライダーのようだ。昨日のチレシト―コピアポのステージでKTMのコマに2分のタイムを広げたバレダ 。彼は今日は第1走者でコースをオープンして走る。しかし、彼がトップを引いたのは30kmあまり。オープン役をコマに譲り、その後ろをついて走った。バカなミスをすることもなく余裕のスピードに乗って。機知にたけた戦略、なぜならSS優勝をコマに譲ったところで、わずか2分あまり、総合タイムは余裕の10分の差があるからだ。アントファガスタのSSゴールでバレダ は大きくアドバンテージを手にしている。コマが2015大会の初のステージ優勝に酔いしれようが、この後にマラソンステージが待っていようがなんのそのだ。

シェフ2人がトップ争いを繰り広げている後方では、パブロ・キンタニーヤが新たにのし上がってきた。ダカール・ラリー参戦3度目にして(過去2度はリタイアだったが)、地元チリでSS3位という殊勲を上げた。結果、総合順位も4位に浮上した。総合3位にはしっかり3位を守るパウロ・ゴンサルヴェス がおり、10分あまりのタイム差がある。

そして、スロバキア人ステファン・ソヴィツコがミスもなくコースをクリアし、トップと 3’54”差でSS4位につけた。一方でジョルディ・ビジャドムス(KTM)、ルーベン・ファリア(KTM)らは大きなタイム・ロス。HONDAチームが2,5,6,7位、KTMが1,3,4位と押さえる中、Yamahaチームは上位からほど遠い順位。

クワッド部門は、昨日からポーランド人、ラファウ・サノクが総合トップに立っていたが、今日のSSでも次席のイグナシオ・カザレに10分あまりのタイム差をつけてステージ優勝を果たした。総合タイムではライバルに24分もの差をつけ、トップの座がますます安泰してきた。

オート部門、今朝のSSを11番目でスタートしたウラジミール・ワシリエフが無名のパイロットを脱け出て、一躍その名を知られることとなった。ダカール・ラリー参戦3度目、今年、今日の485kmのSSで気合を入れ、大きく飛躍した。SS前半で既に前を走るヤジード・アラルヒに6分もの差をつけてCPを通過、最後のSSゴールを同者に20秒差で通過した。

ロビー・ゴードンも今日は奮闘、最初の日にSS3位という輝かしい成績を取りながら翌日は50位に落ち、3日目には15位に上がり、4日目は47位、そして今日はSS3位となんとも上下が激しい。総合順位は昨日と同位置のまま39位。

総合順位ではナセル・アルアティヤがトップをキープ、続くジニエリ・ド・ヴィリエに2分あまりの差。
プジョーのステファン・ペテランセルは6位でSSをゴール、カルロス・サインツは転倒してダカール・ラリーを離脱、そしてシリル・デプレは故障で長時間ストップ、トップと1時間以上の差でSSゴールとなってしまった。MINIのクシシュトフ・ホロウィッツはトップと 8’49”差でSSをゴールし、総合でも4位につけた。

カミヨン部門、コピアポの今朝のSSを第1走者アイラット・マルデーブ(Kamaz)に続いて2分後にスタートしたエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)、後者が昨日に続いて2度目のステージ優勝を手にした。総合順位も、チームメイトのマルデーブに代わって、ニコラエフがトップにたった。
SS1,2をKamazのロシア人が抑える一方、ベラルーシのヴィアゾヴィッチがSS3位につけた。アンドレイ・カルギノフ(Kamaz)はSSの後半部でトラブル、20分あまりタイム・ロスし、総合でも4位に後退した。
菅原父子、ジュニア照仁がSS22位、父義正SS36位、総合順位ではそれぞれ21位、33位といつもながら巨人の中の小人の驚異の成績を続けている。

映像 ⇒ VIDEOS:Stage5 http://www.dailymotion.com/video/144987675

2015/01/07 第4ステージ – レポート

2015/1/7  第4ステージ :チレシト- コピアポ
モト&クワッド,オート :リエゾン:594km  スペシャルステージ:315km    
カミヨン  :リエゾン:594km  スペシャルステージ:174km  

今日のコース
アルゼンチンを出て今日はチリに入る。かなり早い時間にビバークを出発し、リエゾンで高度4800mのサンフランシスコ峠を抜けてアンデスを山越する。続く315kmのSS (カミヨン部門は174km)は鉱山の中のピストから、次第にアタカマ砂漠へと侵入する。徐々に空間が広がり砂路面になって、コピアポのゴールまで40kmは大きな砂丘ステージ。

バレダ とアルアティヤが総合トップに
SSでは終日、トップを引くマルク・コマについて走っていたホアン・バレダ 。しかし最後の十数kmで追い越し、今大会2度目のSS優勝を果たした。HRCチームのライダーはレースが始まってわずか4日で総合順位トップの座についた。
同じ戦略でアルアティヤも熾烈なライバル争いから抜け出し、トップでゴール、本日のSSを制した。

チレシトのスタートをトップでスタートしたホアン・バレダ は余裕のタイム差があるので無理な走行はしない。経験豊かで速いマルク・コマについて、バレダ はさらにタイムを縮められるよう速いスピードにのって理想的な位置でSSを走行した。しかし競技者の意地として、バレダ はおとなしくライバルKTMに2015大会の優勝旗を譲るわけにはいかない。SS最後で巻き返し、今大会2度目のステージ優勝を果たした。ダカール・ラリー4度の総合優勝者マルク・コマは、明日から反撃にかかって来るに違いない。

一方、総合2位にいたチームメイトのパウロ・ゴンサルヴェス は、絶好調のチームメイトをよそに15分ものタイムをロスし、SS12位と後退してしまった。ライバル、ルーベン・ファリア(KTM)も同様トップと11分遅れのSSのゴールで、総合タイムはリーダーと23分もの開きができた。
チリ人パブロ・キンタニーヤ(KTM)が地元に花をもたらすべく奮闘、トップと3分あまりの差でSS3位のゴール、総合でも6位に浮上した。SS4位はジョルディ・ビジャドムス(KTM)、11分近い差でSSをゴールし、総合で5位につける。昨日のステージ優勝者、マチウス・ウォークナーは23分ものタイム・ロス、総合タイムでトップとの差33分になった。
女性ライダー、ライア・サンスはSS8位と素晴らしい走りを見せた。総合12位に浮上。

クワッド部門ではラファウ・サノクが、1日目2位、2日目4位、3日目3位、そして4日目の今日ついにSS優勝を果たした。総合順位でトップに浮上したポーランド人サノクはこのコピアポのステージで、輝かしい成功を手に入れ、併せて総合タイムでもライバルたちと大きく差を広げた。地の利を得たチリ人、イグナシオ・カザレのみがSSで3分半ほどのタイムでゴールしたが、他のライバルたち、モハメッド・アブイッサやラフエンテは13分以上の差でのSSゴールだった。

オート部門、カタール人、ナセル・アルアティヤは終日トップ集団の中で走り、最後の砂丘ステージに入って大きく他を引き離した。いかなる路面でも怖いもの無しというところか。チームメイトであり2014年大会総合優勝者、ナニ・ローマも奮闘、2’40”差でSS2位につけた。しかし、MINIを脅かすTOYOTA Hilux のジニエリ・ド・ヴィリエもトップとの差2’57”でSS3位につき、総合順位で2位。最終ゴールのポディウムを虎視眈々と狙う。
TOYOTA Hiluxチームは、サウジアラビア人ヤジード・アラルヒ、オランダ人テンブリンケらがそれぞれSSを3位5位でゴールし、総合タイムで2位、3位、4位を押さえるステージとなった。アラルヒはダカール・ラリー初参加の驚きの成績だ。

プジョーに乗るステファン・ペテランセルはCP5を素晴らしい走りで飛び込んできたが、熱意が大きすぎたか、チェックポイント2mのところでパンク。それでもトップと5’48”の差でSSを終えた。
チームメイトのカルロス・サインツはスタート後30kmあまりの地点でメカ・トラブル、長時間ストップして総合優勝への夢が断たれた。
同じく失意の一日となったオーランド・テラノヴァ、総合3位で今朝3番目にスタートしたが、72km地点でストップし、優勝候補から外れることとなった。
チーム・ランドクルーザー・トヨタオートボディチームのジボン、三橋がトップから1時間ほど遅れて、それぞれ41位、43位でゴールし、61台がSSゴールを通過した現在(現地時間22時)、まだゴールできていない。
ロビー・ゴードンもまだコピアポに着いておらず、トップとの時間差は数時間となってしまう。

カミヨン部門では、アンドレイ・カルギノフ、エドワルド・ニコラエフ、アイラット・マルデーブのKamaz3台が1,2,3フィニッシュを果たした。カルギノフはトップ・タイムでSSゴールを通過したが、その後の判定で1分のペナルティを科され、ステージ優勝はニコラエフのものとなった。総合でもKamazが゙1,2,3を押さえ、ライバル、アレス・ロプライス(MAN),ハンス・スティシー(IVECO)が10数分差で追う。カミヨン部門は1度のトラブルでも大きくタイムを失うので、いつ交代劇があるのか目が離せない。

映像 ⇒ VIDEOS:Stage4 http://www.dailymotion.com/video/144824967

2015/01/06 第3ステージ – レポート

2015/1/6  第3ステージ :サン・ホアン- チレシト
モト&クワッド   :リエゾン:282km  スペシャルステージ:284km  リエゾン:232km  
オート&カミヨン  :リエゾン:26km  スペシャルステージ:220km  リエゾン:155km

今日のコース:
競技者らがかなり遅くビバークに到着することとなった今大会最長SSの昨日のステージで競技者らにかかったプレッシャーは、今日のチレシトへのコースで解放されることだろう。それほど難度の高くない短い今日のSSで、ようやく競技者らは壮大な景色を楽しむこともできるに違いない。切り立ったキャニヨンの中を抜ける赤い土のピストは、アルゼンチンでも指折りの美しい地域。ただし、モト&クワッド競技者は、非常にマシーンにダメージを与えやすいコースで、景観どころではない。

ウォークナー、サプライズのSS優勝、テラノヴァ反撃

ダカール・ラリーの新米は全部が全部“ゆっくり”走るのではなさそうだ。KTMライダー、マチアス・ウォークナーは少なくとも、これまで新米はゆっくりのイメージを覆し、ダカール・ラリーで初のステージ優勝をはたした。オート部門ではオーランド・テラノヴァが2度目のSS優勝。

ダカール・ラリー初参加にして、1日目SS8位、翌日の最長SSステージで6位、そして、今日はSSトップ。マチアス・ウォークナーはダカール・ラリー勝利の道を最短で上った。MX1-MX3でトリプルチャンピョン、オーストリア人ウォークナーは今日のSSでCP2を通過する時既にトリオのトップにおり、その後チレシトへのコースをオープンして走った。そのルーキーと共に終日走ったマルク・コマは40秒遅れでSS2位。昨日のステージ優勝者ホアン・バレダ総合トップをキープ、ウォークナーにわずか40秒しか許していない。

SS4位はトビー・プライス、今日もそのルーキーの好調ぶりを示した。総合順位ではホアン・バレダ のチームメイト、パウロ・ゴンサルヴェス が2位を守る。アラン・デュクロ(Sherco)はSSゴール手前で絶妙なパフォーマンスで6位にすべりこんだ。女性ライダー、ライア・サンスが総合17位につける。

クワッド部門では、トップグループの常連、アルゼンチン人ルカス・ボネットが14位からごぼう抜きにライバルを追い越し、SSをトップで通過するという素晴らしいパフォーマンスだった。CP2をトップで通過したセバスチャン・ハルペルンは、ゴール手前で追い越され、58秒差でSS2位となった。総合トップにいたラファウ・サノクは2’14の差でSS3位のゴール、トラブルに見舞われ大きくタイム・ロスしたイグナシオ・カザレは総合で大きく後退した。総合順位では、サノクが15分のペナルティを受け総合3位に。そして、総合トップはウルグアイ人セルヒオ・ラフエンテが躍り出た。

オート部門、地元アルゼンチンのテラノヴァがみすみすチームメイトのアルアティヤがトップを引くのを見逃すわけにはいかない。知り尽くした地の利を生かし、見事SS優勝を勝ち取った。CP1までテラノヴァの前を走っていたジニエリ・ド・ヴィリエとアルアティヤだが、ド・ヴィリエはテラノヴァに続いてSSゴールを1分54秒差で通過し2位。

総合順位では、ナセル・アルアティヤがトップをキープ、5分あまりの差でToyotaのジニエリ・ド・ヴィリエが追う。

プジョーチームのカルロス・サインツ、今日はそのチカラを示し、SS4位でゴール。総合でも4位に浮上し、最終ゴールのブエノス・アイレスでの優勝も圏内にはいった。ステファン・ペテランセルも奮闘、SS7位でゴール。さらに、彼のかつてのチームメイト、ナニ・ローマも水面から顔を出し、SS6位でゴール。今朝3番目にスタートしたベルナール・テンブリンケは30分ものタイム・ロスで8位に後退した。

カミヨン部門では、アイラット・マルデーブ(Kamaz)が1日目6位、2日目3位、そして今日はSS優勝と日に日に浮上した。そして2014年の総合優勝のアンドレイ・カルギノフ(Kamaz)も2分あまりの差でSS2位、トップと 4’30差でジェラルド・デ・ローイが3位のゴールだった。総合順位ではアイラット・マルデーブがライバル、アレス・ロプライス (Man)に8分もの差をつけている。

映像 ⇒ Stage3 http://www.dailymotion.com/video/x2e5gmg_stage-3-car-bike-stage-summary-san-juan-chilecito_auto

2015/01/05 第2ステージ – レポート

2015/1/5  第2ステージ :ヴィージャ・カルロス・パス  – サン・ホアン
リエゾン:26km  スペシャルステージ:518km  リエゾン:81km  
カミヨンのみ :リエゾン:26km  スペシャルステージ:331km  リエゾン:289km

本日のコース :
昨夜ゴールした後, 休息はほんの一瞬にしか思えないことだろう。2日目今日のサン・ホアンへのコースは、大会でも最も長いSSのコースで、盛りだくさんな1日が待っている。SSの初盤は堅い岩盤、そして砂埃ステージへと続き、ゴール手前で砂路面へと。本格的なレースにかかり、コンスタントな集中力を維持することが本日の成功のカギとなる。

バレダとアルアティヤがステージを制する

昨日の最初のスピードステージで、勝つより譲るほうを選んだ賢い競技者、ホアン・バレダ は今大会最長のSSに全力を投入し、ライバルたちに大きく差をつけて優勝した。サム・サンダーランドはゴール手前70kmで、(かなり)長時間にわたってコースを失いタイム・ロスした。

オート部門ではナセル・アルアティヤがライバルに8分30秒もの差をつけてSSトップでゴールした。今日のコースはいかなるレベルの競技者にせよ、大きなダメージを受けたコースであったに違いない。

ホアン・バレダ 、既にSS優勝を10回も重ねている。しかし、その彼はこれまで総合7位に甘んじる結果だった。今日は、今大会こそ成績を残すという彼の意欲を充分証明できるような成果となり、これまでチームHRCとコラボレーションを組み続け、この第2ステージでバレダ はチームHRCの期待に応えることができた。518㎞もの超ロングステージを、彼はマルク・コマ、サム・サンダーランドと終日戦い抜いた。マルク・コマはゴールあと60㎞というところで、タイヤがバースト、SS優勝が砂上に消え、昨日のSS優勝者サンダーランドは2時間ものタイム・ロス、最終的にバレダ が優勝旗を勝ち取った。

一方、パウロ・ゴンサルヴェスはホアン・バレダ と6分のタイム差、再び2位。総合トップを狙える優位な順位だ。SS3位は鎖骨の手術を2か月前に受けたばかりのルーベン・ファリア、トップと9分差でつけた。その4秒遅れでジョルディ・ビジャドムス、そして、ルーキー、トビー・プライスとマチアス・ウォークナーが5,6位にゴールし、関係者を驚かせた。

クワッド部門では、ラファウ・サノクがライバル、イグナシオ・カザレ、セルヒオ・ラフエンテを押さえ、素晴らしいSSを展開した。サノクは昨日のSS優勝者を追い越し、3’33”の差でゴール、総合順位がトップに躍り出た。

一方オート部門、昨夜スピード違反で2分のペナルティを科されたナセル・アルアティヤ、今日はそのトップレベルのスピードを示すかのようにライバルたちに大きなタイム差をつけてゴールした。昨日同様、チームメイト、地の利を得ているオーランド・テラノヴァとの激しいバトルを繰り広げたが、ゴール手前で20分ものタイム・ロスを喫するアキシデントにより、アルアティヤにSS優勝をさらわれた。

そしてジニエリ・ド・ヴィリエが、トップとわずか8分差で2位につける傍ら、同じToyota Hiluxに乗るオランダ人、ベルナール・テンブリンケが参戦3度目にして3位でゴールと言う快挙を成し遂げた。

そして、SS4位でゴールしたのは、クシシュトフ・ホロウィッツ、昨日と同順位で、虎視眈々と最終ゴールの優勝チャンスを窺う。プジョー 2008に乗るカルロス・サインツは既にトップと26’50”の差、チームメイトのステファン・ペテランセル、シリル・デプレもナセル・アルアティヤに1時間もの遅れでゴールした。ロビー・ゴードンにとっても苦難の1日だったようで、SSに入って間もなくメカ・トラブル。ナニ・ローマもレースを続けているものの、ポディウムからほど遠い順位だ。

カミヨン部門では、昨日のKamazチームの無念を覆し、エドワルド・ニコラエフがSSを制した。2位のビエロルース・シアルヘルビアソビッチにわずか46秒の差。そして3位もKamazのアイラット・マルデーブが昨日のSS優勝のハンス・スティシーを押さえてゴール。しかし、総合順位ではハンス・スティシーが20秒差でトップを維持している。2014年大会で圧倒的な強さを示したアンドレイ・カルギノフ(Kamaz)とジェラルド・デ・ローイ (Iveco)らはトップに5分の差をつけられている。

映像 ⇒ Stage2 http://www.dailymotion.com/video/x2e368a_stage-2-car-bike-stage-summary-villa-carlos-paz-san-juan_auto

2015/01/04 第1ステージ – レポート

1月4日  第1ステージ : ブエノス・アイレス – ヴィージャ・カルロス・パス
リエゾン:144km  スペシャルステージ:175km  リエゾン:519km  

本日のコース :
ダカール・ラリー最初のステージはアルゼンチンの田舎を走り抜けるコースとなる。全体にあまり難しくない高速コース。だが高速の中、多くの急カーブがあり、ドライバーの腕が試され、ダカール・ラリー最初のSSで力まないことが肝要だろう。そしてSS(競技区間)の後には、ビバークまで長いリエゾンとなる。

ローマ 大きな損失, 光るサンダーランド
オート部門タイトル保持者、今大会の優勝有力候補ナニ・ローマが大会最初のSSでメカトラブルのぎせいになった。ビバークに到着したものの、MINIでの優勝はライバルに譲らなければならない結果となった。モト部門では、サム・サンダーランドが最初のSS優勝旗をKTMにもたらした。

2015年大会最初のステージは合計406台、(モト161台、クワッド45台、オート137台、カミヨン63台)がスタートした。

オート部門、タイトル保持者ナニ・ローマのMINI がなんと、SSに入って3kmほどの所でオイルの警告ランプが点滅、10kmあまりの所でストップした。チームメイトのカミヨンを待って修理し、牽引されてゴールに到着、トップとの差、6h26だった。

MINIチームメイトのナセル・アルアティヤはステージ最初からその意欲を示し、第1SSをトップでゴールした。だが、コントロール地点でオーバースピードとの理由で、2分のペナルティを貸され、総合順位は7位に終わった。同じくMINIの地元アルゼンチン人、オーランド・テラノヴァは、一時9位に落ちながらも途中盛り返し、チームX-Raidの他のメンバーを押さえて、優勝旗をもたらした。

第1SSの常連優勝者ロビー・ゴードン、本日もトップとの差42秒で総合2位につけた。Toyotaのジニエリ・ド・ヴィリエも3位でゴール、幸先良い結果だった。期待のプジョー、カルロス・サインツが8位、ステファン・ペテランセルは10位、そして、今大会モト部門からオート部門に移籍したシリル・デプレは、トップとの差10分あまりのゴール、33位。

一方モト部門、過去2度の大会で不運な結果にあったサム・サンダーランドだが、2014大会では2度のSS優勝というその才覚を既に見せていた。そして、今大会最初のSSで、スピードコースを難なくクリア、KTMに優勝旗をもたらした。チームメイトであり、ライバルのマルク・コマに1分以上の差をつけてのゴールだった。

2013年ワールドチャンピョンのポルトガル人、パウロ・ゴンサルヴェスは前大会の第5ステージで愛車HONDAが燃えるのを涙で見守った。今大会初のSSは、サム・サンダーランドに5秒差で2位のゴールだった。

3位がスペイン人マルク・コマ、4位はHONDAのホアン・バレダ、5位にマリと仏人の混血、アラン・デュクロ(Sherco)がつけた。モトクロスからやってきたルーキー、マチアス・ウォークナーは8位と素晴らしい成績。

クワッド部門では、最初のスピード・ステージ、チリのイグナシオ・カザレが制した。そしてわずか1分あまりの差で、昨年優勝のポーランド人、ラファウ・サノクが2位、ウルグアイのセルヒオ・ラフエンテがサノクに遅れること20秒あまりで3位になった。大会2度目の参加のアルメイダ・ポワンテがなんと4位でゴール、カタール人モハメッド・アブイッサが5位でのゴール。

カミヨン部門では、KAMAZチームの圧勝の予想に反して、本日のスピード・ステージはオランダ人ハンス・スティシー(IVECO)とマルセル・ファンフリート(MAN)が1,2でゴールした。そして、3位はわずか47秒差でMANのアレス・ロプライス。

映像 ⇒ Stage1 http://www.dailymotion.com/video/x2e0is7_stage-1-car-bike-stage-summary-buenos-aires-villa-carlos-paz_auto