1月15日 (日)  第14ステージ  ナスカ→ ピスコ
リエゾン : 254㎞
SS : 29㎞

グランド・チャンピョン、デプレとペテランセル

大会最終ステージで優勝したのは、モト部門パルアンデルス・ウレヴァルスター、オート部門ロビー・ゴードン。そして総合優勝はフランス人シリル・デプレとステファン・ペテランセル。後者はオート部門で4度目、モト、オート併せて通算10度目の総合優勝となった。リマのデ・アルマス広場のポディウムで、ここまで戦い抜いた選手を百万人もの観衆の歓声を受けた。エントリーした競技者の内、本日ここで祝福を受けたのは :モト178台→97台、クワッド30台→20台、オート161台→78台、カミヨン74台→60台、 合計443台→249台。

どのステージでも、デモンストレーションし、シリル・デプレはついにアドバンテージをとった。マル・デル・プラタを出発して、ルート、ピスト、デューンなどの8300kmのコースで、マルク・コーマと53分23秒のタイム差で優勝した。彼の最強のライバルと2週間の熾烈なバトルの果ての、ダカール・ラリー4度目の総合優勝だった。

オフロード・オートバイレースのエリートの中で最大のライバルと再び対決。肉体的スタミナも大事だが、わずかなナビゲーションのミスが二人のドュエルに決着を付ける結果となる。早く走るだけでなく巧みなライディング、入念な戦略、KTMオートバイのメカニックを上手にコントロールする・・・など、二人のチャンピョンは、ダカール・ラリーで優勝旗を揚げる為、極度の互角な戦いから全ての点で勝ち取らなければならなかった。マルク・コーマにとって本当に落胆したのは、最終日の前日、これまで総合トップで彼がリードしてきたバイクのギアボックスが壊れ、新レギュレーションによりエンジン交換のペナルティ45分が追加になったことだった。これで、二人の勝敗は決着がついた。2週間におよぶ分単位のバトルの果ての決着だった。

シリル・デプレ、マルク・コーマと、優勝争いに対等な争いができるライダーが不在の中、総合3位になったのはエルダー・ロドリゲス、昨年に続いて2度目の総合3位だ。ポディウムに登ったものの、トップのシリル・デプレと1時間11分もの差があった。Yamaha YZFにとっても今回は次の大会へのステップというところで、ダヴィッド・キャストゥもオリヴィエ・パンも思ったような成績が得られず、論議がかもし出されることになるだろう。今大会、モト部門で、将来がもっぱらコーマの肩だけにかかってはいないことがわかるような、有望なカタルーニャの選手たちの活躍が目を引いた。ホアン・バレダは残念ながら総合優勝こそできなかったが、今大会総合11位、8回ものステージでトップ5入りしていた。また、将来楽しみなライダーとして、アレッサンドロ・ボトゥリ(Alessandro Boturri)、初参加にして総合8位、シリル・デプレとの差2h59’04。また新しいBordone-Ferrariチームのジョーディ・ヴィラドムスも総合4位につけた。このカタルーニャの選手たちに、フェミニン部門で優勝したライア・サンス(Laia Sanz)が.加わる。ノン・アシスタンス部門の優勝者はフランス人、ステファン・アマール(Stéphane Hamard)。

オート部門では、X-Raidチームがどこよりも強いクルマと最強のドライバーをしたててきたのでMini同士のタイトル争いになるかと予想されていた。結局、同チームは13ステ―ジのうち8回が4人ドライバーのいずれかがステージ優勝し、ペテランセルはステージ優勝3回。何より重要だったのは、チームが最後まで総合トップの座を維持したことだ。だから、ペテランセルとチーム・メイトの中でも最も経験豊富なローマとの間で優勝争いがあるのは驚くことではなかった。第3ステージ以降、総合トップに立ちながらも、ペテランセルは優勝の確約を最終日の前日まで待たなければならない。最終的に、ローマに41’56の差でペテランセルがオート部門4度目のタイトルを手にする。何よりも、ペテランセルが、モト・オート部門で通算10度目の総合優勝で、ダカール・ラリーでのレジェンドに新たなページを書きくわえた

一方、ロビー・ゴードンの活躍も大きくレースを沸かせた。チーム・メイトであり、前回優勝者ナセル・アルアティヤの運転の腕前に助けられ、また、クルマの驚くべきパフォーマンスによって、常にX-Raidチームとあい対しながら総合トップグループに位置し、今大会に刻印を残した。3度のステージ優勝をしながら、ロビー・ゴードンはトップと2h15以上もの差が出て、総合5位に終わった。

今大会のパフォーマンスで注目したいのは、目立たないながら、常に一定の順位に入り続けたジニエリ・ド・ヴィリエの業績だ。まだ開発途上のクルマの性能にもかかわらず、ド・ヴィリエは新型Toyotaの初参加からポディウムに近づいた。これは、彼に将来の確信と野心を与えることとなるだろう。

2輪駆動部門の優勝はバギーSMGのローナン・シャボ(Ronan Chabot)。最初から常時クラストップの位置に着いたまま、最後、クラス2位の南ア人、マーク・コルベット(Mark Corbett)に9時間以上の差をつけて優勝した。

プロダクション部門で優勝したのはスペイン人、ザビエル・フォッジ(Xavier Foj)。しかし繰り返すが、彼が最強のライバル、日本人三橋淳に59分の差を付けて、決定的なクラス優勝を手にするには、レースの最後まで待たなければならなかったことを忘れてはならない。

クワッド部門では、タイトル保持者、アレヒャンドロ・パトロネッリが連続2度目の総合優勝。コピアポのループステージで総合トップに立ち、その後、トップをキープした。弟マルコス・パトロネッリは第7ステージで、1時間20分ものタイム・ロスにより、優勝への夢を断ち切られた。しかしレースの圧倒的優勢は、ラス・フローレスから来た兄アレヒャンドだけでなく、大会を通して頑張ったもう一人のアルゼンチン人トーマス・マフェイも見逃せない。昨年総合7位。そして今回では第4、第5ステージでSS優勝、第9ステージまで秒単位の差で追いつめていた。ステージ優勝を数えてみるとどれくらい切迫していたレースだったか想像できる。トーマス・マフェイが4回(うち、1回はリマの最終ステージ)、一方、パトロネッリ兄弟はそれぞれ3回づつ。このアルゼンチンのトリオに続いて、総合4位、5位は、チリのイグナシオ・カサレ(Chilien Ignacio Casale)、ウルグアイ人セルジオ・ラフエンテ(Sergio Lafuente)、しかし6から8時間ものタイム差がある。一方フェミニン・クラスでイタリア系フランス人カメリア・リパロティ(Camélia Liparoti)が昨年9位に続き、今回10位についた。

カミヨン部門: ジェラルド・デ・ローイの初優勝、イタリアのメーカーIvecoの初優勝。オランダチームが優勝を手にする為に注ぎ込んだ手段・お金を見れば、マル・デル・プラタのスタート時から優勝のチケットはプログラムされていたかに見えていた。しかし、デ・ローイ息子の有利な立場が確証されるには第9ステージの、アレス・ロプライスが転倒してリタイアする時まで待たなければならなかった。リタイアした時、若いチェコ人ロプライスはデ・ローイと総合タイム15’39”の差しかなかった。ロプライスとのサイド・バイ・サイドの熾烈なバトルにかかわらず、デ・ローイは、今大会最多数の5回のステージ優勝、第4ステージから総合トップに居座り続けて、総合優勝を手にした。父ジャン・デ・ローイがパリ・ダカで優勝してから25年目、息子ジェラルドが、これまでの覇者Kamazの衰退と共に、ダカール・ラリー史に新しいページを書きくわえた。

Kamazチームのリニューアルがまだ充分実っていないことは、エドワルド・ニコラエフ(Eduard Nicolaev)が第4ステージで、非スポーツ者の態度と言う理由で失格になったことでもわかるように、クルーの交代の難しさを表している。しかしながら、今大会でアンドレイ・カルギノフ(Andrey Karginov)とアルチュール・アルダヴィシュス(Artur Ardavichus)らが初めてステージ優勝を果たしたことで、Kamazの実力をかいま見せてくれた。

カミヨン排気量10リットル未満クラスでは、日野チームスガワラの菅原照仁が今回もクラス優勝。彼はトップの常連だが、今回の総合9位は、性能が格段と向上した大型カミヨンの中にあって驚くべき記録。菅原義正は、クラス2位の成績とともに、最多数完走の記録をさらに伸ばした。

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