いつもは避暑客で一杯のマル・デル・プラタ。しかし、競技者たちはいっしょになって、その避暑客のリラックスしたムードを楽しむわけにはいかないようだ。あと3日でダカール・ラリー2012がスタートするからだ。マル・デル・プラタの車検会場に召集された競技者たちは、1月15日の最終ゴール地、リマに目標を向ける。

今日の車検・人検は、レースの1ステージではないが、レースでは必ずやらなければならない事。ダカール・ラリーの競技者やクルーは、いそいそと車検場や書類審査会場を行ったり来たりする。多くの人は、この避暑地で、1,2日、海岸をジョギングしたり、アルゼンチン料理に舌包みをうったりして、ささやかな休日を楽しむが、その後は、本腰に気合を入れなければならない。29日、召集者NO.1は偶然にも今回の最年少、アルゼンチン人のルーカス・ボネット(Lucas Bonetto)だった。ウシュアイアからやってきた20歳になったばかりの若者に、先輩のパトロネッリのような将来が待っているかもしれない。パトロネッリ兄弟のパフォーマンスによって、国中の人がクワッドのカテゴリーに興味を持つようになり、二人はヒーローとして尊敬・愛されるようになった。

クワッドのエンジンパワーが新ルールで規定されたことに対し、「900ccのマシーンを操作するのは難しいし、非常に体力を消耗したので、良かったよ。どちらにしても、ダカール・ラリーはクラッシックな速さを競うだけのレースではない。大きな挑戦をかけたヒューマン・アドベンチャーだから。」

車検最初の日は、多くの観衆やジャーナリストはトップグループへと目がいく。まずはヤマハを離れ、イタリアの新しいメーカー、ボルドンヌ・フェラリに移籍したジョルディ・ビジャドムス。長い間、マルク・コーマのアシスタントを務めてきたライダーは「うちのチームは勝つために戦うライダーが5名で構成されている。エンジン交換についてのペナルティの新ルールの導入は決定的だと思う。人によってはたった一つのエンジンで完走する人もいるが、トップグループのライダーで一つだけで完走する人はあまりいない。」実際、この15分のペナ(1度目のエンジン交換は15分のペナルティ、2度目は45分)について、ライダーたちはもちきりだった。2010年シリル・デプレに優勝を奪われたパルアンデルス・ウレヴァルスターは8300kmをエンジンを壊さず走り切っていたにもかかわらず、最後にポディウム争いに敗れた。「たったひとつのエンジンで走り切れる人なんかいないと思う。しかし、45分のペナルティを受けたとしても、かなり良いリザルトで終わることができる。どちらにしても、山を越えるのが楽しみだ。そのあと、大きな砂丘ステージが待っているのでね。」

砂丘大好きというのは、ノルウェーのウレヴァルスターだけでなく、初参加者、無名、または優勝候補らにとっても同様だろう。

明日の車検は、カミヨン部門の大物の番。カマズのニコラエフ、マルデーブ・ジュニア、イベコのデ・ローイ、スティシー、ビアシオン、タトラのアレス・ロプライス、小排気量カミヨンで連続優勝している日野チームスガワラの菅原義正&照仁父子など。オート部門では、クリスチャン・ラヴィエイユ(チーム・ドスード)やベルンハルド・テン・ブリンケ(リワルド)。そして、モト部門では、フランシスコ・ロペスや、パウロ・ゴンサルヴェス、クイン・コディなどが召集されている。

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