1月12日 (土)  第8ステージ   サルタ → トゥクマン
モト&クワッド: リエゾン: 19 ㎞ SS:492㎞ リエゾン:228km
オート     : リエゾン:152 ㎞ SS:470㎞ リエゾンン:228km
カミヨン    : リエゾン:152 ㎞ SS:155㎞ リエゾン:242km

 
今日のコース :
 今日のカマラ→トゥクマンのステージは、バラエティに富んだ路面状況の中、SSがニュートラル・ゾーンを挟んだSS1とSS2の二つに分かれる。カミヨン部門は別ルートでSSが一つだけ。モトは昨夜、別のビバークでサポート無しのマラソン・ステージの一夜を過ごしたので、今日はモト&クワッド部門、オート部門、カミヨン部門のコースがそれぞれ別のバージョンになる。
走行するコースは、まるで西部劇に出てきそうな、岩柱あり、峡谷あり、サボテンありの、アルゼンチンで最も美しい自然の景観が織り成す赤と緑の背景が150km以上続く。
SS2はダカール・ラリーでは今回初めて使われるコースで、堅いピスト、砂路面、そして時折罠に陥りやすい個所が入り混じる。
 
 と、このようなステージが予定されていたが、今朝になって、大雨の為、SS1がキャンセル、カミヨンはすべてのSSがキャンセルになった。SS2をモト、クワッド、オートが競技し、モト&クワッドのスタート時間は12時00、オート部門は14時05分と変更された。
さらに、午後16時45分、雨でコースのコンディションが悪化し、SSゴール手前30kmあたりから走行が難しくなったとの理由で、CP2(km88)以降がキャンセルになった。
 
 

今日はダヴィッド・キャストゥがSS優勝、オート部門は雨で大荒れ

休息日の前日、トゥクマンへのステージではホアン・バレダ がステージ優勝、総合トップはオリヴィエ・パンに代わってダヴィッド・キャストゥになった。昨夜ギアの故障で苦しい1日のシリル・デプレは、マラソン・ステージの夜の間に、エンジンを交換して再度スタートした。オート部門は鉄砲水の為にSSがキャンセル。ステファン・ペテランセルが総合トップをキープしているが、この後タイムはどうなるか懸念される。

本日第8ステージは、ハードで長いと予告されていた。しかし、順位が上下入り乱れる波乱の一日となった。
今朝、大雨によりSS1がキャンセルと発表になったが、それでもSS2は罠に陥りやすく、ナビゲーションが難しいコースだった。Km122でミス・コースしたライダーらが30分近いタイム・ロスすることになった。その中に昨日ステージ優勝したクルト・キャッセリ、総合トップにいたオリヴィエ・パン、ロペスらも含まれていた。総合トップの座は、昨日までのオリヴィエ・パンからSS優勝したダヴィッド・キャストゥに明け渡されることとなった。ロペスも総合2位から後退。

一方、ミス・コース無しで一躍ランクアップしたライダーはさらに多い。今朝、21番目にスタートしたホアン・バレダ は、前を行くライダーがコースを失っているのを見て巧みにチャンスを生かし、SSゴールをトップ・タイムで通過した。第5ステージで144位に落ちた彼は、タイトル争いに加わるのは難しいかもしれないが、今大会3度目のステージ優勝となった。そしてSS2位のアメリカ人、ジョニー・キャンベルに7分以上ものタイムの差をつけた。

他のSS上位も驚きのメンツ、3位はイワン・ジェイクス(Ivan Jakes:スロバキア)、4位ペドロ・ビアンキ・プラタ(Pedro Bianchi Prata:ポルトガル)、ヴァンサン・ガンダーニ(Vincent Guindani:フランス)と続く。
かろうじてタイム・ロスを最小に抑えたダヴィッド・キャストゥが6位、総合でチームメイトのオリヴィエ・パンからトップの座を引き継ぐ結果となった。

シリル・デプレは、昨日のマラソン・ステージ1日目がギアの故障で苦難の1日だったが、今日のミス・コースによる大番狂わせで救われたのではなかろうか。昨夜、アシスタント無しのカチ(Cachi)のビバークで、マレク・ダブロウスキー(Marek Dabrowski:ポーランド)の申し出でKTMのエンジンを譲り受け、今朝、再びレースを続けることができた。ナビゲーション・ミスもせずSSトップと16分09秒の差でゴール、総合トップと2分弱の差でゴールした。しかし、エンジン交換1回目のペナルティが科され、結果総合順位は6位に後退した。この先他のライダーにとっても、エンジンの交換については対策の上で重要な要素になるとみられる。

クワッド部門で彗星のように現れた南ア人、サレル・ファン・ビヨンSarel Van Biljon、昨日のSSでトップと34秒の差でSS2位のゴールだったが、今日は目標達成、初めてのステージ優勝を手にした。砂ステージより、堅いスピード・コースが得意なようで、マルコス・パトロネッリとサイド・バイ・サイドの熾烈なバトルの果てに、1分足らずの差をつけてのゴールだった。マルコス・パトロネッリは総合でトップをキープ、2位のイグナシオ・カザレに1h23‘55“の差をつけている。本日のSS優勝のビヨンは総合順位が上昇、3位になったがそれでも、トップと2時間以上の差がついている。

オート部門は、車が進むのができないほどの激しい豪雨で、一段とレースが難しくなった。いや、そんなものではない!SSコースの中のリオ(涸川)に鉄砲水が襲い、レースは不可、CP2(km88)でキャンセルとなった。このような中、SS2をトップ・タイムで通過したのはナセル・アルアティヤ、2位のロビー・ゴードンに13”、3位のステファン・ペテランセルに3分ものタイム差だった。
そうこうしている間に50台あまりがCP2を終了し、ゴー・ラインまでようやくの思いで走り続ける。ライバル数台が通過しゴールにたどり着く中、そのCP2とゴールの間で、ナセル・アルアティヤは動けなくなる。ゴールラインを一番目にトップ・タイムで通過したのはゲラン・シッシェリ。今回初めてのSS優勝なるか?シッシェリがあれほど渇望していた最初のステージ優勝だが、オフィシャルの判定が出ていない。ステージ優勝が彼の手からこぼれ落ちることになるかもしれない。

タイトル争いで、ステファン・ペテランセルは気象条件を克服して、SSのゴールラインを4番目のタイムで通過し、休息日前、総合トップをキープするのは間違いない。しかし、2位以下との差はどうなるのか?CP2をトップ・タイムで通過し、ゴールまでの不運に見舞われた総合2位のナセル・アルアティヤ、同じくCP2を3位で通過し、総合3位にいるジニエリ・ド・ヴィリエらのタイムがこの後どのように評価されるのか?

カミヨン部門は本日のステージがキャンセルになったことが朝のうちに伝えられ、トゥクマンまで競技をせずに移動する1日だった。

ヤマハのジャンクロード・オリヴィエの訃報

海の向こうで起きた悲劇が、トゥクマンのビバークを震撼させた。かつてのYamahaフランスの監督、ジャンクロード・オリヴィエが今朝、フランスで走っている時に事故に遭い亡くなったのだ。彼は2010年にYamahaチーム監督の退くまで44年にわたってYamahaに身を捧げ、Yamahaのエンブレム的存在だった。自らバイクに乗って競技をする人でもあり、ダカール・ラリーには1979年の第1回目から競技者として参加、何度かエントリーしている。ベスト・パフォーマンスは、1985年、ガストン・ライエに続いて準優勝する成績を収めた。
競技を続ける一方、ダカール・ラリーで彼の最も大きな成功は、チーム・マネージャーを務めた1991年から1998年で、その間にステファン・ペテランセルが6回の優勝している。
ラリーレイドを愛した彼は、後Yamahaがダカール・ラリーに戻る立役者となり、2004年ダヴィッド・フレティニェが450ccで参加するのをバックアップした。おりしも今日はYamahaのダヴィッド・キャストゥがチームメイトのオリヴィエ・パンから、総合トップを交代したところで、ジャンクロード・オリヴィエの数十年にわたって続けた仕事を引き継いでいるかのようだ。
ダカール・ラリー主催者、とりわけダヴィッド・キャストゥ他Yamahaチーム一同は心より冥福を祈ると共に、家族・友人に謹んでお悔やみを申し上げます。

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