ディパルマ兄弟の不運
チレシトのビバークについたのは23時。ディパルマ(Di Palma)兄弟が運転するゼッケン410のクルマはズタズタだった。メカニックと共に、クルマのダメージを点検し、全員で修理にかかった。ディパルマ兄弟はいつも通り元気で、明るくその日の出来事を語ってくれた。
「けっこう快調に走っていたんだ。ノルベルト(Norberto Fontana)を助ける為にストップした、が何もやってやれなかった。そのあとステアリング・ギアが調子悪くなった。動けなくなり、40分程立ち往生しているところ、カミヨンが追い越していった。右、左と次々とカミヨンが追い越していき、そのうち、1台のカマズが後ろからぶつかってきた。一回半回転した。カミヨンもストップした。我々のせいなのかどうか、わからない。だって我々はタイヤがパンクしていたのだから・・・・。その時16時30分くらいだった。再度走り出したが、カミヨンの通過した後のピストやデューンはかなり荒れていてとても走るのがたいへん。スタックしてしまうと、カミヨンの荒らした跡でなかなか抜け出られないし、砂をかくスコップもほとんど役に立たない。でも、ゴール出来た。ウェイ・ポイントを全部通過したし、アドベンチャーは続くよ。」

ダカール・ラリーがようやくわかり始めた!
モトのライダー、イギリス人トビアス・ヤンガー(Tobias Younger)、第4ステージのSSゴールを、最後尾20人あまりのライダー達といっしょにゴールした。これまで何度転んだか数え切れない。今日はSSスタートしてわずかkm50のリオで転ぶのから始まった。ブーツの水を捨てただけで、再び走り出した。体中どぶねずみのようにびしょぬれだ。
「14時間も走ってきた。そのうちの5時間はゴール手前のフェシュフェッシュ30kmを走るのにかかった。僕のようなプロではないライダーにとっては、それは間違いなく特別料金だよ。ようやくダカール・ラリーがわかってきた。毎日、SSのゴール手前で、みながへとへとに疲れ切ったところで、ものすごく難しいコーナーがあるんだ。アマチュアがこのレースをするには、マゾでないとできない。

チレシト, モトのファンたち
剃り立ての顔で、ホセは家族全員と一緒にやって来た。48歳の農場の労働者ホセは、土地の自転車レースでは少し名が知られている。その彼が娘、ガブリエラとその息子ホセ・ジョナサンらと共にここにやって来たのは、ゼッケン410を見に来たのだ。
「マルコス・ディパルマはとても有名なんだ。彼はシボレーでアルゼンチンのチャンピョン・シップに出ている。彼がダカール・ラリーに出るっていうんで、メンドーサから見に来たんだ。彼といっしょに写真をとらせてもらえないかなぁ。」
しかし、大自然のど真ん中、チレシトのビバークでは巨大な塀がビバークの周りに立てられ、競技者らを傍で見ることもできない。ローザになぜライダーを見たいかというと、「彼らはヒーローだから」だそうだ。
ナセル・アルアティヤのHummerがリエゾンのチェック・ポイントに見えると「プリンス、プリンス」と叫んでいたリリアナもオートバイの大ファン。「Yamaha125に乗っているの。主人はGilera200.この大会は素晴らしいわ。チレシトからやってきたの。夜9時からはFoxで毎日ダカール・ラリー・スペシャルを見ているわ。」そこへ、ハビエル・ピゾリト(Honda)がやってきた。満場の大喝采だ。「地元の競技者を応援するのは当り前よ。」

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