ダカール・ラリーの優勝回数は、シリル・デプレとマルク・コーマが共に3回ずつ。そのどちらが2012大会で決着をつけられるかどうかは、誰も予想できない。アプリリア、ヤマハ、ハスクバーナ、ホンダ、他のKTMのライバルたちも優勝旗をさらおうと、遜色ないマシーンをしたててきているからだ。

過去6年もの間、優勝を分け合ったこの二人には、長い歳月がこたえているようには見えない。次の大会で、同じKTM450のバイクで熾烈なデュエルを再び見せてくれるのだろうか。共にアシストも昨年と同じ、ルーベン・ファリアとファン・ペドレロ。そして、同じオレンジカラーでエントリー、ビバークに同じアシスタント・カミヨンを控えさせた二人の優勝候補者。

「俺たち少しトーンダウンしたんだ。」とデプレ。
「二人のスポーツ・ライバルの間にそこまでムキになって火花を散らすことでもない」とコーマ。

これまでのダカール・ラリーの優勝歴を見てみるとKTMの2人のスターは限りなく優勝に近いように見える。ところが、このところの二人のレースを見てみると、どちらも決して安泰とはいえないのだ。デプレはセルトンエス・ラリーで優勝したが、次々とレースをこなしてきた1年の最終戦のオーストラリアン・ラリーでこれまでめったにしたことがないリタイアだった。一方コーマはファラオ・ラリーサルディニヤ、ドバイで優勝したが、南米でのダカール・ラリー前の大事な最終テストであるモロッコ・ラリーでは、メカ・トラブルで10位という結果だった。

誰もが、デプレとコーマの優位に疑いを持ってはいないが、しかし、かといってライバルが闘いの手を緩めるという意味ではない。ダヴィッド・フレティニェはダカール・ラリーへの参戦を発表したばかりだが、セルトンエス・ラリーでの転倒による大けがから完全に回復していないという医師団の意見により、優勝争奪戦を諦めた。ハスクバーナ・チームは、フレティニェに代わって若手の先鋭ホセ・マヌエル・ペリセール(Jose-Manuel Pellicer)を起用、前大会でSS優勝したパウロ・ゴンカルヴェス(Paulo Gonçalves)と共に熱い意気込みを見せる。一方アプリリアチームでも、2011年大会で最後のステージでポディウムを逃したフランシスコ・ロペスが虎視眈々と優勝を狙う。チュニジア・ラリーのけがも回復し、アタカマの長と崇められるチャレコことフランシスコ・ロペスは、今年こそはと死力を尽くしてくるだろう。

昨年総合3位、2011年シーズンのチャンピョン(チュニジア・ラリー、モロッコ・ラリーで共に優勝)の
エルダー・ロドリゲスも常にプレッションをかけてくるに違いない。チーム・ヤマハも2007年大会準優勝、2008年総合4位のダヴィッド・キャストゥ(David Casteu)を迎えパワーアップしている。改良バージョン450 YZFで、オリヴィエ・パン(Olivier Pain)もリーディング・ロールの役割を果たすだろう。

そして、昨年初参加でいきなり9位に入賞したアメリカ人、クイン・コディ(Quinn Cody)、セルトンエス・ラリーでレースの間中デプレを脅かし、最後のステージを数分差で準優勝となったフェリペ・ザノル(Felipe Zanol)など、若いライダーらもサプライズをもたらすかもしれない。

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