ゼッケン300、それは、前回の優勝者に与えられる特別なゼッケン。まぎれもなくダカール・ラリー2012でスタートを切る競技者のナンバーだ。それが、なんと、ナセル・アルアティヤのハマーにつけられる。カタール人、アルアティヤは次回、ロビー・ゴードンチームから参加する。

去る1月にブエノス・アイレスでカール・ラリー優勝した時に、「これからみんなが、カタールが世界のどこにあるか知ることになる」と、アルアティヤはそう言って喜んだ。カルロス・サインツと何年も熾烈な戦いを続けた果て、ようやく迎えた終焉だった。前大会までのアルアティヤの乗っていたフォルクスワーゲンが戦略的理由でレースを退くことになり、“どんでもおないぶっ飛び屋”は次のダカール・ラリーに出るステアリングホイールが無くなってしまった。そこに持ち込まれたハマーからのプロジェクト、彼は、WRC.ロンドン・オリンピックとシューティングする2012年を開幕するダカール・ラリーに、これまで以上の熱意をもって取り組んでいる。

アルアティヤが次にどこのチームから出るのか、主なチーム全てから候補として名前が挙がっていた。しかし、2012年最初に開幕するダカール・ラリーで、彼が選んだのはロビー・ゴードンとのチームメイト。ノース・カロライナで彼用に制作され、カタールのカラーリングのHummer H3は、アルアティヤの知名度をさらにアップする。

「ダカール・ラリーに出られないかもしれない、と落ち込んでいた。しかし、最終的に状況は打開した。これは私にとって新しいチャレンジだ、すばらしいよ。カタールを代表して走るのを誇りに思う」と、ダカール・ラリー2連覇を目指す。これまで違う車で連続優勝したのはアリ・バタネン(1990-1991 / ブジョー&シトロエン)一人だけだ。ハマーの戦歴をみると、2009年の総合3位がベスト・リザルト。その時は、ロビー・ゴードンの前に、レース・トゥアレグのジニエリ・ド・ヴィリエとマーク・ミラーがいた。より抜きのドライバー、アルアティヤを迎え、優勝候補の展望がこれまでと全く変わった今、ハマーのポディウムへの可能性は限りなく大きい。

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