SISTERNAが砂丘を飛ぶ時

リノ、父の名前。ホアン・パブロ、息子の名前。アルゼンチン人。彼らのクルマはバギー。しかも超軽量。1300kg足らず。強烈な太陽の下、厳しい暑さの中を、ハンドルを握る父は、第10SSのデューンの山頂でアクセルを緩めない。
「km280の所だった。2km手前の砂丘でスタックした。フェシュフェッシュやデューンの中を走るのに、車両が軽いのでスピードを出して通過しなければならない。だから、デューンの頂点で、アクセルから足を離さないようにした。で、クルマは山頂からガ-ンとぶっ飛んでしまった。なすすべがなかった。」
San Juan Mineroと落書きされたバギーは、ジャンプして頭から砂の中に突っ込んだ。タイヤ4本ある方に着地かと思ったら、一瞬戸惑った挙句、ひっくり返って止まった。父子は、親指と窓から突き出して、中で健在なことを示す。ひとしきり驚きがおさまり、二人再び走れるよう模索中だ。なんとも不死身の競技者だ。「アクセルを踏んではいけなかった。しかし、時には、ケーブルがあって・・・わかるだろ?」と父。そして少しがっかりした様子で息子は「せっかく、調子良く走っていたのに、残念。あと少しでスーパーなリザルトになれたのにー。」救いようがない!

モノ・シート2台
ここまで100%上手く行っていた。昨年、オランダ人キース・コーレン(Kees Koolen)のプロジェクトは、バギー2台でエントリーし、第6ステージでリタイアして挫折した。今年は彼 は、ユルゲン(Jurgen Van Den Goorgergh)といっしょにエントリー、完走できそうに見える。昨年とは比べ物にならないほど性能が向上したバギーに身を沈めて、二人はおとなしく走ってきた。
「ラリー序盤で、何回か電気系のトラブルがあったが、すぐに解決できた。ほとんど毎日、とても長い時間、コースをバギーで走っている、それはまさに幸せ以外何物でもないね」とユルゲンが語る。彼は元GPライダー。プロジェクトの発案者であり、バギーの製造元でもあるコーレンは、ユルゲンの経験だけでなく技術も向上していることをちゃんと気づいている。
「トライアングルや、ステアリング・ギアやドライブなど壊れやすいところを強化した。そして、運転の腕前もだいぶ良くなったと思う。」「ビバークでみんなから声をかけられるようになってきた。なぜなら、皆、難しいアドベンチャーが好きだから。しかし、彼らを納得させるのには、何よりリマに付かなくては」

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