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オート&モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 450km+SS(競技区間)481km=合計931km
カミヨン:リエゾン(移動区間) 599km+SS(競技区間)267km=合計866km

 

モト部門

007 –エルダー・ロドリゲス(Honda)(SS1位、総合5位)
5位になれるよう全力でアタックした

僕にとって素晴らしい日になった。全体的に2週目は最初の週より良い走りができた。1週目は体調が悪くて、週末は肩の痛みがひどかったが。だが今はすっかり良くなった。今日は5位になれるよう全力でアタックした、しかしあくまでも安全にだ。走りやすいSSだったので、非常にいいスピードで走ることができ、トビー(・プライス)やアントワーヌ(・メオ)を追い越した。

 

003 –トビー・プライス (KTM) (SS2位、総合1位)
今日大事なのは、無事にゴールに到着すること

480kmもある長いSSで、路面は石がボコボコあってひどく走りにくかった。何度かピスト(道路)から落ちたが、大したことはなかった。エルダー(・ロドリゲス)が途中追いついて、追い越していった。無理に彼に追いつこうとせず、マイペースで走った。
今日大事なのは、無事にゴールに到着することなんだ。前を走るメオに追いついた。彼は僕を待っていたのか、何かトラブルがあったのかよくわからなかった。何かあったら、彼だけが頼みだった。タイヤがもうダメになる寸前だったから、もしもの時彼に助けてもらうはずだった。

優勝はもうすぐだ。しかし、2度目の出場者が優勝したと、ダカール・ラリー史に僕の名が刻まれるかどうかは明日にならないとわからない。

 

049 –アントワーヌ・メオ(KTM)(SS21位、総合6位)
えらいドジ踏んじまった

残りはあと1ステージだよね?夢見てたわけではない、転んだあとイリトラックがピーピー鳴っていた以外、何にも覚えていない。ウェイ・ポイントを一生懸命探していた。タイムを失っていて・・・・えっと、トビーと一緒に走っていたんだったよね。まいったなぁ!えらいドジ踏んじまった。首も痛いし、頭も痛いし、ケツ以外どこもかしこも痛い・・・・。

 

004 –パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)(SS6位、総合3位)
慎重に走る法を選んだ

SSは難しかった。泥も多かったし、水たまりもたくさんあった。一回泥の中で転んだ。ゴール手前はすごくスリッピーだった。少しタイムを縮めていたので、スピードを落として走った。すっごく滑って、危なかった。Km430あたりでアントワーヌ(・メオ)が倒れていたのを見た。すぐ止まって、具合はどうか聞いた。今日の総合順位はどういうことになるのか・・・ ?

 

オート部門


315 –ミッコ・ヒルボネン(MINI)(SS1位、総合4位)
良い仕事をしてきた

今日のSSはスピードの上げ下げをずーっと繰り返さなければならず、とても難しかった。しかし1度もパンクしなかった。ものすごくスピードを出して走っていた気がしないので、(ステージ優勝に)届くくのかどうかわからないが、楽しみだ。最後ゴールでナセル(・アルアティヤ)より早く着いたのは確かだ。ここまで、ミス無しでトップ5の中に入れたのは確かだ。このまま最後まで行けると良い。良い仕事をしてきたが、ちょっとしたミスが大きな損になることもある。ナセル・アルアティヤとかに比べると、まだまだたくさん学ぶことはある。私の初ダカール・ラリー参加だ、非常に満足できる結果が出せると思う。

 

302 –ステファン・ペテランセル(プジョー)(SS9位、総合1位)
勝負している場合ではない

ひどく長く、狭いコースで、競技者同士がくっついていて、思った以上にテクニカルだった。すごくストレスのかかるレースだった。むやみにタイムをロスすることなく、タイヤをパンクさせないよう適度なスピードで走らなければならなかった。だからゴールできてうれしい。
今朝はセバスチャン(・ロエブ)とダニエル(ロエブのコ・ドライバー)らが遅れを挽回せずに、しっかり我々のガード役に徹して後ろに付いていてくれていた。砂丘の中でシリル・デプレがその役を変わって、その後のピスト(道路)上では再びロエブが後退した。我々は最高のアシスタントがいる。プジョーと共に2年ハードな仕事をしてきて、ようやく大きな前進ができた。だから勝負している場合ではないんだ。それぞれが自分のチームの中での役割を尊重するのは当たり前なんだ。

 

314 –セバスチャン・ロエブ(プジョー)(SS13位、総合9位)
あと一日、なんとしても完走したい

SSをおとなしく走ってきた、途中ステファン・ペテランセルに追いつき、彼の後ろにじーっとついて走った。我々は今日は特に大きく上昇することも後退することも無いので、ステファン・ペテランセルにもし何かあったらパーツの一つでもサポートするつもりで走っていた。あと一日、なんとしても完走したい。

 

300 –ナセル・アルアティヤ(MINI)(SS2位、総合2位)
我々の仕事をこなしている

美しいコースだったが、非常に長かった。それに非常にわかりにくかった。ゴール手前120km辺りで、フロント・タイヤに異常を感じたのでスピードを落とした。結局、パンクはしなかった。楽しんで、我々の仕事をこなしている。ぜひ優勝したかったが、それでも我々なりに精一杯のダカール・ラリーをした。あと1ステージ残っているが、どんな結果になるのか楽しみだ。プジョーは最初の週は想像以上に速かったが、全体的にはMINIは非常にうまく走れた。横転したステージで大きくタイムを落としてしまったが、我々MINIは十分ダカール・ラリーで優勝できるポテンシャルがあると思う。

オート&モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 450km+SS(競技区間)481km=合計931km
カミヨン:リエゾン(移動区間) 599km+SS(競技区間)267km=合計866km

931kmもある今大会最長のステージで、WRCのようなコース。オート、モト&クワッドは481kmのSSで、ゴール後すぐにビバーク。しかしカミヨンはCP4(km267)でゴールした後、オンロードでビバークに向かう。低い山の中の両側に草木が生い茂る道幅の狭いコースでスピードは出しやすいが、どこに落とし穴があるかわからない。最終ゴールまであと1日となったこのSSで、些細なミスですべてを失うことの無いよう、細心の注意が必要だ。

朝8時、全競技者がコンボイでSSスタート地に向かってビバークを出た。今日のスタートにはモト85台、クワッド25台、オート69台、カミヨン46台。

SSスタート地までリエゾンを約450km近くも走らなければならないので、全体にスタート時間が遅い。モトの第1走者のスタートは9時20分、オート11時57分、カミヨン14時20分。ウェイ・ポイントが11か所もあり、モト部門トップ走者でもSSをゴールするのに6時間以上もかかった。

昨日SS優勝で総合3位に上昇したアントワーヌ・メオ(KTM)、そして、今度は2位のステファン・ソヴィツコ(KTM)と7分の差。4位でメオを追うキンタニーリャとは1分33秒差、この3人のバトルが今日はどのように展開していくのかが気になるところ。

ヒルボネンとロドリゲス初のステージ優勝、ペテランセルとプライス確勝に近づく

ビジャ・カルロス・パスのゴールに向かって、オート部門6回目の総合優勝まであと一歩となったペテランセルはリスクを冒さなかった。一方2台のトヨタと2台のMINIのクルマが厳しいステージ優勝を争う場となった。そして、ミッコ・ヒルボネン(MINI)が初めてのダカール・ラリーにして初めてのステージ優勝を果たした。モト部門でも同じシナリオ。総合トップのトビー・プライス(KTM)は制御モードの走りで、一人エルダー・ロドリゲス(Yamaha)が爆発した。初めてのSS優勝、総合でも4位に浮上。アントワーヌ・メオ(KTM)はゴール手前20kmで転倒し、トップから38分遅れで、総合順位3位落としてしまう。

オート部門 :今日は2台のトヨタと2台のMINIの何という激しい戦い!4台が狂ったようにスピードを上げて走った。Toyota Hilux向きのコースで、2人の南アパイロットはここぞとばかりスタートからかっ飛ばした。最初のCPをナセル・アルアティヤが制したのもつかの間、2台はすぐに追いつく。

全てのチェック・ポイントは4台が僅差で交代しながら走った。最後、プルターがステージ優勝に向かって飛び出した為か、ジニエリ・ド・ヴィリエは追い上げを緩めた。その時MINI2台も同時にダッシュしたが、ナセル・アルアティヤは一瞬遅れ、チームメイトのミッコ・ヒルボネンが大きな賭けを射止めた。WRCで取った杵柄、スウェーデン人は最後20kmでステージ優勝を手にした。

結果、SSの順位は4人が1分以内の僅差、1位のミッコ・ヒルボネン(MINI)と2位ナセル・アルアティヤ(MINI)9秒、3位リーロイ・プルター(Toyota)45秒、4位ジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)57秒の差。

総合順位はあまり動きがない。リーダー、ステファン・ペテランセルは気負いを上げることもなく“チーム内合同走行”の1日。こればかりは責められない。あと総合まだ386kmだというのに、これ以外の走りができようか?11分遅れでSS9位でSSを終えた。

ロサリオの最終ゴールまであと1日となった今夜、“Mrダカール”と彼のプジョーDKR2008は総合順位で2位のナセル・アルアティヤ(MINI)に40分、3位のジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)に1時間7分のアドバンテージを持った。総合優勝がほぼ確定した傍らで、明日ヒルボネンは4’27”の差にいるド・ヴィリエを追い上げ表彰台を狙うのだろうか?

モト部門 :リーダー、トビー・プライス(KTM)は平穏な日であるようにと願っていた。そしてその通りになった。SS最初からチームメイトのアントワーヌ・メオにエスコートされ、481kmのSSゴールまで絶対ミスしないよう走った。幸い、総合トップの位置は不動のものとなった。

エルダー・ロドリゲス(Yamaha)にとっては今日しかなかった。彼はなんとしてもステージ優勝がほしかったが、これまでそれがかなわなかった。そしてできるものならケヴィン・ベナビデス(Honda)との5分の差を縮めて、総合5位に上がりたかった。SS最初から最後までアタックして、彼はYamahaとの契約を完璧に守った。彼はHondaに6分余りの差をつけてSSを制した。アントワーヌ・メオ(KTM)の不運も手伝って、彼は総合4位に浮上、3位のライバル、ケヴィン・ベナビデス(Honda) とは2’59”の差だ。

ここまでノー・ミスのアントワーヌ・メオが今日は劇的な不運に見舞われる。今朝3番目のスタート、チーム・オーダーに従ってプライスの総合優勝の為にサポートに徹して走っていた。なんと、なんとゴールまで僅か20kmというところで転倒してしまう。手を怪我し、他のライダーと共にゴール、トップから38分もの遅れになってしまった。

総合順位ではトビー・プライス(KTM)が2位のステファン・ソヴィツコ(KTM)に37分の差。3位はパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)、53分の差。これだけのタイム差であれば論理的にはロサリオの最終ゴールの順位はほぼこのままだ。

もしトビー・プライス(KTM)が総合優勝ということになると、ダカール・ラリー史初めてのオーストラリア人の優勝ということになる。ダカール・ラリー史に新しい記録が書き込まれるまであと一歩。

三橋淳はSS65位、総合56位。完走まであと1日!

クワッド部門 :パトロネッリ兄弟の弟マルコスは最初からアタックにかかった。最初のウェイ・ポイント(km50)で既にライバル、ブライアン・バラガナット(Yamaha)に1分半もの差で通過。しかしその後スピードを緩め、CP3(km284)では地元アルゼンチンのゴンサレスに追い越される。その後パンクでストップしたゴンサレスを追い越し、最後マルコスが本日のステージを制した。

総合順位は、トップが弟マルコス・パトロネッリ。昨日は兄だったので今日は交代した。そして、安全第一の走りの兄アレヒャンドロ・パトロネッリは総合2位、4’23”の差.。3位のセルゲイ・カリヤキンとは1時間52分もの差がある。

カミヨン部門 :今日はモト、クワッド、オート部門のコースの半分、CP4(km267)のコース。SS最初からピーテル・フェルスルイス(MAN)がアタックにかかり、先を行くエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)を追い越し、最後までトップ・タイムで走り切った。
総合順位ではジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が2位のアイラット・マルデーブ(Kamaz)、3位のフェデリコ・ヴィジャグラ (IVECO)らに1時間以上の差をつけている。

今日のWRCのようなコースはエンジンの小さいチーム菅原にとってはやや不利なステージ。ジュニア照仁はSS20位、総合で13位、父義正もSS35位、総合28位と双方、総合順位が上昇した。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1300/videos-galery.html


ダカール・ラリー、第12ステージのビデオ映像「Car/Bike」の中で菅原義正さんが 紹介されています。3:45からの”Another Dakar”というコーナーです。

菅原義正さん映像:http://www.dailymotion.com/video/x3mof5p_stage-12-summary-car-bike-san-juan-villa-carlos-paz_sport

「74歳の菅原義正さ ん、2016大会出 場者の中で最高齢者。参戦33回目のダカール・ラリーだが、 モト、オート、カミヨンすべてのクラスで参戦した。
現在カミヨン部門で30位、 最終ゴールほ最高の幸せまであと1日だ。」

全車 :リエゾン(移動区間) 281km+SS(競技区間)431km=合計712km

モト部門

049 –アントワーヌ・メオ(KTM)(SS1位、総合3位)
思ってもいなかった

えー、そんなに良い成績だったの?思ってもいなかったぁ。うっそだろー。パウロ(・ゴンサルヴェス) が転ぶ前、彼を追い越した。彼はせっかく今朝再スタートできたのに残念だ。今年初めてのダカール・ラリーで3位のつけられたってうれしいなぁ。

今日のナビゲーションは超複雑で、みーんなミスしていた。俺はツイていた。 一時、一人だけになってしまって、一人だけこんなに速いわけがないと思い、ロード・ブックを1コマ外していたことに気が付いた。一つ手前の位置に戻って、正しいコースにいるのかどうか確かめた。じれったいがこんな風にして習っているところなんだ。あとステージ2つ、どうなるかわからない。初めての参加なので今は勉強の時、チームの決定は今晩どうなるかな。

 

003 –トビー・プライス (KTM) (SS2位、総合1位)
他のライダーとのタイムは僅差

今日も良い走りができた。3番目のスタートだったが180kmで先頭に出た。その後はトップを引いた。しかし、ゴール手前50kmから80kmの間は非常に走りにくい路面で難しかった。暑くて、呼吸が苦しかった。今日の難しいステージをこなせてうれしい。他のライダーとのタイムは僅差だ。そして、最終ゴールはまだ遠い。大事なのは最後のステージのゴールラインを超えることだ。今日は暑さのせいでライディングがつらかったが、バイクは良好。メオは素晴らしいタイムを出した。チームにとって良い事だ。道に迷った競技者がいるので、全員走り終わってからの順位を待とう。

 

004 –パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)(SS3位、総合4位)
まだあとたくさんkmが残っている

とても疲れるステージだった。スタートしてから給油ポイントまでマックスのスピードで走った。トップ集団とのタイムをかなり縮めたと思う。でも、給油の所でリア・タイヤに問題があるのを見つけ、その後はスピードを落とした。SS最終部は非常にハードだった。岩だらけ、大きな水たまり越えもあった。すごく危なかった。今日のステージは非常に厳しかったので、走り切ることができてうれしい。まだあとたくさんkmが残っているから、明日がどうなるか楽しみだ。感情に振り回されず集中して走るつもりだ。

 

オート部門

300 –ナセル・アルアティヤ (MINI) (SS1位、総合2位)
ステージ優勝できてうれしい

非常に長いステージで、非常に暑かった。最初から最後までアタックした。ステージ優勝できてうれしい。最後の数10kmは、フロント・トランスミッションのシャフトが壊れたまま走った。2駆になってしまったが、ミッシュランタイヤが良いので、我々にとってハンディにはならなかった。パンクはしなかった。ステファン・ペテランセルにプレッシャーをかけるのは難しいが、ジニエリ・ド・ヴィリエより上の今のポジションをキープするよう頑張る。彼に20分ほどアドバンテージをとれたので満足だ。

 

314 –セバスチャン・ロエブ (プジョー)(SS2位、総合9位)
ゴールできてよかった

SSの440kmを走り終わってあと2kmというところでカルダン・シャフトの折れる音がした。シリル(・デプレ)を3km手前で追い越したので、非常にラッキーだった。彼が止まって、ゴールまで牽引してくれた。そうでなかったら、今頃まだコース上で壊れたところを直していなければならなかったろう。おかげでこうして、まずまずの時間でゴールできた。SS初番でナニ・ローマがコースを遮って追い越せずタイムを失ったが、その後は良いスピードで走れた。今自分は初めてのダカール・ラリーで見習いの立場だが、見習いは見習いだ。早く走ることは知っているが、方向を選んだり、道のないところを走ったりするのは私にとって初めてだ。今日もほとんどオフロードで、砂丘は少なかったがリオ(枯れ河)は多かったが、うまく走れた。車にダメージを与えるとても長いSSだったが、ゴールできてよかった。

 

302 –ステファン・ペテランセル(プジョーI) (SS4位、総合1位)
ちょっとしたトラブルが我々を台無しにすることだってありうる

430kmのコースはナビゲーションが非常に複雑で、フェシュフェッシュやリオ(枯れ河)が多く、その上、終盤は本格的なラビランス(迷路)だった。当然ストレスがかかった。クルマの音を注意して聞きながら、クルマにダメージを与えるような障害すべてに注意しながら走った。ちょっとしたメカ・トラブルが我々を台無しにすることだってありうる。コースでストップしてしまったら、我々が今持っている1時間近いアドバンテージだって何の役にも立たない。ラリーレイドでは突発の連続なんだ。

 

321 –シリル・デプレ (プジョー) (SS8位、総合7位)
まだ優勝が確定したわけではない

最初から最後までハンドルを左右に動かし、ブレーキを踏んでは放し、クルマをありとあらゆる方向に向けて走る、くたびれるSSだった。ステファン(・ペテランセル)の砂埃を前方に見ながら、スピードを落とさないように走った。好調に走っていたが、SSゴール20kmでタイヤの空気システムのホースを引きちぎってしまい、スピードを落とさなければならなくなった。

あと5kmのところでセバスチャン(・ロエブ)に追い越された。その後半分くらい行った時彼が止まっていた。石にヒットしてカルダン・シャフトを壊したんだ。そこで10分ほど修理を試みたが、直せないことが判った。牽引ロープを出して「手伝ってくれるか?」と言う。もちろん手伝ったよ。いくらなんでも、プジョーのクルマをそこにほったらかしていけない。

目標はなんといってもロサリオのゴールだ。クルマ、タイヤの保存を考え、つまらないミスをしないよう気を付け始めた。もし1度もステージ優勝していなかったら、何が何でも1回はとろうとしたと思うが、もう優勝したことがあるので無茶はしない。

全車 :リエゾン(移動区間) 281km+SS(競技区間)431km=合計712km

昨日の悪夢のようなコースに比べたら、今日のコースは簡単に見えるだろう。しかし、今日もまだ砂丘ゾーンがあり、フェシュフェッシュはより多い。果敢な競技者はアタックにかかるが、SSは431kmもあり、相当気合を入れて注意して走る必要がある。今日のサン・ファンのゴールで、また新しいサプライズが用意されている。

この一帯に続く雨の影響は今日もレースをかき乱し、早朝コース・チェックをしていた競技オフィシャルが路面のコンディションが悪いとの理由でスタートが1時間遅れた。さらに午後になって、コース後半がキャンセルの発表。40℃を超える暑さの為、モト&クワッドはCP2(km243)までとなった。オート&カミヨンは予定通り全行程で競技が行われる。


不運のカルロス・サインツ(プジョー)、昨日スタート時は総合首座にいた。罠だらけのコースの中でクルマを壊し、30kmあまり牽引されてゴールに到着した。エンジンとギア・ボックスを繫ぐスペーサが壊れた。一縷の望みを託して6時間遅れのゴールだったが、メカニックたちが朝5時まだかかっても駄目だった。チームは車両の走行不可能と判断、サインツのリタイアを発表した。通算29回もステージ優勝を果たしながら、不運のモトWRCチャンピョンは2013から今年で4度目のリタイアとなった。

さらにHONDAの希望を一身に集めていたパウロ・ゴンサルヴェス、マラソン・ステージ1日目でラジエターに穴が開いてしまい、なんとか1人で修理した。昨日渾身の走りでトップと6分差SS4位でゴールし、総合タイムもトップと縮めていた。しかし夜中、競技オフィシャルから非情の発表、50分のペナルティを科されてしまったのだ。CP2での容認停止時間が15分しかないところ、ラジエター修理のために1時間以上ストップしていたことに対するペナルティだった。これで不運のゴンサルヴェスに総合優勝の夢は絶たれた。

ゴンサルヴェスの後退で、総合順位でアントワーヌ・メオ(KTM)が4位に浮上した。3位のパブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)との差はわずか 1’06”、そして5位のケヴィン・ベナビデス(Honda)とは 1’06”の僅差だ。今日のレースは激しいタイム争いになりそうだ。最良のディフェンスはアタックすることだと言うが・・・。

アルアティヤとメオがステージ優勝、コントロールしたリーダー達

ナセル・アルアティヤが今大会2度目のステージ優勝を果たした。ゴール手前2kmで故障によるストップのセバスチャン・ロエブ(プジョー)とミッコ・ヒルボネン(MINI)を抑えてのステージ優勝だった。暫定で総合首位のペテランセルはトップから8分遅れでSS4位、総合の首位の座はキープした。

モト部門ではトビー・プライス(KTM)がステファン・ペテランセル同様、ライバルをコントロールして総合首位を守った。アントワーヌ・メオ(KTM)はスーパーなアタックでステージ優勝、総合順位は3位に浮上した。

ナセル・アルアティヤはロサリオまで絶対にあきらめないと決心している。総合首位に52分ものタイム差があるのでそれを覆すのはあまりに遠い。しかし常に表彰台にいる競技者として、最高の位置を求めて毎日毎日できる限りの手を尽くすことにしている。今のところそれがうまくいっている。

SS前半はロエブとペテランセルのプジョー2台に鉄腕を披露するのを譲った。しかし後半になって脱兎のごとくアタックにかかったアルアティヤは、まずロエブに追いつき、そしてペテランセルにもアドバンテージを取る。ロエブと競い合っていたペテランセルだが、終盤になって、クルマを最終ゴールまで持たせるなければならないことを意識し、おとなしく走る法を選んだと思われる。

一方ロエブはゴール手前2kmでカルダン・シャフトが壊れ、シリル・デプレに牽引されてSS4位ゴールした。なんと、その状態でもステファン・ペテランセルに1’09”の差をつけていたのだ!これは9度のWRCチャンピョンが、たーだダカール・ラリーに“ちょっと遊びに来た“のではないことを証明していよう。

総合順位では、ステファン・ペテランセル(プジョー)がナセル・アルアティヤ(MINI)に51分の差をつけて優勝。2位はジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)、1h17’24”の差。

ロサリオの最終ゴールまであと2日。しかし繰り返すDKR2008の悩みの種が再び始まったりしたら、安泰と思われている総合優勝が一瞬にして消え失せてしまうことだってありうる。

モト部門: トビー・プライス(KTM)が今日もレースをコントロールした。彼はSS後半でちょっと“ひとひねり”してライバルたちに差をつけた(次席とのタイム差があるので、ペナルティ覚悟でウェイ・ポイント8,9を外してゴールした)。彼は総合首位を守り抜き、2位にチームメイトのステファン・ソヴィツコ(KTM)が35分差で着いた。

パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)は、ゴールまであと60kmというところで大転倒。メディカル・カーで移送される事態となってしまった。

そして、1分15秒という僅差の3位パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna)、4位アントワーヌ・メオ(KTM)の争い。前半キンタニーリャがリードしていたが、後半ブレーキ故障のためにスピードダウンしたおかげで、メオが最後SSを制した。彼は、2位のプライスに18秒差、3位キンタニーリャに2’38”の差でのステージ優勝。ダカール・ラリー初参加で5度のワールド・チャンピョンは今大会2度目のステージ優勝。

一方、総合2位で今朝スタートしたステファン・ソヴィツコ(KTM)はトップと12分以上も遅れてのゴール。その為、総合順位で首位のプライスと35分23秒の差になってしまう。

三橋淳はSS53位、総合53位と今日も順を上げた。

クワッド部門: 今日は南アのブライアン・バラガナット(Yamaha)をパトロネッリ兄弟が抑えた。ステージ優勝を果たしたのは兄アレヒャンドロ・パトロネッリ(59秒差)、3位が弟マルコス1’16”の差。総合順位はマルコス・パトロネッリ(Yamaha)が1位をキープ、兄アレヒャンドロが8秒’で後を追う。ブライアン・バラガナット(Yamaha)が3位に浮上、しかしトップと1時間40分以上の差。さて、わずか8秒差のパトロネッリ兄弟、どちらが最終で優勝を手にすることになるのか?

カミヨン部門 :昨日と全く違う顔ぶれがSS上位についた1日。ステージ優勝はエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)、2位はピーテル・フェルスルイス(MAN)、トン・ファン・ヘヌフテン(IVECO)。総合順位では、SS6位のジェラルド・デ・ローイ(IVECO)、2位はアイラット・マルデーブ(Kamaz) 1時間9分差、3位はフェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)1時間45分の差。

菅原照仁はSS13位、総合で14位、父義正もSS33位、総合31位。

カミヨン部門は第1走者ニコラエフがスタートしたのが12時15分前、SSゴールまで5時間半かかった。既定のSS終了時間20時14分までにゴールできたのはわずか36台という厳しいコースだった。もちろんオート部門も同様、21台が完走できなかった。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1200/videos-galery.html

オート :リエゾン(移動区間) 485km+SS(競技区間)278km=合計763km
カミヨン :リエゾン(移動区間) 237km+SS(競技区間)431km=合計668km
モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 283km+SS(競技区間)278km=合計561km

SSは雨の影響で、CP5(km244)までと変更になった。

モト部門

002 –パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)  (SS4位、総合8位)
今最終の優勝に向けて戦う

今日はポジティブな日になった。カミヨンの後ろのスタートだったので、ワダチがひどかった。砂は締まった所やふかふかの所など非常にイレギュラーなので、ゆっくり走った。でもゴールまで走り抜くことができた。まだ優勝争いの中にいられた。
昨日はマラソン・ステージのビバークだったので、自分でできるだけの事しかできなかったから、この後メカニックにバイクが100%になるようやり直してもらう。昨日のマラソン・ステージの後、最終優勝に向けて戦うのは大変だ。タイムが大きく開いてしまったから。しかしまだ終わったわけではない。昨日のあの出来事の後、ゴールできてよかった。総合で3位だが、多くのライダーが僅差で固まっている。毎日良いペースで走るようにしたい。明日はできるだけ良いポジションがとれるようアタックするつもりだ。

047 –ケヴィン・ベナビデス (Honda)  (SS2位、総合5位)
今日の成果に満足だ

楽しいステージだった。転んだが、なんともなかった。コースは非常に難しかった。いたるところでコースを選ばなければならなかったし、雨で川になったリオ(枯れ河)も、泥もいっぱいあった。普通はこんなんじゃない。砂丘は湿って非常に柔らかかった。最終的に今日の成果に満足だ。最終ゴールが近くなってきた。コンスタントにこのポジションにいられるよう注意して、プレッシャー無く、こんな風に続けたい。

 

004 –パブロ・キンタニーリャ (Husqvarna) (SS6位、総合34位)
今日のステージを走り切ることができてうれしい

良い走りができなかった。タイムを縮めようと頑張ろうと思っていたが、給油地点に着いたとき、リアのタイヤを傷めてしまった。応急処置をしたが、アタックすることは不可能だった。冷静に走ろうと、スピードを落とした。今日のステージを走り切ることができてうれしい。本当にひどい一日だった。大きくタイムを失った、それは確かだ。だがまだそれでもあと何ステージか残っている。最後まで絶対あきらめない。

 

003 –トビー・プライス (KTM) (SS3位、総合1位)
まだ優勝が確定したわけではない

今日は大事な日だった。昨日猛暑の中でバイクが悲鳴を上げていたので、ゆっくり走った。ナビゲーションに注意した。後ろの2人に追い越されたが、我慢した。良いステージだった。総合トップをキープするのに、少し安心なタイムになった。昨日のようにタイムを競って、アタックしなくてもよくなった。何が起こるかわからないが、仕事をきちんと続けることだ。ミスをしないよう、ウェイ・ポイントを外さないように気を付けなければならない。大事なのは元気で、必要ならばスピードを上げて走る準備をしておくことだ。

 

オート部門

314 –セバスチャン・ロエブ (プジョー) (SS5位、総合9位)
それでも最後まで走る

あまり良いことはなかった。それに慣れなければならない。今のところ、いやというほどあちこちぶつかっている。全ての点で難しいし、大変。ワダチを追って走っている。コースをオープンして走る競技者は本当に大変だと思う。

何とかスタックしないように走った。前に進む努力を続けた。最後の幾つかの砂丘越えは少し慣れてきた。ウェイ・ポイントを探すのに10分くらい失った。全部のウェイ・ポイントで15から20分くらい失ったかもしれない。しかし、他の競技者も同じようにウェイ・ポイントを探していたはずだ。これで良しと思ったウェイ・ポイントが実は次のだったので、他に探さなければならなかった。この二つのウェイ・ポイントはそこまでたどり着くルートが近づき過ぎていたんだと思う。

砂丘でキックして小さな横転をした。パンク2回、横転1回、スタック1回、道に迷ったの1回・・・柔らかい砂の中で悪くなる一方だったが全部のSSを走り切った。それでも最後まで走り抜くぞ!

 

321 –シリル・デプレ (プジョー) (SS2位、総合6位)
それでも最後まで走る

ダビッドはSS始めから良い仕事をして、良いナビゲーションをした。前を走るライバルに勝つのに、この後メガ・スピードで戦った。ステファン(・ペテランセル)に数分差で負けたが、でも良い。カルロス(・サインツ)は、リオ(枯れ河)の中の大きな岩にぶつかってストップしたが、ステファンと私は良いレースができた。

今朝のSSはオート、モト、カミヨンが至る所、あっちこっちの方角を向いて走っていた。そんな中ダビッドは良いコースを選んでくれた。CP1についてカルロスとステファンがいたので、間違っていなかったとほっとした。止まってドアを開けて一息した後、4分後に再スタートした。

クルマでどれくらいのスピードで走れるか見てみたが、2年前に走ったYamahaよりこのプジョー2008のほうが走りやすい。このペースで練習を続けるつもりだ。プジョーにとっても自分にとっても大事なことだ。

自分はまだ練習の段階だ。モトで5回優勝したが、優勝できるようになるまで長い時間かかった。オートでも同じように時間をかけてやりたい。ここまで来て集団から外れてしまうなんて、本当に残念でたまらないだろうな。レースで焦ってはいけないんだ。リオ(枯れ河)の中の大きな岩にぶつかってカルロスを見た。胸が詰まる。我々はカミソリの刃の上にいるようなもんだ。自分だってアタックしながら、全部のへまをかわしきれるかどうかわからない。

300 –ナセル・アルアティヤ(MINI) (SS14位、総合2位)
今日はリスクを冒さなければならなかった

今日はリスクを冒さなければならなかった。SSに入って10kmくらいの所で、土手にぶつかって横転した。ひっくり返ったクルマを起こすのに他のクルマが来るのを待って、けっこう時間がかかった。クルマが傷んでしまったうえ、残りのSSをゴールまで走り切らなければならないのでその後は大変だった。クルマの屋根とクーラー・システムが壊れ、何度も止まってちゃんと動いているか確かめなければならなかった。それでもなんとか到着でき、ジニエリ・ド・ヴィリエやミッコ・ヒルボネンからあまり遅れないですんだ。総合で2位、このポジションをキースするようにしたい。

302 –ステファン・ペテランセル(プジョーI) (SS1位、総合1位)
私は抑制不可状態だった

最悪のSSスタートをしてしまった。km32でウェイ・ポイントを探してウロウロして15分くらいロスした。その後、優勝が無くなったと思って、タガが外れた。危険を冒し、計算を辞めた。今日しか盛り返すSSが無いと思っていたので、全力でアタックした。

本当にナビゲーションが難しい、道なき道のマシーンを傷めやすい、ラリーレイドの要素が全て盛り込まれたSSだった。常に、こんなSSは成績に大きな差ができるんだ。パンクして、気が狂ったように喚いた。今日は私は少し抑制不可状態だった。しかし、スピードを出して走った。最終的に、総合順位で一歩上がった。シリル・デプレが2位でゴールし、我々を助けてくれるので良い事だ。

オート :リエゾン(移動区間) 485km+SS(競技区間)278km=合計763km
カミヨン :リエゾン(移動区間) 237km+SS(競技区間)431km=合計668km
モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 283km+SS(競技区間)278km=合計561km

マラソン・ステージの後半となる今日のコースは、ベレンを離れてラ・リオハへ南下する。今日もほとんどが道なき道の広大な荒れ地が選手らを待ち受ける。まだ続く砂漠の中の難しいコース選び、かつてないほど長い砂丘セクション。ロザリオの最終ゴールまで完走するには、今日いかにマシンと人を保存できるかにかかってくる。

そして、夜間の雷雨でコースは濡れ、特にSS最初のコーナーのリオ(枯れ河)に水が溜まってしまった。競技オフィシャルが現場を探索し、予定より1時間遅れて8:00にスタートした。本日スタートするのはモト97台、クワッド32台、オート100台、カミヨン50台。

女性ライダーのNo.12レイア・サンス(KTM)は現在総合17位、そしてナニ・ローマのガールフレンド、No.93ローサ・ロメロ・フォント(KTM)も78位。一方クワッド部門ではNO.259カメリア・リポラティが21位、No.281ゴヴァドンガ・フェルナンデス・スアレスも総合27位と頑張っている。なんという強靭な女性たち!

今日のスタートはダカール・ラリー史初めてのスタート様式。オートのトップ10台とモトの10台、カミヨン5台が入り混じって出発になる。

まず3分毎にモト5台:トビー・プライス(KTM)、ケヴィン・ベナビデス (Honda)、ステファン・ソヴィツコ(KTM)、パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna) 、リッキー・ブラベック(Honda)がスタート。そして次は4輪の4台が3分毎に。カルロス・サインツ(プジョー)、エリック・ファンローン(MINI)、ミッコ・ヒルボネン(MINI)、ジニエリ・ド・ヴィリエ(Toyota)。アントワーヌ・メオ(KTM)、ナセル・アルアティヤ(MINI)、その後モトが4台、そして、カミヨンのジェラルド・デ・ローイ(IVECO)、シリル・デプレ、ステファン・ペテランセル……という具合。

11時58分、SSの最後部30kmがキャンセルになり、競技はCP5(km244,7)までと変更になった。

デモンストレーションのペテランセル、コントロールのプライス

長いふかふかの砂丘コース、難しいナビ、多くの競技者がスタック、転倒を繰り返した悪魔のようなコースの今日、オート部門でステファン・ペテランセル(プジョー)が叩きのめした。これでもかというほど盛りだくさんの難関を超え、弾丸のように走り抜いた。ライバルたちがトラブルに見舞われた、大きくアドバンテージをとって総合首位に返り咲いた。残りロサリオの最終ゴールまで3日となった今夜、彼の総合優勝を阻止することは相当難しそうだ。

そして、疾風のようなペテランセルに後に、チームメイトのデプレがSS2位のゴール。ライバル、ナセル・アルアティヤ(MINI)、ミッコ・ヒルボネン(MINI)、カルロス・サインツ(プジョー)、セバスチャン・ロエブ(プジョー)らは砂丘の餌食となってメカ・トラブルやスタックに苦しんだ。

モト部門ではステファン・ソヴィツコ(KTM)がダカール・ラリーで初めてのステージ優勝。総合順位ではトビー・プライス(KTM)が1位をキープ、2位のソヴィツコに23分以上の差をつける。

本日のSSが始まるなりMINIチームに災難。総合8位にいたエリック・ファンローン(MINI)がSSスタートからkm5地点で横転。ほぼ同時にナセル・アルアティヤもkm5,85で横転して逆さにひっくり返った。ファンローンは車両調整後再スタートしたが、アルアティヤは車を起こしてくれるチームメイトを待って大きくタイム・ロスした。

ライバルがトラブっている間、ステファン・ペテランセルはチームメイトのカルロス・サインツといっしょにひた走る。第1ウェイ・ポイント(km30)でパンクしながらもサインツはアドバンテージを取っていたかに見えた。しかしすぐに、今日が”ムッシュー・ダカール“の日になることを思い知らされる。ボルテージ満杯、狂ったように走るペテランセルはサインツにCP2 (Km111) で 5’52”、 CP3 (Km174)では20分もの差をつけて通過した。

そして、サインツに苦難が降りかかる。CP2の先、Km213でリオ(枯れ河)の中の大きな岩にぶつかり、エンジンとギア・ボックスの連結部が故障してしまう。アシスタンス・カミヨンを待って牽引されて、トップから6時間遅れの61位でゴールすることになる。
一方ペテランセルはライバルに邪魔されることもなくゴールに飛び込み、通算12回目のステージ優勝を果たす。チームメイトのシリル・デプレもゴール、“先輩にたった5’40”の差“ととても嬉しそうだ。

通常トップ集団のタイム差は僅差だというのに、今日のSS3位以降タイム差が大きい:SS3位ウラジミール・ワシリエフ(TOYOTA)はトップとの差12’56”、4位ナニ・ローマ(MINI)は14’33、セバスチャン・ロエブ(プジョー)は17’40”。
ロエブは、競技中パンク2回、横転1回、スタック1回、道に迷ったのは1回・・・だったというのに、なんというパフォーマンス!少なくともトップ10に入っている。

総合順位では、ペテランセルが首位のロイヤル・シートに落ち着いた。ライバルのナセル・アルアティヤ(MINI)とジニエリ・ド・ヴィリエ(TOYOTA)に1時間以上もの差があるのだから、何か起こらない限りほぼ安泰。4位はミッコ・ヒルボネン(MINI)、1時間23分の差。シリル・デプレ(プジョー)が1時間50分の差で5位に浮上してきたが、表彰台に上るにはあと37’36、タイムを縮める必要がある。

モト部門:スロヴァキア人ステファン・ソヴィツコ(KTM)が初めてのステージ優勝。トップ集団で無傷だった。総合トップのトビー・プライス(KTM)はSS3位でゴール、わずか 5’47”の差だった。プライスはソヴィツコに23’12”の差で総合首位を守る。

今年で7度目の参戦、ソヴィツコはこの2016ダカール・ラリーで最も難しいステージを制したことになる。4時間あまりの競技の果てに、ケヴィン・ベナビデス (Honda) 2’54”、トビー・プライス(KTM)に5’47”の差でSS1位の座についた。

ベナビデスは良い仕事をして、アントワーヌ・メオ(KTM)に4’49”も差をつけた。一方、昨日大きなトラブルでエンジンを交換したパウロ・ゴンサルヴェスは、集中して総合3位の座を守るべくゴールまで執念の走りを見せた。3位でゴールしたがエンジン交換に対するペナルティ約40分が科されて、総合8位に後退してしまった。

総合順位では、1位トビー・プライスKTM)、2位ステファン・ソヴィツコ(KTM)23’12”、3位パブロ・キンタニーリャ(Husqvarna) 42’49”、4位アントワーヌ・メオ(KTM)44’04”、5位ケヴィン・ベナビデス(Honda) 45’01”の順。

三橋淳はSS58位、総合56位と順を上げた。

クワッド部門 : 今日は南アのブライアン・バラガナット(Yamaha)がパトロネッリ兄弟を抑えて、ステージ優勝を果たした。しかし総合順位ではマルコス・パトロネッリ(Yamaha)が1位をキープ、兄アレヒャンドロがわずか1分32秒’で後を追う。ゴンサレス・フェリオリとは1時間半以上の差。

カミヨン部門:ジェラルド・デ・ローイが再びステージ優勝。総合順位でもジェラルド・デ・ローイがトップ、2位はロシアのエドワルド・ニコラエフ(Kamaz) 27’12”、アルゼンチン人フェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)41’24’の差。

菅原照仁はSS12位、総合で14位、父義正もSS26位、総合30位と上昇した。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1100/videos-galery.html

オート&カミヨン :リエゾン(移動区間) 111km+SS(競技区間)285km=合計396km
モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 151km+SS(競技区間)285km=合計436km

スタート後、昼近くなって猛暑の為SS後半がキャンセル、CP2(km187)までとなった。さらにその後、モト部門だけCP1(km82)までと変更された。

モト部門

003 –トビー・プライス(KTM)  (SS1位、総合1位)
グチは言いたくないが、後半のキャンセルが残念

ウェイ・ポイントがなかなか見つけられず少しウロウロしたが、それでもナビゲーションはうまくできた。いろいろトラブルはあったが、最終的には良い1日になった。暑いが、体調は申し分ない。グチは言いたくないが、CP2以降がキャンセルになってしまって残念だ。後半の競技のキャンセルで得する競技者も出てくるだろう。こんなものさ。全力で走り切ったことは気持ちが良い。すぐ後ろにステファン・ソヴィツコがいる。バイクはまだ十分走れる。チームは良い仕事をした。ゴンサルヴェスが心配なことがあると聞いた。どうなるんだろう・・・。

 

049 –アントワーヌ・メオ(KTM) (SS3位、総合5位)
今のところ、自分は運に恵まれている

パウロ(・ゴンサルヴェス)がラジエターに木が刺さって穴が開いてしまった。何とかCP2まで走ったが、エンジンが焼き付いてしまったと思う。トビーにとってはラッキーなことになってしまった。今日のSSの後部がキャンセルになったことは、少しがっかり。
SS前半のナビゲーション・ステージで小枝がホイールに刺さって転んでしまった。その後はエルダーに追いつき、ナビゲーションもうまくいって良い仕事ができてうれしかった。SS後部でそのペースで仕事ができるかと思っていたから、残念。でもそんなものさ。毎日いろいろ勉強になる。今年は完璧な準備ができたとはいえないが、来年はもっと良くしたい。ダカール・ラリーで良い成績を取るには、運も必要なんだ。パウロ(・ゴンサルヴェス)はツイていなかったが、今のところ、自分は運に恵まれている。

 

004 –パブロ・キンタニーリャ (Husqvarna)   (SS7位、総合4位)
ものすごくハード、すごい暑さ

今日はすごくハードだった。ものすごく暑かった。すごくたくさんナビゲーションがあった。砂はふかふか。大変だったけど、好調だった。ミスもしていない。それって大事なんだ。疲れたけど、なんとか全てうまくいっている。SS後部の競技が暑さのせいでキャンセルになった。どんな風な修正の設定で、公式な順位があとで発表になるのだろう。後から出発したライダーらは、砂丘の中で早朝出発したグループよりずっと暑い中で走らなければならない。この後の主催者の発表に注意を向けていないといけない。

 

オート部門

300 –ナセル・アルアティヤ   (SS5位、総合3位)
良い仕事ができた

もちろんSSが短くなってしまって残念だ。昨日やっとナビゲーション・ステージが始まって、私にとって本当のダカール・ラリーが始まったばっかりなのでね。この暑さで本当に今日は大変だった、でも良い仕事ができた。2度パンクした上、ラジエターを掃除しなければならなかった。プジョーに勝ててうれしい。こんな風に続けたい。明日もまた難しい1日、トップをとれるよう頑張る。

 

301 –ジニエリ・ド・ヴィリエ   (SS4位、総合5位)
ダカール・ラリーらしい、難しいコース

SSが途中キャンセルになって少しがっかりした。50km辺りでパンクしたが、とてもうまくいっていた。ミスしないよう、良いコース選びをするよう十分集中していた。いいリズムに乗っていた。ダカール・ラリーらしい、難しいコースだった。最後まで行けなかったのは残念だか、それなりの理由があるのだろう。明日のレースを待つことにするよ。

 

303 –カルロス・サインツ   (SS1位、総合1位)
2度スタックした

難しいコースだった。ナビゲーションはいっぱいあるし、道なき道、柔らかい砂。何が起こるかわからないコースで、いろいろあった。2度スタックした。最終的にSSをとれた。今日のコースはいまいちだった。明日はきっと非常に難しいと思う。その上、明日は(2輪はスタート地点が違うので)前を走る2輪がいないので、ワダチが無い。

 

302 –ステファン・ペテランセル   (SS7位、総合2位)
明日は最後のチャンス

(MINIチームから昨日SS途中で給油したことに対しクレームが提出された。それについて) こんな状況の中でどうするのが一番いいのかわかりかねる。すべての要素から判断するのは主催者だ。そして、自分は、主催者の決定を受け入れるつもりだ。

一方、今日のレースは非常に暑くて、路面も砂も非常に柔らかかった。草原の中でスラロームもやった。明日は今日とはまた違う難しいコースだ。最後のチャンスになるだろう。トップに戻ることができるのは明日しかない。我々はいかなることがあっても準備はできている。十分準備はしてきた。高温なのはうれしくないが、それもOKだ。

オート&カミヨン :リエゾン(移動区間) 111km+SS(競技区間)285km=合計396km
モト&クワッド :リエゾン(移動区間) 151km+SS(競技区間)285km=合計436km

再びマラソン・ステージの1日目。夜ビバークでメカニックのサポートが受けられないので、カラダとクルマをいたわりつつ、2日間のコース配分をしなければならない。今日SSの距離はいつもより短く見えるが、ほとんどが道なき道のオフロード・コースで、リオ(枯れ河)や草が多いフラット砂丘。こうしたオフロードの中では、ロード・ブックに指示されるコースが分かりにくく、正しいコース選びが非常に難しい。超難度の高いナビゲーションに加えて高温という厳しいコンデションとなる。つまり、今夜の順位はそうとう入れ替わりがある可能性があるということだ。厳しい暑さの中、正しいナビゲーションコースを選ぶ競技者が今日の勝利のカギを握る。

モト&クワッドはSS終了の後リエゾンで今日のフィアンバラのビバークに向かう。オート&カミヨンは朝スタートしたビバークに戻るのに対し、モト&クワッドは競技者だけの明日のスタート地点にやや近い特設会場で1夜を過ごす。

天気予報で発表になっている平均気温は36-38℃、砂丘の中はもっと暑くなる。

予定通り、モト7時、クワッド8時、オート8時56、カミヨン9時45分にスタートした。

そして、11時24分、フィアンバラの砂丘の異常高温などの問題で、競技はCP2(km178)以降がキャンセルということになった。さらに午後になってモト部門はCP1(km82)で競技が中止になった。

猛暑より強かったサインツとプライス

カルロス・サインツは巡ってきた2度目のステージ優勝チャンスを見逃しはしなかった。僅か12秒の差で優勝を勝ち取った。猛暑の理由でコースがCP2までと縮小され、わずか178kmとなった本日のコース、競技者同士の差は僅かで2位、エリック・ファンローン(MINI)、3位ミッコ・ヒルボネン (MINI)、それぞれ10秒、12秒の差だ。カルロス・サインツはステファン・ペテランセルの遅れに乗じて総合でトップに躍り出た。総合タイム、二人の差は 7’03”。

モト部門ではトビー・プライス (KTM)が再びステージを制したが、短縮されたコースで、彼の本来の実力が示すことができなかった。総合2位にいたパウロ・ゴンサルヴェス (Honda)はトラブルに見舞われ、後半キャンセルによるタイム修正で思った以上の順位の後退はなく、この先への望みが繋がれた。

オート部門 : 昨夜MINIチームが、プジョーに対し、ステファン・ペテランセルが承認されていない場所km180で給油したとの理由でオフィシャルに調査を求めた。オフィシャルはこの給油が事実かどうか調査にかかった。プジョー・チーム監督ブリュノー・ファミンは「この給油は道路上を走っているときに行われたことなので合法だ。なぜ、クレームが提出されたのか理解できない」とコメント。事情によっては、ステファン・ペテランセルは6時間のペナルティ、あるいは失格の判定を受ける可能性がある。

2週目に入ってプジョー・チームにプレッシャーがかかっているのは確かだ。短い今日のSSで、今日もプジョーがステージを制した。最初のウェイ・ポイント(km56)をシリル・デプレが最初に通過、タイム上では4台のMINIとトヨタの次。それはDKR2008のトップグループがそれぞれ問題を抱えていたことを意味する。CP1(km82)では、さらに事態は悪化。セバスチャン・ロエブやステファン・ペテランセルがシリル・デプレに1分もの差をつけられて通過したのだ。

ナセル・アルアティヤはこうしたプジョー・チームの不安をよそに、CP1をトップ・タイムで通過する。しかし砂丘ゾーンの後半はあまり芳しいとは言えない。少しもたもたしているうちにCP2にサインツがトップ・タイムで通過し、彼はサインツより2分あまの遅れての通過となる。本来この後リカバリーするところだが、今日はこの後のコースがキャンセルになってしまったのだ。

昨日異常にエンジンがヒートしたペテランセルは今日は慎重に走っていた。そのことも、サインツに短縮コースになったことが有利に動いた。ペテランセルに7分ものタイム差をつけることができたのだ。サインツにとって今大会2度目、通算29度目のステージ優勝だ。総合タイムでは、2位にペテランセル7’03”、3位アルアティヤ、トップと14’28”の差。

先週脚光を浴びた9度のWRCチャンピョン、セバスチャン・ロエブ(プジョー)は昨日の横転事故で大きく後退したが、今日無事スタートできた。砂丘の中で何度もスタックを繰り返したが、なんとかカルロス・サインツから1時間13分遅れでCP2到着できた。

明日のスタートはダカール・ラリー初のスタート様式で、オートのトップ10台とモトの10台が同時出発になる。明日の順位がどういうことになるか・・・?

モト部門:こちらもCP2(km178)、CP1(km82)で競技が中断されたことで大きく揺れ動いた1日となった。猛暑で消耗しきった競技者があまりに多くなったとことから、早々のレース切り上げとなった。ただ一人トビー・プライス(KTM)は、スタートから快調にコースをオープン、皆を苦しめている猛暑などどこ吹く風だ。当然CP1もトップ・タイムで通過、2位のパウロ・ゴンサルヴェス(Honda)に3分もの差をつけた。

パウロ・ゴンサルヴェス は大きなトラブルに見舞われる。CP2直前ラジエターに木が刺さって穴が開いてしまったのだ。CP2にようやく到着したものの、牽引されてビバークに移動した。

ステージ優勝のトビー・プライス(KTM)は、タイム修正後、総合タイムが2位ステファン・ソヴィツコ(KTM)28’59”差、パウロ・ゴンサルヴェス (Honda)34’01”と大きくアドバンテージを得ることになった。ゴンサルヴェスはタイム修正でリタイアを免れ、総合順位も表彰台の照準の中に残ったが、明日のスタートまでに競技者だけでエンジンの交換ができないと、再スタートができない。

昨日インタビューに記載しておいたミカエル・メッジ(Honda)、昨日SSのスタート直後電気系トラブルに見舞われ時速20km/hで走ることになってしまった。13時間半もの時間をかけて走り抜き、夜中ようやくビバークに到着した。パウロ・ゴンサルヴェスのウォーター・ポーター、今朝元気に出発し、今日のレースも無事走りぬいた。総合で73位につける。

クワッド部門はパトロネッリ兄弟を抑えて、同国人パブロ・コペッティがステージ優勝。総合では相変わらずパトロネッリ兄弟の弟マルコスが、兄アレヒャンドロ0’44”の差で首位。3位アレクシス・エルナンデスとは45分近いタイムが開いている。

カミヨン部門:今日もジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が余裕の走り。SS2位の同国人、ファン・ヘルフテン(IVECO)と3位アンドレイ・カルギノフ(Kamaz)にそれぞれ、3’59” 16’44”の差。総合タイムでは、ジェラルド・デ・ローイが首位をキープ、後続のエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)に27分、フェデリコ・ヴィジャグラ(IVECO)に41分ものリードをとった。

日野チームスガワラのジュニア照仁はなんとSS9位でトップ10入り、総合でも15位に上がり、父義正はSS30位、総合35位に順位を上げた。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-1000/videos-galery.html

オート    :リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)394km=合計767km
カミヨン   :リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)392km=合計765km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)394km=合計767km

 

モト部門

003 –トビー・プライス   (SS1位、総合1位)
パウロ(・ゴンサルヴェス)と際どい接戦

完璧なレースなんてなかなかできない。いくつかミスしたが、カップ(方向)選択で少しツイていた。最後、他のライダーより良いタイムでゴールできたので、良い日となった。でも、まだ競技中のライダーがいるから、それは今のところというだけだが。第8ステージのゴールに着いた、それは良いことだ。

パウロ(・ゴンサルヴェス)と際どい接戦だ。一日おきに総合トップを取っている。その争いは分単位の競い合いで、最後の日には秒単位の争いになるだろう。
彼は僕よりナビゲーションに強い、でも彼の前にいられるよう精一杯の走りで粘る。このトップのポジションはちょっとストレスだ。コースをオープンして走らなければならないので、コースの選択に自信がないといけない。今日はそれがうまくいった。明日は、またマラソン・ステージにアタックすることになる。2日目の激しい争いに備えて、バイクを傷めないよう気を付けなければいけない。

 

002 –パウロ・ゴンサルヴェス   (SS2位、総合2位)
タイヤが溝にとられてぶっ飛んだ

オフロードの凸凹の難しいコースの1日だった。スピードを上げて走っている時、タイヤが足をとられてぶっ飛んだ。体のダメージは無かったが、GPS機材が壊れた。それから後、ケーブルが切れてもげてしまわないよう、片手で抑えながら走らなければならなかった。最終的にトビーからあまりタイムを失わずに済んだ。だから嬉しい気持ちでいられる。トビーは私より5分勝ったが、それは当然だ。今年は後半の週最初からハードなコースで、非常に難しい1日だった。運よく明日はマラソン・ステージ。私ってラッキーなんだ、フフフ・・・。

 

047 –ケヴィン・ベナビデス   (SS5位、総合5位)
毎日アタックを続ける

今日のコースはSSが二つのパートになっていた。最初のはサルタ地方、後半はベレン地方だった。パート1では土路面で道路を走った。後半は砂丘や岩場のオフロードでナビゲーションがいっぱいあって難しかった。メオと一緒にスピードに乗って、正しいカップ(方向)、正しいコースを選べた。今日の難題は暑さと柔らかい砂だった。

良い休息日を過ごせた。自宅に帰って、家族や友人たちといっしょに過ごした。自分のベッドで寝た。この後のレースの為にそれはまさに必要なことだった。毎日アタックを続ける。順位が後退するよりアタックしているほうがいいに決まっている。

 

049 –アントワーヌ・メオ   (SS8位、総合6位)
明日は私の番だ

SSパート1では思いっきり走った。方向を選ぶのに全くミスが無かった。ケヴィン・ベナビデスから20秒遅れていた。それって悪くないタイムだ。その後SSパート2で、ナビゲーションが多くなったのでスピードを落として走った。最終的に、頑張った甲斐がある結果になった。ゴール手前以外はほとんどナビゲーション・ミス無し。たとえトビーがまじめに走って順位を上げたとしても、私はまぁまぁのポジションにいる。明日は私の番だ。

 

019 –ミカエル・メッジ   (SS–位、総合–位)
パオロを助けて走りたい

SSパート1に入って18km地点、電気系の故障で時速20kmしか出なくなってしまった。SS1のゴールまでものすごい時間がかかってしまった。その後アシスタンスが故障の原因を見つけて直してくれた。
SSパート2を走っている間に暗くなってしまった。これまでダカール・ラリーで夜走行したことが無い。それってすごくたいへん!ゴールまであと10kmのところ、ふかふかの砂地でバイクのフロントが地面にささって投げ出された。肩から落ち、手首もぶつけた。
今何時かわからない。休んで元気を取り戻さなくては。体のあちこちが痛い。できるものならパウロ(・ゴンサルヴェス )を助けられるよう、バイクが直って走り続けたい。
(現地時間朝4時現在、まだ順位が発表になっていない。スタート前は総合16位だった)

 

オート部門

300 –ナセル・アルアティヤ   (SS1位、総合3位)
SSパート1ではいいタイムが出せた

本当に、本当に難しいハードなコースだった。SSパート1ではいいタイムが出せたが、後半はオフロードの中、プジョーのバギー相手に非常に難しかった。彼らについていくのは不可能だ。たった12秒早くSSゴールに着いたが、まだ全員ゴールしたわけではない。もし、今日我々がこのままステージ優勝だとすると、明日はコースをオープンしなければならない。それは簡単じゃない。が、マチューは今日はいい仕事をしたので、明日も大丈夫だと思う。

明日は砂丘の中でミスしないようにしたい。優勝は嬉しいが、バギー軍団はキャメル・グラス(雑草に覆われた平原)の中で非常に速い。今日は勝てたが、明日はどうか・・・。明日から2日大事なステージになる。

 

302 –ステファン・ペテランセル  (SS3位、総合1位)
セバスチャンが大横転事故

今日は、セバスチャンがここSS2のゴールから20kmほど手前で横転事故を起こした。我々は彼に追いついて、追い越し、その後彼らは再び我々の前に出た。彼は遅れを取り戻そうとしていた。オフロードの中で、我々は120km/hくらいで走っていた。彼は大きな亀裂に足を取られて数回横転した。20秒後に彼らに追いついたとき、クルマはひっくり返っていた。彼らは我々にそのまま走れというサインをした。彼ら二人はクルマから出ていたので二人とも無事だったことがわかった、でもクルマはひどいダメージだった。失ったタイムを取り戻そうとして、彼はミスしてしまったんだ。チームにとって、トップ集団に2台しかいないというのはかなりシビアだ。そのうえ、キャメル・グラスの中で我々のクルマの温度が異常に上がっていたので我々も安泰ってわけではない。

 

303 –カルロス・サインツ  (SS2位、総合2位)
明日と明後日は最も大事な日

ショック・アブソーバーがちょっと心配なんだ。温度が上がりすぎないようスピードを落として走らなければならないが、それ以外は問題ない。コースをオープンするというのは常に難しい中、コ・パイロットのルカス(・クルス)はとても良い仕事をした。今日のSSで優勝になるかどうかわからないが、いずれにしてもステファン・ペテランセルの後ろをスタートするほうが良い。明日と明後日は最も大事な日だ。

 

314 –セバスチャン・ロエブ   (SS33位、総合8位)
優勝は消滅した

リオ(枯れ河)で、大きな段差があったのが見えなかった。それでクルマが大きく横転した。オフロードの中の何段にも重なったリオだった。少し甘く見ていたのかもしれないが、私はこのリオの中を走るのに慣れていなかった。私はもっとゆっくり走るか、他のコースを選ぶべきだったのかもしれない。自分の目に見えるものだけを過信して、亀裂・段差などの車を壊す要因を見ていなかった。ロード・ブックに示されたコースをたどろうとしたが、右や左とあっちこっちに向かい、正しいコースの上を走れなかった。優勝は消滅した。既に、完走は難しいかもしれない。タイヤのホイールを交換し、その次は計器類を修理と既にかなりのタイムを失った。我々はまだ十分わかっていないことは判っていた。これから、経験の為にレースを続けたい。
(注:ロエブはトップから1時間8分遅れでゴール、総合でトップとの差1時間5分となった)

オート:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)393km=合計766km
カミヨン:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)392km=合計765km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間) 373km+SS(競技区間)394km=合計766km

昨日、サルタで休息日を過ごしたダカール・ラリー一行。残った車両は全部で289台:モト112台、クワッド36台、オート90台、カミヨン51台。スタート時の83%だ。プジョー・チームはみんなの予想に反して、センセーショナルな結果を示した。特に初参加のセバスチャン・ロエブ、中間地点でチームメイトのステファン・ペテランセル、カルロス・サインツを差し置いて総合トップについている。

モト部門では、経験豊かなパウロ・ゴンサルヴェス(Honda)が若いトビー・プライス(KTM)、ケヴィン・ベナビデス(Honda)、アントワーヌ・メオ(KTEM)らのアタックを巧みにかわし総合首位を抑えた。

第8ステージ、第2週目最初のステージ、今日もニュートラルゾーン(競技にはカウントされない移動部)を挟み2つのパートに分かれるコース。先週は多くが3000mを超える山岳部だったが、今週はナビゲーションと砂丘のステージがメインとなる。

SSパート1は公道を走るコースで、凹凸、カーブ等それなりの注意個所はあるが比較的ナビゲーションの難度は低め、後半SSパート2は、100%オフロード、砂丘あり、多くのリオ(枯れ河)が走り、ナビゲーションが難しい。

6時にビバークを出発、180kmあまりのリエゾンを移動してSSパート1に向かったモトの一団、国立公園の通過時に地元当局が一部のライダーをストップしたため到着が遅れ、スタートが40分ほど遅れた。オートも8:59スタート予定が10:02のスタート。そして、カミヨンの第1走者がスタートしたのは12:53。

全てをパウロ・ゴンサルヴェスに託すHONDA・JAPAN

プロローグを含め、第1週目のステージでHONDAは3度のステージ優勝、良い皮切りだった。ホアン・バレダ が2度のステージ優勝をペナルティの為にかき消されたとしてもまだ望みは大きかった。この2016大会、日本のHONDAの狙いは表彰台の最上階、みんな知っていた事だ。バレダの目を見張るようなハンドルさばきで、CRF450は素晴らしいポテンシャルを披露していた。

不運にもバレダはマラソン・ステージ2日目(第6ステージ)でメカ・トラブルに見舞われる。ツイていなかった。バレダ のリタイアで、目立たないが最も競争力のある男パウロ・ゴンサルヴェス が総合1位に上昇し、“赤い”チームのすべての希望が注がれることになる。難度の高いナビゲーションがふんだんに盛り込まれた難しいコースと報じられているレース後半で、HONDA・JAPANは残存するライダーと総力を挙げて、目標にフォーカスするはずだ。リッキー・ブラベック(12位、トップから38’07) やミカエル・メッジ(16位、トップから50’26)らもガード役としてチームの優勝をサポートすることになるだろう。そして、南アHONDAの驚くべきポジションのケヴィン・ベナビデス(総合5位、トップから21’01)も並行してHONDAの実力を世に知らしめている。サルタ→ベレンのステージの夜、彼の順位次第で彼のHONDAの役割が変わることになるかもしれない。

飛び跳ねるアルアティヤとロエブ

ナセル・アルアティヤがついに、プジョー・チームの覇権に終止符を打った。今日の並外れたステージで、MINIのオフィシャル・パイロット、アルアティヤは、2台のプジョー・チーム、カルロス・サインツとステファン・ペテランセルをそれぞれ12秒、31秒の差で抑えた。一方、セバスチャン・ロエブは砂丘の中でスタック、その上SSゴール直前大きなミスを犯し、順位後方へと沈んだ。

モト部門ではトビー・プライス (KTM)が再び反撃、ステージ優勝を果たし、総合でもトップに躍り出た。

何というレース!何という1日!この第8ステージは、ダカール・ラリー史、最も劇的な日のひとつに数えられることになるのではなかろうか。ナセル・アルアティヤがこの第38回大会でプジョー・チームの覇権に終止符を打った。393kmのコースを全力を尽くして、彼はステージを制したのだ。CP1で既に彼はサインツに1’30”、ペテランセルに6分もの差で通過しているのだ。信じられないすごいスピード!

DAR2008のプジョー・チームは、SSパート2で果敢に追い上げる。それでも12秒、31秒の差でMINIにステージ優勝を持ち去られた。そしてSS最後で、ロエブは運命的な事故に遭う。SSパート2の初番、砂丘の中でスタック、その失ったタイムを取り戻そうとその後猛アタックにかかる。ゴール手前11kmでクルマが亀裂に足をとられた、数回の横転の後にひっくり返って止まった。二人は無事だったが、クルマが大きく破損、順位が大きく後退した。

調子を取り戻したシリル・デプレ(プジョー)はSS4位。そして、MINIのミッコ・ヒルボネンやナニ・ローマらも5,6位といつもの位置に戻ってきた。総合順位はペテランセルが2’09”差で首位、2位はチームメイトのサインツ、3位アルアティヤ14’43”の差だ。キャメル・グラス(雑草に覆われた平原)の中でエンジンがヒートし、ペテランセルはちょっと心配と打ち明けた。ペテランセルに不安だなんて、ただのデマか攪乱か?その答えが出るのは明日。

モト部門:完璧な走りのトビー・プライス(KTM)、手にすべきものを手にした1日だった。マルク・コマがこれまで守り抜いたKTM総合優勝を、今回ロサリオの最終ゴールで引き続きKTMの手にすべく、彼の実力を示した。

今朝は2番目の出発のプライス、CP1でゴンサルヴェス(Honda)に53秒の差で通過。その後、最初の砂丘ゾーンでも先輩を抑える。パーフェクトなナビゲーションのプライスは、ライバルのトラブルでも有利になった。ゴンサルヴェスが転倒してGPS機器を壊したのだ。このナビゲーション・ステージで、GPSが壊れるとは最悪! そのおかげで、プライスは総合で宿命のライバル、ゴンサルヴェスに2’05”の差でトップに立った。総合3位はステファン・ソヴィツコ(KTM)、トップとの差14’14”。

一方、アントワーヌ・メオ(KTM)は砂丘の中で迷い、トップから11分遅れのゴールで8位のゴール。総合では6位と思ったほど後退していない。

三橋淳はSS67位で無事ゴール、総合63位。

クワッド部門:パトロネッリ兄弟が今日のステージをトラブル無しで制した。弟マルコスが兄アレヒャンドロに5分差でステージ優勝を果たした。SS3位は暫定で南アのブライアン・バラガナットが入ったが、15分のペナルティを受け、ペルーのアレクシス・エルナンデス(Yamaha)に修正された。

総合では、1位マルコス・パトロネッリ、2位2’06”差でアレヒャンドロ・パトロネッリ、3位アレクシス・エルナンデス、30分以上の差がある。

スタート直後、SSkm18でNo.283カルロス・アレヒャンドロ・ヴェルサが転倒、足首骨折でリタイアした。

カミヨン部門:ジェラルド・デ・ローイ(IVECO)がロシアのカマズチームを抑えて再びステージを制した。2位はエドワルド・ニコラエフ、7’58”の差 、 ピヨートル・ベラシウス、 13’29”の差。

日野チームスガワラはジュニア照仁がSS17位でゴール、総合16位と順位を上げた。父義正はSS38位、総合39位と着実にコマを進めている。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-900/videos-galery.html