Category : レポート

全車:リエゾン(移動区間) 350km +SS(競技区間) 314km=合計664km

ロエブとバレダ、見事なパフォーマンス

本日の第3ステージ、スピード競技者に有利なコースと予告されたステージで、まさにその通りになった。セバスチャン・ロエブはプジョーのハンドルを握って見事なデモンストレーションを繰り広げた。モト部門のバレダも同様、HONDAで素晴らしいパフォーマンス。バレダがこれで通算14回目のステージ優勝、総合でトップになった。オート部門でもロエブが総合トップ。

本日のコースは重なる豪雨の影響で、SSが途中縮小され、オート&カミヨンはCP3までの190kmとなった。一方、モト部門は雨や泥に覆われた前半部分がキャンセルになり、CP1(km112,91)からのスタートし201kmのコース。
そして、最初のモトがスタートした8時5分以降も、雷が鳴り響き、時々雨が降る一日となった。

昨夜、レース終了後、スピード違反により全体で74台の競技車がペナルティを課されることになった。ルーベン・ファリア、ソヴィツコなどが1分のペナルティを科され、総合順位の移動があった。

オート部門: ロエブはWRC時代、SSでほかの競技者を“追い払う“仕事をしていた。そして、今日のラリーのSSでもその責任を全うした。多くの競技者を後ろに従え、コースをオープンしながら走るこの「コースのオープン役」はミスが許されない。WRC9度のチャンピョン、ロエブはそのステージをミス無しで走り切った。まだラリーのナビゲーションスキルは2流、しかし全部のチェックポイントをトップで通過した。最終ゴールはまだまだ先だが、少なくとも38回大会で、彼の名を記したことには間違いない。

プジョーは損失を最大限小さくすることに成功し、ライバルに5分以上のタイム差をつけた。ジニエリ・ド・ヴィリエ(TOYOTA)は 5’03”, ステファン・ペテランセル(Peugeot) は 5’15”、ミッコ・ヒルボネン (Mini) は 5’52”。ナセル・アルアティヤ (Mini)は 6’30、シリル・デプレやカルロス・サインツなどプジョーの他の車は10分以上の差。

モト部門: レースは同じように続いているが、残念ながら昨日と同じようなわけにはいかない。トビー・プライスは昨日の活躍を今日再び繰り返すことはできなかった。コースをオープンしながら、常にHONDAのペースを維持しうることができなかったのは確かなようだ。最初のCPで彼はトップ集団からはじき出され、5分以上ものタイム差で10番目の通過となっていた。
SS優勝は地元アルゼンチンのケヴィン・ベナビデス、2位がパウロ・ゴンサルヴェスとHONDAの活躍が光った。今朝2番スタートのルーベン・ファリア(ハスクバーナ)も同様苦しんだ一人、トップと6分以上もの差をつけられることとなった。ファリアはトップとの総合タイムでは差4分近く、8位に後退した。

チームKTMのアントニオ・メオ(5度のエンデューロ世界チャンピョン)が幸いにも素晴らしいパフォーマンスを見せ、暫定タイムでバレダの次につけ、総合タイムでは13位に上昇した。総合タイムでトップはSS4位でゴールしたステファン・ソヴィツコ(KTM)、総合2位はケヴィン・ベナビデス(HONDA)が34秒差で続く。第2ステージで泥に覆われたコースを避けてう回し、僅かにタイムを失ったホアン・バレダ(HONDA) がいつもの快心の走りを見せ、総合3位に上昇してきた。

クワッド部門:トップ2名イグナシオ・カザレとブライアン・バラガナットのライダーのバトルが際立った1日。2番手でスタートしたブライアンが激しく追い上げ、ステージ優勝を果たしたが、イグナシオとの差は3’56”。イグナシオはかろうじて総合1位の座をキープしたが、バラグァナットとの差はわずか4秒しかない。総合3位につけたのは、ブラジル人マルチェロ・メデイロス、トップとの差は6’58”あまり。

カミヨン部門:チェコのマルチン・コロミー(タトラ)が昨日優勝したハンス・スティシー(マン)を抑えてSSトップについた。スティシーは総合トップをキープ、しかし総合2位のチームメイト、ピヨートル・ベラシウスとの差はわずか22秒。総合3位は地元アルゼンチンのフェデリコ・ヴィジャグラ(イベコ)、SS3位になって上昇した。

 

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-400/videos-galery.html

オート&カミヨン:リエゾン(移動区間)336km+SS(競技区間)510km=合計846km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間)316km+SS(競技区間)450km=合計766km

 

プライス敵意むき出し、ロエブ、センセーションを巻き起こす

 
1日目の短いプロローグ、その次の日の競技キャンセルの後、ダカール・ラリーはようやく本格的なレースを始めることとなった。ビジャ・カルロス・パスとテルマス・デ・リオ・オンドを結ぶコースは、ナビゲーション難度の高くないスピードコース。

モト部門では、トビー・プライスが最初のステージ優勝を記した。プライスはダカール・ラリー2度目のステージ優勝。彼はSSの間ルーベン・ファリアにぴったりついて走り、SS最後でファリアを引き離し、1,2秒差でステージを勝ち取った。

オート部門では初出場のフランス人セバスチャン・ロエブが、泥の中で2分失ったにもかかわらず、初めてのステージ優勝を果たした。

オーストラリア人トビー・プライスは前大会で初めてのダカール・ラリー出場だった、そして最終ステージで優勝した。だから、今大会は表彰台への思い入れが違う。その野望を証明するかのように、最初のSSでそのチカラを示した。しかし、事はそう簡単ではない。ハスクバーナのオフィシャル・ライダー、ルーベン・ファリアがスタートするなり悠々とリーダーの座につき、ほとんどトップを引いて走った。彼は3分前にスタートしていたホアン・バレダ を追い越してスクラッチ・タイムもトップにいた。そのファリアに食らいついて走り、最後に追い越した。SS2位はホアン・バレダ 、3位はフランス人アラン・デュクロ。

スロヴァキアのステファン・ソヴィツコは3番目のスタートにもかかわらず、果敢に攻め、トップとの差わずか1,5分でゴールした。しかし同じKTMのマチアス・ウォークナー、HONDAのパウロ・ゴンサルヴェス に割って入られ結局5位。本日見事なパフォーマンスを見せた一人、アルゼンチンのケヴィン・ベナヴィデスはSS8位。

クワッド部門では、2015年大会の悪夢を打ち消すかのようにイグナシオ・カザレが猛スピードでSSを走り抜けた。2014年大会に続き2度目の総合優勝という目標をきっちり抱きながら、チリのライダー、カザレは2位に大きなタイム差でゴールした。SS2位は南アのブライアン・バラグァナット、そして、1年ぶりに戻ってきたアレヒャンドロ・パトロネッリは3位でゴールした。タイトル保持者ラファウ・サノクはトップと6分以上の差で、SS6位に着いた。

オート部門、セバスチャン・ロエブはダカール・ラリーでトップタイプを出すパイロットに入り、優勝を期待して出場してきたのではないに違いない。9度のWRC世界チャンピオンというキャリアの持ち主とはいえ、ラリー界の強者相手に、ナビゲーションのスキルも十分獲得していないうちに、大仕事を成し遂げるなんてありえない。しかしなんと、フランスのアルザス出身パイロットは、いともたやすくライバルたちを追い抜き、チームメイトのステファン・ペテランセルに2’23の差でSSゴールを通過、初めての参加にして、初めてのSS優勝を手にし、総合でトップについた。

新型プジョー2008は明らかに大幅に改善されているようで、SS5度の優勝記録を持つウラジミール・ワシリエフと、宿命のライバルで同じトヨタのジニエリ・ド・ヴィリエに15秒の差でゴールした。ロエブと同じ元WRCパイロット、ミッコ・ヒルボネンはSS5位に入り、元モト部門から移籍してきたシリル・デプレはSS7位に入り、その実力と車のパフォーマンスを示した。
ナセル・アルアティヤはパンクで貴重なタイムを失い、カルロス・サインツは原因不明のエンジン・ストップで11分失った。そして、泥の中でメカトラブルになったナニ・ローマは45分、オーランド・テラノヴァ、グザヴィエ・ポンスはさらに30分ものタイムを失った。

カミヨン部門では、2015年大会同様、ハンス・スティシーが最初のSSを制した。10度目のダカール・ラリー参戦、今回はマンに移籍しての参加だ。2007年大会で総合優勝。しかし、今日のSSはピヨートル・ベラシウスにわずか48秒の差、そして従妹のジェラルド・デ・ローイに 1’51と僅差。本日のSSをほとんど1台でトップを引いていた地元のフェデリコ・ヴィアグラは最終的に5位。KAMAZの最もタイムが良かったのは2015年優勝者、アイラット・マルデーブで8位だった。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-300/videos-galery.html

オート&カミヨン:リエゾン(移動区間)404km+競技区間258km=合計662km
モト&クワッド:リエゾン(移動区間)404km+競技区間227km=合計631km

 

第1SS(競技区間) キャンセル

 
第38回ダカール・ラリーの最初のステージは、数日前からの雨によりコースが最悪のコンデションとなって、キャンセルとなった。黒い雲が低く垂れこめ、時折雷がなり、ヘリコプターや飛行機のフライトが不可、そして、競技者らの安全が確保できなくなった。そのため、エチエンヌ・ラヴィニュ ダカール・ラリー総監督は本日の競技キャンセルの決断を余儀なくされた。

ブリーフィングでキャンセルの報告の後、競技者らは本日のビバーク、ビジャ・カルロス・パスを目指してリエゾン移動となった。モト&クワッドはコンボイで、オートは自由走行の移動だった。さらに、まだ出発していないカミヨンは、夕刻アシスタント・カーのコースを使って直接ビバークに向かう。

競技上では、昨日のプロローグの成績順に、明朝第2ステージをスタートすることになる。第1走者は、モト部門はホアン・バレダ(HONDA)、オート部門ではベルンハルト・テンブリンケ(TOYOTA)。オート部門はプロローグの際、競技者ゼッケン360の事故の為、後続スタート予定の46台が走行できなかった。この競技者は、競技ディレクターからスタンダード・タイムを割り当てられることになる。

明日のステージのビジャ・カルロス・パス→テルマス・デ・リオ・オンドは難度がやや低めと予想されている。最初70kmをリエゾン、その後今大会最長のSSとなる。オート&カミヨンは510kmのコース。モト&クワッドは450kmのコースで難度は高くないがスピードの出しやすいコースの為、競技者の間のタイム差が開きそうだ。SSを終了後、250kmのリエゾンでビバークのテルマス・デ・リオ・オンドに向かう。

ビデオ映像:http://www.dakar.com/dakar/2016/us/stage-200/videos-galery.html

2015/1/15  第13ステージ :ロサリオ – ブエノス・アイレス
全競技者 リエゾン:77km  スペシャルステージ: 174km  リエゾン:142km

今日のレース

「ロサリオからブエノス・アイレスに北上する道路の途中の174kmのSS。ブエノス・アイレス→コルドバのステージ1で走ったSSを逆走するように走る。主に農道の中でフラットなグラベルでスピードは出しやすいが、晴れて路面が乾くと砂埃が立ちやすく他の競技者を追い越すのは難しい。しかし今日の場合は、先日降った雨でコースが非常にスリッピーになっている。最後まで何がおこるかわからないのがダカール・ラリーだ。最終ゴールでリタイアする競技者が毎年いる。」と紹介されていたコース。

モト&クワッド部門はリバース・スタート、総合順位最後のモンゴル人Anar Chinbataarが最初のスタートで、コースをオープンした。SSが始まった後、徐々に雨風が強くなってひどくなって土砂降りで前も見えなくなった。スリップ事故などの危険を避ける為、競技区間がCP2(km101)までと変更になった。

豪雨の中、路面・視界の状態が非常に悪く、ライダーらはグループになってコンボイ移動のような走行となった。1時間あまりでトップグループがCP2=SSゴールを通過、2時間半ほどでSSが終了した。この為、今日のSSの結果は本来の競技とはいえないような順位に終わった。イワン・ジェイクス(スロヴァキア)が1位、2位、ステファン・ソヴィツコ(スロヴァキア)、45秒差、3位トビ―・プライス1分7秒差。
今朝総合18位にいたヤクブ・プシゴンスキ、SS2km地点であやうくリタイアしかけたが、牽引されてゴールした。

オート&カミヨンはいつもの順番どおり、昨日のSS順番通りのスタートだった。モト&クワッド同様、豪雨の為にCP1(km34)だけのSSとなった。トップ走者がわずか13分でゴールしてしまう短いSSで、こちらもいつもの顔ぶれと違う順位となった。SS1位ロビー・ゴードン(米)、SS2位、ルロワ・プールター(南ア) 25秒差、SS3位エミリアノ・スパタロ(伊)29秒差。
カミヨン部門はSS1位ハンス・スティシー(オランダ)、SS2位マルセル・ファンフリート(オランダ)、1分21秒差、SS3位アイラット・マルデーブ(ロシア)2分23秒差。

総括

ダカール・ラリー2015でスタートしたのは406台 (モト79台、クワッド 18 台、オート 68台、カミヨン 51台)、そのうちの216台がここブエノス・アイレスの最終ゴールに着いた。最後のSSはイワン・ジェイクスとロビー・ゴードンが優勝した。しかし何よりもマルク・コマが経験を生かしてダカール・ラリー5度目、ナセル・アルアティヤが2週間弾丸のように走って2度目の総合優勝を手にした。

永遠のライバル、元チームメイトのシリル・デプレと同回数になった。レジェンド、ステファン・ペテランセルの優勝記録まであと1回。この二人がダカール・ラリーで10年間君臨したが、常に正々堂々の競争を繰り返してきた。今年シリル・デプレが4輪に移籍し、マルク・コマのライバルはいないかと思われていた。しかし、とんでもない!2014年同様ホアン・バレダ が議論の余地なく、KTMを脅かす驚異のライバルだった。第2ステージでマルク・コマがタイヤのトラブルで12分タイム・ロスしたのに乗じてSS優勝、総合トップの位置にたった。その日以降、二人のスペイン人ライダーはいっしょに走り、2分縮めては2分引き離されるというサイド・バイ・サイドの戦い。何日にもわたる熾烈なトップ争いで、バレダ はミスなしで最後まで走る経験を積んだかに見えた。

しかし、第8ステージでバレダ のバイクにトラブル。冠水したウユニ湖を渡る時にダメージを受けたホンダのバイクがイキケのゴールまで走るのを拒んだ。ジェレミアス・イスラエルに牽引されてゴールしたが、そこでマルク・コマの総合1位の位置は決定的なものになってしまった。

その後、打倒KTMを掲げてダカール・ラリーに帰ってきた世界のホンダ3年目の名誉をかけてオフィシャル・ライダー、パウロ・ゴンサルヴェス が立ち向かう。終始際どい差でプレッシャーをかけ続けたが、最後総合2位に終わった。

ポディウムの3つ目はダカール・ラリー初参加のオーストラリア人27歳、トビ―・プライス。第12SSでステージ優勝、今大会中8回もトップ5入りして、またたくまに注目ライダーの仲間入りした。総合3位のポジションをめぐってパブロ・キンタニーヤとおおいにレースを沸かせた。オーストラリア人ライダーで1998年のアンディ・ハイドソン以来のルーキーのベストタイムとなった。

過去2度ダカール・ラリーに参加し、2度ともリタイアしていたパブロ・キンタニーヤは今回総合4位、それでも十分満足な成績だろう。難しい第8日目で初のステージ優勝、2016年にさらなる意慾をかけて出てくるに違いない。

ゴールできなかったが第1ステージ優勝のサム・サンダーランドや、プライスと同様初参加ながらステージ優勝を果たしたマチアス・ウォークナーら新世代の来年の活躍が楽しみだ。そして今回誰よりも輝いたのがライア・サンス、イキケのステージでSS5位という素晴らしい成績、何より総合9位という女性ライダーのダカール・ラリー史上最高の順位で才能ぶりを披露した。

クワッド部門、ラファウ・サノク(ポーランド)がついに総合優勝を手にした。過去6度のダカール・ラリー参戦でそのうち4回トップ4に入っていた。2014年の総合優勝者イグナシオ・カザレ(チリ)が最初の2ステージを制したが、その後第3ステージで総合1位をサノクに譲る。そして激しい競り合いの後、第10ステージでメカニックのトラブルでカザレがリタイアしてしまう。さらに同ステージでライバル、セルヒオ・ラフエンテ(ウルグアイ)、翌11ステージでヴィクトール・マヌエル・ガレゴスロシス(チリ)もリタイアしていった。

ヘレミアス・ゴンサレス・フェリオリは19歳でステージ優勝、ダカール・ラリー史上最年少のステージ優勝記録となった。唯一のフランス人、クリストフ・デクレールの2度のステージ優勝もここに記しておきたい。

オート部門、ナセル・アルアティヤ第1ステージでオーバー・スピードというつまらないミスでタイムペナルティを科されてしまう。しかし、そんなもの彼にとってどうでもよかった。今年は彼のものだというメッセージが渡される。そして彼は翌日ステージを制し、以降そのメッセージに忠実に総合トップを維持した。ステージ優勝5回、2日目以降一度もその位置を放すことなく彼は強力にこの37回大会を凌駕した。

そのナセル・アルアティヤを絶えず悩ませたのがジニエリ・ド・ヴィリエだ。2009年の総合優勝者ド・ヴィリエは、MINI
301号をトップの座から引きずり落とすべく、最後まで手を緩めない。車は確かにMINIほどスピードがない、しかしそれでもいやらしいくらい常にピッタリと2位につけてきた。彼の活躍を充分満たすにはステージ優勝が欲しかったかもしれない。渾身のパフォーマンスで、35分あまりの差で総合2位に終わった。

2014年大会のタイトル保持者、ナニ・ローマは第1ステージでわずか数kmで故障の餌食になり、いきなり最初から6時間遅れのハンディを背負う。第9ステージで優勝を果たしたり、目覚ましい挽回を見せるが、最終ゴールまで4日のところで無念の転倒、レースを離脱することになる。

同じく転倒でカルロス・サインツが第5ステージで離脱の運命を余儀なくされた。ラリーレイドに戻ってきたプジョーチームはサインツがいなくなり、優勝への夢は残るステファン・ペテランセルに託す。しかし、悲願のタイトルには遠くおよばず、完走できたことで満足しなければならない。シリル・デプレも同じプジョーでデリケートな4輪の1年生を体験した。

2015年大会で無念の結果に終わったうちの一人、オーランド・テラノヴァ(アルゼンチン)は第4ステージから優勝戦線を離脱することになってしまったが、最後まで彼の速さを証明し続けた。もしほんのわずか運があったら、総合優勝に最も近いパイロットだったのではないだろうか。ツいていなかったのはヤジード・アラルヒもその一人。第11ステージまで素晴らしいパフォーマンスを見せていたのに、その翌日SSの数kmで車の故障でリタイアすることになってしまった。初参加にして第8日目にステージ優勝、総合3位にいたというのに・・・。2016年でこのリベンジを果たしてくれるだろう。

エリート・パイロットが次々と大会を離脱したことでチャンスが回ってきたクシシュトフ・ホロウィッツ、総合3位になった。大会参戦10度目にしてようやく悲願のポディウムに上った。

市販車部では、チーム・ランドクルーザー・トヨタオートボディの三橋淳が昨年に続きクラス優勝。通算5度目。クラス2位はチームメイトのニコラ・ジボン(仏)。クラス3位はアレヒャンドロ・ヤコピニ(アルゼンチン)、トップの三橋と7時間40分あまりの差だった。

カミヨン部門では、はからずしも4年連続優勝のKAMAZが完全制覇の年ではなかった。ハンス・スティシー(オランダ)は第1ステージ優勝から始まって4度のステージ優勝を果たした。にも関わらず中盤のメカ・トラブルで落としたタイムが響いた。アイラット・マルデーブとエドワルド・ニコラエフのトップ争いに食い入ることはできずに終わる。
一方今大会で6度のステージ優勝を果たしたニコラエフは2013年の総合優勝を今年こそ再度手に入れると思われたが、第7ステージで後退、彼の後ろをコンスタントについていた若いアイラット・マルデーブが総合トップに躍り出る。2009,2011と父のイリギザール・マルデーブのメカニックとして参加し、その後パイロットに転向して参戦4年目、マルデーブは先輩を13分差し置いて総合優勝の座についた。総合3位は同じチームメイトのエドワルド・ニコラエフ。

排気量10リットル未満クラスでは菅原ジュニア照仁が総合16位と健闘、クラス優勝。父菅原義正が総合32位で、クラス2位。クラス3位はアゴスティーニ・リッゾルディ(イタリア)で照仁と45時間あまりのタイム差がある。

2015/1/16  第12ステージ :テルマス・デ・リオ・オンド- ロサリオ
全競技者 ;リエゾン:284km  スペシャルステージ:298km  リエゾン: 478km

今日のコース

モトGPやWTCCのワールドチャンピョンシリーズ、アルゼンチンレースの会場となる、テルマス・デ・リオ・オンドのサーキット傍のビバークで一夜を過ごした一行は、アルゼンチンを斜めに縦断する超ロングコースの1日が始まる。最終ゴールまであと2日となり、いっそうハイテンションで競技者が挑んでくるので、アグレッシブなドライバーの逆転劇もありそうだ。狭いコースに覆いかぶさる木々に要注意。

初ステージ優勝を手にしたプライス、自分へのご褒美のテラノヴァ

ブエノス・アイレスのスタート以来、常に上位にいた敏速のライダー、トビ―・プライスはダカール・ラリー初参加にして日々経験をかてに力をつけているようだ。ここロザリオで初ステージ優勝、総合3位、オーストラリアのルーキーは2015年大会のサプライズのひとつになりそうだ。オーランド・テラノヴァはオート部門での総合順位をどうすることもできないのは承知、それでも今日は大会4度目のステージ優勝を果たした。

最終ゴールまであと2日となった今日、プライスが初のダカール・ラリーで最初の勝利をおさめるにはあまり時間がなかった。ルーキーのステージ優勝はマチアス・ウォークナーが早々手にしていた。彼はだから、なんとしてもそのステージ優勝をもぎとりたかった。彼は1日前の今日のステージで、最初から最後までアタックをかけた。この12日間力を緩めるどころか、総合3位の腕前を今日のSSで十分に示した。この新参者を最も近くで見守る総合1位のマルク・コマから総合タイムの差は25分しかない。

ホアン・バレダ はトップと1’55”の差でSS2位、今日もHondaのチカラを見せつけた。コースをオープンする役を絶妙の手腕で果たした。パウロ・ゴンサルヴェス はその隣にぴったりついて、同じくハイ・レベルのライディングで走りSS3位につけた。しかしマルク・コマを脅かすには及ばず、総合で余裕の差をつけられている。

コマはトップと6’25”の差でSS6位でゴール、ダカール・ラリー5度目の総合優勝に向けて無理をしないで走る。そして2週目になって元気になってきたスロヴァキア勢、イワン・ジェイクスとステファン・ソヴィツコがSS4,5位でゴール。総合3位の座を争っていたパブロ・キンタニーヤはトップから10分あまり遅れてSS10位、総合でもプライスとさらに差が開いた。

クワッド部門、昨日のステージ優勝者クリストフ・デクレールが連続優勝を果たした、今大会2度目のステージ優勝。ロザリオまでの追い越しの難しいコースで、デクレールはぶっちりぎりで飛ばし、ネルソン・サナブリアに7分以上もの差をつけてゴールした。総合1位のラファウ・サノクは無理をせずトップと10分あまりの差でSS4位、初のダカール・ラリー総合優勝に向かって黙々と駒を進める。

オート部門、ナセル・アルアティヤに総合タイムで7時間ものの差をつけられているオーランド・テラノヴァは、既に大会総合優勝は望めないと終止符が打たれてしまっていた。にもかかわらず、最後の4日間ではSS2位が3回、そして、今日大会4度目のステージ優勝と努力の手を緩めない。今日の最終日前のコースで少しでも差をつけようと、終日アタックした。総合3位にいながら72kmでメカ・トラブルでストップ、6時間21分ものタイムを失った第4ステージの惨事が悔やまれる。

ウラジミール・ワシリエフはトップと30秒あまりの差でSS4位、総合順位も5つ上昇し満足の1日。ワシリエフは第5ステージで初のSS優勝を果たしている。そして、エミリアノ・スパタロがルノー Dusterでトップと1’29”の差でSS3位、今大会最良のステージとなった。

SS4位にはナセル・アルアティヤ、1’37”差。総合優勝まであと393 kmだ。そして、総合2位にジニエリ・ド・ヴィリエ、3位クシシュトフ・ホロウィッツがポディウムを目指して続く。

カミヨン部門ではハンス・スティシー(IVECO)がトップでスタートし、最後まで追い越されることなく走り抜き、連続ステージ優勝を果たした。スティシーは、同国のマルセル・ファンフリート(MAN)とジェラルド・デ・ローイ(IVECO)らから激しく追い上げられたが、あまり追い越すチャンスのないコース、それぞれ18秒、28秒差でのゴールだった。タイトル保持者、アイラット・マルデーブ(KAMAZ)はおとなしく5位でゴール、総合タイムで次位のエドワルド・ニコラエフに12’43の差で首位を守る。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145945637
 
 
 

2015/1/15  第11ステージ :サルタ – テルマス・デ・リオ・オンド
モト&クワッド   :リエゾン:24km  スペシャルステージ:357km  リエゾン:142km  
オート&カミヨン  :リエゾン:184km  スペシャルステージ:194km  リエゾン:142km


コースは風光明媚で知られるかの有名なルート40。しかし、ピストはハイ・スピードで競技者らはその景色を楽しむどころではなさそう。そして11日目、これまでの疲れもたまってきている。モト&クワッドはマラソン・ステージの後半で、途中59kmのニュートラルゾーンを含む、パート1、パート2のSS。ロードブックの注意書きやコースに最大限の集中が必要。オート&カミヨンには途中道路が狭く、覆いかぶさるような木の枝などに要注意。

バレダ とアルアティヤ、連続ステージ優勝

昨日のカチのステージで優勝を果たしたホアン・バレダ はそのスピードを緩めるどころか、一段とアップして、連続ステージ優勝を勝ち取った。HRCチームメイトのパウロ・ゴンサルヴェス もマルク・コマ挽回の意欲をあきらめず、SS2位。オート部門ではナセル・アルアティヤが再びSSをトップ・タイムでゴール、第2ステージ以来押さえてきた総合1位の座を一段と固め、彼の才能ぶりを示し、ブエノス・アイレスでの勝利に向かう。

ラリーに出たバレダの速さは相当なものだが、彼がいったん照準を合わせて全力を出すとまさにアンタッチャブルになる。今日のSSはまさに2015年大会でその実力を示すかのよう!彼は昨日に続き、今大会4度目のステージ優勝を果たした。しかし、より注目すべきパフォーマンスは、パウロ・ゴンサルヴェスの優勝をあきらめない走りだろう。マルク・コマに2’23”速いタイムでSSをゴールし、総合タイムで5’12まで縮めた。しかし、HRCチームにとって無念なことに、エンジン交換のペナルティで彼に15分が科されてしまう。マラソン・ステージの昨日、ゴンサルヴェス のバイクのエンジンが壊れた。チームのジェレミアス・イスラエルがエンジンを提供し、バレダ の物と交換、そしてバレダ のエンジンをゴンサルヴェスにのせ替えたのだった。そのエンジン交換によるペナルティだった。

マルク・コマはそれにより、リーダーの座を確保することができたが、KTMの同じエンジンをあと2日間キープしなければならない。イワン・ジェイクス(スロバキア)は嬉しい初のSS3位、トップと1’35”の差だった。その後にルーベン・ファリアやトビ―・プライスも2分あまりの差で続く。総合の3,4位を際どいタイム差で争っていたプライスは、高山病に苦しんでタイムを落としたパブロ・キンタニーヤに2分の差でSSをゴール、順位が逆転した。
今日のSSはトップ10台までが5分以内、17位までが10分以内に位置する際どいタイム争いだった。

クワッド部門では、クリストフ・デクレール(仏)が本日のSSをトップ・タイムで通過、今大会初のステージ優勝を果たした。次位のネルソン・サナブリア・ガレリーノ(パラグアイ)、ワルター・ノシリア(ボリビア)が6’50差の同時ゴールだった。総合6位にいたヴィクトール・ガレゴスはエンジンを壊して無念のリタイアとなった。強力なライバル、モハメッド・アブイッサ(カタール)、セバスチャン・ハルペルン(アルゼンチン)、ルカス・ボネット(アルゼンチン)らがこのマラソン・ステージで次々とリタイアしてしまい、ラファウ・サノク(ポーランド)が総合で余裕のトップ、次位のヘレミアス・ゴンサレス・フェリオリに2時間50分ものタイム差をつける。

オート部門、総合タイムで30分近くの差でトップをいくナセル・アルアティヤは、一分たりともライバルに譲りたくないらしい。それどころか、彼はさらにテンポを上げ、2日連続でSSを制した。今大会12度目のステージ優勝、ダカール・ラリー2015大会優勝への意欲を示した。ここで優勝すると、ダカール・ラリー25回参加、総合優勝5回目の記録になる。
そしてオーランド・テラノヴァも何度も素晴らしい成績を残してきたパイロットだが、昨日に続きナセル・アルアティヤにぴったりくっついてSS2位、わずか27秒差だった。ジニエリ・ド・ヴィリエはトップと39秒の差で3位のゴール、トヨタとMINIのタイム差を縮めることはできなかった。

驚きの成績を出したのは、ベネディクタス・ヴェナガス(リトアニア)、3度目のダカール・ラリー参加でベストタイム、SS4位でゴールした。トップと40秒の差。さらに、SS5位はロシアのウラジミール・ワシリエフ、トップとの差1’16。

オート部門も今日のSSはタイムを広げるのが難しかったようで、トップ30台が10分以内でゴールというダンゴ状態。

さらに今日の大きな目玉はヤジード・アラルヒのリタイア、昨日のマルク・コマのクラッシュ事故に続く優勝候補のリタイアだ。SSをスタートして数㎞地点、総合3位にいたアラルヒがバルブが壊れてストップ。初参加にして総合3位の夢が消えた。それによって、総合で4位にいたクシシュトフ・ホロウィッツが3位に上がってきた。ダカール・ラリー参加9度、今年はポディウムに登れるか。

カミヨン部門ではハンス・スティシー(オランダ)が今回初のステージ優勝。同じIVECOに乗る同国人ライバル、ジェラルド・デ・ローイとわずか1分あまりのタイム差だった。そしてKamazのニコラエフが3位、総合タイムでトップのアイラット・マルデーブとの差を2分縮めてプレッシャーをかける。二人の総合タイム差はわずか11分だ。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145833391

2015/1/14  第10ステージ :カラマ :– サルタ
モト&クワッド :リエゾン:385km  スペシャルステージ:371km  リエゾン:135km  
オート&カミヨン:リエゾン:385km  スペシャルステージ:358km  リエゾン:116km

モト&クワッド部門は2度目のマラソン・ステージ。チリとアルゼンチンの国境を越えた後、SSが標高3600mのサリナス・グランデス(大塩湖)から始まる。終日3500m-4500mの間を下り、登りの繰り返し、技術より体力勝負のコースとなりそうだ。最後、標高4,970mのアカイ峠を通過する。

本日のスタート直前になってコース変更、全車371kmとなった。

壮観な走りのバレダ, 一段と足固めのアルアティヤ

先日のSSで大きくタイムを失ったバレダ だが、ここカチのゴールで再び勝利を手にした。しかし、ライバル、コマの総合順位は動じない。総合で2位に大きなタイム差を持ち余裕のアルアティヤは、このSSでもライバル、ド・ヴィリエにタイムを広げながら、今大会4度目のステージ優勝。ブエノス・アイレスの最終ゴールのVへと一段と近づいた。

第8ステージで優勝への夢をたたれフラストレーションのたまるホアン・バレダ だが、できる限りの揺さ振りをかけようと反撃に出た。トップ・グループの中でも最も才能あるとみられるライダー、ホアン・バレダ はこうして大会3度目のステージ優勝を果たした。カチのゴールでSS2位のマルク・コマに1’39”につけた。しかしコマはこの宿命のライバルに大きなタイム差で総合1位をキープする。

パウロ・ゴンサルヴェスもSS5位での満足のゴール。ライバルKTMのコマに総合タイムでさらに2分落とすこととなったががっちり総合2位を維持する。パブロ・キンタニーヤは6’29差でSS8位、総合3位をキープしたものの総合4位のトビ―・プライスにわずか30秒の差に追い上げられた。
鎖骨の手術から2か月あまりで苦しいレースを続けてきたルーベン・ファリアは嬉しいSS3位。
ホアン・ペドレロ・ガルシアはSS最後で大きくタイムを失い後退した。

今大会第3ステージで初のSS優勝、昨日総合29位につけていた新人マチアス・ウォークナー(オーストラリア)は高山病のえじきとなって本日のSSのスタートを見合わせた。また、フランス人ユーゴ・ペイヤン(9度目のダカール・ラリー)も同理由でスタートを断念、リタイアした。

クワッド部門では、トップ3を南米勢が抑えた1日。ネルソン・サナブリア(パラグアイ)が若いヘレミアス・ゴンサレス(アルゼンチン)を相手にパーフェクトなレースでステージを制した。次位のゴンサレスと3’40”の差で、大会2度目のステージ優勝。そしてSS3位はウォルター・ノシグリア(ボリビア)。
一方総合タイムではラファウ・サノク(ポーランド)が1位をキープ、ライバルのイグナシオ・カザレ、セルヒオ・ラフエンテがリタイアし、2位に浮上してきたヘレミアス・ゴンサレスとは2時間51分もの差がある。

オート部門、第2ステージ以来総合トップをキープしているナセル・アルアティヤが無理な走りをすることもなく、本日のSSもステージ優勝の記録を伸ばした。SS2位のオーランド・テラノヴァと1’35”の差。そしてSS3位、4位はヤジード・アラルヒ、ジニエリ・ド・ヴィリエの3’39” と4’24”で際どいタイム差だった。

優勝争いを続けてきたナセル・アルアティヤとジニエリ・ド・ヴィリエだが、さらにタイムが開き総合で28分あまり。
クシシュトフ・ホロウィッツはトップと6分あまりの差でSS7位のゴール、総合で5位と浮上した。
ベルンハルト・テンブリンケも5’21”の差でSS6位、総合8位と固く上位を守る。
パーフェクトな走りを見せたのは今朝19番目のスタート、SS4位で終えたリーロイ・プールター(南ア、TOYOTA Hilux)。
ステファン・ペテランセルはトップと7’23”の差でSS9位。
ナニ・ローマはKM193で大きなクラッシュ事故。パイロット&コ・パイロット共に大きなケガは無かったが、クルマが大きなダメージでリタイアを余儀なくされた。

カミヨン部門ではエドワルド・ニコラエフ(Kamaz)がチームメイトのアイラット・マルデーブにわずか40秒の差でSSを通過、6度目のステージ優勝を手にした。後者は総合トップをキープし、次席のニコラエフに13分あまりのタイム差を持つ。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145713788

2015/1/13  第9ステージ :イキケ- カマラ
全競技車   :リエゾン:51km  スペシャルステージ:450km  リエゾン:37km

本日のコース

今日のステージはアタカマ砂漠を離れ、50kmにわたる海岸の砂丘からSSが始まる。今大会2度目の全競技者同一コース。その後は、狭くカーブの多い、その上穴やこぶだらけの岩山の中のリスキィなピストで、クルマがダメージを受けやすい。ゴールは再び標高3000m地点になる。

堂々のロドリゲス、失意から救われたローマの優勝

昨日のイキケに向かう波乱の1日で3時間もタイムを失ったエルダー・ロドリゲスが、トップ・ライダーの意地を示し、ここカラマで素晴らしい一撃の勝利を手にした。SS2位のパウロ・ゴンサルヴェス は、コマにプレッシャーを与え続ける。

オート部門では、連続優勝を目指すMINIの車が、今大会第1ステージで不具合に陥った。夢は断念されてしまったナニ・ローマだが、今日そのステージ優勝を果たし微笑みが戻った。

総合タイムで大きく引き離されたエルダー・ロドリゲスには失うものは何もない。HRCのライダーは、450kmのSSを果敢にアタックしてカラマのゴールをトップ・タイムで通過、ライバルたちに大穴を開けさせた。自分のテーマをしっかり見極め、チームメイトのパウロ・ゴンサルヴェス に4分のタイム差をつけ、今大会2度目のステージ優勝を手にした。ゴンサルヴェスは、総合タイムでトップに立つマルク・コマに3’43”のタイムを縮めた。 9ステージを終えた今日、コマの総合優勝の座を脅かす唯一のライダーとなった。

マルク・コマが本日のSS3位、トップと7分あまりの差でゴール一方、今朝最初にスタートした地元チリのパブロ・キンタニーヤは23分あまり遅れてSS7位。一方、前半の週で総合1位をキープし続けたホアン・バレダ はトップと 19’47”差でSS4位でゴールした。しかし夜になってペナルティ調整後、15分のペナルティが科されて本日のSS結果は10位となった。

総合順位を整理すると、1位マルク・コマ、2位パウロ・ゴンサルヴェス 5’28” 、3位パブロ・キンタニーヤ26’52”、4位トビ―・プライス31’31”。 8位に女性ライダーライア・サンスがつける。

クワッド部門、昨年大会で初参加にして総合5位だった、ヴィクトール・ガレゴスがようやく初めてのステージ優勝を手にした。ブエノス・アイレスのスタート以来調子が上がらなかっただけに、やっと思い通りの走りができ目標を達成することができた。地元の地の利を生かし、次位のラファウ・サノクに15分以上の差をつけての勝利だった。

SS3位はウルグアイのセルヒオ・ラフエンテ、4位は総合トップにいたイグナシオ・カザレ。今日のSSでポーランド人サノクはカザレに10分あまり縮め、総合トップの座を奪回した。総合3位はウルグアイのセルヒオ・ラフエンテで52分以上の差があり、残り4日となったところ、サノクvsカザレの一騎打ちとなりそうだ。

オート部門、最初のステージでいきなりSS135位。それが、ここカマラの第9ステージでSS優勝。天文学的な上昇ぶりだが、MINIのパイロット、ナニ・ローマは最初の日の総合優勝の夢をそがれたにもかかわらず、このステージで優勝候補パイロットの意地を見せモラル・アップしてアタックした。結果、次位のナセル・アルアティヤに6’27”もの差でゴールした。しかし、カタール人アルアティヤは、総合では余裕でトップをキープする。

総合2位のジニエリ・ド・ヴィリエは15分ものタイムを失い、その差24分あまりとなってしまった。SSで大きなナビゲーション・ミスでトップとの差21’58, SS3位にロシアのウラジミール・ワシリエフが入り込んできた。後者は総合8位に浮上。

総合3位はヤジード・アラルヒ、トップと27分あまり遅れのゴールだったが200kmをブレーキ無しで走った後の成績だ。昨日まで上位にいたベルンハルト・テンブリンケ(TOYOTA Hilux)が数時間遅れて大きく後退した一方、モト部門からオート部門に移籍したばかりのシリル・デプレはSS10位と今大会最良の成績。モトでのナビゲーション・センスが生かされたか。

カミヨン部門は第1走者エドワルド・ニコラエフ(Kamaz)がSS前半を凌駕していた。しかし、チームメイトのアイラット・マルデーブが最後追い上げ、1’29差でSSを制した。マルデーブは総合で1位をキープ、後を追うニコラエフに14分あまりの差。総合3位は同じくKamazのカルギノフ、MANのアレス・ロプライスは1時間18分もの差で総合4位。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145582673
 
 

2015/1/12  第8ステージ :ウユニ- イキケ
モト&クワッド   :リエゾン:24km  スペシャルステージ:784km  
オート&カミヨン  :休息日

本日のコース

朝6時スタートの予定だったが、昨日の雨の為、SSコースが冠水。レースを中止するかどうか競技者らを加えて議論され、結局8時に変更してスタートすることになった。スタートは塩湖の中を6台づつ一斉スタート。そしてkm378を最初のライダーが通過した後、後半部のSSはキャンセルになった。

これにより、本日のSSはパート1をウユニ湖スタートの378km、その後リエゾンで移動した後、イキケのビバークまでの砂丘の中38kmをパート2とする2つのステージで競技が行われる。

キンタニーヤSS優勝, コマ総合トップに

チリのライダー、パブロ・キンタニーヤはダカール・ラリー参加1回目、2回目の年はついてなかった。それを振り払うかのように、運命の女神が彼に微笑んだ。初めてのステージ優勝で、総合順位も上昇。

一方総合順位ではコマがトップに出た。その優勝の座はかつてないほど安泰、ゆるぎない成功への道が開けた。

パブロ・キンタニーヤは今日のウユニ→イキケのコースでコスチュームを着替えたに違いない。ラリーが始まって以来、速いアウトサイダーは常に上位に位置していた。そして今日、ステージ優勝し、最終ゴールでの優勝候補者の一人となった。

数日前からメキメキと順位を上げてきた彼が、彼の祖国チリに再び戻るコースでおめおめと他のライダーにチャンスを許すわけがない。SSの前半は、昨夜一晩中降り続いた雨で冠水したウユニ湖の中を抜け、さらに到る所水たまりとなったコースをCP2(Km387)までで、後半のSSはキャンセルとなった。そしてSSパート2は、イキケのゴール手前38kmの砂丘の中のスプリントコーナー。このようなコンデションの中をステファン・ソヴィツコやホアン・ペドレロは他のトップライダーらがトラブルに苦しむ中、うまく冠水の中を飛ばし最終の砂丘の中でわずか11秒、12秒という差でゴールに滑り込んだ。そして、キンタニーヤは総合順位も3位に上昇した。

こうしたラッキーなライダーとは裏腹に、優勝候補の数人を含め、今日のコースの犠牲になった者もいる。アレッサンドロ・ボットゥーリ、ミカエル・メッジ、ダニエル・グエ、ジョルディ・ビジャドムスらトップ20以内にいたライダーがリタイアした。そして、上位6位の中で最も悲惨な一日となったのはホアン・バレダ とエルダー・ロドリゲス。昨日転倒した時にハンドルが真っ二つに折れてしまったバレダ は、ホンダ・アルゼンチンの有志デミアン・ギラルからハンドルを譲り受け、昨夜のうちに修理した。しかし、今日のコースの大部分をジェレミアス・イスラエルに牽引されて走り、SSをゴールした時にはトップと1時間20分もの差ができてしまった。一方のHondaのライダーエルダー・ロドリゲスもトップと3時間以上の差になり、優勝への夢は断たれてしまった。

優勝争いの片方、マルク・コマの経験と知恵が今日のレースの采配を性格づけたか、悪夢のような体験をせずにSS9位につけた。そして、強いトビ―・プライス、信じられないライア・サンス(SS5位)がトップ10入りした。

クワッド部門では、僅か19歳のアルゼンチン人、ヘラルド・ファレスが初めてのステージ優勝を果たした。そして昨日まで総合トップにいたラファウ・サノクは、トップと36’42差で8番目のゴール、総合で次位にいたイグナシオ・カザレに7分近いタイム差でトップを譲ることとなった。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145301646
 
 
 

2015/1/11
モト&クワッド 第7ステージ :イキケ- ウユニ

モト&クワッド イキケ→ウユニ湖 :リエゾン:392km  スペシャルステージ:321km   リエゾン : 4km

モト&クワッド 本日のコース

モト&クワッド部門は昨日イキケで休息日を経て、レースを再開。後半の週はマラソン・ステージから始まる。昨日のオート部門と同コースで、ウユニ湖のビバークへと向かう。

絶対にあきらめないゴンサルヴェス

ブエノス・アイレスをスタート以来、総合2,3位の位置をがっちり押さえているパウロ・ゴンサルヴェス が、今日のSSで最終ゴールの優勝の可能性を示した。本日今大会初のSS優勝、ダカール・ラリー通算2度目のSS優勝。

野心家パウロ・ゴンサルヴェス は、最初の週をホアン・バレダ とコーマの二人のトップ争いの陰で目立たず走っていたが、意欲を示すかのよう今日は2015大会で初のステージ優勝を勝ち取った。マルク・コマにわずか14秒あまりのタイム差で手にした優勝だ。しかし、リーダー、ホアン・バレダ に総合で10分足らずの差を維持している。

このマラソン・ステージはHONDAチームの悲願どおりにはいかないようで、ホアン・バレダはSS200km地点で転倒してしまった。バイクのハンドルを壊し、残り120kmを片手で運転、SSをゴールした。しかしそれでも総合タイムで次位のマルク・コマに6分以上のタイム差で首位をキープしている。

一方マチアス・ウォークナーはトップとの差30秒あまりでSS3位、パブロ・キンタニーヤも4位、トビ―・プライスがSS5位と若いライダーが上位に食い込んだ。

クワッド部門では今大会2度目の参加、ネルソン・オーグスト・サナブリアガリアーノ(パラグアイ)が初めてのSS優勝。ラファウ・サノクが5’46”差でSS2位、総合では相変わらずトップをキープする。総合2位にいたイグナシオ・カザレ、CP2手前で転倒し、足を骨折したにもかかわらず、果敢にトップとの差11’37”でSSゴールした。

2015/1/11  
オート&カミヨン  第8ステージ :ウユニ- イキケ

オート  ウユニ湖→イキケ  :リエゾン:24km  スペシャルステージ:784km  
カミヨン イキケ周辺          :リエゾン:24km  スペシャルステージ:273km  

今日のコース
オート部門は、マラソン・ステージの2日目、ウユニ湖からボリビアの国境を越え、再びチリのイキケに戻る。SSは氷のように輝くウユニ塩湖の中を100kmにわたって通過。その後テクニカルな山岳部の中のコースを経て、最後40kmの砂丘。恒例の巨大坂下りでイキケのビバークとなる。

カミヨン部門は、昨日同様、他の部門と全く別のコースでイキケのチームクルーが待つビバークに再び戻る。SSはメインが砂丘。

アラルヒ 優勝争奪の仲間入り

大会初参加のサウジアラビア人、ヤジード・アラルヒは最初から注目を集めてきたが、この第8ステージで始めてのステージ優勝を手にし、その才能ぶりを示した。

エジプト・ラリーでナセル・アルアティヤを差し置いて優勝したこともあるヤジード・アラルヒは、ラリー・レイド界で決して無名のパイロットと言うわけではない。今大会でもトップ10入りを目指し、4日目以降総合3位につけてきており、後半の週ではSS優勝を狙っていたに違いない。しかし何よりも、総合タイムでトップのナセル・アルアティヤとわずか18分の差、ダカール・ラリーの初総合優勝もありうる話になってきた。

彼のステージ優勝は今大会初めてのステージ優勝をトヨタチームにもたらしたが、ジニエリ・ド・ヴィリエもたがわずきっちり仕事をこなす。最後の砂丘ステージのパンクで数分失ったものの、イキケのゴールで総合タイムでアルアティヤに失ったタイムはわずか数秒。総合2位を8分あまりの差でキープする。

オーランド・テラノヴァも1’12”でSS2位と快調な走り。昨日のSS優勝につづき、4日目に失った大きなタイムが惜しまれる。クシシュトフ・ホロウィッツ、トップと3’12”差でSS5位、総合時間で次位のベルンハルト・テンブリンケに1時間以上のタイム差で余裕の4位につけている。

カミヨン部門は、エドワルド・ニコラエフが今大会5度目のステージ優勝。第7ステージでSS20位でゴールし、総合4位に後退したが、今日のSSで3位に挽回した。SSでは2位にジェラルド・デ・ローイ(IVECO)が11分あまりの差で着き、SS3位はKAMAZのチームメイト、アンドレイ・カルギノフ。

総合では、アイラット・マルデーブ、アンドレイ・カルギノ、フエドワルド・ニコラエフとKAMAZが1,2,3位を押さえる。

排気量10リットル未満クラスは、日野チームスガワラのJr.照仁がSS11位という好成績で総合順位も17位に上昇。父義正がSS23位、総合30位と奮闘している。

映像 ⇒ http://www.dailymotion.com/video/145301646