Category : 2014Live

第3ステージ : サン・ラファエル – サン・ファン
<モト&クワッド>  リエゾン : 292 km SS : 373 km
<オート&カミヨン> リエゾン : 295 km SS : 301 km

今日のコース

ダカール・ラリーは、標高6,962メートルのアコンカグア火山の麓、プレ・コルディエールを今回初めて通過する。一部区間は3000m級を越える高地を何度か通過する。中でもモト部門のコースは標高4300m地点の通過が含まれており、そこでまさにアメリカ大陸を凌駕しているセンセーションを感じ取ってもらえるのではなかろうか。しかし、その感動が冷め切らないうちに、競技者らは現実に引き戻される。この夜はマラソン・ステージ、メカニックのいないビバークで競技者が自分で作業をしなければならない。

本日のサン・フアンまでの間でモト&クワッド373㎞、オート・カミヨン部門は301kmのSSと二手に分かれる。前夜のブリーフィングで、雨天による路面不良によりモト部門は50kmあまり縮小、オート・カミヨン部門は222kmに変更されるとの発表があった。しかし、レースが始まってオート・カミヨン部門はさらに変更、予定どおりのSSで実施された。

モト部門のSSのスタートは現地時間で 9h50、昨日のステージ優勝、サム・サンダーランドがトップでスタート。一方オート&カミヨン部門は11h00スタート、トップはステファン・ペテランセル、カルロス・サインツ、ジニエリ・ド・ヴィリエの順。

バレダ再びステージ優勝、ローマひと息。

大会が始まって以来総合トップにいるホアン・バレダ が、本日2度目のステージ優勝。デプレやコマに13分以上のアドバンテージをとることとなった。オート部門では、ペテランセルやサインツがぱっとしない1日を過ごす中、カタルーニア人ローマが完璧な走りでMINI車のステージ優勝を果たした。

ホアン・バレダ は今日レコードを更新した:標高4300m地点を通過するSSで優勝した初めてのライダー。アンデスを見下ろす劇的な景観は、まさに彼のこの成果に応えるものであったに違いない。しかし何よりも、モータースポーツという意味で彼が実行したオペレーションが素晴らしい偉業だった。今日の243kmのSSのコースの内、前半は“バンバン”たたきつけられる非常に荒れたグラベル路面だ。それを彼は、コースをオープンしながらほぼ全行程を一人で走りきったのだ。

彼はシリル・デプレと4’41” の差でマラソン・ステージのビバークに着いた。総合タイムで13’04の差をつけている。今日のSSはテクニックにたけたライダーにメリットがあるコースだったようで、その一人、デプレは今朝8番目のスタートから2位に浮上し、総合でも2位になった。3位のスペイン人マルク・コマ、デプレとわずか52”の差だ。

彼らに続いたのはアラン・デュクロ(Sherco)、チャレコことフランシスコ・ロペス(KTM)で20分以内の圏にゴールした。しかし、今日のアシスタンス無しの今晩、ポディウムへの夢はどうか。ルーベン・ファリアは転倒でリタイア、さらにフランス・ヴェルホーヴェンも肩を怪我しリタイア、夢はついえた。

リーダーと22’差のダヴィッド・キャストゥや、36’の差の36’はまだポディウムへのチャンスがあるとしても、昨日ステージ優勝したサム・サンダーランドはSSのゴールに2時間半近く遅れての到着、1時間半のタイム差をつけられてしまったホアン・ペドレロ・ガルシア(KTM)らも、ポディウムへの挽回は難しそうだ。ホアン・バレダ のチームメイト、エルダー・ロドリゲスは既にバレダと1時間のタイム差ができてしまっている。

クワッド部門にとっても本日のSSは非常に過酷だったようで、チャンピョンの代名詞といえるマルコス・パトロネッリが熱射病でリタイアを余儀なくされた。優勝の夢が消えたのはルーカス・ボネットも同様、夕方になってもゴール手前100km地点でストップしたままだ。彼らの不運をよそに、今日のステージを制したのはラファウ・サノク、総合でもトップに躍り出た。
モト部門と別々のコースをとったオート部門では、優勝候補者らが競い合う典型的なレース展開。コースオープン役のステファン・ペテランセルはいささか不利、それを追うバギーSMGのカルロス・サインツは余裕でリーダーに迫った。そして2台は分岐点でミスし、広大な草原の中のリオにはまる。その上ステファン・ペテランセルは6本ものパンクにみまわれるという悪夢のような一日。

その一方、パーフェクトな走りでステージ優勝したのはナニ・ローマ、続いてSS2位はチームメイトのクシシュトフ・ホロウィッツ、オーランド・テラノヴァもSS4位、9’06”差。スピード・コースのスペシャリスト、ナセル・アルアティヤは10’差でSS7位。総合でもナニ・ローマがトップに浮上、カルロス・サインツは総合4位、トップと12’02”、5位はステファン・ペテランセル24’08”。

カミヨン部門でステージ優勝はアンドレイ・カルギノフ(Kamaz)、通算6度目のステージ優勝だ。しかし、総合トップは依然としてジェラルド・デ・ローイ、次席の同国人マルセル・ファンフリートに20’あまりの差をつけている。


US – Stage 3 – Car/Bike – Stage Summary – (San… 投稿者 Dakar

第2ステージ : サン・ルイス – サン・ラファエル
<モト&クワッド> リエゾン : 365 km SS : 359 km
<オート>     リエゾン : 365 km SS : 433 km
<カミヨン>    リエゾン : 365 km SS : 400 km

グレーの砂丘が !
今日のSSは今大会中最スピードコース。前半はガンガンスピードに乗れるコースだが、後半は最初のデューン(砂丘)が現れる。ゴール手前100kmのNihuil砂丘は前回以上に難しい。砂は比較的締まっているが、砂丘走行にたけたものが物を言う本格的なテストの場だ。

サンダーランド、将来の夢が今に。ペテ、本来のイスに

そそっと目立たないが秘めた可能性を持つサム・サンダーランドは、初めてステージ優勝を成し遂げ、ダカール・ラリーのエリートライダーの仲間入りを果たした。総合順位は暫定で昨日のままホアン・バレダ がトップを押さえているが、これでHondaが2台続けてステージをとったことになる。オート部門ではステファン・ペテランセルが再びステージを制し、通算62回目のステージ優勝を果たした。カミヨン部門では、アントン・シバロフが初めてのステージ優勝。一方、カマズはアイラット・マルデーブという大きな切り札を失った。

往々にして約束は、公式に表明される前に実現するものだ。サム・サンダーランドはこれまで、ワールドカップ・ラリーレイドで時折成績を残していたが、ダカール・ラリーでは彼の経験は2012年大会で第3ステージでリタイア、2013年大会では大会1か月前にに手首の2重骨折の為リタイアとフラストレーションがたまるものだった。

ホンダ・チームは、彼の重なる不運にもかかわらず、ダカール・ラリー・プロジェクトのバイクを彼の為にキープすることをためらわなかった。ホンダ・チームのすばらしい選択は、大会2日目のステージで、ピカピカの勝利で立派に報いられた。

チームメイト、ホアン・バレダの後にスタートし、サンダーランド(23歳、イギリス人)は、SS初番でメッジとホアン・ペドレロを追い越した。しかし、ドバイに住むサンダーランドが、若いながら確かなサンド・ステージでの力量を示したのは、後半の砂丘のコーナーだった。ダカール・ラリーでの経験は通算4日間だけ、それで最初のステージ優勝だ。このペースを保ち、ミスをしなければ、入賞の可能性もありだろう。

一方ホアン・バレダ も大きなミスはしなかった。コースをオープンする役割をしっかり行いながら、バレダ は他のライダーを引き離して走り続け、ゴールまで一人で走りきった。ライバル、マルク・コマは数分タイムをロスしてSS12位でゴール、一方砂丘ステージで転倒するなどミスが重なったシリル・デプレは8’23”差で8位に落ちた。今のところ気になるライバルはチャレコことフランシスコ・ロペス、本日のSS2位、総合で2’03”と迫られている。

クワッド部門では、いつもの順番を取り戻すのに長くはかからなかった。マルコス・パトロネッリがイグナシオ・カザレ(Yamaha)をSSスタート後まもなく追い越し、トップに躍り出てコースを制し、本日のステージ優勝を果たした。マルコスはこれで通算15度目のステージ優勝、総合で2位のルカス・ボネットと3’50”の差。

同じようにオート部門でもいつもの順番が戻ってきた。しかし、差はもっとわずか。ステファン・ペテランセルが、本日のステージを冷静かつリスクを最小に抑えながら走り切りリーダーの座に着いた。カルロス・スーザに欠けていたのは、このリズムをコントロールすることではなかったのではないだろうか。昨日ステージ優勝したスーザはSSのkm33地点でターボを壊してストップ。これで、早々トップ集団から離脱という結果になった。

ステファン・ペテランセルがスタート2日目にして優勝候補の座に着く一方、他のトップ集団も同じようにそれぞれのポジションに着いた。本日のSS2位のカルロス・サインツ(SMGバギー)はわずか0.5秒の差。そして3位にはナセル・アルアティヤ(総合で4’10”差)。2度のパンクの後、100kmをスペアタイヤ無しで走らなければならないにもかかわらず、この成績は、彼ら高度なバトルの可能性を想像させる。

カミヨン部門では、初めてダカール・ラリーにカミヨンのドライバーとして参加した、アントン・シバロフ(ロシア)がステージ優勝を果たした。しかし、手放しでは喜べない。カマズチームの中でも最も有力視されていたアイラット・マルデーブが逆さに転倒、カミヨンがリタイアを余儀なくされた。一方、エドワルド・ニコラエフも電気系トラブルでスピードダウン、10数分の遅れをとった。一方ライバル、ジェラルド・デ・ローイは総合で3位と手堅い。マルセル・ヴァンヴィリエが総合でトップ、次席のシバロフに1’49”の差。


US – Stage 2 – Car/Bike – Stage Summary – (San… 投稿者 Dakar

第1ステージ : ロサリオ – サン・ルイス
リエゾン : 629 km
SS : 180 km

今日のコース

コルドバ地方のロサリオを早朝4時20分出発。リエゾン405kmを走行後、180kmのSS. SSの初番は時折、細心の注意を要する狭いピストが現れる。レースが始まったばかりの心身ともにフレッシュな中、見えないところでいきなりジャンプするような岩場の通過では落ち着いて走りたい。精巧なハンドルさばきは800mあまり先のゴールで報いられよう。本日のタイム差は、全体の成績の中で大きなものではないが、それでもステージ優勝はひとつ数えられる。

バレダ、最初のステージを制し、スーザ、カラを脱け出る

モト部門の争いで誰がステージをとるのか、たくさんのエリートがいて推測しがたい所だが、本日第1ステージが終了し、ようやくその一遍が見えた。ホアン・バレダが最速でゴールしステージ優勝。だが、4メーカーがトップ4に並ぶ熾烈な争いを物語っている。SS2位はマルク・コマ(KTM)、3位シリル・デプレ(YAMAHA)、4位アラン・デュクロ(Sheco)。

オート部門では、Miniを制して、なんとカルロス・スーザがステージを制した。しかも2位はゲラン・シッシェリ、3位がBJ Baldwinと意外な面々。カミヨン部門ではアイラット・マルデーブが初めてのステージ優勝。

ほぼそうだろうと思われていたが、それが今確かになった。ホアン・バレダが本当に世界一早いライダーだということを。

Dakar 2014大会に出るにあたって、昨年これまでのハスクバーナからホンダに移籍した。今日のカーブだらけのスピードコースをステージ優勝コレクターのバレダは3番目のスタートの優位性を巧みに利用し、パーフェクトな走りでクリアした。トップを走るタイトル保持者シリル・デプレの巻き上げる埃の中を走るマルク・コマにじりじりと近づき、最後に二人のタイムを押さえてゴールした。これでバレダは全30ステージのうち6度目のステージ優勝。

バレダ、コマ、デプレのトリオのバトルも熾烈ながら、パウロ・ゴンサルヴェス (Honda) タイム差2’25”、Shercoのチャレコ(フランシスコ・ロペス) も3’24”と僅差だ。一方エルダー・ロドリゲス(Honda)はチームメイトのパウロに既に9分ものタイム差をつけられている。そして本日のサプライズは、アラン・デュクロ(Sherco)のSS4位だろう。22番目にスタートし、トップとの差わずか1’56”でゴールしている。このフランス人ライダーは昨年以来「マシーンの改良が非常に良くて、首位を目指して進むめる可能性を確信している。」と豪語しており、彼の自慢がいささか空自慢でなかったことを証明しているようだ。

クワッド部門で最速タイムをたたき出したのはイグナシオ・カザレ(Yamaha)。昨年の総合準優勝者、これで2度目のステージ優勝だ。しかし、トップとのマルコス・パトロネッリ(Yamaha)とはわずか6”差。

オート部門では、ずらりと11台も並ぶMiniに威圧され、アウトサイダーはいささか優勝への希望が萎えてしまいそうだ。しかしなんとステージを制したのは、アウトサイダーの一人ポルトガル人、カルロス・スーザだった。ステファン・ペテランセル、ナセル・アルアティヤ、ナニ・ローマ、カルロス・サインツら強豪をおさえてのステージ優勝。彼は2001年以来、ダカール・ラリー連続参戦9回を総合7位以内で終わっている。今日の6度目のステージ優勝は中国のHaval車で。スーザは2007年のポルトガルのポルティマンでの第1SSでも、最初のステージ優勝を手にしている。

この思いもよらぬ反旗翻しは、スーザには心地よいものだったが、一方地元のオーランド・テラノヴァ(Mini)にはむしろ苦々しい結果ではなかろうか。コルドバを知り抜いているにもかかわらず、わずか11”の差でステージ優勝を逃してしまったのだから。ゴール手前でパンクでストップを余儀なくされたステファン・ペテランセルはオーランド・テラノヴァ、ナセル・アルアティヤ(3位、47”差)、ナニ・ローマ(4位、1’15”差)、さらにはカルロス・サインツ(5位4’03”差)らに譲ることになる。

しかし、トップ10に6台入ったX-Raidはまだまま余裕。何より心配なのは、ステアリングのトラブルで16分ほど遅れたジニエリ・ド・ヴィリエだ。一方、ロビー・ゴードンはスタートに間に合わず30分ほど遅れてのスタート、SS中もストップするトラブルに見舞われた。チーム・エリック・ビグルーのゲラン・シッシェリ(Mitsubishi)とBJ ボルドウィンの2台のバギーは、ゴール手前20km地点で燃料漏れのトラブルでストップ、ついていない初日となった。

カミヨン部門も、180kmのSSのゴールでわずかなタイム差で、思わぬ番狂わせがあった。Kamazのマルデーブが初のステージ優勝を手にする一方、タイトル保持者のエドワルド・ニコラエフは4分差で5位のゴールと控えめな初日だった。アレス・ロプライス、ジェラルド・デ・ローイ、ヴァン・ヴィリエらがトップ4に4分の間にひしめく。


US – Stage 1 – Car/Bike – Stage Summary… 投稿者 Dakar

南米最大のカジノの上にあるロサリオ・シティセンターで、ダカール・ラリー競技者ら全員が受ける車検・人検が3日にわたって行われ、最終日。車検・人検をパスし優勝への切符を手にした競技者は全部で431台。オート147台、モト174台、クワッド40台、カミヨン70台。

Mini軍団は毎回のことながらインパクトの強いチームだが、ここ2年ステファン・ペテランセルが総合優勝して以来、いっそうそれが顕著になった。2014年大会では、Team X-Raidが会場に入るなり、会場があっと息をのんだ。12台の車のうち、なんと11台がMini!続々と進むコンボイに会場の観衆はクラクラしそうだった。そして、24人のドライバーとコ・ドライバーが明日から車に乗って走ることになり、関係スタッフはなんと150人近くにのぼる。

「ダカール・ラリー史、始まって以来のメガチームだ。」とこのありさまを見てステファン・ペテランセルがいたずらっぽく笑う。タイトル保持者のライバルは、年々同じチーム同士になってきている。「一番怖いのはナニ・ローマだ」という。

一方、スヴェン・クアンツのチームに再び戻った宿敵ナセル・アルアティヤも意欲を隠さない。「私のプランは、ダカール・ラリーに勝つことだ」。さらにカルロス・サインツも「勝つためにここにやってきた」といつも通り意欲満々。前大会総合2位、2009年大会で総合優勝しているジニエリ・ド・ヴィリエは「我々のエンジンは今年一段とパワーアップし、サスペンションも改造され、クルマはより軽くなった。より早く走るすべてが揃っている。」と、彼のトヨタピックアップが優勝台に立つことに疑う余地が無さそうなほどのクルマの出来具合を語る。

一方モト部門。エリートチームKTMの一行も今日車検を済ませた。これまで連続12回大会で総合優勝してきたオーストリアの同チームに対し、ヤマハのシリル・デプレやHondaのエルダー・ロドリゲス、パウロ・ゴンサルヴェス、ホアン・バレダのトリオが立ちはだかる。相対するKTMはオフィシャル・ライダーのチャレコことフランシスコ・ロペスや昨年無念のリタイアだったマルク・コマ。

「ここに来られてよかった。新しいマシーンと共に本当に感慨深い!」とカタルーニヤ人、コマが嬉しさを隠しきれない。彼と共にポディウムを目指すチームメイトは、2013年大会総合準優勝のルーベン・ファリアと、ダヴィッド・キャストゥ。

ようやく所定の手続きが終わり、本格的に戦いが始まる前に、競技者を待受けていたのは、夕方セッティングされたスタート・セレモニーだ。アルゼンチン国旗の創造に敬意を表してバンデラの記念碑の元、全競技者がポディウムで紹介される。車検会場で今週初めから熱くなっている観衆は、ここで一気に爆発、選手たちに向かって怒涛のような応援を送った。50万人の観衆がサン・ルイスへの第1ステージにスタートする、いや9,000km彼方のバルパライソを目指してスタートする競技者らに声援を送っていた。

[号外案内] 日本からの出場選手

日本時間で1月5日、夜7時より、ダカール・ラリー2014、第1ステージが始まります。

<モト部門>
ゼッケン136 深草和人

<オート部門>
チーム・ランドクルーザー・トヨタオートボディ
 ゼッケン345 三橋淳・アラン・ゲーネック組
 ゼッケン344 ニコラ・ジボン/三浦晃組

<カミヨン部門>
日野チームスガワラ
 ゼッケン518 菅原照仁/杉浦博之組
 ゼッケン532 菅原義正/羽村勝美組

ダカール・ラリーのWebサイトで、イリトラックを利用したポジショニングが本年もできる(はず)ですので、みんなで応援しましょう。

ロサリオの車検・人検2日目、シリル・デプレがモト部門の検査に先陣を切って登場した。彼の優勝がどうなるか、憶測が飛び交う。実際のピストの上での戦いは日曜日に始まり、9000km先にその結果が・・・。

ある意味、ロサリオで1月2日と1月3日の間に顔ぶれが一変した。まずは天気。1週間続いていた雨が止み、輝くような太陽が顔を出した。そして、第36回大会のシード選手らが、多くの初参加者が多い前日の南米競技者らと交代し、スタート前のダカール・ラリーの雰囲気を高める。午前中はチームヤマハ。シリル・デプレを加えた一行がどっと会場がわきたつ。シティ・センターの前で一行は記念撮影を済ませると、自信に満ち、余裕の足取りで会場の中に消えて行った。

「オレはトップ走行で自分と戦うのに慣れてるけどさ、今回は格別なモチベーションがある。マシーンのメーカーが変わるのは初めてなんだ。」と総合6度の優勝者が語る。

彼のダカール・ラリー参戦13回のうち、最もハードルの高い挑戦になると語る一方で、ライバルたちもこの日次々とタイトルへの強い意欲を示す。

ホンダ勢では、ポルトガル人エルダー・ロドリゲスが「良いダカール・ラリーにするためにここにいるんだ」と、控えめながら優勝のチャンスをほのめかす。

オート部門では、Mini軍団が明日土曜日朝の車検の順番を待つ一方、ライバルたちへインタビューのマイクが向けられた。その一人がアメリカで製造されたバギーに乗るフランス人エリック・ヴィグルー。駆け込みでエントリーしたゲラン・シッシェリは、彼の競技車ゼッケンプレートを固定し、彼が1月に家の棚の中にしまっておかねければならないのではと心配したヘルメットを着用できる喜びを、嬉々として語った。

「ここに来たのは、いつものようにレースを煽るために決まっているだろう」と、何度もエクストリーム・スキーの優勝者シッシェリが語る。アメリカのラリーレイドのスター、BJ Baldwin(大会2度の参加)も、アウトサイダーとしてのポジションを語る。2009年大会と違って、今回は1,2回SSを取れるくらいの準備はしてきた。メイン目標は、いずれ優勝することだ。」

カミヨン部門では、今回の優勝候補2名が闘志を表明する一方、元優勝者らがインタビューで意見を語る機会があった。
オランダ人ジェラルド・デローイは、「彼のIvecoチームの中で、スタートするなりアタックするかどうか、それが、5台の超コンペティティフな競技車を出してくるKamazを打倒できる唯一の方法」とコメントする。

一方ロシアのKamazチームのタイトル・ホルダー、エドワルド・ニコラエフは、「ダカール・ラリーで勝ち取ることはあまり困難ではない。しかし、タイトルを維持することが非常に難しい。」
まさに、全てのタイトル保持者らのコメントを明言したコメント…

ロサリオは、ダカール・ラリー一行を雨で迎えることになった。ここアルゼンチンの第3番目の都市、ロサリオで3日間、ダカール・ラリー競技者らが車検・人検を行う。

著しい天候不順がダカール・ラリーのレースに一段と厳しさを加えることが多々ある。今日の、雲と晴れ間がまだらになったアルゼンチンの空は、車検・人検1日目に、異常な風味、予測不能の性格をもたらすこととなった。ロサリオではここ40年あまりみたことのないような、激しい暑さ、干ばつが数週間前からロサリオを見舞っていた。
多くは、以前のように戻ったとありがたがる一方、そうでない者もいる。このシティ・センターで待ち受けていた思いがけないダカール・ラリーの思い出を既に手にした一握りのグループもいる。

それが、クワッド部門の優勝候補の一人、イグナシオ・カザレを擁するチリのタマルガル(Tamarugal)チームや、クワッド部門のムーブメーカー、パトロネッリ兄弟一行。雨のせいで、車検・人検の招集時間に間に合わなかった。ブエノス・アイレスへの飛行機はどうにか問題なく降りたが、そこからロサリオまでの接続便が天候不順の為キャンセルになっていたのだ。招集時間に遅れた競技者は失格になってしまう。どうにかこうにか全員が乗れるレンタル・バスを見つけ、ブエノス・アイレスから陸路で車検場にまっしぐら、会場がクローズする前に到着しなければならない。結局、一行は夕日が沈む前になんとか到着できた。

エリート・ランクのライダーの内、フランスのシェルコ・チームのアラン・デュクロやホアン・ペドレロ・ガルシアは、早々にベースキャンプのインスピレーションを得たいと数日前からロサリオに到着していた。
ところが、彼らのチーム・マネージャー、ニコラ・シャイが飛行機の不遇にあって、二人のライダーにジョイントできなかった。「ブエノス・アイレスに到着した時、着陸できず、モンテビデオに航路をそらさなければならなかった。そして、ピスタリニ空港目指して再度離陸するまで、3時間あまり待たなければならず、今日の招集時間に間に合わなかった。車検・人検はまだ2日あるので問題にはならないが、奇妙なことに、今年の残りの間ずーっと、私がこれらの同じ飛行機の機長なんだ!」

競技者が到着した会場の頭上で、ゴロゴロ、ピカピカ雷が鳴り、時折激しい雨が降ったにもかかわらず、車検・人検はほぼ予定通り終了した。1日目の今日、招集者は主に南米の競技者が中心で、ほぼ30%がスタート前の手続きを完了した。アルゼンチンの代表団の旗手で2度の総合優勝者、マルコス・パトロネッリは「今大会は最も過酷な大会のひとつになるだろう」とコメントした。