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1月5日 (木)  第5ステージ  チレシト→フィアンバラ
モト&クワッド                 オート&カミヨン
リエゾン : 151 ㎞             リエゾン : 246 ㎞
SS :  265km→185km            SS :  177 ㎞→153km

デプレSS優勝を重ね、ホロヴィッツ、初優勝
デプレ、通算28回目のSS優勝。総合順位でもコーマにアドバンテージをとる。オート部門では、4台目のMini、クリストフ・ホロヴィッツがSS優勝、ダカール・ラリーで初めての優勝

今日もシリル・デプレとマルク・コーマの熾烈なバトルが続く。そして、二人の突出した走りは他のライダーを寄せ付けない。前夜の雨でSSが短縮になり、それもデプレが本格的なフィアンバラのデューンで一息つくのを許す要因となった。彼は、185kmのSSで終日すぐ後ろを走っていたチーム・メイト、コーマに1’41”のタイム差をつけた。総合順位では、二人のタイム差は9’50”。しかし、何かあったら簡単に覆されるような差で、この先どうなるかはまだ誰にもわからない。

2人のタイムは、彼らの後続するライダーと、差が一段と大きくなり、毎日10分以上ずつ開いている。昨日、二人のKTMのチャンピョンと同等の走りをみせたフランス・ヴェルホーヴェンはSSゴールの手前50kmでメカ・トラブルでストップ。修理して再び走り出したが、目標のトップ5に入るには厳しいタイム。今のところエルダー・ロドリゲスが、コンスタントにトップ2人の近くを走っている。しかし、既に47分のタイム差。一方、昨日最悪の一日だったホアン・バレダ (Husqvarna)は、今日は再びスクラッチ3位につけた。総合順位でも45位から一挙に35位に上がった。一方、若いスロバキア人、ステファン・ソヴィツコ(Stefan Svitko)もシリル・デプレに13’05”の差で、SS4位につける会心のパフォーマンスを披露した。

オート部門、SS優勝悲願のクリストフ・ホロヴィッツにとっては、夢がかなった最高の一日。あやういところでSS優勝を取り逃がしてきた。サンタロサのステージではノヴィツキーに、そして、サンファンのステージではホアン・ナニ・ローマに持って行かれてしまった。フィアンバラのデューンをプレステージな勝利で収め、彼のコンスタントな上位入賞の腕前をきっちり示した。X-Raidチームは5台のうちの4台が交代でSSを制したことになる。

一方宿敵Hummerのロビー・ゴードンとナセル・アルアティヤも大きくMini軍団を揺さ振りにかかる。本日のSSは、ゴードンがホロヴィッツに1’01”の差でSS準優勝。総合順位でトップのペテランセルと13’32”で4位。

アルアティヤはSS中でトップ・タイムを取りながら、途中ラジエターホースが切れてしまって修理ストップ、SSで11位のゴール、総合でも8位に落ちた。なかなかファンをホッとさせてくれない。

昨日はSS2位になるめざましい走りを見せたオーランド・テラノヴァは、夜コ・ドライバーのアンディ・グライダーと激しい口論。テラノヴァが絶対に曲げず、強硬な態度を崩さない。「アンディは非礼な態度で、出て行ってしまった。あんな男、見たことない。気狂いだ。」とチーム・オーバードライブの監督ジャンマルク・フォルタンが語る。結果、ToyotaハイラックスNo.308は今朝、スタートしなかった。

一方、ジニエリ・ド・ヴィリエ、デューンの中で15分あまりタイム・ロスしたにもかかわらず、情勢の急変にクールに対応する二人。トップのペテランセルと21’01”差で総合5位に残ることができた。

クワッド部門では、アルゼンチンが3度目のSS優勝。2010年大会の優勝者、マルコス・パトロネッリが兄、アレヒャンドロ・パトロネッリを押さえて、2分差でゴールした。3位は4’08差でトーマス・マフェイ。ルカス・ボネット(Lucas Bonetto)はなんとかトリオにくらいついていたが、26’41もの差をつけられてゴール。総合では、相変わらずトーマス・マフェイがトップ、続いて、35秒差でアレヒャンドロ・パトロネッリ、2’04”差でマルコス・パトロネッリ。

今日、最も熾烈なバトルを繰り広げていたのはカミヨン部門、とりわけジェラルド・デ・ローイとアレス・ロプライス。朝から激しく競い合っていたが、最後オランダ人に勝利の女神がほほ笑んだ。ジェラルド・デ・ローイは14”差でチェコのアレス・ロプライスを押さえ、今年3度目のSS優勝。二人の後ろは、ミキ・ヴィアシォン、とハンス・スティシーのIvecoチーム。現在のところ、ニコラエフとアルダヴィシュスのKamazチームを後ろに従えて走っている。

EN – The stage summary – Stage 5 (Chilecito – Fiambala) – 2012/01/05

1月4日 (水)  第4ステージ  サンファン→チレシト
リエゾン : 424㎞
SS :  326 ㎞

コーマ、ほんの僅かのタイム・アップ、ペテランセル、にわかに実力発揮
タイトル保持者、コーマが通算18回目のSS優勝。しかし、総合順位でトップになるにはもう少し待たなくてはならなさそう。シリル・デプレとのタイムに、2分あまり縮めただけで、まだ8’10”の差がある。一方オート部門、ステファン・ペテランセルが通算58回目のSS優勝。カミヨンはローイがSSを制し、Ivecoチームが1,2,3フィニッシュ。

世界一の美女も、彼女の持てるものしか他の人に与えられないと世に言われるが、マルク・コーマも同じ問題にぶつかると見える。総合順位トップの、デプレ打倒のミッションを果たそうとする時には特に。過去わずかな10分あまりのタイムを覆そうと何度トライしたことか。本日6番目のスタート、前を行くライダーらの巻き上げる砂埃をものともせず、137kmの間にロドリゲス、ゴンサルベス、ヴェルホーヴェンを追い越した。CP1で1’51”、CP2で3’49”、しかし最終的にSSゴールでタイムを縮めることができたのは2’02”。

二人のKTMオフィシャルのトップライダーの後方、他のライダー達はその力の差を見せつけられたかのよう。レース4日目にして既に30分あまりのタイム差ができてしまった。中ではフランス・ヴェルホーヴェンが今日は最も速く、途中電気系トラブルでストップ、タイム・ロスしたにもかかわらず、8’26”差で3位につけた。SS4位のエルダー・ロドリゲスはトップ2人の小さなミスで漁夫の利、総合順位が3番目についた。しかしそれでもトップと26’48”の差がある。Yamahaチームのリーダー、ダヴィッド・キャストゥはSS初番でナビゲーション・ミス。フランシスコ・ロペスも同じくナビゲーション・ミスで10分余りタイム・ロスした。

オート部門ではステファン・ペテランセルがSSを制し、パトロンの腕前を示した。チレシトのゴールで2番手の競技者に5’41”ものタイム差を付けた。チームX-Raid 以外では、ジニエリ・ド・ヴィリエが際立った働きをした。これまで、ダカール・ラリー8回エントリーしたうち、7回完走、すべてトップ7入りという、コンスタントな走りを見せている。そして、今大会では、2009年大会のように、できるだけミスをしない走りでポディウムを狙おうとしているようだ。ド・ヴィリエが初めて乗るToyotaのピックアップが、ポディウムへの約束を果たすのを見せてくれるかどうか。オーランド・テラノヴァも今日、同じToyotaのピックアップでSS2位につけている。

レース始まったばかりのHummerのイメージを覆すのに充分な今日の走り、ナセル・アルアティヤはkm137,km252のCP1,CP2でトップ・タイムで通過、Hummerのパフォーマンスを充分示した。しかし、km288でナセル・アルアティヤは泥の中にはまり、13分もタイム・ロスしてしまう。結果、ステファン・ペテランセルと総合タイムで30分以上の開きができてしまった。チーム・メイトのロビー・ゴードンは、スタートする時総合2位につけていたが、本日のSSで後退。一連のタイヤのパンクで、18分もタイム・ロスしてしまった。

クワッド部門では、アルゼンチン勢がトップ5のうちの4人を占め、大きな活躍を見せた一日だった。SS優勝はトーマス・マフェイ、2,3位をパトロネッリ兄弟が押さえ、5位に若いルカス・ボネットが入った。総合順位ではトーマス・マフェイがトップ、2位はアレヒャンドロ・パトロネッリ2’52”差、3位はマルコス・パトロネッリ、6’10”の差で。

カミヨン部門では、ジェラルド・デ・ローイが通算3度のSS優勝。SS2位はハンス・スティシー、1’30″差、SS3位ミキ・ヴィアシォン1’43″の差。1,2,3とIvecoチームの嬉しいゴールとなった。SS4位のアレス・ロプライスとは20分以上もの差が付いている。
一方総合順位ではアルダヴィシュスが依然としてトップのまま、総合2位のジェラルド・デ・ローイと28秒、総合3,4位のハンス・スティシー、ミキ・ヴィアシォンらとわずか1分50秒あまりのタイム差だ。

EN – The stage summary – Stage 4 (San Juan – Chilecito) – 2012/01/04

1月3日 (火)  第3ステージ  サンラファエル→サンファン
モト&クワッド                 オート&カミヨン
リエゾン : 291 ㎞             リエゾン : 291 ㎞
SS : 270 ㎞                  SS :  208 ㎞

Dakar2010シリル・デプレは既にサンファンで総合トップにいた。そして今日のサンファンのステージでも、シリル・デプレが再び総合トップに。マルク・コーマがナビゲーション・ミスで貴重なタイムを失った。ホアン・ナニ・ローマはモトからオートに転向して3年目、通算15回目のSS優勝。チーム・メイトのホロヴィッツがSS2位、総合トップにつける。

シリル・デプレが本日のSSを制し、総合トップについた。バイクのパフォーマンスは同じ、チーム・メイトのマルク・コーマと長時間にわたってピンポンゲームを繰り広げていた。CP1ではシリル・デプレが20”、次のkm117のCP2ではマルク・コーマが14”とイニシアティブをとったが、km164の三叉路でドラマはおこった。北に向かうオート&カミヨンのコース、西に向かうモト&クワッドのコース、本日のSSは途中で、カテゴリー別に分かれるのだった。そして、マルク・コーマはそこでミス、北に向かってしまう。4kmほど行って気づきUターンするが、13分あまりをタイム・ロスしてしまう。SSゴールではデプレがトップで通過、通算27度目のSS優勝となった。総合順位では、マルク・コーマに10’12”の差。

SSで2位になったのは、フランス・ヴェルホーヴェン (Sherco)。Shercoにとってはうれしい結果だが、トップとは 8’37”もの差。SS3位はパウロ・ゴンサルヴェス (Husqvarna)、2位とわずか2秒差だ。冷静と自制がダカール・ラリーではポディウム争いのキィポイントとなるところ、ヤクブ・プリズィゴンスキー(Jakub Przygonski:KTM)のアシスタント・カミヨンがkm68でエンジン故障してしまい、大きな痛手。一方、すさまじいスピードで走っていたクイン・コディがkm173で転倒、鎖骨を骨折してメディカル・ヘリにリタイアを言い渡された。

オート部門、小さなミスがわずかなタイム・ロスにつながり、順位の交代があった。ステファン・ペテランセルはKm41のCP1、km163のCP2をトップタイムで通過した。しかしゴール手前50kmで2度のパンク・ストップ。SSのゴールでついに、ホアン・ナニ・ローマに6′ の差を許してしまう。チーム・メイトのクリストフ・ホロヴィッツがローマに次いでSS2位、その上、総合1位に上がってMiniチームにとって嬉しい1日となった。

宿敵Hummerは、ロビー・ゴードンがSS5位に入り、総合タイムでホロヴィッツと54”差。MiniとHummerがポディウムの順位を競う中、Toyota Hiluxも充分対等なパフォーマンスがあるのを見せつけた。ダカール・ラリー2009の優勝者、ジニエリ・ド・ヴィリエがホロヴィッツと総合タイムでわずか54”の差。

クワッド部門では、アルゼンチン勢が期待通りの活躍をみせてくれた。パトロネッリ兄弟の兄、アレヒャンドロがSSをトップでゴール、弟マルコスに55”の差をつけた。その後、同国人パブロ・コペッティがゴール、アレヒャンドロ・パトロネッリのタイムを覆して、SS優勝となった。

カミヨン部門ではチーム・デロイが連続SS優勝を果たし、カミヨンのポテンシャルを示した。優勝したのは、今日はジェラルド・デ・ローイではなく、ミキ・ヴィアシォン。WRCの2度のワールド・チャンピョンは初めてSS優勝を果たした。一方宿敵、Kamazチームは、アルチュール・アルダヴィシュスがSS2位に入りこんだ。

EN – The stage summary – Stage 3 (San Rafael – San Juan) – 2012/01/03

1月2日 (月)  第2ステージ  サンタロサ→サンラファエル
モト&クワッド&カミヨン          オート
リエゾン : 486 ㎞            リエゾン : 486㎞
SS : 295 ㎞                 SS :  290 ㎞

コーマは本来の調子に、アルアティヤはバウンド

マルク・コーマが本日の第2SSを2番目にスタート、ライバルを押しのけて総合トップに挙がった。チーム・メイトのシリル・デプレに総合順位で2’52”の差。オート部門ではナセル・アルアティヤが華やかなショーを披露し、SS優勝。総合順位ではステファン・ペテランセルがトップ。

本日の295kmのSS、モトのトップグループのタイムは僅差の勝負。昨日SS2位のマルク・コーマはスタート直後で、先にスタートしたフランシスコ・ロペスを追い越し、終始コースをオープンして走り切った。

そして、チーム・メイトの宿敵シリル・デプレ、昨日は控えめに走ったので今朝のスタートは13番目。オリヴィエ・パンやパルアンデルス・ウレヴァルスター、クイン・コディを追い越し、CP1ではトップタイムで通過する。が、ゴール手前50kmの砂路面では、マルク・コーマが追い上げ、シリル・デプレに1’18”のアドバンテージをとってSSを終了。

総合順位では、マルク・コーマがフランシスコ・ロペスに2’30”の差でトップ、シリル・デプレと2’52”差。

昨日はハビエル・ピゾリト(Honda)が大活躍だったが、本日はホアン・バレダ (Husqvarna)が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。カタルーニャのライダーは先のモロッコ・ラリーで2度のSS優勝、大先輩の後を追いかける。

オート部門でもリーダーの交代劇。昨日大きなトラブルに見舞われ劇的な一日を送ったナセル・アルアティヤ、今朝は38番目のスタートだった。タイトル保持者にとっては、昨日の疲れなどなんのその、優勝に向ける意欲のほうが勝るらしい。サンラファエルに向かう290kmのコースで17台を追い抜いた。中間のCP1で彼は12番目のタイム、後半でのすごい巻き返しだった。

アルアティヤの前を走るペテランセルとゴードン。チーム・メイトのHammerに乗るゴードンはCP1でペテランセルを押さえ、トップタイムで通過。しかし砂路面になると状況が代わり、ペテランセルがアドバンテージを取る。暫定SS優勝と思われたが、後から到着したアルアティヤが猛然と追い上げ、ペテランセルと54秒差でSSゴールを通過、本日のステージ優勝となった。Hummerは本日のSS、1位と3位という嬉しい結果。

クワッド部門ではセルジオ・ラ・フエンタ(ウルグアイ)が本日の295kmのSSをトップタイムで通過、昨日に続いて2度目のSS優勝。総合順位では、タイトル保持者のアレヒャンドロ・パトロネッリに6’34”、トーマス・マフェイに9’42”の差でトップをキープ。2009年、2010年のダブル・チャンピョンのマルコス・パトロネッリは9’48”で総合4位。総合5位には若いルーキー、ルカス・ボネット(Lucas Bonetto)が着いた。

カミヨン部門ではジェラルド・デ・ローイ(Iveco)がかつての絶好調の走りを思い出したか、SSを制した。2009年のSS優勝以来だ。そして本日のSSのポディウムにはチーム・メイトのミキ・ヴィアシォンが登る。しかしながら、デ・ローイはKamazチームの若いドライバーたちに注意を払うのを怠らない。ニコラエフはSS2位、マルデーブは4位につけているのだから。

EN – The stage summary – Stage 2 (Santa Rosa de la Pampa – San Rafael) – 2012/01/02

Dakar2012 最新リザルト (www,dakar.com)

1月1日 (日)  第1ステージ マル・デル・プラタ→ サンタロサ
リエゾン : 796 ㎞  SS : 60㎞   

チャレコが第1SSを優勝で飾る、オート部門はMiniが1,2,3フィニッシュ

昨年、ケガでほとんどをリハビリに費やしたフランシスコ・ロペスがDakar2012の最初のSSを制した。同じアルゼンチン人ピゾリトが3位に入るという快挙をなしたが、一方でホルヘ・ボエロが転倒して無くなると言う悲惨な出来事があった。一方、オート部門では、Miniがトリオでトップを制した。Hummerは、リエゾンで停車、大きなメカ・トラブルにみまわれている。カミヨン部門では2009年大会同様、ヴァンヴィリエが最初のSSを制した。

優勝候補の中でも一番優勝から遠いと予想されていたライダー、フランシスコ・ロペスが最初のSSを押さえ、きっちりダカール・ラリーにかける情熱を示した。昨年春、チュニジア・ラリーで転倒、骨折する大きなけがをし、ダカール・ラリー参加はほとんど不可能とみられていた。その後6回の手術を重ね、リハビリを重ねて、ファラオ・ラリーに参加できた。36位でゴール。その“チャレコ”が車検場でダカール・ラリーにスタートできるだけで嬉しいとコメントしていた。しかし、そのダカール・ラリー最初のSS、57kmと短いSSだが、彼はマルク・コーマを押さえてトップ・タイムをたたき出した。通算6度目のSS優勝、本大会第1ステージの総合1位。

2位のマルク・コーマに続いて、3位はアルゼンチン人、ハビエル・ピゾリト(Javier Pizzolito)、620kmのリエゾンを終わると、盛大な歓声に包まれた。4位は奇跡的にエントリーできたクイン・コディ、30秒差。コディは、競技に使うバイクを間違えてリマに送ってしまい、かろうじてマル・デル・プラタに間に合った。5位は若いヤクブ・プリズィゴンスキー(Jakub Przygonski)、トップとの差49秒。シリル・デプレはトップと1分48秒の差だった。

オート部門でもちょっとしたサプライズ。短いSSなのでクルマのパフォーマンスを証明するものでもないが、好評なMiniが、1,2,3をとるという快挙。レオニド・ノヴィツキー(Leonid Novitskiy)が素晴らしい腕前を披露し、13番目でスタートして、ステファン・ペテランセルと同時にゴールした。彼はラリー・レイド2011のワールド・チャンピョン。そして、SS2位はノヴィツキーと5秒差でクリストフ・ホロヴィッツ(Krzysztof Holowzyc)、3位が9秒差でステファン・ペテランセル。4位はジニエリ・ド・ヴィリエ、初めてのToyota Hilux。

Hummerで初めてレースしたナセル・アルアティヤはかなり深刻なトラブル。SSは9’45”差でゴールし、腕前は大丈夫だが、問題はクルマ。SSのゴール手前km2でHummer H3がオイル・プレッシャーのトラブルで停車。ロビー・ゴードンの牽引に助けられゴールした。SS終了後、リエゾンをスタートして間もなく停車、ゴードンと共に修理にかかっている。

そして、サプライズはアルフィ・コックス、なんと、本日のSSが終わる前にリタイアとなってしまった。南アの元ライダーは、今回チームPawanoからVolvo XC60でエントリーしたが、車両から火が出た。コックスとコ・ドライバーは直ぐにクルマから逃げ出すことができたが、クルマは完全に燃えてリタイアとなってしまった。

クワッド部門では。本日のSSを制したのはウルグアイ人、セルジオ・ラ・フエンタ(Sergio La Fuente)。昨年総合14位に終わったので、本日の成果に嬉しさを隠しきれない。SS優勝はウルグアイ人で初めて。2位が54秒差でマルコス・パトロネッリ、3位が1’07差でアルゼンチン人、トーマス・マフェイ(Thomas Maffei)。

カミヨン部門では、期待されていたKamazチームがトップ4に一台も入っていないという、こちらもサプライズの一日。SS優勝を手にしたのは、マンのマルセル・ファンフリート(Marcel Van Vliet)。2位はジェラルド・デ・ローイ、26秒差、3位はフランツ・エヒター56秒差。ミキ・ヴィアシォン(Miki Biasion) とハンス・スティシー(Hans Stacey)ら、トルコのイベコのカミヨンがトップ6位に3台も入り、大きなインパクトを与えた。

ダカール・ラリー2012、リマに向けてマル・デル・プラタをスタートする競技者は全部で443台。アルゼンチン、チリ、ペルーを走り抜ける8,300kmのコース。いよいよモト、クワッド、オート、カミヨンの4つの部門を競うレースの火蓋が切られる。

南米では真夏のまっさかり、いつもならこのマル・デル・プラタの海岸はバカンス客で溢れる。しかし今日は、かわいいギャルを求める野次馬の向きが少し違う。プラザ・コロンに仕立てられたポディウムで、スタートセレモニーが行われ、ダカール・ラリー2012の出場者が一人一人紹介されるのだ。いつもなら何十万人と言う観衆から、羨望のまなざしで大喝采を浴びるところだ。町中がお祭りムードの中、少し違うムードが。クワッドの7台が車検でパスできなかったのだ。ジョセフ・マチャセック(JosefMachacek)、ルカシュ・ラスカヴエツ(Lukasz Laskawiec)、クリストフ・デクレール(Christophe Declerck)、ラファウ・サノク (Rafal Sonik) 、アントワーヌ・ルコント(Antoine Leconte)、ノルベルト・カンガーニ(Norberto Cangani)、マシエス・アルビノウスキー(Maciej Albinowski)の7名。車両が市販者からあまりに改造されすぎており、クワッド部門では「プロトタイプ」のクラスは無い。スタートは認められたものの、7人のクワッド競技者はリザルトに記載されない。パトロネッリ兄弟の優勝への道はこれまでになく開かれているかに見える。

一方モト部門でもスタートできないライダーがいる。アメリカ人Iain Stevenson、Neil Scott-Thomas、Darryl Curtis 、Greg Raafの4名、せっかくアメリカからやってきたにもかかわらず、彼らのバイクを積んだ船がデルタ・ドックに到着したのは12月31日で、車検に間にあわなかったのだ。最初の時間制限に間にあわなかった4人に書類手続きを行い、通関処理の優遇を図ったが、それでも最初のSSに間にあうかどうか?1月1日朝5時にバイクの検査をするという特別措置がとられることになっている。

リマの優勝を見据えた2人、シリル・デプレとマルク・コーマは、今年は同じチームで同じオレンジカラーに身を包む。二人ともリラックスムードで、これまでのレース前と少し雰囲気が違う。「俺たち二人、いつもより気楽な気分なんだ。こんな感じでスタートする方が全然良いね。」とデプレ。

オート部門では、ナセル・アルアティヤがかつてのライバル、ロビー・ゴードンといっしょにカタール色のハマーH3のコックピットにたたずむ。そして元チームメイト、ペテランセルを押さえることが、彼の連続優勝ということになるのだろう。なぜならペテランセルは10度目のタイトルを狙っているのだから。

車検2日目、カミヨン部門が召集された。カマズチームやデ・ローイらが紹介され、優勝に向けての意欲がひしひしと伝わる。オート、モト部門でも、多くのアウトサイダーが戦略を練る。

「すごいねぇ。ビバークがブルーカラーだ!」とエチエンヌ・ラヴィニュがマル・デル・プラタの海岸を走りながら歓声をあげた。避暑客の別荘とずらりと船が並ぶマリーナ、そして海軍基地の中に設置された車検・人検(書類審査)会場を一回りする。ウェイティング・コーナーをしつらえられた桟橋で、車検の番を待つ競技者が、最後の調整に余念がない。早朝から、デ・ローイやカマズ、タトラ、マンなどのカミヨンが順番を待つ。競技者やオブザーバーらは口々に、今年のカミヨン部門のレースはかつてないほどオープンだと言う。チャギンとカビロフがレースを離れ、ニコラエフや若いマルデーブが優勝に最も近いというところか。カミヨンのポテンシャルのハンディキャップは昨年より縮小し、むしろ技術的な差がものをいうレースになるとデ・ローイチームの3番手、ミキ・ビアシオンが語る。「カマズを負かすには、競争力の強いカミヨン数台で構成されたチームでないとならない。今年は、その点デ・ローイが理想的なチームを仕立て上げた。まぎれもなく優勝のチャンスだ」と、過去2度の優勝者は自信ありげに語る。

アレス・ロプライスは、「我々のカミヨンは彼らのレベルとは違う。だから、ステージ優勝で満足だ。」と、シルク・ウェイラリーでカマズを押さえたにもかかわらず、やや控えめな意見。

スーパーパワーのカミヨンがその力を見せつけるかのようなデモンストレーションをしている傍らで、オート部門の車検は、ドスードチームのクリスチャン・ラヴィエイユから始まった。プロト011でトップ5入りを目指す。モト部門は、デプレやマルク・コーマの車検は明日だが、その他のライバル達が本日車検を受けた。エンジン交換のペナルティについては、今日もライダーらの話題の中心。

シェルコでトップ5入りを目指すフランス・ヴェルホーヴェンは「私達はエンジン2台でやる積り。優勝候補の中で1台だけで走り切れるライダーなどいない。エンジン交換は8日目くらいになるかな。」

ワールド・チャンピョン戦で準優勝のJakub Prizygonskyは「皆1回は交換するが、2度交換する人はいないと思う。だから、今まで通りさ。」

ヤマハ・フランスのオフィシャル・ワークスのライダー、ダヴィッド・キャストゥは「多分1回はエンジン交換するだろう。しかし、うちのエンジンはダカール・ラリーを交換無しで走るキャパがある。テストで12,000km走行しているんだ。」

エンジンン交換について、ライダー達が意見を交換し合う中、チャレコことフランシスコ・ロペスは、「特に戦略も無いし、野心もない。ここにいられるだけで充分さ。さあて、これからどうなるか。ともかくリマに着きたい。」

いつもは避暑客で一杯のマル・デル・プラタ。しかし、競技者たちはいっしょになって、その避暑客のリラックスしたムードを楽しむわけにはいかないようだ。あと3日でダカール・ラリー2012がスタートするからだ。マル・デル・プラタの車検会場に召集された競技者たちは、1月15日の最終ゴール地、リマに目標を向ける。

今日の車検・人検は、レースの1ステージではないが、レースでは必ずやらなければならない事。ダカール・ラリーの競技者やクルーは、いそいそと車検場や書類審査会場を行ったり来たりする。多くの人は、この避暑地で、1,2日、海岸をジョギングしたり、アルゼンチン料理に舌包みをうったりして、ささやかな休日を楽しむが、その後は、本腰に気合を入れなければならない。29日、召集者NO.1は偶然にも今回の最年少、アルゼンチン人のルーカス・ボネット(Lucas Bonetto)だった。ウシュアイアからやってきた20歳になったばかりの若者に、先輩のパトロネッリのような将来が待っているかもしれない。パトロネッリ兄弟のパフォーマンスによって、国中の人がクワッドのカテゴリーに興味を持つようになり、二人はヒーローとして尊敬・愛されるようになった。

クワッドのエンジンパワーが新ルールで規定されたことに対し、「900ccのマシーンを操作するのは難しいし、非常に体力を消耗したので、良かったよ。どちらにしても、ダカール・ラリーはクラッシックな速さを競うだけのレースではない。大きな挑戦をかけたヒューマン・アドベンチャーだから。」

車検最初の日は、多くの観衆やジャーナリストはトップグループへと目がいく。まずはヤマハを離れ、イタリアの新しいメーカー、ボルドンヌ・フェラリに移籍したジョルディ・ビジャドムス。長い間、マルク・コーマのアシスタントを務めてきたライダーは「うちのチームは勝つために戦うライダーが5名で構成されている。エンジン交換についてのペナルティの新ルールの導入は決定的だと思う。人によってはたった一つのエンジンで完走する人もいるが、トップグループのライダーで一つだけで完走する人はあまりいない。」実際、この15分のペナ(1度目のエンジン交換は15分のペナルティ、2度目は45分)について、ライダーたちはもちきりだった。2010年シリル・デプレに優勝を奪われたパルアンデルス・ウレヴァルスターは8300kmをエンジンを壊さず走り切っていたにもかかわらず、最後にポディウム争いに敗れた。「たったひとつのエンジンで走り切れる人なんかいないと思う。しかし、45分のペナルティを受けたとしても、かなり良いリザルトで終わることができる。どちらにしても、山を越えるのが楽しみだ。そのあと、大きな砂丘ステージが待っているのでね。」

砂丘大好きというのは、ノルウェーのウレヴァルスターだけでなく、初参加者、無名、または優勝候補らにとっても同様だろう。

明日の車検は、カミヨン部門の大物の番。カマズのニコラエフ、マルデーブ・ジュニア、イベコのデ・ローイ、スティシー、ビアシオン、タトラのアレス・ロプライス、小排気量カミヨンで連続優勝している日野チームスガワラの菅原義正&照仁父子など。オート部門では、クリスチャン・ラヴィエイユ(チーム・ドスード)やベルンハルド・テン・ブリンケ(リワルド)。そして、モト部門では、フランシスコ・ロペスや、パウロ・ゴンサルヴェス、クイン・コディなどが召集されている。